てゐ魂第二十七話-2



うーぱっくとゆっくりは切っても切れない不思議な縁がある。
荷物の運搬、ゆっくりの乗り物、コウノトリとしての役目…その用途は実に多岐に渡る。
そして、胴付きゆっくり達の生み出したテクノロジーはうーぱっくに新たな可能性を生み出した。


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それこそが、長距離移動用うーぱっく、う~戦艦。
見た目は戦艦の船首にデカイ段ボール箱が付いていると言うふざけているとしか思えないデザインだが、
ゆっくり達が使う乗り物の仲では最大級といってもいいのがこの戦艦である。

「まりさ!この便のお客さんは全員う~戦艦に乗り込んだのかしら?」

その巨大なう~戦艦の下で、パチュリーが整備員のまりさにそう問いかけていた。

「ああ、全員乗り込んだはずだぜ、後はれいむがアレを持って来れば…。」

「お待たせ~!」

と、今度は整備員れいむが頭の上に何かを乗せてまりさとパチュリーの元へとやってきた。

「おぉ、待っていたぜ!」

「これが無いと何時までたっても出発できないからね。」

「これって案外重いよね…ふう、どっこいしょ。」


作業員れいむはそう言って頭の上に乗せていたものをまりさ達の前に置いた。


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┃┃宜しく ┃┃
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それは、何の変哲も無いデスクトップ型のパソコンであった。

「よ~し、それじゃあケーブルをうー戦艦に繋いで。」

「ゆっくり了解したぜ!」

作業員まりさは、パソコンから伸びているUSBケーブルをうー戦艦に繋ぐ、
ケーブルがつながった事を確認すると、パチュリーはパソコンを起動した。

「う~戦艦、パソコンにダウンロード開始!」

そう言いながらパチュリーがパソコンを操作すると、モニターにダウンロード画面が映し出された。
それと同時に、う~戦艦は謎の光に包まれる。
作業員まりさとれいむは緊張しながらパチュリーの様子を見守っている。


「50%…100%…う~戦艦!転送!」


パチュリーはパソコンのキーボードのエンターキーを押した!


バシュウウウン!


すると、う~戦艦は光の粒子に変換されて、パソコンの中に吸い込まれていった。
アレだけ存在感のあったうー戦艦の姿は、もう何処にも見えなくなっていた。

「おぉ~!」

「やったねー成功だね!」

作業員まりさとれいむは嬉しさのあまり、思わず飛び跳ねる。

「ふう、何時もこの作業が一番疲れるわね。」

緊張から開放されたパチュリーはまるで風船の空気が抜けるように全身の力を抜いていくのであった。



ゆっくり達は、陸、海、空、そのどれでもない新たな道を見つけ出した。
それはインターネット、電子の道である。
現時点では無機質とゆっくりしか転送できないと言う問題はあるものの、
他のどんなルートよりも早く、そして安全にゆっくりや物を送ることが出来るようになった。
それは、ゆっくり達の文明を更に飛躍的に進歩させた3大テクノロジーの一つである。

…ちなみに残りの二つは「たいやきの量産化」と「綿パチ味のうまい棒」である。


そして、その新たな道をうー戦艦は何時もの笑顔でう~う~と進んでいく。

「うわぁ、何だかあちこちチカチカして、目に優しくなさそうな空間だね。」

「正に、電子の海とはこういう事をいうんだな。」

バカゆっくり3匹を乗せて。

「…てゐさん、てんこちゃん、イナカもの丸出しな構図はやめるんだど…。」

窓に顔を貼り付けて外の様子を見ているてゐとてんこを、れみりゃは無理矢理引っ張ってもとの座席に戻した。
無理矢理元の位置に戻されたことで、てんこは非常に不服な表情になる。

「おいぃ?乗り物に乗っているときは外の景色を楽しむのが旅行の醍醐味という名台詞を知らないのかよ。」

「あんなみっともない格好で外の景色を見るんじゃないど。」

「そうは言ってもあの窓が邪魔で外の景色が見にくい、見えにくい!
 この船の人に頼んであの窓を外してもらってもいいですか?」

「そんな事したらお前取り返しのつかないことになっちゃうど!」

「お~お、やっぱり子供は単純だねぇ、たかが旅行であんなにはしゃいで…。」

「てゐさん!?あんたも窓に張り付いていたよね!イナカ者丸出しで!」

万屋御一行がシートの上でそんなやり取りを繰り広げていたときだった。

「うわぁああああああああ!?」

てゐ達の後ろの席から叫び声が聞こえてきた。

「ちょ、一体何なのさ。」

驚いててゐ達は後ろを振り向いてみる。

  .   .       ,_ .  /7   「l   /'.7
`<ヽ,  「:l    // ヽ, |:l   _/"ニニン'フ    .,ィつry
 丶,`:-': '-..,「:| ,└''"´ ̄^`ヾご/ヽ、ノ:://:ン.  //フ_
    ̄ ̄ヾ/´  、、   ヽ   ヽ/ノ:ノィ斗、/// /ゥ
       ノ lヽ  j /、lヽ  ト、  .'l.>‐ .::: /`ハ / / / / ラ
     h'´ r'"イ .ノ\| .r=ァ レ'{ }l彡" rヽ / / / /∠っ,
     o,'ヽ.,l .r=-       >l11`o' :ノ ) ,'))入,,/r,.´./^:~^ヽヽヾ、_  ._,,,,,_  ,/)
  /゛_,.,,ニ_ ヽ'、  ー=‐'    人ルィ / ノ))))) },/ヽ'/,,-~l-、_ヽj\ィ,, ヒン,,,, !-/ノ,
 ," r′ レ'ヽゝ .、     ノ.:ミ三::,/ ,/爻彡"=ニフ/ ,(,,l':i'' l^/’;;- 、、,/∠ニ=,,-"´~,゚ ゙
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 ',  `      .彡:: .:`,..:.::.:.:.: ::ミ ´ !/‐'''''~~ν -,t'"i/:ノ_ノ,ノ    ~i=─"ニ"="="ェ
 .ヽ  、  . /,,ヽ:::::.:():::. ::::.::::ミ.i´ ./:::::::::/:::::`"‐‐+ノ/フ、_`__′ ~ヽ,ノ''''` ''    ̄
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   ``'¬ー'''" |メ!川!,ハ'i ヽ、,,,,,√/~^ヽ:::::::::::::::::::〈  \ノ~`ゝ-"/" .r=ァヽ
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         ノ   ;,  ,'   ト"ン     ヾt‐''~:::(,         "、_,_',ノ
        /     |   |   ``、〉     ,!','i'''ヽヽ
       ∠    |   ノ    `、   ノ^ ノ:、,,, :::>
       _ノ=´レV`,i- 厶ス /`v`〉  / _/ i,ヽ./
     //´^ /  ノ  《レ' i " `iノ    ̄'‐"ヾレ'
     `'ー-^ー'´    `ー'ー'´


「おぉ、狭い狭い、トイレに行くのも一苦労です。」

「ば、バケモノだー!バケモノがでたー!」

そこにあったのは完全に通路につっかえている状態のきめら丸を見て悲鳴を上げまくるゆっくり達の姿だった。

「……。」

てゐ達は、どうリアクションしたらいいか解らなかった。

「…だから言ったんだど、きめら丸をここに連れてくるのは無茶だって。」

れみりゃが呆れた表情でそうツッコミを入れた。


「ちょっと!誰世きめら丸なんか機内に乗せた奴は!」


と、そう言いながら胴付きパチュリーが怒りながらきめら丸の元へと向かっていく。
格好がいつものネグリジェではなく、CAの衣装であることから、恐らくこの船のCAを勤めているのであろう。

「あ~ちょっとごめんなさいよ。」

そのCAパチュリーの目の前にてゐが立ちふさがる。
「て、てゐさん?何をする気だど?」
てゐがCAパチュリーの目の前に現れたのを見て、れみりゃは言い知れない不安に襲われる。

「ムキュ?あなた誰よ、もしかしてきめら丸を持ち込んだのはあなた?
 だったら今すぐこいつと一緒にこの船から下りてもらうけど?」

そう言ってズンと近寄ってくるCAパチュリー。
てゐは特に混乱することも無く、こう言って来る。

「いやいやいや、そもそもアンタはこのきめら丸を生き物と思っているのかい?」

「…は?それってどういう事?」

「こいつはきめら丸に良く似ているが、よく出来た収納鞄さ。」

「か、鞄!?」

CAパチュリーは驚きの表情できめら丸を見る。
…そりゃそうだろう、喋って動く鞄なんて見たことが無い。
(て、てゐさん!それは無茶にも程があるんだど!)
そして、れみりゃも驚きの表情でそんな事を考えていた。
そりゃそうだろう、生き物を指差して『これは鞄です』何て嘘をつくゆっくりなんて始めて見ただろうから。

「早々、声に反応して動く最新型の収納鞄さ。
 きめら丸、これしまっておいて。」

てゐはそう言って耳で掴んだ書類のような紙束をきめら丸の顔に突きつけた。

「……。」

きめら丸は暫しその紙束を見つめた後、その紙束をバクン!と口の中に飲み込んだ。
…紙束を持っていたてゐごと。

「ムキュ!?」

CAパチュリーは目の前でゆっくりが食われたことに驚きを隠せない。
きめら丸の口の中で、凄い勢いで何かが暴れまわったかと思っていたら…突然、きめら丸は何かを吐き出した。
それは、歯型がついて涎塗れのてゐであった。

「ね、見てのとおり、ただの鞄でしょ?」

「…あ、あの、大丈夫ですか?何かヌトヌトした液体に塗れているんだけど…。」

不安に満ちた表情でCAパチュリーはそう問いかけた。

「お気になさらず、中でジュースの口が開いていただけですから。」

てゐは笑いながらそう答える。
「…流石てゐさん、きめら丸に食われるのは慣れっこなのだどね。」
そう言いながられみりゃが思い返すのは、たまに万屋に行くとお目にかかる、
寝惚けたきめら丸に丸呑みにされているてゐを必死になって助けるてんこと言う光景だった。

「…ホントにただの鞄…鞄なの…ね。」

CAパチュリーは何とも納得できない表情でそうブツブツ呟いた。
そんなパチュリーに向かっててゐはこう問いかける。

「こんな所に置いていたら通行の邪魔ですよね、とりあえず、何処に運んでおけばいいですか?」

「え?…じゃあ、貨物室にでも置いておいてよ。」

「そっか、じゃあてんこ、これ運んでおいて。」

てゐはてんこの方を向いてそう言ってくる。

        く \{ i } _. -――‐- 、   /}
         ,ゝ、_ヽ∠::::::::_:::::::::, -v⌒iヽY⌒ゝ
       ∠/::::-:::= ―-- _::(_{__{   /ヽiノ
        (´::::::/: : : : : : : : :`: ー‐`ーく::::::::ヽ
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           ∨ { '.rr=-,:::::::::r=;ァ/: l: : |
          ヽハ、" ̄      ̄"}:l :/i: : :
          //_,-、ヽ 'ー=ョ  ノ{:l { :l : : ヽ
         /´,イ { { つ` ーr ´∠ヾ:ヾ; : : : :\
      , : ´: : : {、ヽゝ'´  ̄ ̄ ̄  } iノハ : : : : : 丶
    /: イ:/: : /`T{ {、{ {7ーr――' l : : :}: : : : :`丶\
   {: / /: :{: :i {: : ,ゞ 「`!7|::::::|    /: : :iハ: : : :ヽ : ヾ、:ヽ
   V {: : :iヽ!ノ:/:.:.:/|:::| !::::::l`¨   {/ー_'__: : : } : : } )ノ
     ノ: :ハ{ ̄{:./ }|::::! l!::::::l!     }´___   }i: ハ: :/ ´
_. -―´-´ ⊥__ヾ イ |::::l、|_⊥,ィェ=くー<   ノイ j/
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 ̄「 ̄`l\:::` ー-  ___|: : : |/:://7´          \
`ヽ ̄`} ̄ ̄]>-、--_l : : : !7 ̄7ー'           >┐
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\ く⌒丶. ____二._|: : : : |ー 7´} /ニ丶.       /、/ ソ
   ` ̄{  i  {- 、ノ!: : : : |⌒ ヘ ヽ'  (__ /> 、__,/、}ヽ }
   /   `¨ 7´   |: : : : :|  { ヽ    V(___,}、 リ/

…てんこのほうはと言うと、微妙に不機嫌な表情になっていた。
(おいぃ、人の大事なパートナーを鞄扱いとか、いくら何でもひどすぐるでしょ…。)
CAパチュリーに聞こえない程度の音量でてゐにはなしかけてくる。
てゐも小声でてんこにこう話しかけた。

(電脳空間に放り出されるよりマシだと思いなよ、さ、運んで運んで。)

(汚いな、流石忍者、汚い。)

悪態をつきながら、てんこはきめら丸を連れてCAパチュリーの案内で貨物室の方へと運ばれていく。
途中、出入り口にやっぱり使えていたが、扉を壊して無理やり中にはいっていった。

「さて、これで少しは静かになったことだし、ちょっと休んでいくとしますか。」

てゐはそう言って、シートに座り込んで、グースカ眠り始めた。

「ちょ、てゐさん!…ハァ、仕方ないなぁ…。」

れみりゃはその様子を見て、どうしようかと思ったが、とりあえず毛布をかけて後は放置しておくことにした。
特にやる事もなくなったれみりゃは、窓から外の様子をジーッと眺める。
窓の外には、無数のウィンドウや光が高速で流れていると言う非現実的な光景が見える。

「…ネット回線を解してハワイ旅行かぁ…これも科学の進化って奴なのかどねぇ…。」

れみりゃはそう思いながらゆっくりと深い眠りへと落ちていった。


~☆~


さて、前述したかもしれないが、もう一回言っておこう。
ネット回線を介した移動手段はゆっくり達が発見した独特の移動手段だ。
その特徴とは陸、海、空の3つのルートに比べ、遥かに移動手段が短くて済むこと、
そして、安全性も遥かに上であることだ。
基本的に電脳の道には自然災害というものが無い、嵐や台風の心配もなく旅行者たちは安全な旅をすることが出来るのだ。


…さて、ここは人間の国。
その国の何処かにあるマンション。
そのマンションの何処かにある、くらーい部屋の中。


「…へッへッへ、ようやく見つけたぜ。」


そのマンションの一室で一人、パソコンのモニター越しに電脳空間を移動中のうー戦艦を見つめている男がいた。


「やっと俺の目的が果たせる…首を洗っていやがれ、るーみあ…!」


そう呟く、男の口は、禍々しく曲がっていた。


…前述したとおり、電脳の道は非常に安全な道だ。
何者かの手によって、電脳の道そのものに、危険の種でもまかれない限りは。




続く

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    さすがAA -- 名無しさん (2011-02-02 16:59:32)
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最終更新:2011年02月02日 16:59