何が「昔の自分」だ。酔っ払いめ
職場でついに呼吸ができなくなって卒倒し、当然自分の席が無くなった。
済し崩すように今の部署に移動してから3ヶ月ほど経った時、その新聞の
投書欄を見た。
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夕暮れの土手を、私は疲れた足取りで歩く。ここは幼い頃によく遊んだ
思い出の場所だ。
私は焦っていた。こんな生活がいつまで続くのだろう。しかし、金儲け主義の
企業に身を寄せて、個性を殺して生きていくしかないのか。
夢など捨て去って、大人にならなければならないのか
その時、後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。
「そんな事無いよ」
振り返ると、そこには少年が立っていた。私に語りかけてくれたのは、
幼い頃の私自身だった。
「人の価値を決めるのは、名誉や地位、肩書きだけではないよ。
君は君のままでいればいい。頑張って掴むんだ。君だけの明日を」
数年ぶりに再開した自分自身に、私は元気を分けてもらった。
――――――(東京都・■■■■ 〇〇〇 腹話術師 24歳)
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信じられないかもしれないが、これ、詩でも個人ブログの記事ではなく、
新聞の投書である。しかも天下の〇か〇新聞の読者欄。
ツッコミどころはいくつもある。が、兎に角一つ言うなら、アニメや漫画で
よくあるまあ感動シーンは、現実には再現しても同じ間奏はもてないという事。
現実と空想の区別がつかなくなった大人の見本じゃないか。
腹話術師の平均的な生活がどんなものかは知る由も無いが、24歳にして
「大人になれない」「夢」などと文字にして、新聞にわざわざ投稿する男の人って・・・・・
いや、言うまい。
―――自分も大して変わらない
こんな酔っ払った文章を新聞に投稿するか、しないかの違いかもしれないが、少なくとも
向こうには夢とやらがあるという点で、世間はこの腹話術氏を評価するだろうか?それとも、
一応企業には勤めている私を評価するだろうか?
実際は、もう正社員とはいえなくなっている私の立場だ。ほぼ飼い殺し状態。
だから、この24歳の腹話術師とやらには、どうにも憤りを覚える。
後は、同族嫌悪。
先が見えないのは、コッチも同じ。自分に酔っ払うか、先に怯えるか、実際大した手立てが
ないのは同じだ。
「全く・・・・・」
私も夜道を歩いている。
酷い時には一週間も会社に泊まりっ放しだった頃に比べれば、これでも余裕のある暮らし。
だが・・・・・・
「これじゃあ、あの腹話術師と本当の本当に同じじゃないか」
一人で私は何を言っているのだろう。
行き先は解らない。
時代に対応も何も以前に、私は普通の人の目線に合わせられない。やはり自分に酔っ払い
たくもなる。現実を変な目で見据えて、自分だけは一歩離れた可哀想だけど特別で偉い存在だと
思い込んで不気味な殻を纏う様になる
いやだ・・・・・
「俺も酔っ払いだなんて・・・・・・・・・・」
思わず声に出してしまった。
辺りに人はいないから――――――目頭が熱くなる
「結局同じだ。俺も所詮は・・・・・・・・・・・」
その時だった。
「そんな事無いよ」
こんな事が―――――本当に起こるとは。後ろから、どこか懐かしい声がする。
振り返ると、そこには
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:⊂二⌒ __)::ノ| くゝ'"´ ` ',: :( _⌒二⊃ :
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「人の価値を決めるのは、名誉や地位、肩書きだけではないよ。
君は君のままでいればいい。頑張って掴むんだ。君だけの明日を」
私は、かばんを思わず落としていった。
「誰だお前」
「私は・・・・・・・・?・・・・・・・・わ、私だ」
「いや、誰?」
「幼い頃の君自身だよ」
「そんな裸じゃなかったぞ・・・・・・・・・・どちらかといえば、前の職場の私に近い・・・・・」
そう言えば、この辺りの藪は、ゆっくり地蔵が100体近く立てられているが、中には首の無いものもあると聞く。
何故こんな怖い道を通ってしまったのか。
「元気は出たかい?」
「SofTalkの、あの棒読み声で言われても・・・・・・・・」
裸のどこか病んだ御稲荷さんを見ていると、こちらまで落ち込みそうなので、無視して家路を急ぐ事に。
こんな怪奇現象にあったのは初めてだ。
「いや・・・・・・怪奇現象なんかじゃない。 これは、私の弱さか・・・・・・・・・・」
ついに、幻覚まで見えてしまった。もう、駄目かもしれない
その時だった。
「そんな事無いよ」
こんな事が―――――本当に起こるとは。後ろから、どこか懐かしい声がする。
振り返ると、そこには
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「人の価値を決めるのは、名誉や地位、肩書きだけではないよ。
君は君のままでいればいい。頑張って掴むんだ。君だけの明日を」
この連中の事は詳しくは無いが、言ってしまった。
「名誉も地位もあるでしょう、あんた達」
「おお、怖い怖い」
「いや、だから、誰?」
「今の君自身だよ」
「ちゃんと働いてますよ・・・・」
態度とやる気の悪い二人をを見ていると、こちらまで落ち込みそうなので、無視して家路を急ぐ事に。
こんな怪奇現象にあったのは初めてだ。
「いや・・・・・・怪奇現象なんかじゃない。 これは、私の弱さか・・・・・・・・・・」
ついについに、2回も幻覚まで見えてしまった。もう、駄目かもしれない
その時だった。
「そんな事無いよ」
こんな事が―――――本当に起こるとは。後ろから、どこか懐かしい声がする。
振り返ると、そこには
ノノ
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「人の価値を決めるのは、名誉や地位、肩書きだけではないよ。
君は君のままでいればいい。頑張って掴むんだ。君だけの明日を」
振り返りつつ、私は早足で歩き始めていた。それでもカサカサと一定の距離を保ってついてきた。
「あの・・・・・・本当に誰ですか? 未来の私自身とか言わないでくださいよ?」
「クリスマス キャロルじゃないんだから、それはねーよ。どんな未来さ」
「じゃあ、あなたは一体・・・・」
「幼い頃の君自身だよ」
「それはさっきの裸のおきつね様と被ってます・・・・・・」
謎の生物を見ていると、こちらまで落ち込みそうなので、無視して家路を急ぐ事に。
こんな怪奇現象にあったのは初めてだ。
「いや・・・・・・怪奇現象なんかじゃない。 これは、私の弱さか・・・・・・・・・・」
ついについについに、3回も幻覚まで見えてしまった。もう、駄目かもしれない
その時だった。
「そんな事無いよ」
こんな事が―――――本当に起こるとは。後ろから、どこか懐かしい声がする。
振り返ると、そこには
_,,....,,_ _人人人人人人人人人人人人人人人_
-''":::::::::::::`''> ゆっくりしていってね!!! <
ヽ::::::::::::::::::::: ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
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::::::rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/`7 ,'==─- -─==', i
r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
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`! !/レi' (ヒ_] ヒ_ン レ'i ノ !Y!"" ,___, "" 「 !ノ i |
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( ,ハ ヽ _ン 人! | ||ヽ、 ,イ| ||イ| /
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何故か――――私はこれを待っていたような気がした。
二つの小憎たらしい生首ゆっくりは、 「人の価値を決めるのは、名誉や地位、肩書きだけではないよ。
君は君のままでいればいい。頑張って掴むんだ。君だけの明日を」 を言わなかった。
暗記している自分が怖い。
言っている意味は良く解らないし、正直何の役にも立たない言葉だけど――――
私は、本の少しだけ、悲しくなくなった。
酔いから醒めた時の気持ちよさに近い。何かをまた挑戦しようとしたり、やり直そうとするには、こういう
気分の時がいいんだろう。
「あーこれだよこれ。こういうの待ってたのかもね」
二人は消えた。
私は、しっかりとした足取りで、家路についた。
鬱蒼とした暗い藪の中の道から公道に出たときだった
「そんな事無いよ」
まだ何も言っていないんだけど――――――しかしこんな事が―――――本当に起こるとは。後ろから、
どこか懐かしい声がする。
振り返ると、そこには
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,'´ ,. -‐ァ'" ̄`ヽー 、 `ヽ
ゝ// `ヽ`フ
/ .,' /! /! ! ハ ! ',ゝ
( ! ノ-!‐ノ ! ノ|/ー!、!ノ ,.ゝ
ヘ ,ノレ' rr=-, r=;ァ ir /! ノ
( ノ !/// /// ! ヘ(
) ,.ハ ''" 'ー=-' " !',ヽ( )
)__'__'!トト.、 ,.イ i.ノ、
r'"ヽ Y`⌒ヽ--‐´レ( )
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/ / ゙i=ョ=ョ=ョ=(^ヽ、)
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ゝ-,,,_/ `└‐─‐‐ と" ノイ
「人の価値を決めるのは、名誉や地位、肩書きだけではないよ。
君は君のままでいればいい。頑張って掴むんd
「それは・・・・・・・・・・・・・さっき散々言われたから今更念押ししなくても.。かえって萎える・・・・」
「あらそう。頑張ってね。ウフフフ・・・・・・・・」
この話を、新聞とSF雑誌両方に送ってみたけど、当然新聞には
載りませんでした。
- SF雑誌には載ったんかい!w
繰り返しのギャグお見事です -- 名無しさん (2009-10-31 13:29:23)
- 腹話術師云々が気になってしょうがない -- 名無しさん (2009-10-31 13:30:54)
- 「人の価値は~」の投稿とは別人ですが、何か傲慢な内容の投稿(『100均に並んでる客の顔が、
全員100円均一に見えるぜ』とか)を続けてた腹話術師が昔新聞にいたのです… -- 名無しさん (2009-10-31 13:51:26)
- この話を、新聞とSF雑誌両方に送ってみたけど、当然新聞には
そら載らんさ、長すぎる(オイ)。
しかし、腹話術氏の投稿ってマジで実話?秋葉で通り魔事件を起こした加藤某がPAD長萌だった以上の衝撃と危険性を感じる。
-- 旅するさかな (2009-11-01 12:54:06)
最終更新:2009年11月01日 12:54