前回のあらすじ
ホテルにやってきた大月はほぼ全裸で部屋を閉め出される羽目になった。
「おい!ムラサ!起きろ!起きてくれー!」
大月は必死の形相で部屋のドアを叩いた。
とにかく今の大月に出来ることは大騒ぎして部屋の中にいるむらさを起こす事。
渡されたカードキーがカードキーじゃなかった今、大月が部屋に入るには
部屋の中にいるむらさの力を借りるしかないのだから。
「…Zzzz…先生…あと五分…ムニャムニャ。」
しかし、ベッドの上で寝ているむらさは深い眠りに落ちている。
後五分とか言っているが絶対に五分で起きることは無いだろう。
やがて、大月は半ば諦め状態で床の上にへたり込んだ。
「…無駄か…むらさは一度寝るとてこでも起きないからなぁ…。」
大月は半ば諦めの表情でそう呟いた。
彼の脳裏に思い起こされるのは、ジャングルのゆっくり村を取材に言った時の事。
紹介された寝床は、風通しも最悪でしかもその日は酷い熱帯夜。
お陰で自分は酷く眠れなかったのに、むらさは汗一つ掻かずに眠っていた。
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しかもその日の夜、ゲリラ静HARDが村の食料を奪うために夜襲を仕掛けてきたのだ。
あっという間にゆっくりの村は銃弾の飛び交う戦場になったが、それでもむらさは起きなかった。
大月はいくら起こそうとしても全然ピクリともしないむらさを抱えてその村から逃げ出したのであった。
「…って、今はそんな事を思い出している場合ではないな。」
そんな過去の事ではなく、今起こっている事を何とかしなくては。
大月は現状を頭の中で整理しだした。
①今自分は全裸にタオルを巻いている状態で部屋の外に締め出されてしまっている。
②ムラサの力を借りて部屋の中に入ろうにも、むらさは爆睡中で起きる気配すらない。
③そしてこんな格好をホテルの客に見られたらどうなるか?
大月は頭の中で色々シミュレートして見たが、どう考えても自分が社会的に抹殺される結末しか思い浮かばなかった。
「…さ、最悪の事態だ…むらさが起きるのを待っていたら間違いなく誰かに見られるだろうし、
かといって隠れて待っているのも…。」
そこまで言って大月はクシュン!とくしゃみをした。
どうやらさっきまでシャワーを浴びていたからだが冷えてきたらしい。
しかもこのホテル、廊下に冷暖房の類が全く設置されていない。
「…このまま待っていては間違いなく風邪を引いてしまうな。」
大月は鼻水をすすりながらそう呟くのであった。
とにかく、一刻も早く部屋の中に戻る必要がある。
…そうなると大月が取るべき行動は唯一つ。
「…何とか誰にも見つからずに受付まで行って鍵を開けてもらうしかないな。」
…そうは言っても、やはり難易度が高い。
ここはホテルの最上階のうえ、年末のオフシーズンもあってか深夜に近いこの時間帯でも起きているホテルの客は多い。
客に見つからずに行動するだけでも、困難を極めるのは確かであろう。
「…さて、本当にどうしたものか…。」
そう言って大月が考え始める。
「…あれ?貴方、そんな格好で何をしているんですか?」
その時、背後から誰かが声を掛けてきた。
(って、いきなり誰かに見つかったー!)
勿論、大月は大動揺、
いきなりゲームオーバーなんて糞ゲーだろうと思いながら、せめて言い訳をするためにと後ろを向いてみた。
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そこに居たのは見覚えのあるゆっくりだった。
「あ、お前は確か私をホテルまで運んでくれた…。」
そう、あの妙にさでずむチックなホテルの清掃員、ゆっくりさなえだった。
「…ふむ、今、貴方は部屋の前で全裸も同然の格好で呆然としていた…。」
そう言ってなにやら考え込むさなえ。
しばらく思案していたが、やがて納得したようにポン、と手を打った。
「…元気出してください!アレが小さくても女を喜ばすことは出来ます!」
「だから!年頃の娘がそんなこと言うもんじゃない!あとどんな結論に達したんだ!」
何故か励ましてきたさなえに対して、大月は全力でツッコミを入れるのであった。
~☆~
「なるほど、そういう間抜けな経緯があって廊下で呆然としていたんですね。」
大月にこれまでの経緯を聞いたさなえは納得した表情で頷いていた。
「間抜けな経緯言うな…って言うか私の話を信じてくれるのか?」
「ええ、実に貴方らしいお間抜けなエピソードじゃないですか。」
そう言って薄笑いを浮かべる早苗を見て大月は怒りを覚える。
でも適わないのは解るので何も言わない。
「…とにかく、そんな訳で何とか誰にも見つからずに受付まで行きたいんだが…。」
「誰にも見つからずにって、私、ここに来るまでに結構な数のゆっくりや人間にあってますよ。」
要するにそのままでは大月の希望通りには行かないと言うことらしい。
「…参ったな、このままでは下に下りることすらできないと言う事か。」
大月はがっくりとうなだれる。
「確かに、このままでは無理ですね…ですが、私に良い手があります。」
「え?」
さなえの言葉に、大月が顔を上げる。
「ちょっと待っていてください。」
そう言って、さなえは何処かに行ってしまった。
「何処に行くつもりだあいつ?まさかこのまま通報する気じゃ…。」
不安になった大月だが、下手に動いて見つかったら元も子もない。
幸い、さなえはすぐに戻ってきた。
そしてその手には折りたたまれたダンボールが握られている。
「…おい、何だそれは?」
大月は早苗の持っているダンボールを指差してそう言った。
「これですか?丁度一週間ほど前にポップコーンまみれになった部屋を掃除していたら出てきたんですよ。
何かに使えると思って取っておいたんですが…。」
そう言ってさなえはダンボールを組み立て始める。
組みあがったそれは人間が一人は入れるくらい、大きなものになった。
「まさか、このような形で役に立つとは思いませんでしたよ。」
「…なるほどな、お前の考えは解った。」
大月はそのダンボールを見て、さなえが何をしたいのか大体理解した。
~☆~
「…大丈夫ですね、大月さん!下に下りてきて良いですよ!」
ホテルの階段の下に誰もいないことを確認して、さなえは大月にそう呼びかけた。
「ああ、解った。」
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ダンボールの中からそう返事した大月はダンボールに入ったまま慎重に階段をおり始めた。
ダンボールの中にいる所為で前があまり見えない為、慎重に大月は階段を一段一段降りていく。
時間が掛かるが下手に急ぐと階段から転がり落ちてしまう危険性がある、それに…。
「…!大月さん!誰か階段を上ってきましたよ!」
「!」
早苗の声を聞いて大月はとっさに動きを止める。
ダンボールの中に入ったままじっとしている大月の横を、ゆっくりと人間のペアが通り過ぎて行く。
大月はダンボールの中からそれらが通り過ぎていくのを確認すると、ほっと一息ついてまた動き出す。
…まぁこのように、急に誰かがやって来る事もあるから、大槻はダンボールの外に出る訳には行かないのだ。
ダンボールの下の大月は、ほぼ全裸状態だし。
「…流石ですね!スネークの血統に負けず劣らずダンボールを使いこなしているではありませんか!」
うまくダンボールに隠れてゆっくりや人間をやり過ごす大月を見てさなえがそんな言葉を漏らす。
「…正直、こんなバレバレのカムフラージュ、すぐにばれるんじゃないかと思っていたんだがな。」
さなえの言葉を受けて大月はそんな感想を呟く。
実際、自分の側をゆっくりや人間が通り過ぎるたびに心臓がバクバクしているのだ。
「ここまで堂々としていると、却って気づかれにくいものじゃないのですか?
普通ダンボールの中に隠れるなんて馬鹿なこと、思いついても実行することは無いでしょうし。」
「…それを実行させたお前はなんなんだ。」
さなえの言葉を聞いて、大月は思わずツッコミを入れる。
それに対するさなえの答えはこうだ。
「いやぁ、やるのは私じゃなくて貴方ですし。」
酷すぎ。
「…そんなやり取りを繰り広げている内に何とかホテルの一階まで降りてきたな。」
階段を何とかおり終えた大月は頭の中で何段降りたか数えながらそんな事を呟いた。
「ええ、そうですね、確か受付はこの廊下の先です。」
早苗はそう言って廊下の先を見据える。
「…一時はどうなるかと思ったが、案外何とかなるものなんだな。」
受付まであと一息というところまで来て、大月はそんな事を呟く。
「…言っときますけど、油断は禁物ですよ?多分一階が、人やゆっくりの往来が一番多いと思いますから。」
さなえはそんな大月に対して忠告をする。
「解っているさ、油断は禁物なのは私が一番わかってる。」
「そういう事を言う奴が一番わかっていないのですよ。」
「…何時までもここで喋っていても仕方ないな、行くぞ。」
大月はそう言うと、ダンボールを被ったまま戦塵を切って動き出す。
さなえも後を追いかけようとするが、一瞬その足を止めてしまった。
何故か?
目撃してしまったからだ。
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大月の被っているダンボールに妙な顔が浮かび上がっているのを。
「…え?」
慌てて早苗は目を凝らしてダンボールを見つめるが、
ダンボールに浮かび上がった顔はいつの間にか消えていた。
「…私の、気のせいですよね?」
さなえは首をかしげながらも、大月の後を追いかけた。
~☆~
「…うわお。」
受付前までたどり着いた大月は思わずそんな声を漏らした。
もう夜も遅いも関わらず、受付前にはチェックイン待ちのお客達がずらりと並んでいたのだ。
受付に立っている人たちも必死に対応しているがまだ行列は収まりそうに無い。
「…甘く見ていましたね、こんな時間にチェックインする連中なんていないと思いましたけど。」
「まぁ、世界中からお客が来ているからな、受付が24時間営業なのは仕方ない、か。」
大月はそう言ってため息をつく。
こんな状態で受付に近づこうものなら絶対に怪しまれてしまうだろう。
「何か、良い手は無いだろうか?」
そう思って大月は見つからないように細心の注意を払いながらダンボールから上半身だけ出す。
「…その姿、何かの妖怪っぽいですね、妖怪ダンボール男。」
「うるさい。」
さなえの呟きに返事を返しながら大月は辺りをキョロキョロ見回した。
…すると、受付の奥の方に扉があるのが目に入る。
「アレは?」
扉を発見した大月に対してさなえはこう言った。
「従業員用の出入り口じゃないですか?見た感じじゃあ受付の中に通じているようですけど。」
「…受付か、あそこから入って直接受け付けにに話しかけられれば良いんだが…。」
しかし、それも問題がある。
あそこに向かうには、受付のあるエントランスを横切らなくちゃいけない。
受付待ちのお客さんに気づかれずにエントランスを横切るのはほぼ不可能に近い。
「…何とかお客にばれずにエントランスを横切れないか?」
「そんな方法があったら苦労なんてしませんって…。」
さなえがそう言ったその時だった。
カラカラカラカラ…。
二人の背後から車輪の転がるような音が聞こえてきたのだ。
「…!」
「まずい!見つかる!」
とっさにダンボールに身を隠す大月。
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身を隠した大月とさなえの横を、何も乗せていない台車を押しながらゆっくりが歩いてくる。
従業員の格好をしたそのゆっくりは、そのままエントランスにでて外へと向かっていった。
「従業員か…全然人のくる気配が無かったからちょっと油断していたな…。」
大月は心臓をどきどきさせながら従業員を見送っていく。
「…?ちょっと待ってください…これは使えるかも…!」
と、その時さなえが何か閃いたかのように手をポンと叩いた。
そんなさなえを見て大月が「どうした?」と、問いかける。
「大月さん、そこで待っていてください、すぐに戻りますから!」
そう言うと、さなえは突然凄い勢いでエントランスから外へと出て行ってしまった。
「お、おい!」
大月は慌てて追いかけようとしたが、見つかってしまう危険性にすぐ気づいて慌ててダンボールに隠れる。
「何を考えてるんだ?まさかこのまま私を置いてけぼりじゃないだろうな…。」
大月がそんな不安を抱えた次の瞬間。
「イャアアアアアアアアアア!?」
「!?」
外の方から聞こえてきた叫びに大月は思わず身を強張らせた。
「な、何だ!?今の声は!?」
何が起きたのか、外に出て確かめたい大月であったが、今、ここで動いたら間違いなく発見されてしまう。
仕方なく、その場でダンボールに隠れてじっと待っていると、ホテルの玄関から誰かが入ってくる。
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それは、従業員の格好をしたさなえであった。
その手には台車もついている。
「おい、何だその格好は?」
大月は当然の疑問を投げかける。
「これですか?先ほどの従業員から誠意を持って借りてきたものです。」
その疑問にさなえはそう答える。
「…誠意を持って借りてきたもの?」
「ええ、誠意をもって貸してください、と頼んだら貸してくれたんです。」
さなえはそう言って笑顔で答える。
…このゆっくりはそう言ってるが絶対違うというのは間違いなかった。
だって何かさなえの笑顔が黒いし、悲鳴が聞こえたし。
「さて、これなら大月さんを受付の人たちに気づかれずに運ぶことも出来るはずです。
遠慮せずにダンボールごと台車に乗ってください。」
さなえはそう言ってプリーズしてくる。
「…普通にばれないか?」
大月は当然の疑問をさなえにぶつけた。
「…え?ばれるって…返り血が付かないように気をつけた筈ですから、気づかれることは無いと思いますけど…。」
「…いや、なんでも無い、気のせいだった。」
何か怖い返事が返ってきたので、大月は聞かなかった事にした。
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,ト、_/|___>-‐ァ7"´  ̄`ヽ、 `メ、
く \/|>-‐──- 、., /| \_ノ\
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「な、何でわちきがこんな目に…。」
「…犬に噛まれたと思って忘れな、うん。」
ちなみに駐車場では服を向かれた従業員を犬?が慰めていた。
~☆~
最終更新:2011年01月18日 17:09