【ゆイタニック号のゆ劇】ゆゆ様がバナナをムシャムシャした話

只今の時刻は午後10時半
夜もふけはじめた頃だが、この大型客船に静まりかえる時間はない。
大勢の人間で賑わうゆイタニック号。その真下。



最低限の明かりしかなく酷く薄暗く、狭い船底。この船の機関部である。
普通の船とは動力が違う為か、見た事もない機械が複雑奇怪に絡まり合い、まるで鋼鉄で出来たジャングルのようだ。
その暗い底に、カツカツと足音が響いていた。身なりのいい若い男が一人歩いていた。
印象に残りずらい極々平凡な顔の男だ。ただしその楽に180cm以上はある背。
更に、両手に持ったフルーツ柄のスーツケースはどうみても似合わない。
そして鞭のようにしなやかな体付きな為か、どうにも普通の職業の人間には見えなかった。
それもそのはず、その男はとある密輸組織の一員である。





この場所全てが頭に入っているのか、男は一切の迷いなく機関部を突き進んでいた。
そうして、一際大きく、複雑そうな機械の前で立ち止まった。
男はスーツケースのような物をそこに置く。そうしてそれを開くと、中はコードが複雑に絡み合っていた。
……簡単に言えば、所謂時限爆弾という奴である。
タイマーICを用いた電気制御によるごくありふれた物だ。
この時限爆弾自体は、爆発しても船を沈没させるような効果は薄いだろう。
しかし、ここは機関部。それも目の前の物体は船の動力部とも言えるものらしい。
それを破壊するだけならこれで事足りる。そしてこれを破壊すればどうなるか
想像するまでもない。
なぜ組織がこの船を壊したがってるか。組織でも下の方である男はその理由を知らないし
知りたいとも思っていない。これによって何人の人間が死のうが、隣人の今朝の朝食程に
どうでもいいことであった。ただ命令された仕事は行う。その程度の意識だ。



最後の確認を終え、起爆装置を作動させる。タイマーが動き出したのを確認すると
男はすぐさまその場を離れようとして




「こっぼねー♪ごはんどこー?」




奇妙な声を聞いた。
男は内心焦りつつも、冷静に近くにあった配管の裏へ身を隠す。ここ数日の調査で、少なくともこの時間には、ここに誰も居ない事は
確認した筈だ。チェック漏れがあったのか?偶然やってきたのか?もしや男の計画が察知されたのか。
懐から黒塗りのナイフを逆手に持ち、慎重に声のする方を覗きこむ。




「ようむー!どこー!おなかすいたわー!」



生首がぷかぷかと浮いていた。変な帽子マークのついた帽子をかぶっている生首だ。
ゆっくりである。頭のマークには見覚えがあった。いつぞや食べたラーメンと言う麺料理に入っていたものだ。
ナルミだかナルトだかそんな名前の食べ物だったと思う。



まあ、人でないならいいだろう。男はナイフをしまうと、気付かれないようにゆっくりと
配管の裏を通ってゆっくりの傍を通り過ぎた。
念の為にゆっくりの方をもう一度振り返ると



「ゆん?ふるーつかしら?」


そんな事を言っていた。
フルーツ……ああ、先ほどの時限爆弾か。
この船に密航した際に、怪しまれぬように最初爆弾を入れて持ち込んだバックを海に投げ捨て
船内で買ったケースに入れたのだった。人気がなかったのか、全く売れずに残っていた挙句
70パーセントオフと値札を張られていたこれを買ったのは偶然だ。安かったのもあるが
せめて買ってやって華々しく散らしてやろうという有情の心からである。


流石に爆弾に近づくならば、ここでどうにかしようかとも思ったが、あれは外部からの多少の衝撃で爆発するようなものでもなく
そもそもあのゆっくりがバックに近づく理由もない。フルーツではないのだから。
それ以上に爆発の時間が刻一刻と迫っていた。あまり時間はない。
いそいで機関部を抜けることにした。




そうして、あらかじめ用意していた救命ボート乗って船から海へ静かにダイブした私は
今は予定通りに味方の船に拾われ、狭い船内でDVDを見ていた。
ジャパニメーションというものである。着物を着た少年が何やらおかしな銃で戦ったり
謎のおっさんが落ちながら戦ってたりしている。



ふと時計を見た。爆発予定時刻だ。すべて上手く行けばあの船はこの時間、まさしく海の藻屑と化しているだろう。
しかし私には関係ない。ただ己の仕事を全うするだけだ。成功の知らせは数日後にニュースで流れることだろう。
テレビのスイッチを切り、ボロボロのベットの上に横たわる。
そうえば、船内での数日間を全てどこかで隠れながら過ごしていた。よって私はあの非常に豪華な
ベットの感触を知らない。少しもったいないことをしたなと、珍しく後悔しながら眠りについた。









【数十分ほど前の話】



「みょーん!ゆゆこさま!ここにいたんですか!」
「ようむー!おなかすいたー!」
「ってなにをたべてるんだすか!それすーつけーすですよ!」
「だってぶどうとか、りんごとか、ばななとかばななとかばななとか、おいしそうだったんだもん!」
「なんでばななをきょうちょうするんですか!いいからいきますよ!ばれるまえににげますよ!」
「こっぼねー♪」
「みょ!うえにのらないでくださいゆゆこさま!」






【あとがきという名の言い訳】
むしゃくしゃして書いた。反省はしてない。バナナに深い意味はない。
どんだけ危険なんだこの船。
逆転検事面白いよね。お勧めだよ。


by ボックスまりさの人

  • ゆっくりゆゆ様の活躍?も結局は…。
    うおっまぶしっ!なアニメをジャパニメーションの代表と思われても困るのだがw -- 名無しさん (2009-06-14 22:03:47)
  • タイトルが無駄にエロスwしかしゆゆ様は半端ないなぁ -- 名無しさん (2009-06-14 22:15:50)
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最終更新:2009年06月14日 22:15