※ゆっくりを野生動物として扱われるのを不快に感じる方
※捕食種設定を不快に感じる方
※ゆっくりの戦闘シーンを不快に感じる方
※酷い目に遭ってしまうゆっくりがいるのを不快に感じる方
※素晴らしい小説を求めている方
は、この小説に合いません。
申し訳ありませんが、ゆっくりお引き返しください。
それでも良ければどうぞ
戦いと呼ぶにはあまりにも一方的だった。
ふらんはミリィの全身の体当たりを受け、大木にその体をぶつける。
しかし、体勢を立て直すことも許されない。
その次の瞬間、ふらんはミリィの右手によって地面に叩き落とされる。
「ゆへぇっ!」
たまらず悲鳴と餡子が口から出る。
「ゆゆゆ…」
一瞬ふらんは気絶しそうになる。
しかし、その戦闘本能のおかげか、ふらんの瞳は無意識のままに敵の位置を探す。
「ゆ…」
ふらんが上空を見上げる。
そしてあまりの驚きで固まってしまった。
そこには…釣り上がった目、むき出しになった牙、燃え盛るような深紅の瞳があった。
憤怒の表情をしたミリィだった。
ミリィのゆっくり冒険記 第五話
ミリィはふらんをその深紅の瞳で見据えたまま、高度を下げる。
地面に着陸するや否や、ミリィは右手を空中に掲げる。
ミリィの右手が紅く光る。
その直後、その手には1メートル以上の長さもある紅い槍が握られていた。
そして、槍を振り回しながら墜落したふらん目掛けて真っ直ぐ走る!
ふらんは慌てて空中に飛ぼうと翼を広げる。
しかし、間に合わない。
ふらんの右の翼と紅い槍が重なった。
餡子が飛び散る。
「ゆぎゃあああああああああああああ!!!!!!」
ふらんの咆哮と共に虹色の翼が千切れる。
ふらんは咄嗟に左に飛ぼうとしたものの、右の翼が根元から槍に巻き込まれてしまった。
ふらんの生命力ならば一日でも経てばこの翼も治るだろうが、それまでは飛ぶこともできないだろう。
そして、飛ぶことが出来ないふらんの機動力はゆっくりまりさ等と変わらない。
勝負は決したのだ。
ふらんの翼が千切れるのと同時に、餡子がミリィの顔に飛び散った。
それと同時に、ミリィの顔に変化が生じる。
「ん…?ミリィはなにをしているのぉ…?」
先ほどまでの釣り上がった目が、むき出しになった牙が、燃え盛るような深紅の瞳が、徐々に元の汚れを知らないような顔に戻っていく。
「うぁ…ふりゃん…?」
ミリィの視界に、片方の翼が千切れたふらんの姿が映る。
ミリィは右手に違和感を感じた。
自分の右手を見る。
紅い槍はまだ消えていない。
それを見た時、ミリィの顔が一気に青ざめた。
「うぁ…?ミリィが…ふりゃんを…?…」
ミリィが震えだした。
冷や汗が止まらない。
震えはどんどん大きくなっていく。
「うあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
ミリィは叫び声を挙げると同時に、そのまま倒れてしまった。
普段のミリィは臆病な性格だ。
我に返ったミリィにとって、目の前の現実は精神的に耐えきれるものではなかったのだ。
ふらんには何が起きたのかわからない。
目の前の姉にそのまま止めを刺されると思っていたら、その姉が突然倒れたのだ。
その光景に一瞬混乱してしまう。
しかし、さすが捕食種と言うべきなのか、これは逃げるチャンスだという判断を素早く下し、ぽよんとぽよんと跳ねながら逃走する。
後には茫然としたままの子まりさ、そしてうつ伏せに倒れたままのミリィが残された。
ミリィが目を覚ました時、すでに辺りは
夕暮れになっていた。
「うぁ…?」
ミリィは上体を起こし周りを見回す。
少し離れた場所に何かがいる。
それは先ほど自分がふらんから庇った子まりさだった。
「う~♪」
それを見てミリィは子まりさが健在であることに安心する。
この子まりさがここいるということは、自分はこの子をふらんから守れたということだ!
ミリィの中で達成感が溢れてくる。
どのように守ったのかは全く覚えていなかったが。
ミリィの本能は記憶の忘却を選んだ。
先程の戦闘はの記憶は非常に重い負担となると、本能は判断した。
あの紅い槍はミリィにとってとてもゆっくり出来ないものだったから。
子まりさは、ミリィが起きた事に気がついたようだ。
ミリィのいる方に近づいてくる。
下を向いているので表情は読み取れないが、震えているようだった。
ミリィはそのような子まりさに何かあったのか、と心配になってしまう。
「う~?どこかいたいのぉ…?」
ミリィが心配そうに声を掛けると同時に、子まりさが顔を上げた。
輝くような笑顔だった。
「かっこうよかったんだぜ!!ふらんをやっつけちゃったんだぜ!!」
「う?うぁ?」
子まりさの予想外な反応にミリィは戸惑うことしかできなかった。
ミリィは困っていた。
「まりさもあんなやりさんをだしてふらんをやっつけたいんだぜ!」
この子まりさが何を言っているのかよくわからなかったからだ。
ミリィは先程の出来事を全く覚えていない。
ミリィは子まりさが派手に餡子を出しながら吹っ飛ばされるとこまでは…と思い出したところで、慌てて子まりさに問いかける。
「あ、あんこさんはだいじょーぶだったのぉ?」
その問いに、子まりさは笑いながら返事をする。
「ゆっ!だいじょうぶだぜ!くささんがくっしょんになってくれたんだぜ!」
ゆっくりは元が饅頭の為、非常に痛みに弱いのだが、再生能力は非常に高い。
れみりゃ種やふらん種には劣るが、基本種の再生能力も人間とは比べようもないほどだ。
少々の傷ならば短時間で治る。
ミリィが子まりさを手にとって一通り体(顔?)を見てみる。
「きゃ~、はずかしいんだぜ~♪」
子まりさが顔を赤くしながら何かを言っているが気にしない。
外傷は所々残ってはいるもののもう餡子は出ていないようだった。
この子まりさが言うように、思っていたより軽症だったようだ。
「う~…よかったぞぉ…」
それを見て、ミリィは安心したように溜息をつく。
ぐるるるるぅぅぅぅぅ
そしてそれに合わせるかのようにミリィのお腹が鳴き声をあげた。
「「む~しゃむ~しゃ、しあわせなんだぞぉ~(だぜ~)」」
2匹は仲良く食事にすることにした。
あまあまの木の実さんにあまあまの花の蜜さんは2匹にとってとてもゆっくり出来るものだった。
お腹一杯になり、手を合わせて
「ごちそうさまなんだぞぉ~♪」
をすると同時にミリィは地面に寝転がる。
一方、子まりさは空を見上げていた。
しばしの間、2匹ともそのままの状態でいたが、やがて子まりさが口を開いた。
「ゆっ…おとーさん…おかーさん…」
ミリィは仰向けに寝ている為、子まりさの顔は見えない。
だが、声からも子まりさが泣いているということはわかった。
子まりさも両親が食べられてしまったという現実を忘れたかった。
しかし、そうなると自分の隣に両親がいないという現実と矛盾してしまう。
故に、子まりさはその現実を忘れることが出来ずにいた。
ミリィはやるせない気持ちになる。
子まりさの両親を食べたれみりゃの近くには自分もいたのだ。
何故止められなかったか。
いや、胴なしれみりゃの言っていたあまあまというものが何なのか何故わからなかったのか。
今更どうしようもないことだが、それでもミリィは悔いていた。
自分のせいで子まりさがゆっくり出来なくなってしまった、そう思っていた。
自分はこの子まりさをどうすればゆっくりさせられるかわからない。
しかし、この子まりさを放っておくことは出来なかった。
だから起き上がり、子まりさの顔を正面に見据えて言った。
「う~…ミリィはこーまかんにすんでるんだぞぉ~♪そこはちゅんりーもぉ♪さくやもぉ♪おねーさんもぉ♪た~くさんた~くさんいてたくさんゆっくりできるんだぞぉ~♪いっしょにこないこない~?」
その言葉は子まりさには衝撃的だった。
今回のお出掛けの目的であった狩りのやり方も両親から教わることが出来なかった。
狩りのやり方がわからない子まりさ一匹では生きていくことなど不可能であろう。
さらに、この子まりさはまだ親に依存している年頃の自立出来ていないゆっくりだ。
子供のゆっくりが一匹で生きていける程この世界は甘くないということは子まりさにもわかる。
先程のふらんの出来事の件で痛いほど痛感させられたのだ。
そして、目の前のれみりゃはゆっくり出来るれみりゃだ。
二回も助けてもらった子まりさはミリィに完全な信頼を寄せていた。
だから、子まりさもミリィの目を見据えて言った。
「こーまかんでゆっくりしていくんだぜ!」
その返事にミリィも顔を綻ばせて
「う~♪う~♪ゆっくりしていくんだぞぉ~♪」
ここに、ミリィに新しい友達が出来た。
「うぁ♪そうだぞぉ~♪まりさにもおなまえをつけるんだぞぉ~♪」
子まりさはミリィが何を言っているのかわからなかった。
自分の名前はまりさではないのだろうか。
「ゆっ…?まりさはまりさだぜ?まりさがおなまえさんなんだぜ?」
「う~…ミリィにもむずかしいことはよくわかんないけど…」
自信なさげなミリィだが、思い出すようにゆっくりと語り出した。
「ミリィのミリィっておなまえはおねーさんがつけてくれたんだぞぉ~。ミリィはミリィっておなまえがないとさくややおねーさんはミリィとまんまぁのことをよびにくくなるらしいぞぉ~…」
「ゆっ…?れみりゃはれみりゃだぜ?」
子まりさにはますますわからない。
「う~…ミリィもまんまぁもれみりゃだぞぉ~…。でもミリィたちにはわかっても、さくややおねーさんにはわからないらしいぞぉ~…それに…」
ミリィは笑いながら
「おなまえっていうのはとってもゆっくりできるぞぉ~♪」
と続けた。
子まりさにはミリィの説明は良くわからなかったが、名前と言うのがゆっくりできるというのはよくわかった。
ゆっくりにとって、『ゆっくり出来るから』という理由は最大の説得力を持つ。
ゆっくりにとっては、ゆっくりすることが生きて行く上で最大の目的となるのだから。
「ゆっ!まりさもゆっくりしたいんだぜ!まりさもおなまえさんがほしいんだぜ!」
子まりさはその言葉だけで納得をしてしまった。
勿論、目の前のれみりゃが信用できる…という前提だろうが。
「う~…まりさまりさまりさ…う~…うぁ♪」
ミリィはしばらく考え込んでいたが、何か思いついたようだ。
「マーサ♪がいいぞぉ~♪とってもゆっくりできるぞぉ~♪」
「ゆっ!マーサ!?とってもゆっくりできるおなまえさんなんだぜ!」
非常に嬉しそうな2匹。
安直な名前だとかそういう事はどうでも良いようだ。
「きょうからまりさはマーサなんだぜ!よろしくなんだぜ!」
「う~♪う~♪ミリィはミリィだぞぉ~♪よろしくなんだぞぉ~♪」
改めて挨拶を交わす2匹。
そして締めは、
「「ゆっくりしていくんだぞぉ~♪(いくんだぜ!)」
友達となった2匹は歩きだす。
森の出口がどこにあるかもわからないまま。
後書き
ミリィの説明の下手さはデフォです。
また、安直な名前だということも気にしないで頂けたら幸いです。
最終更新:2011年09月01日 15:14