小ネタ312 名もなきおにいさんの話・のち



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あれから数日が過ぎ、俺も普段の日常を過ごしていた…ある変化を除いて。

「ただいま~」
「おきゃえりなしゃいおにーしゃん!」
そこには俺の部屋を元気に駆け回るれいむの姿が!
「ゆっゆっ、ゆっ!」
ぴょこぴょこと俺の元に近寄って、大きくジャンプ
れいむは俺の手の中に飛び込んできた。
「ははは、元気だなぁ」
そのまま頭やほっぺたをなでるとくすぐったそうにコロコロと笑う。あぁ幸せだ…

素晴らしき哉、我が家。
素晴らしき哉、我が人生。
まさにバラ色…



「そろそろよろしいですか?」
「…幻聴かしら?」
「おお、現実逃避現実逃避」
「嫌だ、現実にはまだ眠っていてもらいたい!」
嫌嫌ながら解説しよう…
こいつはあの時俺の前に現れた「ひみつのアッカちゃん」…と言い張っている、きめら丸らしき謎の生き物だ。
なんだかんだで今も居る。どうも家のどっかに住んでるっぽい

あの後も、赤ちゃんを勝手に失敬するなんて親にも赤ちゃんにも罪悪感しかわかないので無論できるハズもなく
相変わらずこの『ぬいぐるみれいむ』だけが心の支えになっている。
もの言わぬ笑顔がちょっと切なさを掻き立てるが…

あ、でも動くのは本当だよ!現に今も俺にすりよってきてるし。

そう、小学3年生の時にクラスで大人気になった(3日で飽きられたが)
ルアーフィッシングで鍛え極めたモーラー式操り術で、俺はぬいぐるみのれいむに命を吹き込む事が出来るのだ!
「なっ、れいむ」
ころころ
(脳内)『ゆゆん♪おにーしゃんしゅごいにぇ!』
ふふふ…我ながら素晴らしい技術だ。
ついでに声は確かなのでアッカちゃんに声を頼んでいる。
最初も慰めようとしてくれたし、話すとわりといい奴だ。せめて普通のきめぇ丸だったらなぁ…
現実「おお、ひとりじょうずひとりじょうず。」
「そんな事言わないでぇぇぇ!」

前言撤回。
現実が痛い…なんて寂しく、なんて厳しい現実、また涙がポツリと溢れる…
今日もまたぬいぐるみを抱いて枕を濡らす…赤ちゃんと暮らせる日を夢に見て。

「おぉ、えんどれすえんどれす」

by.とりあえずパフェ

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最終更新:2009年08月07日 09:30