ジングルベール♪ジングルベール♪
ども、今回の舞台はクリスマスで有名なあの人物のお話です。
今書いておかないと後で後悔しそうなので書くことにしました。
大がかりな舞台もようやくラストスパートなのに何してるんでしょう、私。
この小説は銀魂のパロディです。
ロクなゆっくりが出てきませんし、ゆっくりが酷い目に合う描写もあります。
それらを許容できぬお方は席をお立ちに、
出来る方はそのままご覧ください。
第35話「よく考えたら赤い服着たジジイのどこがメルヘンなのか。」
12月25日
クリスマス。
われわれ人間はケーキやパーティでどんちゃん騒ぎ。
ツリーを飾り、夜空を仰いで主の誕生を祝福する。
そして、ゆっくりの国でももちろん…。
「すいませ~ん、肉まんと桃まん一つずつ。」
「あいよ、合わせて300円だよ。」
「ほいさ。」
「ゆっくりありがとやんした~。」
…何事無く夜が更けていった。
人間の国ではよく見かけるクリスマスイルミネーションも、クリスマスツリーも飾られてない夜更けのゆぶき町商店街。
なんとなく寝付けなくて肉まんを食いたくなったてゐはコンビニ肉まん(ついでにてんこに頼まれて桃まん)を買って一人さみしく家路につく途中だった。
ゆっくりの国にはクリスマスなんて文化はない。
そりゃそうだ、もともとクリスマスは人間の国の聖人であるイエスキリストの誕生日を祝う祭り。
イエスキリストなんてゆっくりの国を出た事のないゆっくりにとっては「誰それ?外人?歌?」状態。
せいぜい港区のケーキ屋さんが「何か今日はケーキがよく売れるなぁ。」と首をかしげる程度である。
「…とりあえず買うには買ったけど、桃まん一つであいつ満足するかな?
何でもかんでも九個でいいっていうからな~あいつは…。」
頭の上に桃まん肉まんが入ったコンビニのレジ袋を載せててゐは進んでいく。
と、下り坂に差し掛かったところでてゐは凍った水たまりに足を奪われた。
「おわあっ!?」
そのままレジ袋と一緒にごろごろ下り坂を転がっていくてゐ。
壁にぶつかることでやっと止まったてゐは、クチャグチャになったレジ袋をじっと覗き込む。
「…うわぁ、こりゃひどい。」
レジ袋の中身の肉まんと桃まんは混ざり合ってグチャグチャになっていた。
いや、ほんとマジでひどい、ミンチよりひどいや。
「…これ、どうしたもんかねぇ、取り返しがつかない…。」
「どうしてくれるのだ!ここまで壊れたら取り返しがつかないではないか!」
と、てゐの耳に聞こえてくる怒鳴り声。
一体何事かと見回してみると、ちょっと離れたところで言い争っている奴らがいた。
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「これからとじこと夜空のデートとしゃれ込むつもりだったのに!どうしてくれるのだ!」
一方は昔の平安貴族がかぶりそうな帽子をかぶった白髪の胴なしゆっくり。
彼女は非常に激怒した様子でもう片方に怒鳴りかけている。
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「…いや、そんなこと言っても…あんな、滅茶苦茶なスピードで突っ込んで来たら避けるものもよけられんわい…。」
そして怒られている方は赤い服を着た白髭の太った老人だった。
おそらく人間だろうが、でかい袋を背負ってるし、かなり怪しい風体である。
老人はゆっくりに責められてオロオロしている。
みると、ゆっくりと老人の後ろには、それぞれ壊れた乗り物の姿が見える。
ゆっくりの後ろにあるのは小舟。
何故船?と一瞬思ったがてゐはその船がただの船ではなく、船型スィーであることに気が付いた。
確か飛行機能が付いた新型だったか、ちょっと自分には手が出せない。
老人の後ろにあるのは…なんだろ?妙に見慣れない乗り物だ。
壊れていてもとの形はちょっと想像つかないがスキー板のようなものが見えるということは
ソリのようなものだろうか?
後なぜかトナカイの姿まである、何でだ?
…状況から判断するに、こいつらは上空で衝突事故を起こして
地上に降りて言い争い中と言う所だろうか。
「弁償しろ!今すぐこのスィーと同じものを用意しろ!」
「いくらワシでもそんなでかいプレゼントは今すぐに用意できん!
来年のクリスマスまであってくれぬか!?」
「クリスマスとかプレゼントとかさっきから貴様は何を言っておるのだ!
ええいそこになおれ!たたっ切ってくれるわ!」
「ひえぇ~!?」
老人は鬼気迫るゆっくりの気迫に負けて情けない叫び声をあげてしまう。
何て言うかゆっくりの方は完全に頭に血が上っている。
このままほっといたらマジであのゆっくりはあの老人をたたっ切りかねない。
それは駄目だろう、色々と。
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「ハイハイあんた達、特にゆっくりの方、あんまりかっかしなさんな。」
困っている人を見過ごすようなゆっくりはゆっくりじゃない。
てゐは二人に助け舟を出すことにした。
~う~☆~
「ほらほら、飲んだ飲んだ、酒は荒んだ心を和らげてくれるってね。」
てゐはそう言って二つのコップに酒を注ぎこむ。
てゐとゆっくりと赤い服着た老人は居酒屋屋台にやってきていた。
胴なしゆっくりと胴つきゆっくりが一緒に飲めるように改良された屋台にはテーブルが二層式になっている。
高いほうのテーブルは椅子に座る胴つき用、低いほうのテーブルには胴なしゆっくりが乗っかってお酒が飲めるようになっている。
てゐは低いほうのテーブルの上に乗っかって一緒に乗っているゆっくりに酒入りコップを差し出すと、
もう一方のコップを吊るされている皿の上に載せる。
皿の上にコップが乗ったのを見計らって屋台の主人が紐を引っ張ると、お皿が載せたコップごと上のテーブルに運ばれる。
老人は上の方に運ばれた酒入りのコップを手に取った。
それを確認すると、てゐは自分のコップに酒を注ぎ始めた。
「…すまんなお嬢ちゃん、ワシともあろうものがこんなトラブルでぱにくってしもうて。」
「…私もだ、「ふと」ともあろうものがスィーを壊されたくらいで熱くなりすぎた、すまん。」
二人はさっきの言い争いを反省するかのように、酒をちびちび飲み始めた。
「…で、あんたたち何?特におじいさんの方はあんなの連れてただものじゃないのは明らかだけど。」
てゐはそう言って老人の連れのトナカイを見る。
トナカイ、少なくともこんな都会じゃあ見かけない生き物である。
「…わしの姿を見てもピンとこぬか、まぁこの辺りはクリスマスを知らぬものが多いらしいから当然じゃな。」
酒を飲みながら老人はそう呟く。
「いや、私には解るぞ。」
そう言ってふとと名乗る胴なしゆっくりは老人の方を見る。
そして、こう言い放った。
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「お主…尸解仙だな?」
「いや違うぞ。」
どや顔で断言したふとと名乗るゆっくりに対し、老人はそう返した。
…ふとは赤面した。
老人は改めて自己紹介を始める。
「わしの名前はサンタクロース、人間の国ではクリスマスに表れて子供達に笑顔とプレゼントを配る存在として有名じゃ。」
「ふぅん、で?人間の国で有名なサタンさんがゆっくりの国に何の用があるの?」
「名前間違えてるよ、一気に忌み嫌われる存在になっちゃったよワシ!?」
酒を飲みまくるてゐに対してツッコミを入れるサンタを名乗る老人。
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「ふむ…やはり貴様は尸解仙と言う事か。」
「何を納得しているの!?結局何を理解したというのさこのゆっくり!?
つーかやめてよその顔、見てると何かムカついてくる!」
全てを理解した顔で語るふとにもツッコミを入れるサンタクロース。
サンタよ、ムカつくのは仕方が無い、それがゆっくりの持つ「ウザさ」というものだ。
ツッコミ疲れたのかサンタはしばらく息を切らせていたが、冷静になったのか深呼吸して
話を続ける。
「と、とにかく、わしがこの国に来たのには訳がある。
わしは子供達にプレゼントを配るのが仕事じゃ。
今までは人間の子供ばかりにプレゼントを配っておったが最近は人間の国にもゆっくりが増えてきておっての。
ならば、と、今年からゆっくりの子供にもプレゼントを配ることにしたのだ。」
「ふうん。」
「ちなみにお主らには配らんぞ、プレゼントは子供達だけの特権だ。」
「アンタみたいな怪しいおじいさんからのプレゼント何て端からお断りだよ。」
「…そうか。」
怪しいと言われてちょっぴり傷ついたサンタさんであった。
「しかし、まさかこんな時にこんなアクシデントに見舞われるとはな。
乗っていたソリが壊されるとは思わんかったわい。」
そう言ってサンタが見つめるのはソリの残骸とトナカイとでかい袋。
ソリは先ほどふとの乗るスィーとの激突事故で大破。
トナカイはそりを引いていたらしい、幸いにも無傷。
でかい袋の口からはラッピングした箱が見える、おそらくあれが子供たちに配るプレゼントだろう。
「何かわからんけど、ソリが無いと駄目なの?」
てゐが問いかけると、以外にもサンタは首を横に振った。
「いや、空を飛ぶのはトナカイがいれば何とかなる
しかし、問題はプレゼントの方じゃ。
ソリが無ければ、あれだけのプレゼントを運ぶことはとてもとても…。」
確かに袋のサイズはサンタの体の二倍はある。
自分で背負うのも、トナカイに背負わせるのもきつ過ぎる。
「…ああ、なるほど、つまりアンタはソリの代わりになる乗り物がほしいって訳ね。」
サンタの話を聞いててゐは納得したように頷いた。
「…?なんだ?まさかお前がソリを用意してくれるというのか?」
サンタがそう問いかけると、てゐはどや顔で髪の毛の中から名刺を取り出した。
名刺には「万屋てゐ」と書かれている。
「これでも私はこの町で有名な何でも屋だよ、ソリの代わりぐらいいくらでも持ってこれるって。
もちろん、報酬はもらうけどね。」
「何でも屋…。」
サンタは名刺を手にてゐの方を見た。
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「なんと、お前も尸解仙だったという事か。」
隣でふとが驚いた顔でそう叫ぶ。
てゐとサンタはふとの顔を見て同時にこう思った。
「ああ、こいつ尸解仙とどや顔で言いたいだけか。」と。
~☆~
と、言う訳で万屋てゐの力によって新しいソリが調達されました。
そしてゆっくりの町の夜空に再びサンタが舞い上がる。
ハイヨ~と、サンタが手綱を引けばトナカイがパラカラと夜空をかける。
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そのトナカイが引くのは、全体的に黄色くてゴツイサンタご自慢のニューソリ…。
「…いや、これなんか違わね?」
サンタは隣に座っているてゐにそう問いかけた。
「え?私はでかい袋を載せて運べそうなソリを調達したつもりだけど。」
「これソリじゃなくね?なんかメカっぽい気がするんだけど。」
「気のせいだよ、気のせい。
これ、香霖堂って店に置いてあったのを借りてきたんだけど
その店主は「これはソリだよ、多分」と言ってたし。」
てゐは涼しい顔でそう言い切る。
いや、多分ってなんだ、滅茶苦茶不安になるじゃないか。
ガタタタタタタタ!
と、突然ソリが激しく揺れだした。
「む、いかん!」
サンタとてゐはあわててトナカイの方へと移動する。
ガタン!ガタンガタンガタン!
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ヽフ----ヾ、 i iヽ、 i i.,,-┬- 、´ぐi /ヽ_ヾ、/ ヾi / ヽ_,,,,,,,,j、ヽ-ゝ'
∧ヾヽヾヽ ヽ二二ヽi ii>,,-、 iイ, ! / i/ j イ iニニニイ j__イ / / ./ / / ヽヽゞ
/ ヽ.ヾヽ.ヾヽ---‐‐ゝ /`ニニ/⌒ヾヽ ', / i/_ i ヽiイ iニニニニニ/ ./ ./ /__ゝ-"
ヽニニニヽヾ.ヽヾ.ヽ.ヾj jシ ̄ヽ,,,-‐‐∨ヾ∧イ/  ̄フヽ_ノ j j / / ./ / / / ヾヽ
ヽヾヽヾヽヽ_i / / イイン/i___/ ヽ===" i__/_/_/__/__/ ヾヽ
i ̄ ̄ ̄jjjjjjjjj>、i――ぐ ,---イ/ヽ――、-‐、 jニニi  ̄ ̄ ̄ ̄ヽ ,,,,-、 ヾヾ
,_,,,, i .,' i'jニソ ヽ―‐j ヾニヲ∧ーi二i 、 ヽゝ-i_iノ _//´,'´ i 丶ゝ、
/ ̄ン_/  ̄ヾj――ラ、 / j ヽ__i__j ヾイi i ―i二i、ヽソ-彳ソ / i _/ i /`ヾヽ ._
./ /´ `ヾ__∧ツ/ ヾj j j ヽ、_ゝj j二ii j ´ ', i ヽ∨/ヽ
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j二二二二i ', ヽ_ノ j-ヽiハニi / ニニ‐->ソ/ // // ゝ / /ニニ /´ヽ ヽニニニニニニニヽ ヽ-イi
iニニニニニニ', ヽヽ_/ /ーーー-i / / ̄j / /j ヽヽ ヽ i i フ i i j j j /フ\ ヽニニニニニニニヽ、 ノ
\ニニニニニ_ヽ フi// ̄ ̄ ̄ // // / / ./ ヽ ', ', ヽ i j j j jヾ/ ヽi \ニニニニニ>-´
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ソリは激しく変形を始める!
しばらくして変形をおさまったのを確認してからてゐ達は元のソリの上に戻っていく。
「しかも、なんか頻繁に形変わるし、いったいこれはどうした事だ?」
「…ああ、それは多分。」
次の瞬間、ソリの蓋がパカッと開く。
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´7_>、.,___,,..イノ}ノ ノノイ:ノ
「こいつがコクピットらしき部分に乗っているからだと思うんだ。」
「何故乗せたぁああああああああああ!?」
コクピットらしき部分の乗っていたふとを指さしてサンタは全力で絶叫した。
「老人やウサ耳にこいつは荷が重すぎる、ここは尸解仙である我に任せておけ!」
「お前も何訳の分からないことを言っておる!何故そんなに自信満々なのだ!つーかお前誰なんだ!」
サンタクロース、ここに来ていろいろ血圧が上がることばかりである。
しかし、長年温和なお爺さんで通って来たサンタクロース、ここで熱くなったら負けである。
「と、とにかくこれで子供たちにプレゼントを配れるのだ、営業を再開しなくては…。」
「…営業言ったら駄目なんじゃないの?あんたの場合。」
てゐがさり気にツッコミを入れるが、サンタはそれをスルーしてノートを取り出した。
「ん?何それ、デスノート?」
「むむ!?もしやそれには尸解仙の秘密が!?」
サンタが拡げたノートを見たてゐとふとはサンタの方の上に乗っかってノートを覗き込む。
「そんなノートじゃないわい、このノートにはこの辺りに住んでいる子供たち情報とほしいものが書き込まれているのじゃ。」
ちょっと肩が重いと思いつつもサンタはてゐとふとにそう説明する。
「子供たちの情報?そんなのいつ調べたのさ。」
「別に調べたわけじゃないわい、魔法的な凄いテクノロジーの力で
周囲の子供たちの情報はこのノートに浮かび上がるのじゃ。」
「つまりそのノートがあればプライバシー侵害し放題?おぉ、それは怖い怖い。」
「…さ、サンタは悪い事はしないもん。」
「ジジイがもんをつけるな気持ち悪い。」
「それには同意だウサギ耳のゆっくりよ。」
…自分の言った言葉の所為でちょっと傷ついたサンタだがここで負ける訳にはいかない。
「さて、とにかくこのノートでプレゼントを欲しがってるゆっくりを探すとするか。
まずはどいつにするかな?」
そう言ってノートをパラパラ開くサンタクロース。
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_,.!イ,.ヘーァ'ニハニヽ、へ,_7
. :::::rー''7コ-‐'"´; ', `ヽ`7
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ
ノ |イ ノ ヒソ_, ヒンY.i !
( ,ハ 人
,)、 .ヘ,、 )―― '´'レヽ
「む、この子が良いな、綺麗な目をしているじゃないか。」
彼が目をつけたページにはちびゆっくりまりさの写真と住所が乗っていた。
「ふうん、で、こいつは何を欲しがっているのかい?」
てゐはそう言ってノートを覗き込む。
「まぁ、長年の経験上、このくらいの子供はおもちゃを欲しがってると相場が…。」
サンタクロースはそう言いながら欲しいものの項目の方を見る。
そして、次の瞬間その顔をひきつらせら。
『ZIP』
欲しいものの項目に書かれて居たのはこれだけだった。
「…あの、ZIPって何?」
そりゃさすがのサンタも両肩のゆっくりに問いかけたくなる。
「パソコンの圧縮形式の一つだと思うけど。」
「そんなもん何故欲しがる!?というかこれワシ何をプレゼントすればいいわけ!?」
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/rヽ三三三三三─‐-- 、;:;:;:;:;:;:;:|;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l
',i ,-三三三三三、 _,.ニ、ー-、!;: -‐二 ̄彡′
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「とりあえず麻呂をプレゼントすれば良いのではないか?」
「そんなもん渡して何になるぅうううううう!」
ふとの提案に対して全力で叫んで肩で息をするサンタクロース。
「こ、こいつは駄目だ、せめてモノを欲しがってくれ!他の奴じゃ、他の奴!」
そう言って仕切り直しと言わんばかりにノートを開きなおす。
r- 、 r -、
l > - ー - 、
ヘ,' ル」メハレノ)〉
/l チノヒソ ヮ ヒンYハ
んノ !i ハ" ")カ
バへ〉――― ヘ〉
そして別のゆっくりが選ばれた。
「よし!こいつならもう少しまともなモノを…!」
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『もっと痛みをくれ!生きている実感が欲しいんだ!』
「いやだからモノで要求してくれぇえええええ!
痛みをくれとか言われてもどうしろというのだ!?わし黒いほうじゃないよ!?」
サンタはのどが避けるほど絶叫した。
ちなみに黒いほうの意味が解らない人は「ブラックサンタ」で検索してみよう。
「…あのお爺さん、さっきからうるさいなぁ…。」
たまたま通りかかったうーパックが叫ぶサンタを見て軽蔑のまなざしを送っている。
その視線に気づいたサンタクロースは急激にクールダウンする。
「おい、大丈夫か?そのご老体で絶叫はきついだろう。」
ふとは心配そうな表情でサンタに問いかける。
「い、いやすまない、二連続での無茶ぶりに思わず血圧が…。」
「おちつきなよ、また検索すればいいんだから。」
「け、検索言うな…ええい、いくら何でも三連続で変なのは出んだろう!」
サンタは意を決してノートを開いた。
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,'´ , - 、`ヽ
〈__,______)ノ__ ヽ
イ[_/|_, l_|/l``ヽ
i l/ヒン ヒン | i i !
l><l(" 。 "l><l i
〈_〉 ー―――〈_〉!
写真に写って言うたのはさっきの二人よりはおとなしい印象を受けるゆっくりだった。
「おぉ、ようやくまともそうなのが出てきたわい。」
その写真を見て安心しきったサンタはゆっくり視線を下に落とす。
『力が欲しい
私の家族を皆殺しにしたあいつらに
私の大切なものすべて奪ったあいつらに、
復讐する力を私にくれよぉおおおおおおおおおお!』
「重めぇよぉおおおおおおおおおおおおお!」
ついにサンタは持っていたノートを二つに裂いてそう叫びました。
「何この子かわいい顔して壮絶な背景背負ってるの!?
わしには重すぎるよ背負いきれないよ!」
「世界中の子供たちの願いを一身に背負ってる割には弱気すぎる発言じゃない?」
「弱気にもなるよこんなんみたら!」
そう言ってサンタはガックリと肩を落とす。
「はぁ…ワシ、ゆっくりをなめてたかも、
最近の人間のガキよりは扱いやすいと思ったらこいつら一癖も二癖もありすぎだ…。
帰ろうかな、もうプレゼントはあきらめて帰っちゃおうかな?」
もう完全に弱気になっている。
「おいおい、たかが変なお願いを3連続で見せられたくらいで凹んでるんじゃないよ。」
てゐはそんなサンタに励ましの言葉をかけてやる。
さらにふとも立ち上がってサンタに話しかける。
「そうだそうだ!お前は世界中の子供たちにプレゼントを配るのが使命だろうが
この程度で諦めては立派な尸解仙になれないぞ!」
「いや、別に尸解仙になりたくはないけど。」
励ましているつもりだろうが、最後の一言が余計だった。
「…ん?」
と、てゐが突然サンタの方の上から飛び降りた。
そしてトナカイの頭の上に飛び乗ると、そこから眼下に広がる街を見下ろした。
「どうした?」
最終更新:2012年01月04日 16:28