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そのゆっくりの顔は何かてゐがついさっき思い出していた知り合いのゆっくりそっくりな顔をしていた。
って言うか、そっくりというレベルではない。
てゐは一瞬で理解した、こいつは間違いなく本人であると。
「・・・てるよ、あんた何してるのさ、こんな所でそんな格好をして。」
「てるよじゃない、かぐやだっつってんだろこの珍獣。」
今のお前にだけは珍獣なんて言われたくないとてゐは思った。
「珍獣なのはお互い様でしょ、それよりさっきの質問に答えてほしいんだけど。」
そうてゐに問いつめられたかぐやは視線を逸らしながらこう言った。
「は、反逆ゆっくりとしての活動の一環よ!文句ある!?」
「こんな所で動物の真似をしてることが反逆ゆっくりの活動に
何の関係があるのさ?」
「・・・・・・・・・その・・・。」
てゐにそう問われて黙り込むかぐや。
やっぱり自分でも無理があると思っているようだ。
「私だって好きでここで働いてるわけじゃないのよ・・・。」
観念したのかかぐやはこの現状に至るまでの経緯を話し始めた。
~☆~
時は一週間前、所は駅前のファミレス。
家族連れでにぎわうその店内で、反逆ゆっくり、かぐやは
かつて無いピンチに陥っていた。
「嘘でしょ…こんな所にあいつ等がやってくるなんて…!」
テルヨフと向かい合わせに座った禁煙席の上で、かぐやは冷や汗を流す。
彼女の視線は喫煙席の方に向けられていた。
その喫煙席に座っているのは二人のゆっくり。
/^\ ,.へ___
/ >''´ ̄ ̄`'''ヽ7
| /´ _ _'ヽ、 ,. -''"´ `' 、
〉 / /´ / , 、 、 ヽ〉 ,'´ ,. -‐ァ'" ̄`ヽー 、`ヽ
/ i イ レ\ ハノ! /i i // `ヽ`フ
└rイ レイ (ヒ_] ヒ_ン)ハヘ| n⌒i / .,' /! /! ! ハ ! ',
く_ノ 〉 i"" ,___, " iハ _,,.! ノ ( ! ノ-!‐ノ ! ノ|/ー!、!ノ ,.ゝ
ハ. i ハ、 ヽ _ン 人|´ / ヘ ノレ' rr=-, r=;ァir /! ノ
i\レヘハレへ〉'=r--r='i´Vヽy'´ ( ノ ! "! ヘ(
ヽ、,_`ヽ,r'´ `ト、 ∞」 i ノ ) ,.ハ ''" 'ー=-' "'! ',ヽ.
<  ̄〉、___ノ  ̄ Y/ ) '! ト.、 ,.イ i .ノ
>_/ /〉 , , 、!_ゝ ノヽ,! i`>r--‐ i´レヘ ノ
`(⊆ノ/ / ! ハ ∬ ヽ(へ レィr'7ア´ ̄`ヽ. )'
くヘ,.へ_,.へ__,.ヘ,.ヘ ┌-┐ ノ /イ Y
`'r、__ハ___ハ__!ン (i _i rくヽ/!ノ __ ,ゝ
ト_ン ト_ノ \ \/`/::メ:::`ヽ、_二、___イ
公安⑨課の副隊長、れてぃに同じく突撃隊長、ちるの。
かぐやにとっては、天敵以外の何者でもない二人の胴つきゆっくり。
その二人が今、自分からそう遠く離れては居ない席に座っている。
「まずいわね…あいつ等何時こっちに気がついてもおかしくないわ…。」
この緊急事態、すぐにでも席を離れ、会計をすませて出ていきたい。
しかし、それは出来ない。
何故なら。
何故なら…。
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/::::::::::::::_::ノ ノ ) ヽ.:::::::_::::::::::::::::;l.'-―‐ ' "´ヽ.
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「まだ食い終わらないの…テルヨフっ!」
テルヨフが注文したトリプルハンバーグ、
その最後の一枚をテルヨフがまだ食い終わっていなかった。
かぐやが目を離した隙に少しずつ食い進んでいるようだが、
それでもその食のペースは明らかに落ちていた。
「だから言ったのよテルヨフ!ハンバーグはトリプルじゃなくて
ダブルにしなさいって!
欲張って注文するから入りきらなくなるのよ!」
かぐやはそう叫ぶが今更そんな事言ったって
現状が変わる訳じゃない。
ちるの達の方を見やると、こっちには目もくれずに注文したものを待っている。
しかし、いつかはこっちに気づいてしまう可能性は高い。
「こうなったら…仕方ないわね!」
決心したかぐやは席から飛び降り、続いてテルヨフを
席の上から引きずりおろす。
そしてかぐやはまるで丸太を転がすようにテルヨフを転がしながら移動を始めた。
「このままレジまで行って会計をすませて外にでるわよ…!」
テルヨフを勢い良く転がしながらかぐやはレジへとまっしぐら!
ドンッ!
しかし、何かにぶつかる音がしたかと思ったら、テルヨフが動かなくなってしまった。
「え!?」
いくらかぐやがテルヨフを力任せに押しつけても
テルヨフが動く気配はない。
なにが起きたのかと思って顔を上げてみる。
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く \/|>-‐──- 、., /| \_ノ\
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そこにいたのは犬の身体を持つゆっくりだった。
テルヨフはこの変な犬の前足に遮られたせいで
動かなくなってしまったのだ。
「ちょっと、あなたそんな所で何してるのよ。」
かぐやは不機嫌な顔でその犬のような生き物に話しかけた。
「それはこっちの台詞だよ。」
犬はそう返事した。
まさかちゃんと人語を話せるとは思わなかったので
かぐやは思わず目を丸くしてしまった。
そんなかぐやの状態にかまわず、その犬は会話を続ける。
「あんた、せっかく出された料理を何残しているのさ、
出された料理は全部食べるのが飲食店のルールだよ!」
犬はかぐやに向かってそう言ってきた。
彼女の視線の先にはさっきまで自分が座っていたテーブル。
(;;;;;;;;|
その上に乗っているハンバーグはまだ半分ほど残っていた。
「…あれ?減ってる。」
それを見てかぐやは思わずそう呟いた。
先ほど席を立った時は丸々一枚ハンバーグが残っていたのに。
「全く、最近のゆっくりはマナーって物を知らないんだから…。」
「いや、マナーとかそう言う前に怪奇現象が起きてるんだけど。」
「何を訳の解らないことを言ってるんだい!」
怒鳴られたかぐやは思わず身を須磨貸せてしまった。
(…ああもう、なんか変なのに絡まれてしまったわね…。)
かぐやはそう思いながらチラリと後ろの方を除き見た。
後ろの禁煙席では、ちるのがイライラした顔で立ち上がろうとしている姿が見える。
おそらく注文した品物が何時まで経っても来ないから
店員に文句を言おうとして立ち上がったと言うところだろう。
その証拠に席を立ったちるのはまっすぐレジの方へと向かってきている。
そう、かぐやの居る方へ。
(まずい、このままだと鉢合わせすることになるわ!)
これ以上変な奴の相手をしている暇はない。
今すぐにレジで会計をすまさなくては!
「悪いけど、あなたみたいな変な奴の相手をしている暇はないわ!!」
かぐやは犬の横をすり抜けようとする!
ゴオッ!
しかし、次の瞬間かぐやの目の前に妙にフカフカした物体が!
「こ、これは!?」
かぐやは目の前に現れたフカフカの物体の正体を
一目で理解した。
シッポだ。
これはあの犬のシッポなのだ!
ブオン!
次の瞬間、かぐやはシッポに足下をすくわれた!
かぐやの体が空中に舞い上がる!
「あぁあああああああああ!?」
空中を吹っ飛んでいくかぐやの視界に先ほどまで座っていたテーブルが移る。
テーブルの上にはテルヨフの残したハンバーグが。
そのハンバーグは。
(;;;|;
「やっぱり減ってるうううううううう!」
そう叫んだところでかぐやは地面に叩きつけられ、
意識を失った。
~☆~
「そして気がついたらこんな所でゴリラやってた訳よ。」
かぐやはそういって深いため息をついた。
「…馬鹿馬鹿しいと言うか、あんたらしいと言うか…。」
なんだかんだで話を最後まで聞いていたてゐはあきれた顔になっていた。
「まぁ、とにかく、ここで巡り会えたのも何かの縁よ、
一緒にここから逃げ出す方法を考えましょ。」
「断る。」
かぐやからの誘いを速攻でてゐは断った。
「おいこら、速攻でお断りってひどくない?」
「あんたはとにかく、私は逃げたところでゆぶき町から出られないんだよ、万事屋もあるし。
無駄なことはやらない主義なの、私は。」
「いい機会じゃない、あんたも反逆ゆっくりになりなさいよ。
そうすりゃゆぶき町にとどまる理由もない。」
「全力で断る!」
「ちょ、速攻で断らないでよ!泣いちゃうじゃない!」
「勝手に泣いてろ!」
こうして始まる二人のゆっくりの口げんか。
「あの、指導してほしいんですけど、」というゴリラゆっくりたちの言葉も耳に入ってない。
この二人の喧嘩を止めるたのは…。
「…あの、じゃまなので退いてくれませんか?」
,-――ー―/ O`-、,',ニ、ヽ
,ノー' i ̄ ̄\``-ソ
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ノ i i;;;i i;;', ';;;;;;:\__ ト ;;;;;;, i
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ノ ;;', i;;;`(弋ノi ,  ̄~ | |;;;;;;;;;;;;;;;; \
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;;;;' ;;;;;;;;;;ヽ , ´i / __ i ;;;;'::ノ i;; ノ
;;;' ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`..,- ´ ニ二ー‐-`'';;;:::/-―:
てゐとかぐやに向かって冷たい視線を投げかける
緑色の髪の銅なしゆっくりだった。
「うお!?」
てゐ達はその養豚場の豚を見るような目にビビって
思わず喧嘩をやめて後ずさりしてしまった。
「あの、何でいきなり後ずさりしてるんですか?」
そのゆっくりはてゐとかぐやのリアクションを見て首を傾げる。
「あ、い、いや。」
「今のはただの義体の不具合で…。」
さすがに女の子相手に「目つきにビビった」何て言える訳がない。
「…まぁ、良いですけど、早く宿題をしませんと…。」
緑紙のゆっくりはそう言っててゐとかぐやの横をすり抜けて奥の方に向かう。
よく見ると緑髪のゆっくりは赤いカバンを背負っている。
銅なしゆっくり用の、肩ではなく頭で固定するランドセルだ。
「…ランドセル背負ってるってことはあの子小学生?」
「何で風俗店に小学生がいるのよ、あれでしょ、プレイ用の衣装じゃない?」
「それは無いって、ここはイメクラじゃないんだし。」
「じゃあ何であのゆっくりはランドセルを背負っているのかしら。」
どんどんと店の奥の方へと消えていく緑髪のゆっくりを見ててゐ達はそんな会話を交わしていた。
「…さなえ。」
と、一人のゆっくりがその緑髪のゆっくりを呼び止める。
早苗と呼ばれたその緑髪のゆっくりは立ち止まり、そして声のした方へと振り向いた。
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,ト、_/|___>-‐ァ7"´  ̄`ヽ、 `メ、
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/rrrn ノ / / LLL,,,ノ 【横綱犬 八坂号】
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そこに立っていたのはこの奇妙な動物園の主、
てゐ達がここで訳の解らない格好をして働くことになった現況、
ゆぶき町四天王が一人、横綱犬八坂号だった。
「…なんですかお母様、洗っていない犬の臭いなんか漂わせて…。」
早苗はそう言って顔をしかめっ面にさせる。
言われてみれば、八坂号、確かに匂っている。
頭の上に紙くずを載せてるし。
「ゴミ出しに言ってきたんだから匂うのは当然のことさ、
それよりさなえ、お前に見せたいものがある。」
八坂号はそう言うと、頭の上の紙くずを目の前に落とし、前足で丁寧に広げ始めた。
広げた紙はクシャクシャになっていたが
そこに書かれてある字はちょっと離れた所にいるてゐ達にも読みとることができた。
「…授業参観。」
てゐは紙に書かれていたその内容を口に呟いていた。
八坂号が娘の早苗に見せたもの、
それは、授業参観のお知らせだった。
「あら、わざわざゴミの中から拾ってきたんですか?
そのままゴミに出してくれてもよかったのに。」
さなえはその紙をみて素っ気なさそうにそう言った。
「あいにくだけど、燃えるゴミの日は火曜だよ。
いや例え今日が火曜日であってもこいつは捨てなかったな。」
八坂号はさなえの目の前に授業参観のお知らせを出しながらそう言った。
この八坂号の言葉に対し、さなえは何の反応も示さない。
八坂号はさらに言葉を続ける。
「さなえ、何で授業参観のことを黙っていたんだい?
この前も親子相談会のお知らせを捨てていたし、
一体何のつもり…。」
「…その質問の答えはお母様が一番ご存じでしょう?」
八坂号の問いかけに対し、さなえは冷たくそう言い放った。
「ゥ…。」
そう言われて八坂号は思わずうめいてしまった。
さなえの言うとおり、八坂号本人もさなえが授業参観のような親が参加すイベントを拒絶する理由を解っていた。
「とにかく解っているなら何もしないでくれませんかお母様、
人面犬に陣面ゴリラに、あげくにアルパカが学校に押し掛けてきて
警察を呼ぶまでの大騒ぎになった去年の二の舞になりたくないでしょう?」
さなえはそう言うと、八坂号に背を向けた。
「ちょっとさなえ!」八坂号は呼びかけるがその声は
さなえに届かない。
そのままさなえは奥の方へと消えてしまった。
「……!!」
残された八坂号は前足をゲシゲシと地面に叩きつけ続けている。
やり場のない怒りをぶつけているのだ。
「…えーと…。」
と、ここまで八坂号とさなえのやり取りを聞いていた
てゐとかぐや。
二人のゆっくりはどうしたら良いか解らず、
呆然としている。
「てるよ、こんな場面に遭遇したとき、あんたはどうする?」
「だから、私はてるよじゃなくてかぐやよ。
…正直な気持ちを言うなら、無視した方がいいと思うけど…。」
家族同士のトラブルなんて家族で解決するべきもの。
全く関係ない赤の他ゆっくりが関わるべきものじゃない。
しかし、だがしかし。
「………さなえ。」
たとえ見た目が不気味でも、
我が道を行くを地で行く性格の持ち主であっても。
弱々しくうなだれながら自分の娘の名を呟く彼女を
放っておくことが出来るだろうか?
「…あの。」
「?」
このお節介でお人好しなゆっくり二人には出来なかった。
最終更新:2012年08月12日 12:36