夏の太陽がぎらつく中一人のゆっくりがふらふらと飛んでいた。ゆっくりチルノだ。
普通チルノは夏の間ひんやりした鍾乳洞をゆっくりプレイスとし、夏をやり過ごすものだが
中にはこのチルノのように鍾乳洞(ゆっくりプレイス)を見つけられないゆっくりもいる。
「きゅ~。」
ついに力尽きたチルノは地面に落ちてしまった。雪見だいふくのようなチルノの体は中身が溶けて小龍包のようにたぷたぷになっている。
「ゆっくりしたけっかがこれだよ!」
チルノは冬までこのままなのだろうか?
「うー!うー!」
空を見上げるとうーぱっくが空を飛んでいる。
行き倒れのチルノを見つけると降りてきたうーぱっくはチルノを中に入れ、再び飛びあがった。
森の奥に飛んでいくと岩肌に板のような石が立てかけてあるのが見える。
うーぱっくは石の前で「うー!うー!」と鳴いた。すると中から石が開きひんやりとした空気が流れてきた。
そのまま中の洞窟に入っていく。洞窟の中はヒカリゴケの青い光でよりひんやりとした感じを与える。
中にはゆっくりチルノ達が飛びまわっている。うーぱっくの中のたれチルノを発見すると洞窟の中に出し、ふーふーと冷たい息を吹きかける。
みるみるうちにチルノの肌は張りを取り戻した。
「あたいってばさいきょーね!」
「うふふ・・・目が覚めた?」
視界の中に入ってきたのは胴付きのふくよかなゆっくり…ゆっくりレティだ。
「さあこれを飲んで元気になりなさい。」
差し出されたのはアイスコーヒーだった。チルノはそれを飲み干すとゆっくり心地がついた。
「ゆっくりしていってね!!!」と他のチルノ達があいさつすると
チルノも「ゆっくりしていってね!」と挨拶を返す。しかしこんなところに鍾乳洞は無かったはずだが。
「ここはレティとあたいたちのゆっくりプレイスだよ!」
レティの説明によると洞窟ぐらいの広さならレティの力で冬のように冷やすことができる。食料は他のゆっくり達の食料をを冷蔵する代わり
一部を分けてもらっている。食料を運んできてくれたゆっくりにはかき氷をふるまっている。そうして冬が来るまでゆっくりしているのだ。
冬以外にレティを見かけないのはそのせいだ。しかしゆっくりチルノは”さいきょー”の自負が強いのか単なるおバカなのかカエル取りに夢中になって
鍾乳洞などのゆっくりプレイスから離れすぎて行き倒れになるチルノも多い。レティはそういったチルノを保護しているのだ。
早速このチルノも「
恩返しがしたい」と言って外に出ようとしている。
「じゃあこのうーぱっくに入って行きなさい。」
レティはアイスや冷凍ミカンなどこの季節に食べられないものをうーぱっくで配達している。
チルノ達はうーぱっくの中に入って保冷剤の代わりをするのだ。その道すがらこのチルノのようにゆっくりしすぎて行き倒れたチルノを保護するのだ。
「ゆっくりいってくるよ!」
うーぱっくとともにゆっくりの森に飛んでいくチルノ。
「うー!うー!」
「ゆゆっ!うーぱっくだぜ!」
ゆっくりまりさの元に冷凍みかんが届けられた。
「ごくろうさんなんだぜ、これはお礼のコーヒー豆だぜ!」
お礼の豆を受け取ってうーぱっくの中に入ると今度はゆっくり川のゆっくりにとりの魚を預かった。今日は大漁だったようだ。
荷物を積み終えたうーぱっくはレティの洞窟へ帰って行った。
しかし帰り際カエルの群れを見かけるとチルノはたまらず外に飛び出した。
危うくまたたぷたぷになりかけたが今度はそうなる前にうーぱっくに戻り難を逃れた。
カエルの氷漬けも成功しお土産に持って帰った。