~☆~
気絶していた大月を覚醒させたのは、鼻をくすぐる香ばしい香りだった。
「う、うう…。」
目を覚ますと、そこは巨大な洞窟の中。
周りを見回してみると、れみりゃとむらさが地面に転がされていた。
どっちも気絶しているだけで、外傷は見受けられない。
「…ここは…?それに、さっきから鼻をくすぐるこの妙に香ばしい匂いは…?」
大月は立ち上がって匂いの元をたどってみる。
洞窟の奥の曲がり角の方に、明かりが見える。
匂いはどうやらそこから漂っているように見えた。
大月が洞窟の奥へと向かい、その曲がり角を曲がってみると。
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「ほう、このしいたけは極上品ですな。旨い旨い。」
「おい!何だよこのゆっくり、何でまりさの何分の一も小さいのに、まりさの何倍もの量のご飯が食えるんだぜ!?」
「まぁまぁ落ち着いて、ここは好きなだけ食ってもいいぜ、と言ったあんたが悪いってことで…。」
「冗談じゃないぜ!このままじゃあまりさの向こう一週間分の食料がなくなっちまうぜ!」
てゐとてんこと巨大なまりさがキノコ鍋を囲んでそんなやり取りを繰り広げている光景が目に入った。
「………。」
大月は呆然としてしまったが、とりあえず。
パシャ。
反射的にカメラを取り出して、その光景を撮影してしまった。
さすが月刊「ゆっくりラブ」の専属カメラマン、この手のゆっくり達の和む光景のシャッターチャンスは逃さない。
「…ん?何か今、写真に撮られたような…。」
てゐたカメラのシャッター音に気づいて大月の方へと振り向いく。
「…あ、あんた起きたの。」
てゐは大月の姿を見て、率直な感想を漏らした。
「おぉ、目を覚ましたのか!良かったぜ!何か帽子から取り出したらみんなグッタリしていたからな。」
巨大まりさは大月の姿を見てそんな感想を漏らす。
「いきなりあんなところに放り込まれて走り回られたら全員がグロッキーになるのは当然の事、
事前に聴かれていればこちらも心の準備ができないんですがねぇ。」
「それはすまなかったぜ、あの時はとにかくピグ・れいむから離れなくちゃあいけないとしか考えていなかったからな。」
滅茶苦茶不満を漏らすてんこに対して、巨大まりさはすまなかった、と謝るのであった。
「う、うわああああ!てゐさん!てんこちゃん!何処に消えたんだど!?」
「先生の姿も見えませんよ!?って言うかここ何処なんですか~!?」
その時、れみりゃとむらさの声が洞窟の曲がり角の方から聞こえてきた。
「…あ、あいつらも起きたみたいだねぇ。てんこ、こっちに呼んできて。」
「了解した。」
てんこはそう言うと、れみりゃ達を呼びに行くために立ち上がった。
~☆~
「うわぁ…。」
「あの時見たでかいまりさは、幻覚じゃなかったんですね…。」
れみりゃとむらさは目の前に居る巨大まりさを見てそんな事を呟いた。
「ほら、お前達もまりさが見つけてきた厳選キノコ鍋を食べるんだぜ!…ただし、そこのゆっくりよりは謙虚で頼む。」
「お前何言ってるんだ、俺は何時だって謙虚なんですわ、お?」
凄みを利かせて来るてんこを無視してドス・まりさはキノコ鍋を進めてくる。
「じゃあ遠慮なくいただくんだど!」
進められてれみりゃ達はキノコ鍋をガツガツ食べ始めた。
そんな仲、大月はじーっと巨大まりさを見つめていた。
「…カメラマンを初めてまさか、この年でドス・まりさに出会うなんてな…。」
「あれ?あんたドス・まりさを知ってるんだ?」
大月の呟きにてゐが反応する。
「ん?やっぱりお前も知ってるのか?」
「そう言うあんたも知ってるみたいだねぇ。」
てゐと大月はお互いに顔を見合わせてこう言った。
「ゆっくり界の守護神、
ドス・まりさの事を。』
「ゆっくり界の嫌われ者、
………。
「…あれ?」今度はお互いに首をかしげた。
…何か、お互いにドス・まりさの事は知ってるみたいだが知っている情報にずれを感じている。
「ちょっと待って、人間の世界ではあのゆっくりって私らの守護者って事になってるの?」
「俺は嫌われ者なんて事実初めて聞いたぞ、ドス・まりさと言うのはその巨体と圧倒的な力で
ゆっくりの群れを守る長みたいな役割じゃなかったのか?
若い頃読んだ本じゃあそう書かれていたぞ。」
「いやいや、逆だって、その強すぎる力の所為で迫害されて山に追いやられたのが
ドス・まりさを初めとした巨大ゆっくりなんだよ。」
「…その情報、どっちも正しい情報だぜ。」
お互い言い争っていると、ドス・まりさがそう言ってきた。
「てゐさん、これを見るんだど。」
れみりゃがそう言って差し出したのは、「アウトドアに役立つ動物図鑑・ゆっくりの国編」だった。
ページを開くと、そこにはドス・まりさの事が書かれてあった。
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【ドス・まりさ】危険レベル特A
非常に珍しい巨大ゆっくりの中でも比較的ポピュラーな種族。
象にも匹敵するその巨大さもさることながら、見た目に似合わぬ俊敏さ、
スペルカード無しでマスタースパークが打てるなど
戦闘能力も他のゆっくりより秀でている
かつてはゆっくりの群れの長として君臨していたこともあったが。
ゆっくりの文明の発達と共に、通常サイズのゆっくり達から疎まれるようになり。
やがて、共生は不可能だと判断すると、巨大なゆっくり達はゆっくりの里から離れた
深い山奥で暮らすようになった。
もし、どこかで巨大ゆっくりに出会ったとしても近づいたりしてはいけない。
彼らに悪意はない、が何かの弾みでうっかり踏み潰されたり
常識はずれの弾幕の流れ弾を受けてしまうかもしれないからだ。
「…なるほど、昔は守護神だったが、今は嫌われ者、と言うわけか。」
大月はその図鑑を読んで納得したようだ。
「時代の流れと共に、まりさ達のような巨大なゆっくりは必要とされなくなっていった。
まぁ、何処にでもある話だぜ。」
ドス・まりさはそう言ってキノコ鍋の残りをがーっと口の中に流しいれた。
鍋を空っぽにした所で今度はてゐが話しかけてくる。
「…ところでさ、図鑑を見るかぎり、あんたって本当はここよりもっと山奥に住んでいるみたいだねぇ、
こんな普通にゆっくりが暮らせるくらい町に近い山で一体何をしに来たのさ?」
すると、まりさはこう答えた。
「…お前、さっき変な顔が頭に生えた馬鹿でかいれいむと戦っただろ。」
// ヽ,
,.└''"´ ̄ ̄ `ヽ、
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ノ , lヽ j /、lヽ ト、_,,.',
r'´ r'"イ .ノ\| .レ r=;ァ'レ' { }
{ !、 l rr=- / `'''l.>‐ .、
レヽ.,ト' ー=‐' / l 、,,_,,ノ
{ ,}' ', /ヘ, /レ' ,/ >‐、
.7'´レ1 ヽ 人ル'レ' 'i、_ ノ
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/ _, -‐ ' ̄ \ _ ノ| ヽ
i r‐' ヽ ヽ/
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|/ ノ レ ー─--------───一' ノ レ' レ' レ'
それを聞いててゐ達の脳裏によぎったのはあの巨大れいむであった。
「そうだね、何か様子がおかしかったけどあれがどうしたの?」
その問いかけにドス・まりさは真剣な目つきでこう答えた。
「…まりさはあいつを倒しに来た、放っておくと、あいつはこの山どころかお前たちの町まで滅ぼしてしまう危険性があるから、な。」
続く
- 面白いAAの中に脈々とこの世界の世知辛い筋みたいなものが見え隠れしてますな
何となくてゐ魂の要素を改めて感じたところで引き
続きが楽しみです -- 名無しさん (2010-10-20 22:27:11)
- どす・まりさってやつ微妙にスレの流れとシンクロした立場でちょっと切ない
ビグ・れいむは元ネタのビグ・ラングからすると今回のように頭のうえに
もう一体ゆっくりがいた方がそれっぽいかもしれませんね -- 名無しさん (2010-10-23 19:07:08)
- 総発スレにおけるドスまりさの立場そのものですね・・・ -- 名無しさん (2011-02-03 17:09:11)
最終更新:2011年02月03日 18:03