この小説は銀魂のパロディ小説です。
ろくでもないゆっくりが出てきたり
ゆっくりがひどい目にあう描写があります。
それでも構わないと言う方だけ続きをどうぞ
てゐ魂 40話「父親は黙って背中で語れ。」
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「るがーるぅうううううう…。」
唸り声を上げ、てゐの方を睨みつけるモンスターシャンハイ。
「ああもう、これ完全に最悪の事態だよ…。」
てゐはそのシャンハイを見て完全に焦っていた。
状況を簡単に説明すると、てゐ達が今いる場所は洞窟の袋小路。
出入り口は一つだけ。
その唯一の出入り口の前にモンスターシャンハイが立っている。
…つまり、絶望的な状況だ。
「何でこうなったんだか、さなえがよりによってこんな所に迷い込んだからか、
てるよの奴が暴走したせいなのか、
それともあのありすの触角のせいなのか…。」
「おいこら、別に私のとかいはな触角関係ないだろ。」
触角アリスは捕まっているというのに実に冷静な表情でツッコミを入れてきた。
自分が一番ヤバいというのに何でそんなに冷静なのか、
現実逃避か、現実逃避というやつか。
「全く、そんな事今考えてもどうしようもないでしょ、てゐ。」
と、考え事をしていたてゐの後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる。
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振り向くとそこにはかぐやの姿があった。
「今はこの状況から抜け出すことだけを考えなくちゃ。
責任の追求は後でもできるわよ。」
「そう言うことが言えるって事は何か良い作戦でもあるのかね?てるよ。」
「…この際あんたが私のことをてるよって呼ぶのを矯正するのも後回しにしておくべきね。
…忘れて貰っちゃ困るわね、私にはあのとっておきの秘策があるって事を!」
「とっておきの秘策…ああ!」
そう、かぐやはとっておきの秘策があった。
時間操作による一時的な高速移動、「クロックアップ」。
この能力のお陰でかぐやは尋常ではない逃げ足を持っている。
「まぁ一つ問題があるとすればクロックアップ中は思考速度も上昇して
義体が脳波命令を受け取ることが出来なくなるから
義体はこの場に捨てていくしか無くなっちゃうんだけど…。
てゐ、あんたまだ痺れガスの効果残ってる?」
言われたてゐはちょっと義体ではなく生身の体を動かしてみる。
…まだ痺れは残っているが全く動かせないほどではない。
「…走るのは無理だけど、歩くくらいなら。」
「ok、クロックアップ中なら歩きでも余裕で
あの化け物の横を通り抜けることが出来るわ!
後は…。」
かぐやは視線を横に向ける。
そこには必死の形相でガラクタの山を探し回るさなえの姿があった。
「…ちょっと乱暴な手段で悪いけどっ!」
シュルルルルルルルル!
かぐやは髪の毛を伸ばし、さなえをグルグル巻きに絡め取る!
「!?」
「悪いけど、今は生き残ることが優先させて貰うわよ!
てゐも早くこっちに!」
かぐやは大声でてゐに呼びかける。
その呼びかけに答えるため、てゐは義体から降りてかぐやの側まで行こうとしていた。
しかし、そこでてゐは気づく。
シャンハイが、奇妙な動作をしていることに。
「てるよ、前!」
「え?」
てゐの叫びに反応してかぐやが顔を上げた次の瞬間。
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シャンハイはつかんでいた触角をかぐやに向かって投げつけてきた!
「な!?」
かぐやは慌てて避けようとしたが一瞬の油断が命取り。
ドガアッ!
「ぐはあっ!?」
もろに顔面に触角のロケット頭突きを受けてしまい。
触角諸ともかぐやはゴミの山まで飛ばされ、埋もれてしまった。
「い、いたぁ…運ばれたり、投げられたり、名前をナレーターに省略されたり、
何でとかいはな私がこんな目に…。」
がらくたの山に埋もれながら恨み言を言う触角。
「…せめて省略しないで、でないと私も流石に泣くから…。」
…と、言うことなので次からは彼女の事は
触角アリスとちゃんと呼んであげることにする。
「あ、あだだ…まさかピンポイントで攻撃されるなんて…
まるでこっちが逃げようとしている事が解っていたみたいじゃない…。」
「解っていたのよ!あんたシャンハイの前でベラベラ喋っていたじゃない!」
「…え?もしかしてあいつ私たちの言葉解るの?
なんか鳴き声をあげてるだけだしそこまでの知性はないと思ってたんだけど。」
「あるに決まってるじゃない!日本語を始め英語フランス語台湾語etc…ありとあらゆる言語を
私が教え込んだんだから!」
「…なんて無駄な教養を…。」
どや顔20割増しで語る触角アリスを見てかぐやは呆れ顔になる。
「まぁ、そんな事よりそこを退いてくれないかしら?
でないと、こっちは全然動けないんだけど。」
現在、触角アリスはかぐやに覆い被さるような体勢になっているのだ。
上海が次に何してくるか解らないのに、このままではとっさに動くこともままならない。
「あ、あら悪かったわね、よっ…と。」
触角アリスは割と素直に動いてくれた。
その結果、二人が寄りかかっていたがらくたの山が僅かに動く。
その弾みで、上の方にのっかって居た物がハラリと
触角ありすの顔に舞い落ちた。
「ぶっ!何よこの紙切れ?」
触角アリスは顔に覆い被さるように落ちてきた物を手に取った。
それは、びっしりと文字が書かれている、数枚の紙切れ。
それを触角アリスが手に取った瞬間、、目にも留まらぬ早さで動き出した物が居た。
「そいつに触らないで下さい!」
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ゆっくり格闘術の中でもっともポピュラーな技とされる
ヘッドバッドコークスクリュー。
さなえの繰り出したその一撃は触角アリスとついでにかぐやをおもいっきり吹き飛ばした。
「危ない危ない!まさかこんな所にあるなんて…。」
さなえはそう言って紙束を集めて綺麗に束ねる。
…ふと視線を変えると呆然とした目でさなえの方を見つめているてゐの姿が。
「見せませんよ!」
いや、見るつもりはねーよ。
紙束を後ろに隠したさなえを見ててゐはそう呟いた。
「るがぁあああああああるぅうううう!」
おっと、上海の事をすっかり忘れていた。
もの凄い唸り声をあげてさなえの方へと向かってくる!
「させるかっ!」
てゐは狙いをこっちに向けようと猫の義体を動かし、上海に飛びかかった!
気配に気付いた上海は、こっちに向かって飛びかかってくる
ゆっくり顔の猫を目撃する。
「何の、こっちが早い!」
てゐは上海が攻撃してくる前に攻撃せんと、
猫の義体の右腕を上海に向けて突き出した!突き出した…のだが…。
ヘロヘロ~…。
「あ、あら?」
例えるならばその勢いはラッキーマンのラッキーパンチ。
悲しきかな、慣れぬ猫の義体で繰り出したその一撃は
非常にへなちょこな勢いだった。
拳はそのまま上海の顔面にめり込む…と言うかただひっついただけ。
これはマズイ、このまま反撃を受けたらひとたまりもない、てゐは最初、そう思った。
しかし、上海は予想外の反応をてゐに示したのだ。
プニプニ、プニプニ。
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「ルガァアアアルウウウウウ…。」
上海は至福の表情でてゐの猫パンチを受け入れていた。
肉球!猫に付き物の肉球のプニプニ感が上海に言いようのない刺激を与えたのだ!
「チャンス!」その様子を見てすぐ行動に移るかぐや!
髪の毛を伸ばし、てゐ、さなえ、触角アリスを絡め取ると
すぐさま自分の元へと引き寄せる!
そのまま自分を中心に髪の毛でがんじがらめにする!
「ちょ!何するんですか!」
「うわ、解ってたけどかなり気持ち悪い!」
「ちょっとぉ!とかいはな私に何するのよ!」
かなりの不評を受けるかぐやの髪の毛雁字搦め!
しかし、今はそんな不評を気にしている暇はない!
上海の方を見てみると、未だ猫の義体(てゐだけ引き寄せてこいつだけ残した。)の肉球プニプニパワーで骨抜きになっている。
逃げ出すなら、今だ。
「クロックアップ!」
かぐやのその呟きと同時に、ゆっくりたちの姿が陰のように消える。
上海が恍惚の世界から戻ったときには、かぐやの姿はすでに何処かに消え去っていた。
「るが~るぅ…。」
しかし、上海も獲物を逃がすつもりはない。
猫の義体をガラクタの山に放り込むと、洞窟の出口に向かって歩きだす。
その目的はもちろん、追跡である。
~☆~
クロックアップとは、自分の体内時計を加速させることによって
普段の何十倍もの早さで動き回ることができる技である。
この技を使うと、思考速度も何十倍になるため、能力の使用中は周りの景色が
何十倍も遅く速度で動いているように感じる。
つまりどう言うことかというと。
「か~~~ぐ~~~や~~~ちゃ~~~~ん~~~と~~~
ま~~~え~~~み~~~~え~~~~て~~~~る~~~の~~~?」
「お~~~~、~~~~お~~~も~~~~って~~~~~い~~~~~た~~~~~よ~~~~~り~~~~
ず~~~~っ~~~~~~と~~~~~あ~~ぶ~~~~~なっか~~~~し~~い~~~で~~す~~~。」
「と~~~~か~~~~い~~~~
…なんか手抜きにしか見えないのでここから先は省略。
能力を使っているのはかぐやだけで他のゆっくり達は能力の影響を受けていない。
だからかぐやの耳にはこんな感じに他のゆっくり達の声が
スローモーションに聞こえたりするのだ。
「…とんでもない超高速で走ってるのに良く喋る余裕があるわねこいつら…。」
そんな事を考えながらもかぐやは森の中を駆け抜ける。
場所が場所なのであちらこちらに枝や岩などの障害物があり、かぐやは高速で交わしていく。
「う~~わ~~~かす~~~っ~~~た~~~。」
「び~~っ~~く~~~り~~~し~~~ま~~し~~~た~~~。」
「ちょ~~~わ~~~た~~~し~~~の~~~
と~~~か~~~い~~~は~~~な~~~しょ~~~っ~~~か~~~く~~~がぁ~~~~!」
かぐやにとってはふつうに走ってふつうに障害物を避けているだけだが、
髪の毛で固定されているゆっくり達は障害物だらけの森の中を巡るましい程の早さで駆け抜けられるようなものである。
もはや拷問である。
「ああもう!少しは黙っててよ!ゆっくりし過ぎてうっと惜しい!」
かぐやはてゐ達に向かってそう叫ぶ。
言ったところでてゐ達の耳には早回しで再生された音声に聞こえるから無意味だと解っていても。
それでも叫びたくなる物である。
「え~~~な~~~ん~~~て~~~」
「だーーーーまーーーーっーーーーてーーーーーろーーーーー!」
かぐやはてゐ達にも聞こえるように思いっきりスローモーション気味にそう叫んだ。
叫び声は聞こえたのだろうか、てゐ達がそれ以上何かを言うことはなかった。
(…さて、そろそろ壁が見えて来ても良い頃だと思うけど…。)
全てがスローモーに映る周りを見回しながら
四方を壁に囲まれているこの場所は、
まっすぐ進めば当然壁に行き渡る。
壁にいき当たったら壁沿いに進む、そうすれば最初に中に入るのに使った穴も見つかるだろう。
そこから脱出すればあいつ等だって追いかけてはこない…とかぐやは考えていた。
「…何かしら、さっきから感じているこの嫌な予感は。」
しかし、かぐやは言いようのない不安を拭えずにいた。
何か、とてつもない危険が迫ってきている、そんな気がするのだ。
「まさか、今の私達は1000倍の速度で動いているのよ?
あの上海が追いかけてきたとしても捕まえられるわけが…。」
そんな事を考えていた次の瞬間だった。
プレッシャー。重圧感。
そんな感じの得体の知れない物が自分の頭上からのし掛かってきた。
「ま、まさか…。」
かぐやの嫌な予感は上を見上げたときに的中した。
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かぐやが目撃したあり得ないもの。
それはどこかのロシアのプロレスラーのような体つきをした上海がこちらに向かってボディプレスを仕掛けてくる光景だった。
それも周りの景色がスローモーに見えているはずのかぐやから見ても
普通の速度で落下しているように見えるくらい
すさまじい速度で。
オマケに体もでかい、目算で7~8メートル位あるんじゃないかとかぐやは算出する。
ついでにここまま駆け抜けたらちょうどいい感じにあの上海に潰されるとかぐやは目算していた。
「ま、まずい!」
かぐやはあわててスピードを落とそうとする!
…が、ここでかぐやは焦りから忘れていたことがあった。
自分はいつも通りに走っているつもりでも実際は
音速に迫る速度で動いているということに。
もちろん、そんな速度で急ブレーキなんてかかる訳がない!
きゅきゅきゅーーー!
「だぁあああ!摩擦熱が半端ねぇーーー!」
猛烈な煙を上げながらもかぐやは止まることなく上海につっこんでいく!
下敷きになることは避けられても、このままでは上海にもの凄い速度でぶつかることは確実!
身体の下側が摩擦熱でしゃれにならないほどの熱さになっているのに耐えながらかぐやが考え出した対処法。
それはこれだ!
「お、おりゃああああああ!」
ばあっ!
かぐやはとっさに髪の毛で絡めとっていた
触角アリスを自分の前面に突き出した。
「え?」
ブチュウッ…。
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/ ノ ノ , / ノ ,i//ン イ ノ! ノハ_,r'i ,r'i ', !、.
'〈r'k' ,!、k' ,!、k' ,!、. /_ン- <r^Jイ_ハ
激突の危機はかぐやと上海の間に触角アリスを飛び込ませることで回避された。
ありがとう触角アリス!
君の唇の犠牲により、かぐや達の危機は一時的に去ったのだ!
「だから胸を張って己を誇りなさい!触角アリス!」
「良い訳ないでしょうがぁああああ!!」
触角アリスは涙を流しながらそう絶叫した。
「何よ、何でそんなに泣いてるのよ、大好きな上海に唇を捧げたんだから別に良いでしょ。」
「ふぁ、ファーストキスはいつか現れるとかいはなまりさにあげるつもりだったのにぃいいいい!」
…一応本職は政治家なのに随分と乙女チックなゆっくりである。
…まぁ、今は彼女の心の叫びなんて聞いてる場合じゃない。
「や、やっと落ち着いた…。」
「ゆっくりでなくとも相当きついですよこれ…。」
かぐやは高速で振り回されて目を回しているてゐとさなえの方を見る。
「二人とも、目を回している場合じゃないわよ!」
かぐやはそう言って二人を叩き起こした。
そう、今は暢気に目を回している場合じゃない。
目の前にはプロレスラーの格好をした上海が。
背後からはあの「ルガールゥー」と言う叫び声が聞こえてきている。
いや、事態はさらに最悪の物へと進んでいる。
「シャンハーイ!」
「シャンハーイ!」
「シャンハーイ!」
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'ミーぅ∪' ∨ i ヽ、 i ttテュ;:::::::;rェzァiハノV l ノ レィ __,;!、イ レ、__、i .i Y-.、
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く_γ 、 ヽ,. .ノ ,' iヽ iヽ、. ( ̄ノ .,イイ| l.
く,' / / _ハ ハ ハ_', ', __,,..=ニ‐-、ハ_イレ^r> --- イヽViノ
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てゐ達はいつの間にかいろんな扮装をしたシャンハイに周りを囲まれていた。
「ちょ!?シャンハイってこんなに居たの!?」
「それにも驚きですけど、こいつら、妙に連携がうまくないですか?」
言われてみればその通り、
さっきのプロレスラー上海のとったに行動にしても、
スーツ上海がかぐや達を追いかけるのは不可能と判断した結果、
プロレス上海がかぐや達の行動ルートを先読みして妨害行動にでたように思える。
「ふふふ、それは当然よ…。」
と、突然触角アリスは不適な笑みとともにそう呟いた。
まだファーストキスのショックから立ち直れていないのか、倒れた姿勢のまま、説明を始める。
「私が作った上海はどれか一人が迷子になったとき、
他の上海がその上海を探し出せるように、
テレパシーによる念話装置を仕込んでいるのよ…。
きっとこれを使って上海同士で連絡を取り合ったのね…。」
「何でそんなもん仕込んどいたのさ!」:
触角ありすの説明を受けててゐは思わずそう叫ぶ。
「前に上海が居なくなったときの反省として組み込んだのよ…。
また上海が居なくなったときの対策としてね…。」
確かに彼女の言うとおり、あの物騒な上海が庭の外にでたときの対策は必要だろう。
しかし、それでも言いたいことはある。
「対策だとしても普通GPS付きの首輪とかそういうのじゃじゃないの!?
上海同士、テレパシーで位置が解っても、飼い主がその位置を解らなくちゃ意味ないじゃん!」
「信じたかったのよ…上海と私の、とかいはな絆を…!」
「信じた結果がこれだよ!」
てゐは上海達に囲まれた状況を見て、そう叫んだ。
さて、絶望的すぎるこの状況。
四方八方を上海に囲まれ、逃げ出す隙間なし。
上海達は獲物をとらえた目でてゐ達ゆっくりを睨んでいる。
「…かぐや、クロックアップは?」
「あんな大技が連続で使えると思う?」
今度はかぐやの切り札も宛にはできない。
「…どうしますか?私としてはそこのアリスを生け贄に
この場を逃れるべきだと思いますけど。」
「ちょ!何その私のゆっくり権を完全に無視した台詞は!!?」
早苗の提案に思わず反論する触角アリス。
「そんな訳だけどさー!あんたらこれ欲しいー!?」
「ちょっとぉおおおお!?」
そんな触角ありすのゆっくり権何ぞ知るものかと言わんばかりにてゐは上海達に交渉を試みる。
基本的にゆっくり達(って言うかたぶん上海以外の知的生命体には)に上海の言葉は理解できない。
しかし、その表情を見立てゐ達は上海のこの交渉に対する答えを瞬時に理解した。
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レ':::l l l l"/:: |.ヾ" へ〉 /ハ∨:: :/:: :: :: :: :: . 丶、 ,,..イ、ノ ノ !/ l `ー- イ__,,.. ノ / / ヽ _,,.
人` _,.イ ,イ ノ∧ ヽl 、 _,,.! / i,.ィ"´ヽヽ. i´
 ̄ `丶-''"ノ 人 〉  ̄ l`¨''゙ イ`ヽヽ i_..ノノ-‐
{ クァ、,.、 l / - ‐ ''^ー ' l ,.イ
「あ、ダメだ、あれは死んでもいらねぇって顔だ。
それ貰うくらいなら生ゴミでも貰った方がなんぼかましだという顔だ。」
本人達は正解なんて知らないし、解らないが、
仮にシャンハイ語を日本語にな直した場合、一字一句間違いなくてゐの言うとおりになるだろう。
「ちょっとぉおおおおお!?私はあなた達を可愛くとかいはに作り上げるために
どれだけの労力を費やしたと思ってるのぉおおおお!?」
触角アリスは血涙でそう叫ぶ。
「相手は完全にお前誰って感じだねぇ。」
「報われないって言葉はあのアリスのためにある言葉ね。」
「まぁ、どうでもいいですけど、今はかまっている暇はありませんし。」
てゐもかぐやもさなえも触角アリスにほんとに容赦ない。
そんなてゐ達を上海達は明らかに殺意の目を向けている。
自分のテリトリーで好き勝手している余所モノを
逃がすつもりはないって所だろうか。
「…しょうがないね。」
てゐは覚悟を決めた顔でかぐやと早苗の前にでた。
「…てゐ?何するつもりなの?」
「映画で良くあるでしょ?私に任せてお前は先に行けって奴。」
「正気?あんたまだ身体の痺れが抜けきってないのに
あいつ等と戦えると思ってるの?」
「無理か否かは私で決めるさね。」
「そんな理由でカッコつけられても困るわよ!
私が残るからあんたが逃げなさい!」
「かぐやだってクロックアップの後でほとんど体力残ってないでしょうが。
ここは素直に私に任せなよ。」
「任せられるか!ここは私が!」
「私がやるって!」
「私が!」
「私が!」
そんな言い争いを続けるてゐとかぐやの二人のゆっくりを呆然と見つめるさなえ。
ふと、さなえは二人がチラチラとこちらを見ていることに気づく。
ここでさなえは気づく。
二人のやりとりの心の意図に。
/_ , - ー - 、 / ,' ヽ,
, -'"⌒フ- 、 ` ヽ 、 / ,' ヽ
/ / ` - 、 ` ヽ、 / / !
ヽー‐‐ヽ/ ` 、ニ \/_/ |
ヌ!;!,;;-、ー、 ,tr- 、,r,,`ヽ、 _ ,r-ー` 、 .|
', ! ` ^` `''"~ `^ `ヾ ヾ \ }
{j.fニr-,、 ,,_-ニ_、 `、 ヾ |
| ヾー,-` j'<'、'ソ,-` 、 `j ,,、、ヾ!、
,'  ̄ / " ! ,f'"` j 〉
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| (、 ,_ ヽ、 f ) / 「
'! / `ー' ` ' ヽ '、二ノ j| 押すなよ絶対押すなよ!
! ,,-,j、;, _ ヽ ,' {
'l ,;' ,'_,r'tr- 、ヽ、 ! ,' | 、 ノ
'、 / ヽ ̄ニ'"-'" 、 / _! fヽ`ー 、_
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フ ー -- '", -  ̄ , |
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ソ'  ̄ ―/ / ̄./ \ _, - '"
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「…ダチョウ倶楽部なんて私はやりませんよ。」
「グハアッ!」
「見抜かれたかあっ!」
二人は見抜かれたショックで白目を向いてしまう。
「何考えてるんですか、危険生物に囲まれている中で笑いを取ろうなんて
元もな神経をしたゆっくりなら普通考えませんよ。」
そんな二人に軽蔑のまなざしで説教を始めるさなえ。
「いや、ここでネタに走ってこそゆっくりでしょ。」
「作者もゆっくりも30秒以上シリアスが続けると軽い貧血に襲われるのよ。」
「いえ、そんな症状に襲われるのは作者とあなた達だけで十分です。」
…なぜ、ナチュラルに作者まで巻き込む、教えていただきたい。
「しゃんはぁああああい!」
と、突然周りの上海達が大声でそう叫んだ。
まるで怒りに打ち震えているような、そんな叫び声を。
「あれま、なんか今にも襲いかかりそうだねぇ。」
「全く、こっちが戦いの準備をすませていないときはいきなり襲いかからないと言う
最低限のマナーを知らないのかしら?」
てゐとかぐやが呆れ顔でそう話し合う。
「そのマナーを守っていたらグダグダになり始めたから襲いかかってきたんじゃないですか?」
さなえがごもっともなツッコミを入れた。
「シャンハァァァァァァーイ!」
シャンハイ達は叫び声をあげててゐ達の方に向かってくる。
その叫び声はいい加減にしろと叫んでいるようにしか思えなかった。
「あらま、本気でブチ切れちゃった…。」
「まぁ、これはさすがに仕方ないわね…
てゐ、ちょっと聞いておくけど…大丈夫なの?」
一体何が大丈夫なのか、察しの良いてゐはかぐやの言いたい事を理解していた。
「…ま、チョットくらい痺れていた方が相手にとって良いハンデだよ。」
帰ってきた返事は相変わらずの大口。
ならば特に問題はないだろう、なぜならいつものてゐだから。
「シャンハーイ!」
「シャンハイシャンハイうるさいねぇ、
チョットは大人しくしていなさいって!」
てゐはこっちにつっこんできたシャンハイの目の前まで跳躍する。
「シャ!?」
その予想以上の早さに動揺してシャンハイはその動きを止めてしまう。
「オリャアッ!」
そこに飛び込む右耳パンチ!顔面にまともに受けて
のけぞるように後ろに飛ぶシャンハイ!
「こいつもおまけ!」
てゐはスペルカードをシャンハイの顔めがけて投げつける!
スペルカードはシャンハイの目の前で弾け、
弾幕となってシャンハイに降り懸かる!
「シャンハーーーイ!?」
弾幕を浴びたシャンハイはそんな叫び声をあげて
遙か彼方にぶっ飛んでいった。
「!?」
それを見届けた直後、てゐは背後に尋常じゃない
殺気を感じ取る。
「しゃぁあああああんはぁああああい!」
. ノ .\
γ ̄ .\ \
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"''-..,,_ }_/__l`´ l ノ レィ __,;!、イ レ、__、i .i
ヽ \_/ // i ヽ、 i ttテュ;:::::::;rェzァiハノV
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\ / ヽ / \
振り向くとそこには別のシャンハイが!
右腕だけが体の部分と同じくらい発達しているそのシャンハイは
その右腕をてゐに向かって振り下ろそうとしている!
シュルルルル、ガチッ!
しかし、その腕が振り下ろされる事は無かった。
何処からともなく伸びてきた、細く、黒い糸のようなモノがシャンハイの腕に絡みついたからだ。
「!?」
「全く、油断しているんじゃないわよ!」
上海の腕に絡みついたものはかぐやの髪の毛だった。
髪の毛は上海の腕に幾重にも絡み付き、上海の腕を拘束する!
「…!シャンハァアアイ!」
ギ、ギギ…。
上海は髪の毛を強引に引きちぎろうとするが
いくら引っ張ってもビクともしない。
「そぉれぇええええええ!」
かぐやはそのまま剛腕上海の周りを高速でぐるぐると走り回る!
髪の毛は上海の腕だけに止まらず、全身にグルグルと絡みついていく!
あっと言う間に上海はかぐやの髪の毛で拘束されてしまった。
だが、動きを止めるためにかぐやはこんな事をしたわけではない。
狙いはこの先。
「どおりゃぁああああああああ!」
かぐやは全力で髪の毛を引っ張っていく!
上海の全身に巻き付けられた髪の毛も引っ張られ、
その勢いに乗って上海はもの凄い勢いでコマのように高速回転する!
「シャ、シャンハァイ!?」
上海はコマのように回りながら他の上海の方へと向かっていき、
上海を何体か巻き込みながら倒れ込んだ。
「まだまだぁ、次!」
上海が倒れ込んだことを確認する暇もなく、
かぐやは髪の毛を別の上海に巻き付け、投げ飛ばしていく。
「おりゃぁ!」
てゐの方もかぐやに負けない勢いで上海相手に奮闘していた。
変幻自在の耳パンチは、受けた上海の顔面を歪め、
遙か彼方へと吹き飛ばしていく。
複数で襲いかかってきた場合は弾幕で足止めしてから
一匹ずつ確実にしとめていく。
これぞ、二人が幾度も繰り広げてきた激戦の中から生み出された、
圧倒的人数差をひっくり返す術のその1、
まとめて相手にせずに一人ずつ相手にすること、成り!
「おお、何だかんだ言って昔と変わらない戦いぶりじゃない、てゐ。
今から反逆ゆっくりに舞い戻っても即戦力になりそうね。」
「露骨に誘うんじゃないよ、いやらしい。」
「いやらしい?私の何処がいやらしいって言うのよコラ。
こちとらぱちゅりーに匹敵するぐらいの清純派ゆっくりだってーの!
「はっはっは!知ってるか!?世のゆっくりぱちゅりーの実に7割が
小悪魔によって調教済みだという事実を!」
そしてこれがその2「精神的に追いつめられるな!」
二人がこんな状況でもこんなやりとりを繰り広げているのは、常に心に余裕を持つためで、
決して二人が空気を読めないゆっくりな訳ではない。
そして肝心要のその3!
全戦必勝には絶対に書かせないその術とは!
「さて、てるよ敵もだいぶ消耗してきたと思うんだけど…。」
「私もそう思うわ、てゐ。」
「それじゃあ…。」
「ええ。」
「逃げますか!」
その3、とにもかくにも逃げること第一!である。
…そこ、情けないとか思わない。
逃げるが勝ちという言葉を思い出せ。
それに、二人は元々、上海達を全滅させる気なんて端からない。っていうか無理だと思ってる。
さなえが逃げ出す時間を体を張って稼ぎだす、それが目的なんだから。
「そろそろ追いかけないと、逃げたさなえがまた迷子に成りかねないしね。」
「ええ、あの子も大分遠くに逃げていると思うんだけど…。」
二人はそんなやり取りを交わしながら上海達から背を向ける。
しかし、その瞬間、二人は信じられないものを目撃した。
「ああもう、こんな時に何処に消えたんですか!」
そこにいたのはさっきの場所から一歩も動かずに必死に何かを探し回るさなえの姿だった。
とっととと奥に逃げていると思ってたてゐとかぐやは目を点にする。
「のんびり何してるんだこの緑!」
そして即座に怒鳴りつけた。
「あ、二人とも住みませんが戦ってる最中に作文とか見ませんでしたか!?」
「見てる余裕なんてないよ!っていうかこっちがあんたを逃がす為に必死で戦っていたのに
逃げもしないで何やってるのさ!」
こっちの苦労を無に返されたてゐは怒り心頭の顔でさなえ怒鳴りつけてくる。
さなえはその顔を見て、なんだか罪悪感を覚える。
「い、いえ、私も一応逃げようとしましたよ?
でも、逃げようとして持ってきたはずの作文がいつの間にか無くなってるのに気づきまして…。」
「それで、今まで探していたわけ?」
「不思議なものですよね…確かにそこにあったと思っていたのにいつの間にか無くなってるんですよ。」
「部屋を散らかしていたせいで
必要なモノが見つからない時の言い訳のようなこと言ってるんじゃないよ…。」
てゐもかぐやもあきれた顔でそんな事を呟いた。
「しかしこれだけ探しても見つからないなんてあり得ません…私の作文はいったい何処に…?」
そんなことを良いながら首を傾げるさなえ。
「クックックッ…。」
そのとき、不気味な笑い声が辺りに響きわたる。
「こ、この声は!」
最終更新:2013年06月21日 07:26