雛饅頭

※ 他の方の設定や作品、キャラを参考とさせて頂いています。一部この作品用に設定のアレンジしています。
※ 私の作品では書くたびにゆっくりの設定が人形だったり妖精だったり変化しますが、例えるなら男塾で邪鬼先輩がいきなり縮んだときやドラゴンボールの単行本の背表紙にヤジロベーが二回登場したことのように、あまり気にしないで生暖かい目で読んでいただけると助かります。












































くるくるくる

「?」

くるくるくる

「・・・・・・・」

くるくるくる

「!?」

くるくるくる





くるくるくるくる





















「それじゃあ今日の授業はここまで。みんな、気をつけて帰るんだぞ」

「せんせー、さよ~なら~」「今日もありがとうございました」「また明日ね~」

今日も授業が終わり、教え子達が自宅へと戻っていく。みんなこれから家の手伝いや友達との遊びに夢中になることだろう。
教師として、教え子達が健やかに育っていくことを間近で見るのは何よりの喜びだ。

私、上白沢慧音は人間の里で教師をしている。妖獣の一種、白沢(ハクタク)と人間、
共に半端な存在である半人半獣の私が人間達に受け入れられていることは本当にありがたい。
とは言うものの、昔々、幻想郷は妖怪と人間の関係は文字通り食うか、食われるかの殺伐としたものだった。
しかし、ここ百年の間に様々な事があり、両者の共存がうまくいっている。
そのため、私でもこのような職に就けているというわけだ。





そして、ここ最近、幻想郷に新たな住人が加わることになった。
その名は【ゆっくり】
永遠亭の薬師八意 永琳が餡子や挽肉から作り上げた動く饅頭。【ゆっくり】は幻想郷の有名人達の髪の毛から作られた。
そのため、見た目は元になった人間に似た特徴を持つ。しかし性格のほうはというと、
あの博麗神社の巫女に似たゆっくりが、少し調子に乗りやすいが素直な性格であるということのように、あまり本人とは似ていない。
個体数もその脆弱な能力のわりに少なく、生殖機能もなく(女の子しか存在しないため?)、
すぐに他の生物に食べられるがなぜか絶滅しない。
そのため、妖精の性質を持っているとも噂されている。
そんな彼女らは幻想郷にとけこむ事になった。様々な存在が外の世界から流れ着いてくるこの幻想郷だ。
以前は外の世界で絶滅した生物が大量に流入してきたことがあり、通常ならばこのような場合、
生態系の破壊が起こるとされていると外の世界の書物には書いてあった。それでも我々が暮らすことには何の悪影響もない。
ここは幻想郷。外の世界の常識が非常識となり、非常識が常識となる地。
そのため、ひとりでに動く饅頭が新たに現れることなど珍しいことでもなんでもないのだろう。



まして、その饅頭たちが集まって授業を行うことも慣れてしまえば当然のことに映る。





「むきゅ!おねーさんおつかれさま!ゆっくりさせてくれてありがとう!」

「ただいま。少し邪魔するよ。元気そうで何よりだ。」

この机の上に乗っかっているゆっくりはゆっくりぱちゅりー。紅魔館の魔女の気質を受け継ぎ、
本を読むことを好んでいる。今では私の家の庭を借りて、ゆっくり達に授業をしている。
ゆっくり達にはかなり好評なようで、生徒の数は段々と増している。

「ゆっくりできるおね~さんだ!」「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりさせてもらっているね!」「うー♪」「う゛ー♪」
「ゆっきゅりちていってよ~!」

様々な種類のゆっくり達。その数は約50匹。今では私の生徒の数よりも多いぞ・・・。

「今日はどんな授業をしたんだ。なかなか楽しそうじゃないか?」

「きょうはえほんをよんだよ!みんなすっごくたのしそうだったよ!」

なるほど、様々な絵本を紙芝居のようにして朗読することにより、みんなで物語を楽しんでいると言ったところか。
少し、授業の内容に興味がわいた。

「それはいいな。絵本は子供の情操教育にいい。一体どんな本を読んだんだ?」

「これ!」

そこには禍々しい姿をした筋骨隆々な男が描かれた一冊の本が置かれていた。
その姿はまさに悪魔。
題名は・・・・・・【でびるまん】?
和訳すると悪魔男か。そのままだなぁ。

「ずいぶんと難しそうな本を読むんだな。おもしろかったか?」

「むきゅ!」「すっごくおもしろかったよ!」「じだいのふうしだよ!」「ぜんあくはたちばによってかわるよ!」
「よのなかをみるめがかわるよ!」「えいがばんはあるいみでんどういりだよ!」

まぁ、何を言っているかよくわからんが、子供の教育にはいいだろう。絵本とはそういったものだ。
面白かった・・・・か。一巻を手に取り、軽く流し読みしたところ、悪魔となりながら人間の味方をしている男の話らしい。
半人半獣の身で人間と共に暮らしている私としては興味があるな。

「この本はもう読み終わったのか?よければ少し貸して欲しいのだが?」

「むきゅ!ゆっくりよんでいってね!はい!たんこうぼんをぜんぶあげるね!」

ぱちゅりーはうれしそうだ。本読みは人に本を薦めることに喜びを見出すというからな。

「すまない。今夜ゆっくり読ませてもらうよ。」

「よんだらゆっくりかんそうきかせてね!」

今夜が楽しみだ。絵本を読むことなど何年ぶりだろう。









そのとき、空からゆっくりれみりゃが数匹降りてきた。皆その体にはダンボールが括り付けられている。

「うー♪うー♪」「うー♪」

「ん?うーぱっくか?」

これはうーぱっくという、ゆっくりれみりゃの届け物サービスだ。最近ではゆっくりはおろか人間や妖怪の間でも人気がある。
なぜなら最近では氷の妖精チルノが手伝うことで、生肉や野菜を新鮮なまま届けることができるというためだ。

「おね~さん!ゆっくりたべていってね!」

ダンボールの中を見ると、冷えた麦茶と野菜が入っていた。なるほど、誰かからの差し入れか。
敷地を貸している私への恩返しと言ったところか。ありがたい。

「すまないな。では少しいただくとしよう。」

「ゆ~♪」「ゆっくり~♪」「ゆっゆ~♪」「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー♪」「うっめ!めっちゃうっめ!」

きゅうりを囓り、ゆっくり達と共に暮らす穏やかな時間。こういうのも悪くはない。


















くるくるくるくるくる





ん?あれはゆっくりか?

ふと路地を見ると、変わった姿をしたゆっくりがいた。緑色の髪にあごの下で結んだリボン。
その目は陽気なゆっくり種にしては影がある。
何より特徴的なのはその移動法だ。跳ねたり、這いずり回って移動するわけではなく、体を横にくるくると回転させながら前へ、
前へと移動している。

「・・・・・・・・・・」

終止無言のまま、我々が存在しないかのように通り過ぎてしまった。

「あの子はどうした?初めて見るゆっくりだが?」

思わず聞いてしまう。

「あのこはひなちゃんだよ!」「ぐるぐるまわってるんだ!」「まねしたけどゆっくりできなかったよ!」

それはそうだろう。思わず苦笑してしまった。

しかし、ゆっくりひな・・・・。一体誰を元にして、どんな能力を持つのだろう。
今度機会があったらじっくり話をしてみたいものだな。


そう物思いにふけながらゆっくり達を見送る。人間に飼われているもの。
野生でねぐらを持っているもの。その辺りの道に転がっているもの。様々だ。
あの子達は同僚の教師の生徒のような感覚だ。幸せに暮らしているのをみるとやっぱりうれしい。
そうして、私も自宅の中へと帰ることにした。














さて、今夜は時間がたっぷりある。あのゆっくりぱちゅりーは面白い本を選ぶことに関しては他の生き物に引けをとらない能力を持つ。
彼女がおすすめだといったこの【でびるまん】という本がどれほどのものか、ゆっくり味あわせてもらおう。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・♪





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?










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次の日、私は寺子屋を休んだ。



  • ある意味殿堂入りに吹いたw -- 名無しさん (2008-08-17 02:35:28)
  • い、一体何が・・・・。 -- 通りすがりのゆっくり好き (2008-09-17 22:53:46)
  • あー……アニメはともかく、マンガ版のデビルマンの内容はちょっと刺激が強すぎますからね……。
    ゆっくり達はそういう難しいことはわからないので、戦闘シーンだけ楽しんでいるんでしょう。 -- 名無しさん (2008-12-16 17:26:00)
  • >「ぜんあくはたちばによってかわるよ!」
    訂正します。理解してるけど、人間ほど精神的ショックが強くないだけですね。 -- 名無しさん (2008-12-16 17:29:38)
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最終更新:2008年12月16日 17:29