ゆっくりと人間の関係は遠いようで近いもの、
きっても切れない腐れ縁とはよく言ったものです。
この世界にはゆっくりが住む国のほかに人間が住む国もあります。
勿論、人間とゆっくりの交流だって珍しくない。
…ですが、その交流は決してキレイな物だとは限りません。
…今回、このシリーズで始めて人間が登場します。
今回は彼の目を通して、ゆっくりの生き様を見てみましょう。
おっと、お約束を忘れてました。
この小説は銀魂のパロディです。
でてくるゆっくりにロクな奴がいません。
また、ゆっくりが酷い目に合うシーンが出てきます。
それらが許容できない方は席をお立ちになってください。
OK!と、言う方だけこのままご覧になってください。
てゐ魂第9話「きめぇ丸って何だかエロイよね。」
「ううっ、おぇえええっ…。」
船の上で彼は何度目かのリバースを行っていた。
ただいま、ゆっくりの国に向けて航行中の、定期船「ゆいたにっくマークII」。
…明らかに第二のゆ劇が起こりそうな名前だがそんな事は無く、今日も海上を順調に航海中である。
…船酔いを起こした男を除いては。
「うう、駄目だ、やっぱ船になんて乗るんじゃなかった…。」
ごつい身体に無精髭、無駄に健康的なその男は、顔色を真っ青にしながらそう呟いた。
男は昔から乗り物に乗ったら酷く酔うという体質の持ち主だった。
本当は乗り物になんか乗りたくなかったが、男には乗り物に乗らなければいけない理由があった。
「…あの~、先生、大丈夫ですか?」
グッタリしている男に話しかける胴無しゆっくりが一匹。
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「…むらさか、大丈夫、目的地は近いんだ、あと少しは我慢できるさ。」
男はむらさに向かってそう答える。
「…いや、でもそんな状態でカメラが握れるんですか?」
むらさはそう言って、グッタリしている男に向かって、トレードマークの白い帽子で風を送ってやる。
少し、気分が落ち着いてきた男はこう答えた。
「大丈夫さ、カメラマンはどんな時でもカメラが握れなくちゃ、お飯くいっぱぐれちまうからな。」
「さすが先生!カメラマンの鑑です!」
そう、男の仕事は世界中を飛びまわるカメラマン。
だから、移動手段として、船とかそういった物にはどうしても乗らなくちゃいけない。
…なんでそんなリスクを背負ってまでカメラマンになったのか…それを聞くのは野暮というものだろう。
「…あ、見えてきましたよ!目的地が!」
と、その時むらさが大声でそう叫ぶ。
「何!?」
気持ち悪いのをこらえて、男は顔を上げた。
…遥か向こう側に、無数のビル郡が見える。
パッと見は、自分達が出発した港町と変わりはしない。
しかし、そこが異国であることを主張する特徴が一つ。
ビル郡の中で一際でかい建物。
その天辺には、遠目からでもわかる程巨大なゆっくりの象徴が置かれていた。
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-''":::::::::::::`''> ゆっくりしていってね!!! <
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::::::rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/`7 ,'==─- -─==', i
r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
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`! !/レi' (ヒ_] ヒ_ン レ'i ノ !Y!"" ,___, "" 「 !ノ i |
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「…ついに来たか、ここからが本番だな。」
男は戻しそうになっているのを堪えて、真面目な顔になる。
「ハイ!先生!」
むらさもワクワクが止まらないんだという顔でそう答えた。
~う~☆~
ごちゃ混ぜカオス、
ゆっくりの国の玄関である港地区は正にその表現が似合っている。
ここではゆっくりも人間も関係無しにせわしなく動き、そして移動していく。
「はぁ、凄い人だかりです。」
その人とゆっくりのあまりの多さと流れていく速さに圧倒されて、むらさは思わずそう呟いた。
「圧倒されてる場合じゃないぞ、早い所案内役を探さないとな。」
「ええ、解ってますよ、でもこれだけの人間とゆっくりがいちゃあ、どこに誰が居るのか…。」
「…むらさ、カメラマンにとって大事なことを一つ教えてやる。」
「?何ですか?」
「それは人やゆっくりの特徴を一発で見抜く、観察眼だ…あそこにいる金髪で九本の尻尾を持つゆっくり、そいつが案内役だ。」
男はそういってある地点を指差した。
そこには、確かに男の言った特徴そのままのゆっくりがいた。
「…あ!お客さ~ん!こっちだてんこ~!」
そのゆっくりは男の方を見るなり、大きく尻尾を振ってアピールしてくる。
「いくぞ。」
「あ、はい!」
男とむらさはそのゆっくりの所に向かった。
そのゆっくりは男がやってくると、早速自己紹介を始める。
「今回の取材の案内人をさせていただく、らんだてんこ!よろしくお願いするてんこ!」
「よろしくお願いさせてもらうよ、私はこういうものだ。」
男はそういって名刺を差し出した。
「
月刊「ゆっくりラブ」編集員
「大月 正信」
」
名詞にはこうかかれていた。
「大月さんだてんこね、よろしくだてんこ!」
「その大月さんの助手をさせてもらっているむらさです、よろしくお願いします。」
むらさはそう言って頭をぺこりと下げた。
「むらささんも宜しくだてんこ!」
「…さて、早速だが、この国を案内してくれないか?」
男ー大月はらんにそう言って来る。
すると、らんは難しそうな顔をした。
「…?どうした?」
「…いやぁ、早速案内したいのは山々だけど…。」
「なんだ、何か都合の悪いことでも?」
「実はさっき連絡したお手伝いさんが一向に来ないてんこ、あいつら一体何処をほっつき歩いて…。」
てんこがそう言ったその時だった。
…遠くから、なにやら乗り物の音が聞こえてくる。
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ハ:::::::レヘ::i' rr=-:::::::::::r=;ァハソ:::ハ ! ! △ ∪ i ハ 〈〈 く 人 (::::ノ|・|ヽ:::ヽ、_ /! 7`\ ̄
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「おぃいいいいい!?何でブレーキが利かないんですか!?ちょとこれ、シャレにならないでしょ!」
「てんこちゃん!そっちはアクセル!ブレーキじゃないんだそ~!」
「…ああもう!こんな事ならてんこにスィー運転させるんじゃなかった!」
毎度お馴染み三匹のゆっくりを乗せたスィーがらんと大月達の方へと突っ込んでくる!
「あ、危ない!」
「逃げるてんこ!」
「うわぁああああああああ!」
大月達は慌ててつっこんでくるスィーから避難する!
「おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
バシャ~ン…。
スィーはそのまま波止場へ飛び出して、海へとダイブした。
呆然と沈んでいくスィーを見つける大月達。
「おりゃあっ!」
バシャアッ!
暫くして、両脇にそれぞれてゐとれみりゃを抱えたてんこが水面から飛び出してくる!
てんこは、そのまま一足飛びで波止場へと着地する、
見事な脚力だが何処も可笑しくは無い。
「…お前私が居て助かったな、私がいなかったらお前達溺れてたぞ。」
そう言いながらてんこはてゐとれみりゃを地面に置いた。
「いや、溺れたのはあんたの所為なのは確定的に明らか…。」
「てゐさ~ん、いくら自分が運転できる状態じゃないからって
てんこに運転させるのは間違いなんだど…。」
ぐしょぬれ状態のてゐ達の前にらんが現れた。
「てゐさん!遅い、遅すぎるてんこ!一体何をしていたてんこ。」
「いやぁ、昨日モロに呑みすぎちゃってねぇ、二日酔いが酷くてたまらないの何の…。」
「仕事の前に深酒しすぎた結果がこれ、お前調子こいた結果だよ?」
「…あの、このゆっくり達は一体何なんですか?」
むらさが恐る恐るらんにそう問いかける。
「ああ、このゆっくり達は今回の仕事を手伝ってくれるアシスタントだてんこ!」
「あ、アシスタント…ですか!?」
「・・・随分個性的な連中だが、大丈夫なのか?」
あんな光景を見た所為か、大月が不安を口にする。
そんな大月を見て、てゐが彼の元へと跳ね寄って来る。
「あんたがお客さん?」
「…ああ、そうだが。」
「うちはこの町で万屋を営んでいるてゐ。
今回はそこのゆっくりの依頼を受けてこの取材のアシスタントをする事になったんで、
そコンところよろぐぼぉっ!」
「きゃあっ!?」
いきなりてゐは大月達の前で思いっきりゲロをはいた!
むらさは驚いて一歩後退する。
「てゐさん!?お客さんの前で何してるてんこ!?」
「や、やば、スィーの激しい揺れで二日酔いがぶり返してきた…オボロロロロロロロ。」
「ちょ、そんな道の往来で吐くのはやめててんこ!」
「うわぁ~!誰か箒とちりとり~!あとエチケット袋~!」
「よし!私がカカッと近くの店から借りてくる!」
そう言っててんこが凄い勢いで近くの店に走りこむ。
残されたてゐ達はもうパニック状態だ。
むらさはそんなてゐ達を不安そうに見つめている。
「…先生、こんな調子で取材は上手く行くんですか…?」
むらさは大月に向かってそう問いかけた。
…しかし、大月は答えない。
何だか青い顔をしてジッとしているだけだ。
「…先生?」
むらさが不安そうに大月に近づいたその時。
「…ゲボオッ!」
「きゃあっ!?」
大月もいきなり物凄い勢いでゲロを吐き出した!
むらさは慌てて大月から離れる!
「せ、先生、一体どうしたんですか!?」
「…ス、すまん、実はまだ船酔いの後遺症が残っててな、アイツがゲロったのを見ていたら見事にぶり返したようだ…オボロロロロロロロ…。」
「ちょ、先生までそうなったら私は一体どうすれば良いんですか!?」
遠慮なくリバースしまくるてゐと大月に周りのゆっくり達は混乱するばかりである。
「おい、箒にちり取、それにエチケット袋を貰ってきたわけだが。」
と、そこでてんこが戻ってくる。
…てんこは凄まじい事になっている波止場を見てビックリした顔になる。
「…おいぃ?何だかさっきより酷くなってるようなきがするんだが?」
「…あの、すみません。」
と、むらさがてんこに話しかけてくる。
「なんだ急に話しかけてきたちゆり。」
「いや、ちゆりじゃなくてむらさなんですけど、ってそれよりお願いがあります。」
「なんだ?」
「…エチケット袋、こっちにも分けてくれませんか?」
「9枚で良い。」
…この惨状が収まるまで、暫くの時間を要した。
~☆~
「…ああ、やっと落ち着いてきたよ…。」
「…もう胃の中が空っぽだ…。」
近くの公衆トイレで吐くものを吐いて出てきたてゐと大月はそう呟く。
どっちも、先ほどまで最悪だった顔色がかなり落ち着いてきている。
「てゐさん、お客さんをいきなり最悪の気分にさせないで欲しいてんこ…。」
「ゴメンゴメン。」
「…やっぱりいくら何でもこいつらに助っ人を頼んだのは間違いだったてんこ、
もしお客さんからクレームが付いたららんは間違いなくクビに…うう…。」
「いや、そこでマジ泣きにならないでよ・・・。」
泣きそうならんに対しててゐは申し訳がなさそうに謝っている。
「あの、先生、改めて問いますけど、そんな調子でカメラが握れるんですか?」
「…まぁ、やれるだけはやってみるさ。」
不安げに話しかけてくるむらさに、大月はさっきより逃げ腰気味な発言を返した。
「…と、そう言えばもう一つ聞きたい事がある…なんだ?万屋って?」
大月はてゐ達に向かってそう問いかける。
「まぁ、見ての通りの何でも屋だよ。
人間の世界にもそういうのは居るでしょ?」
「…あぁ、なるほど。」
「今回はこのらんの依頼を受けてあんた達の案内をする事になった訳。」
「まさか、あんた達を向かえる前に他のスタッフが食中毒で全滅なんて思わなかったてんこ…。」
そう言って軽くため息をついたてんこは少しやつれて見えた。
「…さて、今度はあんたに一つ聞きたい事があるんだけど。」
てゐは真剣な顔つきで大月に問いかける。
「…何だ?」
大月が問いかけると、てゐは紙束を取り出した。
「何処に案内して欲しいわけ?おさわりパブ?それともイメクラ?
いや~変わった趣向の人間って結構居るからね~。」
…てゐが取り出した紙束は風俗の割引券だった。
「え?いや、あの…。」
「プリンセスてんこ!」
ドガッ!
「ぐ、ぐはっ…。」
戸惑っている大月の目の前でらんがてゐを高速回転体当たりで吹き飛ばした。
「ちょ!な、何するのさ!」
「あんたこそ何処に案内する気だてんこか!?風俗の勧誘じゃないてんこ!」
「え?そう言う目的じゃないの?この人達。」
「この人達は雑誌の取材に来たんだてんこ!」
そう言っててんこは一冊の雑誌を取り出した。
月刊 ゆっくりラブ
雑誌の表題にはそう書かれていた。
「…何これ?」
てゐはその雑誌のページをめくって見る。
「まりさとアリスの幸せ家族」
「親子ゆっくりのよちよち行列。」
「赤ちゃんゆっくりのしゅーりしゅり・・・。」
「ブハっ!?」
雑誌をある程度読み続けててゐは口から砂を吐き出した!
「のわあっ!?」
「うわぁ!?またてゐさんがリバースしたど~!」
「アレだけ吐いたのにまだ吐くものが残っていたとは…凄いです。」
「…ゴ、ゴメン、雑誌の内容のあまりの甘ったるさに思わず…。」
そんな事を言うてゐの傍でむらさが雑誌を拾い上げる。
「この雑誌は世界が誇るゆっくりラブラブ社がゆっくりの可愛らしさや愛らしさを世に広げるために
世に出している雑誌なのですよ。」
「…ゆっくりラブラブ社…確かゆっくり用グッズを販売している人間の会社だど。」
「そして先生はこの雑誌専属のゆっくり撮影者なんです!」
むらさはそう言って、どや、と言わんばかりの顔になった。
「…つまり、この写真はあそこのおっさんが撮ってるわけ?」
てゐは大月の方を見ながらそうつぶやく。
「…ま、まぁな。」
大月は照れくさそうにそう答える。
てゐは雑誌と大月の顔を交互に見てを見てこう呟いた。
「顔に似合わず、まぁ何とも痛い写真を取るね、あんた。」
「ぐはっ!?」
大月は恥ずかしさで500ポイントのダメージ!
「ちょ!確かに撮っている写真は痛いですけど、先生の写真の腕は確かなんです!!
見てください!この赤ちゃんゆっくりの幸せそうな表情!並の人にはここまで写し切れません!」
むらさはそう言って雑誌に乗っている赤ちゃんゆっくりの写真が載ったページを見せ付ける。
「ちょ!痛い写真をそっちに近づけないで!イタイイタイ!何だか痛さがこっちに移ってきた!
誰か~絆創膏持ってきて~!ゆっくりとか丸ごと一つ包み込める奴!」
てゐは正に痛々しい顔でそう叫ぶのだった。
「…てゐさん、悪ふざけはもうやめて欲しいんだど…。」
れみりゃはてゐとむらさのやり取りを見てため息をついた。
「…とにかく、この人達はこのゆっくりの国に住むゆっくりの愛らしい写真を撮りに来たんだてんこ。」
「こんな所にまでゆっくりの痛い写真を取りに来たわけ?ご苦労さんだねぇ…。」
「…痛い写真でも何でも、被写体の魅力は最大限にまで引き出す、それが私の仕事だ。」
何かもう、今にも逃げ出したい顔をしているが、それでも堪えている辺り、さすがプロだ。
「とにかく、いい加減時間も押してるし、早い所案内するてんこ。」
らんがてゐ達にそう促す。
もう日も傾きかけているのに、てゐ達は波止場から動いていない。
観光に来たと言うのに、随分とトイレで無駄に時間を食ったものだ。
「…で、とりあえず何処に俺たちを案内してくれるんだ?」
大月はてゐ達にそう問いかける。
すると、てゐ達は一斉に黙り込む。
「…そういえば、らんさん、一体この人達を何処に案内するつもりだったんだど?」
「…いや、実は全然決めてなかったてんこ。」
「おいぃ!?そういう事は事前に決めておくべき事じゃないですかねぇ!?」
「しょうがないてんこ!食中毒のゴタゴタでそんなのきめる暇は無かったてんこ!」
「…はぁ、しょうがないねぇ。」
てゐはそう言うと、大月とむらさの傍まで近寄る。
「大月さんだっけ?あんたこの国には可愛らしいゆっくりの写真を撮りに来たんだっけ?」
「ああ、そうだが。」
「…だったら私に任せなさい!」
「…いや、さっきあなた風俗に案内しようとしたじゃないですか、
大丈夫なんですか?」
「大丈夫!これか案内する所はありのままに可愛らしいゆっくりが沢山いるから!」
「…本当か?」
「本当!これは私が保証する!」
てゐは自信満々にそう答えた。
「…案内してくれ。」
「了解!」
大月の言葉にてゐは自信満々にそう答えた。
「てゐさん、結構自信満々だけど…。」
「ああいう時の自信は百パーセント当てにならない。」
れみりゃとてんこはちょっと冷静な目でそう呟いた。
最終更新:2009年10月02日 07:25