てゐ魂42話-2


姿を消したMMRゆっくり達はすぐに見つかった。


先ほど⑨課の面々達が集合していた部屋の中心に佇んでいたのだ。
しかし、最初に発見した大ちゃんは部屋に入ろうとして躊躇した。


                          ,ィ, (fー--─‐- 、、
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 (ヘ(ヘ(ヘ(ヘ(ヘ)  (ヘ(ヘ(ヘ(ヘ(ヘ)                            (ヘ(ヘ(ヘ(ヘ(ヘ)  (ヘ(ヘ(ヘ(ヘ(ヘ)


部屋中にほおっと光る灯籠のような物がズラリと並べられていたからだ。

「うわ、何だこりゃ!」

「ホラーだ!これ以上無いホラーだ!」

後からついてきたゆーぎ達もこの異様な光景に思わず後ずさりする。


「…なんだ、お前等思ったより遅かったな。」


MMRのリーダーがゆーぎ達の存在に気づいてそう話しかけてくる。


「ちょっと…何よこの光景はふざけているつもり?」


そう言ってMMRに詰め寄るレティ。


「…アンタもかなりふざけていたじゃん。」


チルノがそうツッコミを入れるがレティは無視している。
「…何も解ってない素人どもだな。」
MMRのリーダーがそう言いながら部屋中に並べられた灯籠の一つを頭に乗せた。


    ∩
.    (三)
   / \
 <.r=- r=ァ>
  / 'ー=‐' ヽ
  {.  ●   }
.  ,ゝ    ノ、
 (ヘ(ヘ(ヘ(ヘ(ヘ)



「これは毘沙門天の宝塔、ゆっくり星が生まれたときに何故か必ず側に置いてある不思議アイテムで、
 ゆっくり星はこの宝塔を肌身はなさず持ち歩いており、彼らにとってこれを失うというのは
 自分の半身を失うというのと同じ意味なのだ。
 有り難い力が込められており、様々な奇跡を起こす力が秘められているのだ。」

輝く宝塔の光に照らされてより恐怖感を増しながら、
MMRリーダーはそう解説する。

「ふうーん、要するにゆっくり星しか持ってないレアアイテムって事だよね、
 そんな物が何でこの部屋にイッパイあるのさ。」

すぐさま投入されるちるのの疑問、
この疑問に対するMMRの答えは。

「いや、探せばその辺にたくさん落ちてるぞ。」

「え?」




      私の大切な宝塔と槍と冠と服と財布と携帯と
   ナズーリンと星野元監督のサインと金本のホームランボールと…etc

           …が、無くなってしまいました…

             : ,ヽ./{   }ヽノヽ :
             : ノ ノ ヽ / )   } , :
           : 'ヽi ')ヽ oOoノ /{ V } :
            : ) ''V 'o. '''' .oノ ノ ノ :
             : ,>-' '-/ヽ__ノ.-:''::ヽ'ヽ :
           : /..-''':r ';' { . '     'ヽ. :
        : 、_/.::'' r  '{::{ \::ヽ ':. ヽ ヽ {ヽ :
        : ' -{./ /:: 人::::ヽ ヽ::ヽヽヽ:} } (::':ノ :
         : ノ( (:(::( ノ )ノ '')/ ''\:、ノ: ノ:  入 :
           : ノノ>)::i ( >//////< )ノ.:) < :
            : ノノi:|' | | ,___, | |"'|:ノ入 ) :
            : )/'人.| | 'ー⌒ー' | | イノV '' :
              : ノ>.、____ ,. イヽ :

       _人人人人人人人人人人人人人人人人人_
       >    誰か探して来て下さい!!!   <
        ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄




「何しろゆっくり星達がが宝塔を落とすOR何処かに忘れるORいつの間にか無くす頻度は
 年に二桁行くと言われてるからな。」


「…あの、ゆっくり星にとっては大事な物なんだよね、これ。」

「そうだ、だから宝塔捜索のために「ナズーリンカンパニー」なるビジネスが成立するくらいだからな。」

「…どれだけ宝塔を無くしてるんですかゆっくり星さんは。」

「まぁ、例外もあるがな、るーみあの側近とか…。
 まぁ、あそこの場合ルーミアが色々な意味でアレだってのにその側近まで無くしものばかりしているウッカリ者だったら
 もう手に負えないしなぁ…。」

「え?」

「あ…嫌々、今のは忘れてくれ。」

MMRリーダーは自分が漏らした呟きに対し、あわててフォローを入れた。
そこへ、レティが問いかけてくる。

「…まぁ、宝塔の出所はいいとして、そんなのを沢山集めて何するつもりなのかしら?」

「決まってるだろう、元凶を見つけるのだよ。」

「は?元凶?どういう事よ?」

「やれやれ、まだ解ってないのかこいつは…。」

やれやれと呆れるMMRリーダー。
レティは殴ってやりたい衝動を何とか抑えこむ。

「どんな亡霊であれ、大元は恨みや未練を残して死んでいった亡霊だ。
 ならばその恨みや未練をはらしてやれば、お化けが消える、そうだろ?」

その説明に⑨課の面々はなるほどと納得する。
ラーメンを作るよりは遙かに確実な除霊方法だろう。

「だ、か、ら!それと大量の宝塔の関連性が解らないんだけど!」

「まだ解らないのか?アンタも大概鈍いなおい?」

リーダーはレティを煽っている、絶対わざとだ。
と、ここでちるのが急に手を挙げた。

「あ、アタイ解ったかも、宝塔でその元凶を探し出そうって事でしょ?」

「ほう、見た目によらず賢いな。」

「誉めても何もでないよ。」

「…だが、それにしても宝塔の数が多すぎないか?」

お化けの元を断つというMMRの狙いは解るが
それを探し出すためだけに部屋を埋め尽くすほどの宝塔は多すぎではないだろうか?

「何だ、そんな事か。」

その疑問にリーダーはきっちりと答えてくれた。

「昔から言うだろう、多い日も安心と!」

「なるほど!納得した!」

(…全然わからねぇ。)

ちるのは納得し、レティは納得いかなかった。

「…とにかく部屋をこんなにしておいて何の成果もなかったら承知しないわよ?」

「ふん、安心しろ。」

MMRリーダーはどうやったのかメガネをクイッと直した。

「すでに無数の宝塔の光の揺らぎ等からデータを計測し、
 怪しい場所の目星はついている。
 すでに私の助手を向かわせたところだ。」

「おまえたちの助手?」

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            ,. ‐'´      `‐、
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   / { ハ ヽ_ i.    /          ̄l 7 _>´ ハ } \
  / i !{ \ハ,!ヘ. / ‐- 、._        |/ Y  }! i ヽ
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        イ /r >rjヘ;=:r‐=tj<ヽ│ 
        r、H   ┴'rj h ┴'  }'|ト、 
        !t||. `ー-‐ベ!` ` ー-‐' ルリ  
        ヾl    -─-、   /‐' 
          ト、    ‐‐     ,イl. 
         ,.| : \       / ; ト、  
      -‐''7 {' ::   ` ー '  ,; ゝ:l`ー-_
        /  \ ::       , '/  :|     `'''ー- 、 
       /     \    /     |        | ヽ


と、言うとこいつと同じくらい怪しいあの二人組のことだろう。

「ああ、そろそろ何か怪しい物を見つけてくる頃だと思うのだが…。」

MMRリーダーがそんな事をつぶやいたその時だった。


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              \  ~" /
                `ー;--'´



「て…リーダー!とんでもない物を見つけましたー!」


大声で叫びながら襖を開けたのは
胴無しゆっくりの方のリアルゆっくりだった。
ただでさえ鬼気迫る表情だったそいつの顔が更に鬼気迫る表情へと変化している。


「と、とんでもないもの?」

「一体何なんだぜ。」


⑨課のゆっくり達はにわかにざわめき出すが、
リーダーは特に慌てもせずに涼しい顔だな。


「どうやら私の読みは当たったようだな。
 それで、一体何を見つけたんだ?」

「そ、それは…。」


部下は何やら報告して良いかどうか迷っている表情になる。
それでも意を決してリーダーに近づくと、そっとリーダーに耳打ちする。


「何…だと…?」


その途端、リーダーの顔色が目に見えて悪くなった。


「ちょっと、何があったのよ、こっちにも教えてもらえないかしら?」


耳打ちのせいで報告の内容を聞くことができなかったレティがそう話しかけてくる。
リーダーはかなり真剣な表情でこう言った。


「…はっきり言おう、この件、我々の予測を越えた何かが動いている。」


「…よ、予測を越えた何か?」

「一体どういう事だぜ?」


動揺する⑨課の面々をよそにレティは更にリーダーに詰め寄る。


「何よそれ、MMR定番の陰謀論?
 何でも何たら委員会とかCIAをだせば良いってもんじゃないでしょ。」

「…俺にも何が起きているのかまだ頭の整理がついていない…実際にその目で確認しなくてはいけない…。」

「例の場所はもう一人の助手が保護しています!
 リーダー、今すぐきてください!」

「ああ、解っている。」

二人のMMRは部屋を飛び出した。

「ああ、オイちょっと待て!」

「私たちも追いかけましょ!
 大ちゃん!アンタは部屋の宝塔の片づけをお願い!」

「え?」

戸惑う大ちゃんを置いてMMRを追いかける⑨課の面々。
「…な、何で私が…。」
大量の宝塔の光に照らされて、大ちゃんはガックリとうなだれた。


まぁ、そんなわけで⑨課の面々はMMRの後をついていく。
その結果、たどり着いた場所は…。

「…また庭じゃない。」

そう、さっきまで居た庭である。
相変わらず庭の隅っこで店長がラーメンを作っていること以外、
特に変わった所はない。

「ここです!我々はここで明らかに怪しい物を見つけました!」

MMR部下はそう報告する。

「そうか…確かにここからはまがまがしいエネルギーを感じる…。
 間違いない、幽霊騒ぎの元凶はここにある!」

リーダーの全力の断言に、レティたちは白い目で見ている。

「…あの、私達さっきまでここに居たけど別に異常は見あたらなかったわよ?」

「いや、間違いなくここで異常が起きているはずだ…。
 む!」

とリーダーの視線が一点に集中する。
視線の先にあったのは…庭を仕切っている茂みだ。


「…オイ、この向こう側はどうなっている?」


リーダーは茂みを見つめながらそう言った。


「そ、そんな事を急に言われても解らないけど…。」


いくらなれ親しんだ詰所でも、それなりに広く作られた施設なので
レティも細かいところまでは把握し切れていないのだ。


「確か、この向こうも庭だった気がするが…。」


ゆーぎ所長は悩みながらもそう答える。

「そ、そうだったかしら所長?」

レティは記憶が曖昧なので戸惑っている。

「こんなところで議論を繰り返していてもしょうがないな…。」

そんな事を言ってMMRリーダーは茂みの方につっこんでいく。

ミシベキベキバキバキバキバキ!

リーダーは茂みを強引にかき分けていく。

「ちょ、何してるのよアンタ!」

レティは慌ててリーダーを止めようとする。
リーダーは制止しようとするレティを振り払い、こう言った。

「真実を知るためなら多少の障害は乗り越える!」

「イヤ、だからワザワザ茂みを強引に乗り越えなくても
 回り道すりゃすむはな…。」


バキバキバキバキバキイイイイイッ!


レティの言葉なんか無視してリーダーは茂みを強引に薙ぎ倒した。


「ぎゃあああああああ!アンタ何してるのおおおおおお!」


当然、レティは絶叫してしまう。


「悪いが、これもすべて真実を知るためだ。」


カッコつけてるリーダーだが、それでも迷惑行為に代わりはない。
リーダーは薙ぎ倒して出来た茂みの間をすり抜けて向こう側に行ってしまう。


「い、行っちゃったね…。」

「この向こうに一体何が…。」


⑨課の面々がリーダーの鍛えた茂みに注目する。
異変はそのときに起きた。


「な、何だこれはぁあああああああ!」


茂みの向こうからリーダーの叫び声が聞こえてきた。
その叫びは⑨課の面々を動揺させていく!

「え!?何だぜ今の悲鳴は!」

「み、見に行った方が良いよね!絶対に良いよね!」

⑨課の面々たちは一斉に茂みに向かって突っ込んでいく!
「ちょ、そんな大勢で突っ込んだら…!」
慌ててレティは止めようとするがもう遅い。


メシメシメシバキバキバキ!ドォーン!


茂みはもの凄い音を立てて完全に倒れてしまった!

「…!」

余りにショッキングな出来事に、レティは開いた口がふさがらない。
そんなレティにちるのはこう言った。

「レティ、これ修繕代いくら掛かるだろうとか考えてる場合じゃないよ。」

「え?」

顔を上げたレティはちるのの指さした方向をみる。
それは、茂みが完全に倒れたせいで丸見えになった向こう側の庭。
向こう側の庭も、今居る庭と別段変わった印象を受けない。
ただ一つ、その庭の真ん中にはこちら側とは明らかに違う異常事態が目に入った。



   ノl、       /|ノl、       /| ノl、       /|   ノl、       /|
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「な、何よあれはぁあああああ!」


でかい穴の中にこれでもかと詰め込まれた希望の面。
余りに異常な光景にレティは開いた口がふさがらない所かアゴが外れそうになる。


「ま、まさかこんな物がここに眠っているとはな…。」

「り、リーダー!まさか全ての原因は…!」

「ああ、こいつに間違いない!」

「大いなる絶望を前に私達は衝撃を受けて腰を抜かす所だが
 MMRは違った、やっぱMMRじゃないと駄目かー。」

MMRの面々が希望の面の詰め込まれた穴の周りで
全てを理解した顔になっている。


「何あんた達だけ全てを理解した顔になってるのよ!」


レティがMMRに向かってそうツッコミを入れた。
いつの間にか⑨課の面々も穴の周りに集まっている。


「こ、これは一体どういう事だ?
 何で庭のど真ん中にこんな穴が…?」

ゆーぎ所長が驚きの目で穴を見つめる。
…が、中に詰まっている希望の面がこちらを見つめているような気がして直ぐに目をそらした。

「…あ、私思い出した!これ、たぶん池だよ!」

と、ちるのがそんな事を言い出す。

「…そう言えば!」

「確かにこの庭、真ん中に池が作られてあった気がするよ!」

⑨課の面々もこの穴の正体に気づく物が出始めた。

「つまり何?誰かが池の水を抜いてこいつを大量に詰めこんだってこと?何でそんな事を…。」

「…違う、たぶんそんな単純な事じゃない。」

レティの言葉を遮るようにリーダーがそんな事をつぶやいた。

「…ちょっと、それってどういう事よ。」

当然ながらレティが質問を投げかけてくる。

「おまえ等、この池だった穴に詰まっているお面が何なのか解るか?」

帰ってきたのはこんな質問だった。

「決まってるじゃない、希望のお面でしょ?」

「希望の面だね。」

「希望の面だぜ!」

「希望の面だよ!」

「希望の面以外の何者でもないな。」

どうやら希望の面の認識は⑨課全体に染み渡っているようだ。
おそるべし、希望の面。さすがは一時はこころスレを制圧していたこともある代物だ。

「…実はこの地には昔からある伝承が伝わっている。
 希望の面に関わるある伝承がな。」

「な、何ですって?」

その言葉にレティは驚きを隠せない、何故なら。

「で、伝承なんて初めて聞いたぞそんなこと!」

と、言うことだからだ。

「それはこの伝承が公にはされてないからだ、
 知っているのはこの辺りに昔から住んでいるゆっくりぐらいだろうな。
 かくゆう私もこの辺りで一番の年寄りゆっくりからこの伝承を聞いたんだ。
 入れ歯が喋る度に外れるから笑いを堪えるのに必死だったぞ…。」

「昔から住んでいるゆっくり…。」

それなら納得行くかもしれない。
⑨課の面々の殆どはゆっくりの国出身ではないのだから。
知らないのも当然のことだ。

「…今から話すのは過去に本当に起きた出来事だ。
 …みんな、心して聞いてくれ。」

リーダーは真剣な表情で⑨課の面々にそう言ってくる。
答えは無言、話を聞く気満々だとリーダーは受け取った。
そして、リーダーは落ち着いた、淡々とした口調で語り始めた。

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最終更新:2013年09月23日 01:33