☆
「はっ、はっ、…ほっ」
走る、とにかく走る、コツンコツンと私の気持ちを蝕んでゆく足音を立てても気にせず、生きるために走る―…!
『暗闇は、いつでもお前たちに花束を手向けている』
「そして我が片腕に抱き締めようってね…!」
窓越しから確認した外の景色は…、…看板には人がごったがえしていて、とにかく救助を待っていた。
近くによっただけで阿鼻叫喚の叫び声が耳をつんざくのだろうな、うごめく人混みを見て、そう思う。
なるべく、穣子に影響が無いようにルートを歩いてきたつもりだ。
「ああ、ああん、おねーちゃん、もう疲れたよ…」
穣子が息を切らして、弱音を吐く。
そして、その場に倒れこんで私にもたれかかる態勢になる。
「…大丈夫、穣子。おぶってもいいわよ」
「…いいよ、いくらおねーちゃんでも、そんな」
「穣子の胸が当たるからね」
「いっそおねーちゃんの今後の人生で使うクーポンが全て期限切れならいいのに」
穣子が私に毒付きながら立ち上がり、再び歩を始める。
…穣子の眼の色からして、おそろく生に関して、諦めていない。
タイミングが、悪かったのだ。
全てのタイミングが、あべこべに、さらに都合よく当てはまってしまったため。
私たちは、取り残された。
「…はあっ、はあ、おねーちゃん、ここどこ…?」
「…地下の三階、一般で入れる最下層よ」
思えば、私が頭に何かをぶつける前のデッキ上は、どこか慌しかった様に思えた。
その慌しさとは、クルーたちが一斉にデッキ上の乗客たちに忠告を初めて、それからポツリポツリと看板を降りていった様な…。
私たちの所にも、忠告はきた。
しかし、あいつの忠告は間違いなく他のクルーたちの伝言とは違うものだろう。
その結果が、これだ。
…あいつは、わざとボーイに成りすます事によって、私たちに他のクルーたちから情報を与えないようにしたのだろう!
その情報とは、
「沈没だわ」
…外から見た船の光景は、…傾いていた。
前に、つんのめって。…近くには、氷山の一角が見えていた。
「…おねー、ちゃん?」
穣子にいらぬ心配を掛けてしまったみたいだ。
頭を私の胸に埋めさせ、髪の毛を触り撫でてやる。
「…おねーちゃんの、匂い」
「ふふ。なんだか、恥ずかしいな」
瞬間。パンと乾いた、それでいて篭った音がどこからか聞こえてくる。
私たちの居場所は、一番下。
上からか?
「…いいいいいいいやああああああああああああ!!!」
瞬間、穣子が我慢の限界を迎えたか、血眼を走らせて私の腕をぶっきらぼうに掴み、どこかの部屋へ入ろうとする!
元々の部屋の乗客は急いで抜け出したのだろう、オートロックも船の電力が流れていないためかかっていなかったらしい!
ドアが、開かれた!
「…まずい!」
この船が沈没しつつあることを知っているのは私のみ!
何故か? …穣子には、事実を知る事による負担が大きすぎる!
私が背負わなければならない!
生き残るためには、私が踏ん張らなければならない!
「ああッ!」
間一髪、ドアが閉まる直前に自分の足を滑り込ませ、ドアを開いた状態にする。
「…なんでっ!?」
穣子は自身の力を精一杯使っているのだろう、…思い切りドアを閉めようと押している。
私の足が悲鳴をあげて、…血が、でたかな。
足の血管がどくどくと脈を打っている事が、胸にまで這い上がり伝わってくる。
「…ドアは、閉めない」
「どうしてっ!? 銃声よ、銃声じゃなくても、威嚇には間違いないわ!
殺されるかも、何かされるかも知れないのよ!? ただでさえこんな人の居ない状況で、締めっきりの安心できる環境にしないだなんて、私、ああっ…!」
「…閉めない」
「…」
穣子は、落ち着きを取り戻したか、…床下にへたり込んでしまった。
再び訪れたのは、居心地の悪い、沈黙。
「…銃声、さ」
「…うん?」
穣子はドア付近の壁にもたりかかり、たたずんでいる。
私が口を開き、穣子が少しだけ私の方向へ顔を向かせ、…すぐに、沈めさせてしまった。
「本当に、上で鳴ったのかな」
「…だって、近くで鳴った感じじゃなかったし。篭ってたよ」
「別に。…それこそドアを締め切りにした隣の部屋とかで発砲すれば、篭った音には聞こえないかな」
「…それで?」
疑問にすら思わない様子で、穣子が返事をする。
…言うしか、あるまい。
これまで言わなかったのは、私のエゴでもある。
…私は最低だ。
とことん利己的で自分中心で、…最低だ。
「穣子。…この船は、沈没する」
「…!? えっ、あ、…は、ぐ」
「…穣子の足元。…水が、浸水してきてはいないかしら」
「…、…あ、あ、あ」
穣子は耐えられない様子でベッドまで這いずり歩き、そのまま上に乗って、頭を抱えてしまった。
「…なんでかはわからないわ。でも、このドアは閉めると次に間違いなく開かなくなる」
私しか知りえない情報を、穣子に開示する。
「なんで、そんな事を」
「繰り返したから」
私は足を使い隙間からドアを開き、外へでる。
まだドアは閉じず、私は穣子に命令をする。
「穣子、待っていて! このドアを閉めちゃ絶対に駄目よ、いざとなったらあなただけでも看板に!
…望みは限りなく薄いけれどね」
「…なんで、なんでよっ! 沈没するってわかってるんだったら、なんで他の階に誘導してくれなかったのさ!」
…人殺しと、妹が呼びかけてくる。
どうしようもない、喪失感。
…私は、ただ穣子に目を合わせて、呟くことしか出来なかった。
「…他の階に居たら、どこでも死んでしまったのよ」
犯人は居る!
呪いなんかじゃない、この不幸、いや、事件は間違いなく人為的な呪いに似せた犯行!
すぐ、近くに! その証拠が、何かしらの犯人の痕跡が!
どこに―…!
「…あ、あった! 私たちの逃げ込んだ部屋から左二つの所の部屋ドア壁に、銃痕が…! 穣子、おお、おッ…」
頭部が焼ける様に熱い。
熱いというか、どくどくと脈を打って、その衝撃で痛みを感じている。
その内、寒くなった。
私は何をしているんだっけ?
視野が、暗いなあ。
「…ふん。あんたも、情けない妹を持って災難だねえ」
「私の妹を、馬鹿にするな」
四回目 失敗
原因 静葉意識暗転
☆
黙々と看板を降り、私はおねーちゃんの後をついていくまま。
どうしたのだろう、おねーちゃん?
私に何も言わず、バケツが降ってきてからどこかの部屋へ向かっていって、何か約束でもしたのかな?
「…ここよ」
たどり着いたのは、最下層の階に存在する部屋。
おねーちゃんは何のためらいも無しに、ドアをぶち蹴りこじ開け始めた!
「だ、駄目だよおねーちゃん! 他の人の部屋に勝手に入っちゃ、いけないよ! それに、ドアだって破損させちゃって…」
「どうせ滅ぶからいいのよ」
ドアを開けた先にはなんだか見るからにいやーな感じの奴がいました。
Ω「もうそろそろゆイタニック号沈みまーす…、…え」
「…こいつを、ぶちのめせばいい」
「…ええ。理由はわからないけれど、何だか無性に腹が立ってきたわ」
Ω「え、ちょっと待って、その手に持ったバールのようなものは何、いやいやそんなヤバいって洒落にならないもんですから死にますから!
無理ですから! 何!? ね、考え改めよう、そして落ち着いて話し合おうね、ね、ね!?」
「「問 答 無 用!!!」」
「ぐわああああああああああやめてえええええええええええええええ」
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
映像が乱れております。しばらく麗しい静葉をご覧してお待ちください
(アホらしいAA)
二人は結局無事に家へ帰れましたとさ☆
打ッち切り
伏線
本当は地図を用意して、地図にあるしずはたちの部屋=Ωが伏せ隠れている
しずはは6回のみやり直しを出来る権利を貰えた
バケツは別に元からあった。Ωがしずはを殴り殺そうとした
人がさっぱり居なくなったのはクルーが一時的に部屋に戻るように言ったから その時は沈没の事実は伏せられていた
途中電力が無くなり明かりが消える
銃声はΩの部屋から→ドアを押さえつけ開けなくさせていたのもΩ
ちょくちょく呪いと思わしきことしてたのもΩ→こいつ二人の後を追っていた
トリック
びくびくしている状態で銃声がなったらどこから鳴ったか判断できない
Ωは内部関係者 オートロックを解除して、入った部屋はオートロックにかかるようにし、区別を付くようにする。(何か管理モニタとかあったんじゃないかな)
銃声だから上へは逃げにくい。Ωは後を追っていたから二人の居場所がわかる。→タイミング自由に決行可能
左二つの部屋の銃痕はフェイク。わざとドアを開け、しずはが探索に来たところを返り討ちにするため
Ωはフェイクをつけようとしている所でやられた。
Ωの動機
船が沈む理由(かぐもこさんので既に決まってた。盲点)
脱出方法
しずはみのりこの名前ひらがな訂正
が壁となり真面目に作るの断念
1日じゃ推理物なんて無理でした☆
Ω的船の沈め方
氷山に近づいたところで動力部に爆発物をしかけ、爆破
あとは水が入ってくるのを待つ
「偶然が、重なりあう予感がする」とか言わせるつもりでした
さなえちゃんとゆっくりを初めに今まで私のSSにコメントをくれた方、本当にありがとうございます。
ガラクタ通りの質問を受ける時など、どこかそっけなくしてすみませんでした。
わざわざ質問していただいて有難うございました。
宜しければこれからも応援を、宜しければコメントもお願いします。
早苗ちゃんの人
みのりこ台詞候補
ノストラダムスもびっくりの妄言
最終更新:2009年06月10日 22:54