毎月七日はルーミアの日!だから即興で書いてみたんだ。
東方キャラ登場とか注意なのです。
ゆっくりSS 『常闇の妖怪はノロケないで自爆する』
博麗神社は、何の用事もないのにちょくちょく妖怪が遊びに来ることに定評がある、
神社として致命的な構造的問題があるとしか思えない神社である。
「お茶がうまい」
「まったく、それ飲んだら帰りなさいよねー」
『帰れ』と言いつつ、要求したわけでもないのにお茶を汲んでくれるこの巫女にしても、
妖怪退治の象徴として色々構造的問題があるように思える。
そして、そういう人妖分け隔てなく接する巫女の大らかな性格に、惹き付けられる妖怪はけっこう多い。
現在、博麗神社の縁側にて、おいしそうにお茶を啜っている彼女、常闇の妖怪ルーミアもその一人だった。
「わー、ゆっくりれいむだー。おいでおいで」
「露骨にスルーしてんじゃないわよ」
関係ないが、そんな大らかな巫女が経営している神社に惹き付けられるゆっくりもけっこう多い。
とくにその神社の巫女と良く似た顔のゆっくりが多く集っているようで、
軒下裏や木の上、茂みの中など、探せばけっこうな数のゆっくりが見つかることにも定評がある場所である。
「ゆっくりは何時触ったって、柔らかいよねー、ふにふに」
『ゆっくりしていってね!』
自分の膝にゆっくりれいむを乗せて、ルーミアは愉しそうにその頬を突っついた。
ゆっくりの方も嫌がる素振りなく、わきゃーと気持ち良さそうに突っつかれるがままにされている。
「分かった、ゆっくりしていくよ!」
「帰れって言ったでしょ」
呆れるように冷たく突き放す巫女の言い分に、
ルーミアとゆっくりれいむは口を揃えて「えー」と抗議の感情を示す。
『ゆっくりしていこうよー』「ゆっくりさせてよー」
「腹立つから口を揃えないで」
「一刻ぐらいでいいからさー、別に良いじゃん」『ゆっくりしよー』
「まったく‥、今の言葉を忘れないように。長居するんじゃないわよ」
「よっしゃー」『ゆっくりー♪』
暫しの滞在の許可が出たので、ルーミアとゆっくりはまるで仲の良い姉妹のように顔を綻ばせる。
嬉しそうに笑い合う二人の顔を見て、巫女の方もやれやれと溜息を付きつつも、口を緩めて目を細めた。
「ゆっくりの感触って良いよねー、餅肌って言うのかなー」
『饅頭の身としてはその言われ方は誠に遺憾ではあるね』
「あんたって随分ゆっくりのことが好きなのねー」
「いやだって、れいむってカワイイじゃん」
『いやー、照れるね』
ゆっくりの頭を撫でて嬉しそうにに笑いながら、ルーミアは言葉を続ける。
「うん、れいむは可愛い。だから大好き。
頭のリボンが可愛いから好き。紅白の色合いが綺麗で好き。
れいむの真っ直ぐな目が好き。その瞳で私のことずっと見つめてもらえたらどんなに素敵だろうって考えちゃう。
こうやってぎゅっと抱きしめたいくらい大好き。
暇な時はいつもれいむのこと考えちゃうくらい好き。
れいむといつも一緒に居たいって思っちゃうくらい好き。
れいむと一緒に顔洗って、れいむと一緒にご飯食べて、れいむと一緒にお散歩して、
れいむと一緒にお風呂入って、れいむと一緒にお布団入って寝たりして、
そんな生活ができたらどんなに素敵か考えちゃうくらい好き」
「またノロケ? うちに来るたびにそんなこと言ってるわよね、あんた」
ルーミアの『好き』という言葉の連呼に若干呆れつつ、霊夢もまたルーミアの膝もとのゆっくりれいむを撫でてやる。
ゆっくりはまた気持ち良さそうに頬を染めながらプルプルと震えた。
「いやさ、たまにこういうこと、とてつもなく口に出したくなるんだよ。分からないかな」
「分からないわよ」
『いやぁ、モテモテだね。困っちゃうなぁ~』
まぁいいや、と巫女は置いてあった湯のみ二つを持って立ち上がる。
「お茶、お代わり持ってくるわね」
「あ、悪いね。ありがとう」『ゆっくり持ってきてねー』
「はいはい」と気のない返事をしつつ、巫女は神社の廊下の奥へと消える。
縁側には、ルーミアとゆっくりれいむだけが残された。
『ねぇ、ルーミア』
れいむが、きょとんとした顔で聞く。
「なにー?」
ルーミアもまた、きょとんとした笑顔で尋ね返す。
『わたしをダシにして、自分の気持ちを誤魔化しながら表に出すのは、そろそろやめて欲しいかも』
ルーミアの、その笑顔が崩れた。
霊夢が再びお茶を運んできた時、ルーミアの姿は影も形もなくなっていた。
「あれ?ルーミアは?」
『帰っちゃった‥、いや』
霊夢の問いに、その場に一人だけ残ったゆっくりれいむが言葉を選んで言い直す。
『逃げた』
「そうなの?お茶が勿体無いじゃない。しょうがない、あんた飲んで良いわよ」
『ありがと‥』
やれやれと呆れるような乾いた笑みを浮かべながら、ゆっくりれいむはありがたくお茶を受け取った。
そして、心の中で呟き思う。
(あんな風に『ゆっくり』と『れいむ』で言い分けられたら、そりゃ気付くって。
ていうか、この敷地に居るわたしの仲間全員気付いてるし。それに‥)
ゆっくりれいむは顔を上げて、自分と似た顔をした巫女さんを眺める。
「なによ?」
『いや、別に』
「そう? しかしそっか、ルーミア帰っちゃったか」
巫女は、意地悪そうに口を歪めて、思い出すようにクスクスと笑った。
「あの子の『ノロケ話』、もうちょっと聞きたかったのにねぇ」
(それに‥、こいつ性格悪すぎだし‥)
「何か言った?」
『何も言ってないよー』
ゆっくりれいむは、複雑そうな顔で大きな溜息を零した。
とっくのとうに想いを見透かされている常闇の妖怪を、これ以上ない程に哀れに思いながら。
~fin~
ルーミアは霊夢の前じゃちょっと猫被ってる設定かも。 byかぐもこジャスティス
- 霊夢×ルーミアですね、わかりm(ry -- 名無しさん (2010-06-09 19:33:43)
最終更新:2010年06月09日 19:33