てゐ魂第二十話-1

この小説は銀魂のパロディです。

でてくるゆっくりにロクな奴がいませんし、

酷い目に合うゆっくりも出て来ます。

それでも構わないという方はどうぞ。



てゐ魂


第二十話「タコとかイカとかこまけぇ事は気にするな。」


「ウチのたこルカがお世話になったね。感謝するわ。」

                         __,,,...,,,__
                   ___,∧"´:ト-、∧‐ァ::7`>ゝ
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                  .,:'ィiヽ':::_>''"´      ̄  `ヽ!,
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                 ノ ', ∧ /   レ レ  レ′ ミY´(
                ハ V }/  rr=-,      r=;ァ  ミヾ
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                        `゙゙   '`   ゙゙´

たこルカの控え室で出迎えたのは、全身から凄い剛毛が生えた胴無ししずはだった。
「…え~と、何処のラッコですか?」
そのしずはの剛毛っぷりにてゐは思わずそんな質問をしてしまう。
そんなてゐにたわしずははこう返す。

「ラッコじゃ無いわ、私にはたわしずはって立派な名前があるわよ。
 一応、たこルカのマネージメントをしているわ。」

「たわしずははたこルカのお母さんだど、たこルカちゃんが一躍メジャーに躍り出たのも
 彼女の広報活動があってこそだど。」

と、てゐの耳元にそう言ってくるのは、れみりゃである。
たこルカを名まで見れるかもと、てゐに無理矢理ついてきたのだ。
「…なんでたわしからタコが生まれるのさ?」
てゐはちょっと首をかしげた。


「…あ、それでたこルカはどうなったの?」

てゐはたわしずはにそう問いかける。

「とりあえず、またステージに立つわよ。
 …ま、あんなことがあった後だから、最初から最後に回して、
 出番が来るまでここで休むことにしたんだけど。」

「あれま、てっきりステージに立つのをやめるのかと思ったんだけど。」

「折角のメジャー舞台よ、この機会を逃したらいけないわ。」

「…で、その本人は、何処に行ったのさ?」

「ああ、スタッフから弁当貰ってくるって、ここには居ないわよ。」

「え~、ちょっとガッカリ…間近でたこルカちゃんを見れるなんて滅多にないのにな~。」

今、この場にたこルカがいないときいて、落ち込むれみりゃ。

「…れみりゃ、アンタ、真のファンならアイドルに直接押しかけるのは駄目だとか言ってなかった?」

「私のログには何もないど~。」

「…てんこじゃあるまいし、そんな事いってごまかさないでよ、全く…。」

そう言っててゐが溜息をつく。
と、そこでてゐがある事を思い出す。

「…あ、そうだ、ぜひたこルカちゃんに会わせたいゆっくりが居るんだけどさ。」

「アラ、誰かしら?」

「あ、あれ?確かに一緒に控え室に入ったと思うんだけど…お~い。」

てゐは大声で呼びながら、部屋中を探し始める。
結論から言うと、目的に人物はすぐに見つかった…。

               ,.,> │
               ,._イ ´  │
            ,.イ/    │
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        .iーイ  ,   lヽ N │
         / イ、ノ\| レ' r│
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           レ~`ヽ 、_  __|
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    /  へ  \__ノ ノ  ∧ |
  _ノ   / _/⌒\ _ _/   / ノ |
<_ イ<_ノ⌒\__ノ<_|

「…あんた、一体何をしてるのさ。」

ロッカーから半分はみ出るように隠れているいかす丸を見て、てゐは呆れながらツッコミを入れた。
「い、いえ、いざ直接会える機会を手に入れると、妙に緊張してしまいまして…。」

「良いからロッカーから出る。」

てゐはいかす丸の足の一つを咥えると、そのまま引っ張ってロッカーからいかす丸を引きずり出した。
いかす丸とたわしずはの視線が合う。

「…お前は…。」

そう呟くたわしずは、明らかに始めて会いました、と言った雰囲気ではない。
「…あれ?何この異様な空気。」
空気が険悪な物に変わったのを感じ取って、てゐはその耳をピンと立てた。

「…あんた、今更どの面下げて戻ってきたんだい。」
たわしずははいかす丸に向かってそう言った。

「…たわしさん、たこルカにこの花束を渡してくれませんか?」

いかす丸はそう言うとたわしずはに公園で積んできた花を差し出した。


「…。」

ペシッ。

次の瞬間、たわしずははその花束を叩き落した。

「!?」

突然の行動にいかす丸は勿論、見ていたてゐとれみりゃまでもが驚きの声を上げる
そして、こうなるとどう対処したら良いのか解らず、誰もが呆然とたわしずはの行動を見守るのみ。

「悪いわね、貴方のその花束を受け取るわけにはいかないのよ。」

たわしずはは、いかす丸にそう言い返した。
そして、今度はてゐ達に向かってこうお願いした。

「ごめんなさい、少し席を外してもらえませんか?…彼と話し合いたい事があるのです。」

「え?何で急に?」

「たこルカが来たらこっちからお伝えしますから!さあ!」

そう言ってたわしずはは無理矢理てゐ達を楽屋から追い出してしまった。
そして、楽屋の扉が閉まり、鍵まで掛けられる。

「あれま、何て用心深さよっぽど他人に聞かれたくない話みたいだね。」


「こ、これかられみりゃ達はどうすれば良いんだど?」

「とりあえず客席に戻れば良いんじゃ無い?たこルカが来たらまた呼ぶっていってるんだし。」

「う~でもあの二人の関係がちょっと気になるんだど…。」

「人のプライベートに首つっこまないの、さ、客席に戻るよ!」

てゐがそう言って客席に向かおうとしたその時だった。


カタカタ、カタ、カタカタタ…。


変な音がてゐの耳に入った。

「…?」

音が聞こえたてゐは思わず立ち止まる。
「…?てゐさん?急に立ち止まってどうしちゃったんだど?」
れみりゃには妙な音が聞こえていないらしく、いきなりてゐが立ち止まった理由が理解できない。

「いや、なんか変な音が…。」

いいながらてゐは神経を研ぎ澄ませて音の出所を探る。
…音はたこルカの楽屋の隣にある楽屋から聞こえてきているようだ。

「出所はここみたいだねえ…。」

てゐはそう言ってその楽屋の扉を見上げる。
扉にはこうかかれていた。


『モリヤステッパーズ様』


~☆~


たこルカと違ってモリヤステッパーズは三人一組で楽屋を割り当てられていた。
しかし、今楽屋にいるゆっくりは一人だけ。
そのゆっくりは部屋の隅に座ってノートパソコンを開いていた。

「おぉ、撮れてる撮れてる、秋葉原で大枚はたいた甲斐があったよ。」

そのノートパソコンのモニターには幾つものプラウザが開かれていた。
あるプラウザには楽屋でスクワットしているゆっくりの姿が。
他のプラウザにはご飯をむ~しゃむ~しゃしているゆっくりの姿が。
さらにはちょっとここでが書けないような事をしているゆっくりまで映されていた。

「さ~て、後は実用的なシーンだけを編集してDVDに焼いちゃえば…。」

「そのパソコンに映っている光景は何?」

「これ?他の楽屋の隠し撮り光景だよ。
 撮影した映像をリアルタイムでこのノートパソコンに送ってくれるカメラを他の楽屋に仕掛けて、
 アイドルゆっくりのプライベートを撮影したんだよ。」

「そんなもん撮ってどうするのさ?」

「アイドル盗撮ビデオは結構需要あるんだよ~。
 ワザワザその為にモリヤステッパーズのオークションを受けたんだから。
 これでちゃんと元は取らないとね。」

「ふ~ん…。」

…と、そこまで喋ってそのゆっくりは気がついた、
私は誰と話をしてるんだ?




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  イ:::/::::::/:::イヽ>,: ∠._   ノ  |=| 、!⊃ |,r-r-|  ⊂!i レ :
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「…いい加減懲りろよ諏訪小憎。」

てゐはそんな疑問が頭に浮かんだ諏訪小像に対してそう耳元で呟いた。
「うわああああっ!?アンタ、いつの間に!?」
諏訪小憎は驚いてパソコンと背中に隠しながらてゐから離れた。

「…アンタねぇ、スタジオで見た時も何処かで見た顔だなーって思ったけど
 まさか盗撮ビデオの為に芸能界にもぐりこむなんてねぇ…。」

てゐは呆れ顔で諏訪小僧の方を見る。

「アンタも一本どう?今ならブルーレイ版もつけるけど。」

「いらんっ!」

てゐはそう言って両耳で諏訪小憎のほっぺたを左右に引っ張った。
「痛い痛い痛い痛い。」
諏訪小憎は涙目でそう言うのであった。

「…ホントに懲りないゆっくりだど…。」

れみりゃはそんな光景を見て思わずそう呟いた。
…と、そのれみりゃの視界にノートパソコンが映る。

「…アイドルたちの盗撮動画ねぇ…。」

ここに映っているのはプライベート全開でゆっくりしているアイドルゆっくり達の姿だ。
恐らく、諏訪小憎は自分の楽屋以外の全ての楽屋に隠しカメラを仕掛けたのだろう。
当然、彼女の楽屋にも…。

(…も、もしかしたらたこルカちゃんのプライベートも…?)

そこまで考えてれみりゃは首を振る。

今何を考えたれみりゃ!?
他人のプライベートを暴くなんて誇り高きスカーレットがする事では無いわ!
いや、しかし、でも、ううむ…。

            ,r== 、
           丶ニニノ
           ,. -───-- 、_                           ▲     ▲
  ♪   rー-、,.'" えんじぇうー  `ヽ、. ゚ .゚ ゚  。゚ + 。.            ┃ -──--┃ 、_
   \ _」::::::i  _ゝへ__rへ__ ノ__   `l                   rー-、,.'" ┃      ┃ `ヽ、.
     く::::::::::`i / ゝ-'‐' ̄ ̄`ヽ、_ト-、__rイ、゚。゚+゚`, o。。.゚*。゚       _」::::::i  _ゝへ__rへ__ ノ__   `l
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   //,r ´ ィ"レ´ ⌒ ,___, ⌒  `!  i  ハ / _三ヲtヽ\ 。   .r'´ノ\::::::::ゝイ,.イノヽ! レ ヽ,_`ヽ7ヽ___>、_ ノ ハ } \
 //ノムシ'/ ! /// ヽ_ ノ /// i  ハ  〈〈  rtヽヽ丶\)   /ヽ/ r'´ ィ"レ´rr=-,::::::::::::r=;ァ  !  i  ハ /  }! i ヽ
,ィムン‐' '"~´ノ /l           ハノ i  ヽ`ー'-'‐'^´゚ 。.゚  / / ハ ハ/ !  ''  ̄      ̄ " i  ハ  〈〈{_   ノ  }  _」
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       ノ レ^ゝi>.、.,_____,,...ィ´//レ'ヽハヘノ゚ 。.゚ 。 +。。      〈,.ヘ ヽ、        〈 i  ハ  i  〉
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…れみりゃの心の中で天使と悪魔が戦いを続ける。
そして、結果、勝利したのは…。


「…ちょっとだけなら…お天道様も許してくれるど~♪」


悪魔が僅差で勝ったようです。
と、言うわけでれみりゃはノートパソコンを勝手に弄り始めた。
「…う~…これ、どうやって操作すれば良いんだど?」
とは言え、パソコンはあまり触ったことがないれみりゃ、
パソコンの操作に一苦労だ。
「ええい!適当の操作しちゃえ!」
れみりゃはそう言うと、羽を伸ばしてキーボードを適当に弄り始める。

「…やっぱりどうしても会わせてはくれないのですか?」

…と、あるモニターが映されたかと思うと、パソコンから声が聞こえてきた。

「…!今の声は…!」

その声にてゐが反応する。
てゐはノートパソコンの前に立っているれみりゃを押しのけてノートパソコンのモニターを覗き込む。

「今更貴方があの子にあわせる顔なんて無いでしょ。」

モニターに移っていたのはたこルカの楽屋の中の様子。
そこには内緒の密談中のたこルカと、いかす丸の姿が映されていた。

「フフ、結局何だかんだいってキミも人様のプライベートに今日にあるんだね。」

てゐの背後から諏訪小憎が不敵な笑みを浮かべてそう言った。

「余計なこと言うと、今度はスペルカードを浴びせるよ。」

「て、手厳しい事言うね、君。」

てゐがそう返してきたので思わずビビってしまう諏訪小憎であった。

「…成る程、たこルカの楽屋に仕掛けた隠しカメラがリアルタイムで画像を映しているわけね。」

てゐはモニターを見て、この動画の正体を分析する。
いかす丸とたわしずはの会話はまだ続いていた。


「しかし、折角あの子に会う為にワザワザ脱走したのに…。」

「そんな事しないでよ!むしろここに来た事で私達に迷惑を掛けるなんて考えなかったの!?」

「あの子がメジャーな舞台に立つと聞いたら居ても立っても居られなくなって…。」

「とにかく、もう私達の前に立たないで!貴方のやっている事がどれだけとんでもない事か、わからない訳じゃ無いでしょ!?」


「うわお、これ修羅場?修羅場だよね、明らかに!」

「これからどうなっちゃうの!?」

てゐの後で諏訪小憎とれみりゃが叫び続ける。

「…外野、少し黙ってて。」

てゐはイラッとしながらそう言い放った。
「おぉ、仮にも旦那である私に酷い言い草では無いですか。」
モニターには、そう言ってたわしずはに近づくいかす丸の姿が。

           __,,,...,,,__
    ___,∧"´:ト-、∧‐ァ::7`>ゝ
     >,ゝ/ヽ、ノ::V:::_」∠::::7ァ_>ァ、
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  ハ V }/  rr=-,      r=;ァ  ミヾ
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     '"〃ハ,.,         ,.ハミヾ
          `゙゙   '`   ゙゙´

「近寄らないで!」

ドンッ!

たわしずはは近寄ってきたいかす丸をそのまま力任せに突き飛ばした。
いかす丸はそのままカメラの方へと吹き飛ばされる。


ドガアッ!


そんなデカイ音がした瞬間、一瞬モニターに砂が走る。
「げ、もしかしてあいつカメラにぶつかった!?」
一瞬焦るてゐだったが、モニターはすぐに正常に戻った。
そして、その直後、モニターに移ったのは・・・。」

   r─r━━_
   | |── '                  r─r━━ア
                             | |──ノ







               │_=_│



モニターいっぱいのきめぇ顔であった。

「うわあっ!?」

どアップで写ったきめぇ顔を見て思わず引いてしまったてゐ達。

「…おぉ。痛い痛い…ん?」

と、そこでいかす丸の視線が動く。
いかす丸の視線は明らかにカメラを目詰めている視線だ。

「げ、これはマズイんじゃ…。」

てゐの不安は的中した。

「…?どうしたのよ、そんなところをじっと見つめて。」

「いえ、ここにカメラが仕掛けられているのですが…。」

そのやり取りを聞いて、てゐ達の顔が真っ青になった。

「ヤバ!盗撮の事がばれちゃった…。」

そう言う諏訪小憎は明らかに動揺を隠せていない。

「お、落ち着くんだど!まだカメラが見つかっただけだから…。」

てゐがそう言ってフォローしようとするが…。

「…ゴメン、あのカメラには思いっきり私の名前が書いてある。」

諏訪小憎はそう言ってゴメンなさいと謝った。

「何でそんなことしちゃったど!?」

「だ、だって無くしたら困るじゃん…。」

意外と抜けている諏訪小憎であった。
そうこうしている内にモニターの向こうでも新たな展開があった。


「カメラに名前が書いてありますねえ~と…諏訪小憎?」

「何ですって?ちょっと見せなさい!…この名前…この字、間違いないわ、
 このカメラを仕掛けたのはモリヤステッパーズのあのかえるの帽子のゆっくりよ!」

「おぉ、身内がまさか盗撮犯だとは驚き驚き。」

「確か今あの子は隣の楽屋で休憩していたはずよ…。」

「なら、彼に事の真偽を確かめにいきましょう。」


と、いう事で諏訪小憎のいるこの楽屋へと向かい始めた二匹のゆっくり。
元々隣の楽屋に移動するだけなので、すぐに胴無しゆっくりが跳ねながら近づいてくる音と
まるでイカがズリズリとこっちにはいずり寄って来るような音が聞こえてくる。


「ちょ!こっちに近づいてくるよ!」

「マズイど!こんなところ見つかったら警察を呼ばれて現行犯逮捕だど!」

「ど、どうしよう!?どうしよう!?」


このヤバイ状況に慌て始めるれみりゃと諏訪小憎。
しかし、ピンチという状況下でもてゐは妙に落ち着いている。

「てゐさん、こんなときに妙に落ち着いている場合かど!?」

「アンタこそ落ち着きなよれみりゃ、こういう時にもっとも有効な切り抜け方があるんだよ。
 とりあえず、被害を最小に抑える方法がね。」

「てゐさんそれはホントだど!?」

「だったら早速実行して頂戴!」

「言われなくても解ってるよ。」


てゐはそう言って楽屋のドアの方へと向かう。


ドンッ!


「諏訪小憎!アンタ一体何やってるのよ!」

それと同時にたわしずはといかす丸がなだれ込んできた。


~30分後~


         , \, -─-- 、.,_
        ,.i (ヒ_]  ∪,___, `ヽ,. /
       ./    ∪  ヽ _ン   ヒ_ン )        _,,,, --──-- ,,,__
     _,./__,,. -‐ ''"´ ̄ ̄`"'' .、`ヽ,ー:'      , '´           `ヽ、,ヘ
  ,. ''"´ /´ / ;'     !     ;`ヽ,ヽ、   くヽ_r'_ヽ 、 ,、_) ヽ ,______r'´イ
  '.、  .;'   ', i ´ハ_ _ハ  ノ メ !,!ヽ,.ヽ.  ['、イ_,-イ、ゝ,_, ,イ_,-,_ゝヽ、__
    `Y    i Vレ'7;__,.!/ V !__ハ ハノ., ',ノ';   ,! 、!-|ーLλ_L!ー|-i、| 〉',ヽイ
   _ノ     i=ハ ==    == ハ.ノi   i    i_ノL.イrr=-,:::::::::::r=;ァ!_イ  | |
   `.>'    iX|///  ,___,///ノ!レノ       ヽ! |.i' 'ー'    'ー ' ' | ! |  |
  ∠._   ノ |=ヽ、   ヽ _ン  ノ!i レ        | ! ', " 'ー=ョ'  "",! ! .|  |
      ,.ヘ,) | |>,、 _____, ,イ| |    l|i|! !|il!  |  |`' 、   , .イノ i .|   .|
        ' | !>;`ヽ、「、,ハ.| |     i||!|i|!i|!,,  || .| !r,  ̄y´、,/ /入、 . |

「さあ、盗撮の現行犯で逮捕よ!ホラ、キリキリ歩く!」

刑事パチェに無理矢理連れられて諏訪小憎は楽屋から外に出るところだった。
諏訪小憎は楽屋を出る直前、てゐの方をきりっと睨みつけた。


「…いい性格してるよ、あんた!」

諏訪小憎はてゐに向かって恨み節をはきつけた。
しかし、当のてゐは特に意に介さない。

「えェ、本当に驚きました、何かやってるようで気になってモニターを覗き込んでみたら、
 まさかあんな事をやっているなんてねぇ…。」

てゐは事情聴取してくるこぁに大して物凄い勢いで証言をでっち上げている。
これこそがてゐの思いついた事。
元々実行犯は諏訪小憎一人、てゐは持ち前の話術を駆使して
全ての罪を諏訪小憎に押し付けたのだ。

「畜生!今度脱走したときは覚えていろよ!たまにコイツを見て私の事を思い出せ!」

諏訪小憎は帽子の下に隠していたDVDをてゐに向かって投げつける。
てゐは難なくそれを受け止めた。
そして諏訪小憎は刑事ぱちぇに連行されて楽屋から出て行くのであった。

「捨て台詞ならぬ、捨てDVDを置いて消えていったど。」

「ちなみにDVDのタイトルは?」

「えーと、なんかコスプレ例大祭って書いてあるど。」

「…何か嫌な予感しかしないからゴミ箱に捨てて。」

「了解したど。」そう言ってれみりゃはゴミ箱にそのDVDを捨てるのであった。
気を取り直して、てゐはいかす丸のほうを見る。
ちなみに、一緒に来たたわしずはは警察に事情聴取されている。
って言うか、いかす丸は先ほどまで隠れていた、こいつが一応脱走犯だという事を忘れてはいけない。

「…あなた、やっぱり私達の会話を聞いてしまったのですか。」

「…アハハ、別に聞こうとは思ってなかったんだけどね。」

「ならば、私とたこルカがどういう関係かも想像ついているのでしょう。」

「さっきたこルカとぶつかったときに、足の千切れた箇所を二箇所発見した。
 最初はぶつかった弾みで千切れたのかと思ったけど、それは違った。
 あれはワザと契ったんだ、足の数を合わせるためにね。」

タコの足の数は八本、そしてイカの足の数は十本。
たこルカはその矛盾を隠すために足を二本契ってしまったのだ。
…自分がタコではなく、イカである事を隠すために。

「そ、そんな、たこルカは実はたこルカではなく、イカルカだったという事なのかど!?」

その事実にショックを受けているれみりゃ。
そんなれみりゃを無視しててゐは話を進めていく。
「足の数を減らすだけじゃなくてワザワザ足を全部赤く染めるなんて、
 中々素晴らしい変身ブリだね。」

「…ええ、あれを見た時私は感じましたよ。
 娘は、アイドルの頂点に立つ為に茨の道を歩いていると。」

それを聞いてれみりゃがまた驚きの表情になった。

「えぇ~!?このイカさんたこルカの父親!?」

「…あんた、気づいてなかったの?」
会話を聞いていれば何となく想像できることだろうに、
そう考えててゐは呆れ顔になった。

「…こんな親ですからね、たこルカが子供の頃には色々苦労させてしまいましたよ。
 それでも、あの子は私の前では一度もつらそうな顔をしませんでした。」

いかす丸は遠くを見るような目で…そんな目をしているのか本当は解らないが、
とにかくいかす丸は遠くを見つめながらそう言った。

「ある時、あの子がおもちゃのマイクを持って下手な歌を歌っていましてね…。」

~☆~

「おぉ、たこルカは何を歌っているのですか。」

「知らないの?初音ミクの新曲だよ!メルトって言うの!」

「おぉ、初音ミクですか、歌が酷すぎて全然解りませんでしたよ。」

「私、大きくなったら初音ミクみたいなアイドルになる!」

「あなたが?無理ですよ、あなた音痴ですし。」

「む~!なるもん!絶対テレビに出るようなアイドルになって
 お父さんを見返してやる!」

「はっはっは、もしそこまで凄いアイドルになったら
 私は一杯の花束を送ってあげますよ。」

「ホント?お父さん!約束だからね!」

~☆~


「以上、私が仕事先でいざこざを起こして上司を刺してしまい
 恐ろしくなって家に逃げ帰ってしまったその夜の会話です。」

「その一言が余計だど!って言うか家に帰るな!自首しろ!」

れみりゃがいかす丸にツッコミを入れる。

「ゆっくり、突然の事が起こると、思考が停止して訳の解らない行動をとってしまうもんなのですよ。」

「コイツが恐ろしい存在に見えてきたど…。」

れみりゃは背筋に何か、冷たいものを感じた。

「…で、殺人の罪で投獄されてたけど、娘が本当にアイドルデビューしてテレビに出る事を知り、
 いても立っても居られず脱走したわけね。」

「その通り、約束は守らなくてはいけませんからね、
 特に娘の約束は。」

「てい。」

ベシッ!

てゐはいかす丸の顔面にうさ耳チョップを繰り出した。

「やめて下さい、痛いではないですか。」

いかす丸は顔面にアザを作りながらそう言った。

「アンタは本物の馬鹿だって事がわかったよ、
 約束だかなんだか知らないけど、脱走して人質とって花壇荒らして、あんたそれで娘に会う資格があると思ってるの?」

「う…それは今さっき家内にも言われました。」

「解ってるんでしょ?今のアンタがたこルカに会ったって迷惑以外の何者でもない、
 会うのなら責めて出所して、まっとうな仕事についてからにしなよ、
 それで始めて、娘に合わす顔ができるってもんでしょ。」

「…凄いど、あのいい加減なてゐさんがまっとうな事言ってるど…。」

れみりゃは何故か感動していた。

「…その言葉の意味は今はあえて深く聞かないことにするよ。」

「…その位解っていますよ、今の自分に娘にあう資格は無いって。」

いかす丸は俯き加減にそう呟く。
「…でも、私は父親なんです。」
そして、ゆっくりと顔を上げる。

「娘の心配をして何が悪いんですか、娘の事を憂いて何が悪いんですか、
 今まで父親らしい事なんて全くしていないんです、少しくらい父親らしいことして何が悪いんですか。」

いかす丸はいつもと変わらぬ表情でそう言った。
でも、てゐ達には解る。
いかす丸は真剣な気持ちでこんな事を行っているのだと。


「た、大変だてんこ~!」


と、その時楽屋に誰かが入ってきた。
「…すみません、ウチではシリアスブレイカーはお断りしているんですが…。」

           .∧     ○、,_
     ○、.,_ /  ',   / `ヽ.`ヽ.
    /´ `ヽ)!へ,/V/、    ':,_,ノト 、
    ,'   _[_`ゝ-‐''´ヽ、/     !/ ,ハ   ,|
   ,'  ´             |レへ,!  / !
   /_.7-‐ァ' ̄!二7´ ̄7ヽ、/`ヽ._!    !/ |
 r' ̄7-‐'"´ ̄   ̄`ヽ、_!`ヽ、___!    |、/ヽ|
 !ァ'´   , _!_ ,   ,ハ-‐!  、`ヽ、___7、  ,ハ   |
;'  ,' /´ゝ、!. / ァ'/ノハ/! ヽ. ヽ ! /   /
!  ! ;' .(ヒ_] V   ヒ_ン ) ! /!  ハ!/   /
`ヽ! !'""  ,___,   "" .レ' ,' ./ |‐--‐<
  レ'7    ヽ _ン     .,' レ' ./    く\
  〈  ヽ、        ,イ / ハ  〉   <  `>
   `ヽ./!>.,、.,___ ,. イ;'/、/_!/>、,__,.>'´


てゐは入ってきたゆっくり…らんに向かってそう言った。

「シリアスブレイカーって、ゆっくりは存在自体がシリアスブレイカーだと思うてんこ。」

「アンタは更にシリアスブレイカー中のシリアスブレイカーだという事だよ。」

「って、シリアスがどうだとかそんな事話に来たんじゃないてんこ!
 たこルカちゃんが…たこルカちゃんが大変なことになっているてんこ!」

「え!?」

それを聞いててゐ達は思わず驚きの顔を上げた。


~☆~

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最終更新:2011年01月29日 15:31