てゐ魂
第8話「女の嘘には乗ってやるべき。」
忠告、
これは銀魂のパロディです。
でてくるゆっくりにロクな奴はいませんし、
酷い目に合うゆっくりもいます。
それでも見たいと言う方はどうぞ。
「…え~ッと、本当にこの馬鹿でかい屋敷にあんたの両親が住んでるわけ?」
目の前にある、紅葉的な色合いの建物を見上げながらてゐはあやにそう問いかけた。
「ええ、間違いないですよ?ここが正真正銘、私の実家です。」
「屋根だけならとにかく壁まで赤いなんて随分悪趣味な建物だね。」
「まぁ、ウチの両親はシャア専用ですから。」
「…あんたの家系はダイクンの血筋でも引いてるわけ?まぁとにかく、ここまで来たら覚悟を決めて両親に挨拶させてもらうよ。」
そう言っててゐは屋敷の門を開けようとする。
しかし、その前にあやが立ちはだかった。
「おッと、少し待ってくれませんか?」
「ちょっと、そこに立たれちゃ中に入れないじゃん!」
「気持ちは解りますけど、正面から入るのは、少し勘弁してくれませんか?」
「え?それってどう言う事さ」
「ウチの両親は門限に厳しいんです、真正面から入ったら怒られる可能性が…。」
「えぇ~だったらこんな夜遅くに行こうとしないで、朝早くに行けばよかったじゃん。
何でこの時間に行こうとしたのさ。」
てゐの言葉にあやは少し動揺を覚える。
「そ、それは…さっきも言いましたけど、私はどうしてもやって置かなければいけない事があったんですよ!」
「それって何なのさ?」
「お、女の子の秘密に触れようとするなんてマナーがなってないですねっ!」
「…あたしも女なんだけど、って言うかそれを言ったらゆっくりって基本的に全員女性のような気が…。」
「とにかく裏に回りますよ!」
あやはてゐの言葉を大声でさえぎるように叫ぶと、秋屋敷の裏手へと向かうのであった。
(…やばかった、忍び込むには夜の方が都合が良いと思ったからこんな時間にしたのですが、
計算外のことが起こるとは…あのゆっくりも案外ずるそうだし、せめてもみじを助け出すまでは、何とかごまかさないと…。)
あやは冷や汗を書きながらそんな事を考える。
こうして、てゐとあやのもみじ奪還ミッション(ただしてゐはその事を知らない。)が始まったのであった。
~☆~
「う…わ…。」
あやに導かれて秋屋敷の裏に回ったてゐは言葉を失った。
秋屋敷の裏側・・・それは、シャレにならないほど高い石垣になっていたのだ。
「さて、裏からこっそり忍び込むとしますか。」
そういってあやは翼を広げる。
「ちょ!あんた何してるのさ!」
「?これから空を飛んで忍び込むつもりなんですけど?」
「あの、私飛べないんだけど…。」
「?東方キャラは大概飛べるでしょう?」
「東方は飛べてもゆっくりは飛べないよ!少なくともこの作品では!」
この作品で空を飛べるゆっくりはうーぱっくとあやと、きめぇ丸だけである。
ちなみにきめら丸は飛べません、あの図体ですので。
「むう、それは参りましたね…あ、そうだ。」
あやは帽子の中から何かを取り出した。
それは、先端に鍵爪がついたロープ、通称鍵縄だった。
「…まさか…。」
「そのまさかですよ。」
嫌な予感がするてゐに向かってあやはにっこり笑いかけた。
「ゆ~しょ!ゆーしょ!」
「頑張ってください!あと少しですよ!」
てゐは鍵縄の先を石垣に引っ掛けて縄を口でしっかり食いしばりながら石垣を登っていた。
あやはと言うと、空を飛んでてゐのことを応援している。
少しでも顎の力を緩めると落下するので集中したいのだが、正直、あやがバサバサとでかい羽の音を立てているので、
てゐはイライラしてしょうがない。
それにも負けずに、てゐは鍵縄である程度まで登ったらあやに更に上のほうまで鍵縄をかけてもらい、また登るを繰り返した。
「…今、どのくらいまで登ったのかな?」
口に縄を咥えたままなのに器用に喋るてゐ。
「てっぺんまでもう少しですよ!ほら、屋根が見えてきました!」
あやの言うとおり、ちょっと見上げると屋根のようなものがほんの少しだけ見える。
「…ま、ここまで来たら頑張るしかないね。」
てゐはそう言うと、縄をかみ締めている顎に力を入れた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!
突然、石垣の一部が動き、そこから何かがせり出してくる!
「!?」
「な、何事です!」
てゐもあやも身構える。
,.-‐-、
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/ ______/\ ,.ヘ
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く _;;::-‐''7" ̄ ̄`"'''iヽ、_/」
〈y'´ .i |_!_,.ハ i 、!,_.| |〉
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| | : rr=-, r=;ァ'i |
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`ヽ、__,,' | i| 'ー=-' ノ| |
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「春ですよ~。」
現れたのは、リリーホワイト…の人形だった。
「…何、あれ。」
「リリーホワイトの人形ですね…何であそこからせり出してくるんでしょうか?
「って言うか秋屋敷って名前なのに、何でリリー?」
てゐとあやが疑問に思っていたその時。
ヒュンっ!
てゐの頬を、何かが掠めた。
「!?い、今のは…?」
てゐはとっさにリリー人形の方を見る。
そう、さっきのリリー人形はただのリリー人形ではなかった。
/ ̄`ヽ、
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r' 'yニ‐'!
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その手には弓矢が握られていたのだ。
「春Datheよ~!」
リリー人形は他の場所からもドンドンせり出してくる!
リリー人形が放った矢は全ててゐに向かって放たれていた!
「…!?!?!?!?!?」
無数の矢がてゐの身体を掠めていく、
てゐは慌ててリリー人形の放った矢を交わしていった!
「ホホウ、この様な仕掛けがあるとは、思いませんでしたね。」
あやはちゃっかり石垣から離れて様子を見ている。
「ちょ!あんただけなんで逃げてる…あ、しまった。」
あやにつっこもうとして大声を上げてしまったのが運のつき、
てゐはうっかり鍵縄を手放し・・・この場合は口放してしまった。
てゐの身体がゆっくり落下しようとしている。
「…くッ!」
てゐはとっさに耳を使って鍵縄にしがみつく!
何とか落下は免れたがてゐにとっては手の代わりである耳が塞がれたことで、ますます身動きが取れなくなった。
「ちょ、これってまずい…!」
状況がますます悪くなりながらもてゐは身体を捩らせてリリー人形の猛攻をかわして行く。
その様子をじっと見ているあや。
(これはまずいですね、ここで死なれては囮の意味がなくなってしまいます。)
そう考えたあやは、翼を広げててゐの下に回りこんだ。
「てゐさん!私が合図したら鍵縄から耳を離してください!」
あやはてゐに向かってそう指示を出した。
「???あんた何言ってるのさ?」
「いいから!」
「じゃあそうさせてもらうけど…。」
てゐがそう言うのを確認すると、あやは帽子からスペルカードを一枚取り出した。
「今です!」
スペルカードを口に咥えると、あやはてゐに対してそう指示を出した。
それを効いたてゐはすぐに縄から耳を離した!
当然、てゐの身体は空中に放り出されることになる。
あやはそれを見計らって、スペルカードを投げつけた!
風符「風神一扇」
グォオオオオオオオオッ!
スペルカードが光りだし、それと同時に下から激しい風が巻き起こる!
その風の強力さは、てゐに向かって放たれた矢が風圧で全て吹き飛ばされてしまうほど。
「え?う、うわあああああああっ!?」
その風に押されててゐは押し上げられるように上昇していく!
てゐは屋根の上まで押し上げられて、屋根の上に落下した。
「…び、ビックリした…。」
てゐは屋根の上で冷や汗をかきまくっていた。
「やあ、何とか石垣を登りきれたみたいですね。」
そんなてゐの元にあやが優々と飛んでやってくる。
「どうですか?私のスペルカードの感想は。」
「…三途の川が見えたよ。」
てゐは怒りに満ちた目であやを睨みつける。
「さて、ここからが大変ですよ。」
そんな視線を気にせずにあやは屋根の上から石垣の向こう側を見下ろす。
「?」
てゐはあやの視線の先を見てみた。
石垣の向こう側は豪華絢爛な庭になっていた。
しかし、問題はそこにいたゆっくりの大群。
「侵入者だ!侵入者だぜ!」
「わかる、わかるよ~!」
「倒せば報酬がっぽりだよ!」
みんな、殺気をたぎらせてこっちの方を見ていた。
「ちょ!?何なのさ、あのゆっくりの大群は!?」
てゐはそんなゆっくり達を見て、あやにそう問いかけた。
あやはそのゆっくり達を見て、こんな事を呟く。
「どうやら、父親は私達の事に気がついたようですね。」
「え?」
あやの発言にてゐは首をかしげる。
「おそらくあのゆっくり達は、あなたの事を試すために用意したものでしょう
私の子になるのなら、こいつらを倒してやって来い、と。」
「ま、マジですか・・・?」
てゐは冗談じゃないと思いながら屋根からゆっくり達を見下ろす。
「そんなわけですから…頑張ってください。」
ドンッ
あやはてゐを笑顔で庭に蹴り落とした。
「え?」
てゐが何が起こったか解らないまま庭に落下する。
「うさ耳の方が庭に落ちたんだぜ!」
「よし!乗り込め~!」
庭に落ちたてゐを見るなりゆっくり達が一斉にてゐに向かって突撃して来た!
「う、うわああああ!?」
あっという間に庭は大混乱に!
「それでは、私はこの隙に。」
あやは凄いことになっている庭の上を悠々と飛んで移動する。
「あ!?こら、あんた何一人だけで先に行こうとしてるの!」
そんなあやに向かっててゐは大声でそう叫ぶ。
「私は先に両親に合いに行こうかと思っています、
あなたはその試験を乗り越えて両親の元に来てください!」
それだけ言うと、あやは秋屋敷に突入した!
「ちょ、いくら何でも無謀すぎやしませんか~!」
襲い掛かってくるゆっくりを蹴散らしながらてゐは大声でそう叫んだ。
~☆~
秋屋敷に潜入したあやはその廊下を足音も立てずに移動していた。
ナメクジの様に這いずって移動しているというのに、その移動速度はゆっくりとは思えないほどに速い。
(あのゆっくりが庭で騒いでくれたお陰で秋屋敷に楽に進入できました、
後はもみじを助け出して、この屋敷を脱出するだけです!)
そこまで考えて、ふと、その足がピタリと止まる。
考えるのは、てゐの事。
(そういえば、あのゆっくりには悪い事をしましたね、
アレだけの数に囲まれては、ただで済むとは思いませんけど…
まぁ、脱出する際に、ついでに助け出しても罰は当たらないでしょう。)
そう考えると、また高速で廊下を移動し始めた。
…やがて、ある部屋の前にやってくる。
「…アレは!?」
そこであやが見つけたもの。
それは、部屋の中でグッタリしているもみじの姿であった。
「もみじ!」
あやはもみじの姿を見て思わず叫び、部屋の中に突入しようとする。
もみじはあやの姿に気づき、大声で叫ぶ。
「あやさん!きちゃ駄目っ!」
もみじの叫びは時既に遅く、その頃にはあやは超高速で部屋に入っていた。
ガッシャン!
それと同時に、あやが入ってきた部屋の扉が上から降ってきた鉄格子で閉じられる!
いや、出入り口だけではない。
部屋の四方の壁にも、鉄格子が下りてきていたのだ。
あやは部屋に閉じ込められてしまう。
「!?」
「フフ…掛かったわね。」
もみじの奥の方からゆっくりが二匹現れる。
しずはとみのりこの、ゆっくり秋姉妹だ。
「ホントに姉さまの言う通りね…仲間を助けるために戻ってきた。」
「まぁ、もみじは長年の相棒ですからね。しかもあなたの悪事の証拠となるボイスレコーダーは、もみじが持ってますし。」
「あら、こいつそんなもの持ってたの?」
しずははもみじに手を伸ばそうとすると、もみじはとっさに口から何かを飛ばした。
「おっと。」
あやはとっさに身体でそれを受け止める。
それは、秋姉妹の会話を録音したボイスレコーダーだった。
「これに気づかないとはあなたも案外、間抜けなんですね…もみじ…良くやりました。」
「あやさん…私は何とか守り通しましたよ…。」
「もみじ、とりあえず端っこに避難してください。」
「わ、解ってます…。」
もみじはごろごろと転がって部屋の壁際に移動する。
とりあえず、これでもみじの方は安全だ。
「…ますます逃がすわけには行かなくなったわね、姉さん。」
「ええ、みのりこ、ここは奥の手を使うわよ。」
しずはとみのりこの秋姉妹はお互いに横に一列に並んだ。
「はぁああああ……。」
二人は息を整え、精神を集中し始める。
秋姉妹の体から、目に見えるほどのオーラが出始めた。
「何をするつもりか知りませんけど、行動に出る前にしとめます!」
あやは凄い勢いで秋姉妹に向かって突撃してくる!
「合体!」
秋姉妹は同時にそう叫ぶと、互いの腕をクロスさせた!
カッ!
それと同時に、秋姉妹の体がまばゆい光に包まれた!
「な、何!?」
あやは光に怯んで思わず突撃を止めてしまった!
やがて、光が収束し、収まっていく。
「い、一体何が起こって・・・。」
光が収まった後、そこに立っていたのは・・・。
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/ ト、 ,. \>ァ、
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r'ー-、_ー´⌒`‐'-、カ ,イー-ヽ
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'、!,イ ,' /´___!_ i ハ _ノ_`ハ/ ノ
ノ ', レ、 ィ='‐ 、 _ノレ'r,ェ=x^i i、.;
( ソ'´ V{、 }――{ ハヘノ
y'´ ! =ミ'ーz=シ |:.! ゝt-イ ノハ
,' ! , ヽ、_,=ケi l:」 ),ハ !
'、 ゝ、ノ )ハVツ ;;;;;;;;;;;;;;、 l,ッノ ソ
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「待たせたな、これがパーフェクト秋姉妹だ!」
ガチムチ体形、上半身裸、かろうじてオレンジの髪と飾りに秋姉妹の面影が残っているというもう何処からつっこんだら良いか解らない男だった!
「ちょ、もうどの辺がゆっくりか解りませんよ!」
あやはパーフェクト秋姉妹に対して思わずそう叫んでしまう!
「フン!そんな事はもはやどうでも良いことだ!」
パーフェクト秋姉妹はあやに対して殴りかかってきた!
「くっ!」
あやはパーフェクト秋姉妹の一撃を交わす!
ドガアッ!
振り下ろされた拳は、床を思いっきり破壊した!
「うひゃあ、凄い威力ですね、しかし・・・。」
あやはスペルカードを取り出す。
「当たらなければ、どうという事はありませんよ!」
竜巻「天孫降臨の道しるべ」
ゴォオオオオオオオオオオオオッ!
スペルカードが竜巻へと変化して、パーフェクト秋姉妹に突撃する!
ドゴアアアアアアアッ!
「よしっ!」
竜巻はパーフェクト秋姉妹に直撃!しかし!
ごぉぉぉぉぉぉぉっ…。
「…確かに、通用しなければ、どうという事はないな。」
竜巻の直撃を受けて、平然とした顔をしているパーフェクト秋姉妹。
「つ、通用していない…!?」
とっておきの一撃でも平然としているパーフェクト秋姉妹を見て、あやは戦慄を覚える。
「今度はこちらの番だ…!」
そういうと、パーフェクト秋姉妹は両手を合わせ、それをそのまま腰の後ろにまで後退させる。
更に片足を前に出し、もう一方の足を後ろにずり下げた。
「はぁああああああ………。」
パーフェクト秋姉妹の両手に、何処からともなく現れた無数の落ち葉が集まっていく!
「…!これは!」
あやの直感が告げる、あの技は危険なものだと。
いつでも逃げられるように、あやはゆっくりと構えを取る。
「……ヲ、オ、ト、シ――――――ハーベスタァ~!」
カッ!ゴォァアアアアアアアアアアッ!
パーフェクト秋姉妹が両手を突き出すと同時に、落ち葉の塊が螺旋を描くようにあやに向かって飛んできた!
「う、うわぁあああああ!?」
落ち葉の直撃を食らい、あやは思いっきり吹き飛んでしまう。
そのまま壁に激突し、地面に落下する。
「あ、あやさん!?」
思わず絶叫するもみじ。
「う、うう…。」
ダメージが非常にでかかったらしく、あやは動くこともままならない。
パーフェクト秋姉妹はボロボロのあやにゆっくりと近づいていく。
「たかが胴無しゆっくり風情が、この私たちに楯突こう何て、愚かにも程があるのよ…。」
「うう、体が動かない…。」
「止めよ!」
そういうとパーフェクト秋姉妹はあやを踏み潰さんと片足を上げた!
(ここまで…ですか…もみじ、すみません…。)
あやが自らの死を覚悟したその時だった!
そりゃああああああ!
バキイッ!
天井を突き破って、一匹のゆっくりが飛び降りてきた!
そのゆっくりはパーフェクト秋姉妹の上がって無い方の足に体当たりを繰り出した!
「な、なにいっ!?」
パーフェクト秋姉妹はバランスを崩し、シリモチを付いた!
「え…?い、生きてる…?」
あやは、自分の身に何が起きたのか、理解できない。
「く…!なんだ今のは!あの白犬か!?」
最初、パーフェクト秋姉妹はもみじがやったのかと思い、もみじの方を見た。
しかし、もみじはまだ壁際でグッタリしている、つまりうもみじの仕業ではない。
「い、一体誰だ!?」
「…お初にお目にかかります、あやさんのお父様。」
と、パーフェクト秋姉妹の背後の方で声がした。
「!?誰だ!?」
パーフェクト秋姉妹は振り向いてそう叫ぶ。
_,,.. -‐ァ'"´ ̄`7ー 、.,_
,ト、_/|___>-‐ァ7"´  ̄`ヽ、 `メ、
/ / _,,. --‐- 、
,..-‐‐- ..,,_ __,,...,,_ , '´ ゙ヽ.
/ `ヽi´:::::::::::::!/ _,,..,_ i
/ ,.-‐-、 !::::::::::::::!、__,ノ´::::ヽ ヽ. ノ
ゝ.__,ノ , ':::`ー'::::::::::::::;:::::;:::::::;::::::::i ゙ー´ |
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|/| イ::::::i::::::ハ_!_レヘ:::::! .N Y!:::i::!:ハ |_/|
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∨´| 〈r::::人 'ー=-' ハ::!:::|:::〉 / /
|/| iノ^iソ>-,_ _ 、 イ:::i::/!ハノ /_,/
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「お初にお目にかかります、このたび、娘さんとの結婚の許可を貰いに参ったてゐと申します。」
そこにいたのは、何故か加奈子が付けるポンデリングと千歳飴を背負ったてゐが立っていた。
「・・・な、なんだお前は!?って言うか何を背おってるんだ貴様は!」
パーフェクト秋姉妹はてゐのその姿を見て明らかに脅えている。
「…て、てゐさん、何でそんなものを背負ってるんですか?」
あやも思わずてゐの格好にツッコミを入れる。
「これ?ホントは、結婚式に身につける襦袢とかを付けて行きたかったんだけど
あんな状況ですぐに用意は出来なかったからさ…。
とりあえず倒したゆっくりの中にかなこがいたからそいつの装飾品を引っぺがしてきた。」
てゐはそう答えた。
(…し、信じられない、あれだけの数のゆっくりを一匹で全て倒してここまで来たというのですか!?)
もしそうだと言うのなら、このゆっくりは自分が思っている以上の実力を持っていたという事である。
てゐは驚愕の表情をしているあやを見て、ニヤリと笑っていた。
「ええい!お前もあのゆっくりの仲間か!?ならば先に潰してくれる!」
パーフェクト秋姉妹は物凄い勢いでてゐに殴りかかってきた!
拳はそのままてゐに向かって振り下ろされる!
「…!」
てゐは何と、振り下ろされる拳に向かって突っ込んでいった!
「!?何してるんですかあのゆっくりは!」
「だめ、やられる!」
あやももみじもてゐが拳で潰されると考えた、
しかし、そうはならなかった。
ガシイッ!
「な、何いっ!?」
パーフェクト秋姉妹は驚愕の声を上げる。
何と、てゐは両耳でパーフェクト秋姉妹の拳をがっちりと受け止めたのだ!
「ぬ、ぐぐ…!」
秋姉妹は拳を引っ込めようと力を込める。
しかし、てゐの両耳にがっちりと固められた拳はどうやっても動かすことが出来ない!
「お父さん、娘さんから事情はお聞きしましたね?」
「…え?」
てゐの言葉にパーフェクト秋姉妹は困惑を覚える。
「何処の馬の骨とも解らぬゆっくりと自分のかわいい娘が一晩を過ごし、
その上結婚することになったと来ればそのゆっくりを殴りたいという気持ちは死ぬほど理解できます。」
「!?き、貴様は何を言っているんだ!」
「しかし、こうなってしまった以上、私も一匹のゆっくり!
責任を取って娘さんをゆっくり幸せにして見せます!」
「い、いや!?娘って何!?私は両方とも独身だぞ!?」
てゐの言葉に困惑する秋姉妹。
しかし、てゐは気にせずに言葉を続ける。
「なので、これより私が言うべきことはただ一つ!」
「!?」
パーフェクト秋姉妹の体が、急に大きく持ち上がる!
「義父さん!娘さんを私にくださ~い!」
てゐはそのまま耳でパーフェクト秋姉妹を一本背負いした!
「な、なにいいいいい!?」
ドッガァアアアアアアアン!
パーフェクト秋姉妹は一回転してそのまま頭から地面に突き刺さった!
「よっこいしょ、っと。」
パーフェクト秋姉妹がピクリとも動かなくなったのを確認して、てゐは秋姉妹を掴んでいた耳をゆっくりと離した。
「あ、あの秋姉妹を、一撃で…。」
あやは地面から垂直立ちで埋まっているパーフェクト秋姉妹を見て、呆然としている。
てゐは呆然としているあやの傍に近づいていく。
「さて、とっとと逃げるよ。」
「え?」
「もうすぐこの部屋に、大量のゆっくりがやってくるから。」
「えェ!?それ、どういう事なんですか!?」
「いや~あの数をまともに相手にするなんて馬鹿のやることでしょ?
庭で相手した奴なんて、逃げてまいたに決まってるでしょ。」
フスマの向こうから、ゆっくりが跳ねる音が聞こえてくる。
「さ、そこで転がってるあんたの仲間を回収して、とっとと逃げるよ!」
そう言って、てゐは先ほど自分が開けた天井の穴から部屋を脱出する。
「え、あ、ハイ!」
あやもグッタリしているもみじを背負い上げると、先ほどてゐが天井裏に開けた穴から逃げ出したのであった。
~☆~
なんやかんや会って無事に秋屋敷から逃げ出したてゐ達は、近くの神社の境内に逃げ込んでいた。
「…ふぅ、何とかもみじも助け出せましたし、ボイスレコーダーも無事、
これで、あの悪徳姉妹もおしまいですね。」
あやはボイスレコーダーを片手にそう呟く。
てゐはそんなあやを他所に、何処かで買って来たのか、どんべえを啜っている。
そんなてゐにあやが話しかけてくる。
「…あ、あなたに一つ謝っておくことがあります。」
「ん?」
「実は、私があなたと一晩過ごしたという話は…。」
「嘘だって言うんでしょ?」
「え?」
あやは驚いた顔でてゐの顔を見る。
てゐはそんなあやの顔を見てこう言った、
「あのくらいの嘘を見抜けないんじゃあ、嘘つきなんて名乗れないってね。
まぁ、あんなツッコミどころ満載のごまかしじゃあ、誰だって見破れるとは思うけど。」
「う……。(そりゃあ、かなり無理のある嘘だとは自分でも思ってましたけど・・・。)」
「…まぁ、もうあんな嘘は勘弁して欲しいね、てんこたちの視線が痛かったし。」
「す、すみません…。」
「…まぁ、あんたの料理は上手かったから、悪いことばかりじゃなかったけどね。」
「え?」
てゐはどんべぇを啜り終えると、あやに向かって背を向け、境内から出ていった。
去り際に、こんな言葉を残して。
「…ホントに困った事があったら、いつでもウチを頼りなよ。
無茶なことでない限り、何とかしてあげるからさ。」
そう言って去って行ったてゐの背中をあやは見守っていった。
「…アレだけ酷い目にあっておきながら困ったときは頼りなさいって…
何とも呆れたお人よしですね、あのゆっくり。」
「…まぁ、そんなゆっくりは嫌いじゃないですけどね。」
最後にあやは小さくそう呟いた。
, へ
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, ' '´`ー-'----┘ `ヽ.
/ / _!__ ! , ', '.、
∠.,,_ ,' ´/___ハ /! ,!、 ; ',\
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'、 ! /,!'、(◎):::::::::::::::(◎) ハ!
i. ヽ. V ハ''"::::::::::::::::::::::::::::'!ノ
ハ, )ヘ`ヽゝ、:::::::::::::::::::::::::人|
,' ヽ. _V>ソ`; ー-r='i´/
…そんな二人をジッと見つめるゆっくりが一匹。
「…何ですかあやさん、そんな胡散臭いゆっくりにニヤニヤして…。」
それは、パルパルモード全開で嫉妬をぶちかますもみじであった…。
第八話終わり
- おお、修羅場修羅場 -- 名無しさん (2011-02-05 15:45:21)
最終更新:2011年02月05日 15:45