てゐ魂42話-3


遙か昔、ゆっくりという種族が生まれて間もない頃。
ゆっくりを支配していたのは生まれつき強大な力を持った二人のゆっくりであった。


「おぉ、なんかそれっぽい出だし。」

「何だかワクワクするなレティ!」

「…私はどっかのBBA並の胡散臭さを感じているけど。」

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一人は光の力を司る豊里耳神子。

 
(☆゚_゚)


もう一人は秋の力を司る静HARD。

相反する力を持つ二人のゆっくりは常に争い続け、
ゆっくりの勢力を二分する戦いへと発展していった。


「なんかAAの扱いがひでぇ!」

「って言うか何で光と秋?相反してないわよね、
 普通は光と闇じゃないの?」

「うるさいな、古くさいテンプレに捕らわれていては面白い物語は作れないぞ!」

「古くさいって、実際昔から伝わる伝承なのよね、その話。」

「…とにかく話を進めるぞ。」

最初は互角の戦いだったが、
だんだんと神子の勢力が不利になっていった。
その理由は簡単だ。

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余りに複雑なAAである神子勢力は3人も出してしまえば
容量制限に引っかかるのに対し。
シンプルな静HARDは50人は余裕で出せるからだった。


「なにその理由!?」

「これは古代からAA職人は2チャンネルとしらたばの容量制限に悩まされていた証明なんだよ!」

「確かにAAの永遠の命題かもしれないけど!」


絶対数で圧倒的不利にたたされた神子勢力。
だが、それでも神子達は諦めなかった。
数で勝てないなら質でひっくり返す。
神子は当時の最先端テクノロジーを駆使して、
一つの兵器を作り出した。


「…あ、何となくその先は予想が付くかも。」


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   }       `ヽ、                   /     |
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   ヽ     /                ゝ'  `ヽ     ソ /
  l\ヽ  /   , --- 、 λ       ._ -- __   ヽ、     /
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   |  ./      /ヽ /  i       /ヽ  八      i  ∠,
   ヽ /    /ヽ ./ ヽ/  ヽ     /  }_ノ  ヽ  ./|  ヽ /
   /V    / ヽi __   \   /      .ヽ/ .|    /ヽ
  /  |  l / / r--、`ヽ   \/  /´´二 -、   |/l  /  ヽ
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./ l  /  i | ヽ _ ̄_ノ         ヽ_ ̄   ) / \  .|  |
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 V  /.|          _______        |  .ゝ  //
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   ヽ  ヽ、                         /    |
    i   ヽ、                       /     i
    ヽ   ヽ、                    / ,イ    i
     ヽ    ヽ、                 ´ / |   /
      ヽ、   >、               ./    .l  /
        ヽ、 /  `ー─- ___ -─  ̄       ゾ


そのなは最終希望兵器、「希望の面」と名付けられた。


「あ~やっぱりね。」

「やっぱり出たか、それが出たか…。」


そのお面は見たものの腹筋を破壊する兵器であり、
お面をつけた兵士一人で2000もの静葉軍を纖滅できるほどの力を持った兵器だった。


「見たものの腹筋を破壊するって、要するに相手を笑い殺すと言うこと?」

「ば、馬鹿馬鹿しい効果だがそのお面一つで2000人を纖滅できるのなら
 確かに戦況をひっくり返す力が…。」


だが、それでも不利な状況はひっくり返らなかった。

「え?そうなの?」

「何で?」

               __,,,...,,,__
           ___,∧"´:ト-、∧‐ァ::7`>ゝ
           >,ゝ/ヽ、ノ::V:::_」∠::::7ァ_>ァ、
         .,:'ィiヽ':::_>''"´      ̄  `ヽ!,
        / キア'"          ',   、`フ 
       ,イ  /  /  ,ハ!   /  !  _!_ i ! Y
       '、!,イ   ,'  /´___!_ i  ハ _ノ_`ハ/ ノ 
        ノ ',  レ、 !ァ´ノ_」_ノレ' レ' ソ`Y i、(
       ( ソ'´  Vi ttテュ;:::::::::::;rェzァ ハヘノ'
       y'´   !  !'  ̄ ,rェェェ、 ̄ 'ノノハ 
      ,'  !   , ヽ、_,ゝ   |-r-r,|  ',ハ  !  
       '、 ゝ、ノ   )ハゝ、,  `ニニ´ ,..イノ ソ  
       `ヽ(ゝ/)ヽ,ノイi,` ''=ー=':i´ノ´ンノ
               /      )、  
           ∩  / ,イ 、  ノヽ ヽ  
           | | / / |    (   \ \ 
           | || |  |  /⌒!.   l l 
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           | |((ll!) ヽ /  / \ (!l))       
           ∪     / /  ゝ )             
                / <  / /          
                ヽ_ゝ/ /                   
                    ヽ__ゝ  1upドゴォォォ                
                       1upドゴォォォ     
                   川  1upドゴォォォ
                     ∧ ∧  .| ̄ ̄ ̄ ̄
                 ∵. ・ (     ) |
                     ヽ===ノ三|
                    | ̄ ̄ ̄



静HARD軍は無限一機アップの方法を確立、
それを兵士すべてに実行させていたのだ。

「何じゃそりゃ!?」

「これにより、兵士の残機は99人になり。
 静HARD軍は実質99倍の兵力を確立したのだ!」

「…スゴイ!その方法はもう残されてないの?
 アタイも残機99になりたい!」

「あんたが99人って悪夢以外の何者でもないわ!」


さすがに希望の面一つだけでは全静HARD軍×99の兵士は相手にできない。
そう思った神子軍は次の手に出た。

「次の手って…もうこの時点でイヤな予感しかしないわね。」

「いったいどんな手に出たって言うんだ?」


                     ノl、       /|   ノl、       /|   ノl、       /|
                  .   i  ヽ、    __ノ {.   i  ヽ、    __ノ {.   i  ヽ、    __ノ {
          _____ Π   {   __>---<´   }  {   __>---<´   }  {   __>---<´   }
.          /       / ト=〕.  ,ゝ ´,r- ,  ,.-、ヽ . .  ,ゝ ´,r- ,  ,.-、ヽ ./.  ,ゝ ´,r- ,  ,.-、ヽ ./
          /       /. |/》  ソ /NVヽ. /V∨|`フ   ソ /NVヽ. /V∨|`フ   ソ /NVヽ. /V∨|`フ
______./       / /|||||__/,| l|( 0 ) ( 0 )|く`i_ /,| l|( 0 ) ( 0 )|く`i_/,| l|( 0 ) ( 0 )|く`i
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ニ@ニ@ニ@.! |_|:|_|__.| ニ@ニ@ニ@ニ@ニ@ニ@ニ@ニ@ニ@ニ@ニ/ ̄ ̄ ̄ ̄/!ニ@ニ@ニ@ニ@ニ@ニ@ニ@ニ@ニ
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  キュルキュルキュルキュル…
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工場を設立し、希望の面の量産体制に入ったのだ。


「ほらイヤな予感的中!
 神話の時代に工場って何!?古代に量産体制なんて言葉あったの!?」

「実際にそう伝わってるんだ!仕方ない!」

「伝わってるから仕方ないで済む問題じゃないわよ!」


とにかく短期間で大量のお面を生産するため、神子軍は全技術をそそぎ込んだ。

大型機械の導入。
お面の素材を安価なものに変えることによるコスト低減、
流れ作業の効率化。

しかしそこで立ちはだかる大きな壁!
スポンサーからの突然の契約打ち切り!
希望の面量産プロジェクトはこのまま座礁に乗り上げて…。

「はい、盛り上がってるところ悪いけど、
 そこでストップストップ!」

「何だ、良いところなのに。」

「イヤ、何かそのまま方っておいたら絶対プロジェクトXみたいな展開に突入しちゃうでしょ。
 ただでさえ長そうな話をこれ以上長くしないで、
 結果だけ伝えてお願い。」

                ,. -‐- 、
              /、、:::::::::::', __
                | \ 、::::::i⌒ヾ
            \、.ト、  〉〉:::|  }i
             ,.>/ ̄>┴<´
           / /  / 〃⌒ヽ `ヽ
         / 〃  / ィ ノ 、  ', ',  i
         ,ィ八/  /ゝ、レ'`ヽノ/、 .}i 〈
      〃/   lY ( ヒ_]    ヒ_ン)イ ハ
        ∨〈: ノノリ'"   ,___,   "'i_ノ ノ
        ノハ i  ハ   ヽ _ン   ノ ハ{
        jハ 从>,、 _____ ,.イ イリ
        }ノ  )イ ノヽ二lア 、_ノイ

「…本当にいいのか?これから工場長であるとじこが体を張って
 プロジェクトの存続のために奮闘するんだぞ?」

「工場町の活躍なんかどうでも良いから!
 これ以上話が横道にそれたら本筋を忘れちゃうわよ!
 主に作者が!」

「…そうだな、じゃあ要点だけ話そう。」


           \        入          ζ_ノ´ _,. -‐'′\     /:::.:.:/
       ト      \__  ,.ィ⌒i`゙、_     _,. -‐ '´       )   y';; .:;;ト
   ヽ、i / .∠     |   /   ○  `T´ ̄              ノ   /:::;::;;;/ー
    / y'_/ガラッ    .|  /      )   '、___.  _    __,.-‐'´ヽ、メ;;; .:.メ
ゝ-+-::i⌒ヽ        | .|      ノi        ̄|「 ̄  .  _,.ノ  .|/ :::;;;::/、
 __/::| |>>214      |  |     / .i、 .__,. -‐' ``ー-=''ニ_i|`i  i |ゞ;;;_ン
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  /i ::し//        | ) ,ィ'´          |." ̄     ̄ノ( ./r--/ム  
    ::| ((         | ノ ,ノ. /          |    ー=ョ'  ⌒/r-'´  \ 
               |    i |r .i  i i   ヘ、_     ./r'rー'´'   ヽ、
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            , -ーヽ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽー-.、
         ハ   `ヽー― , --──-―/   ハ
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        ト      |/  /  ,ハ   ,ト  ト、ヽ f' イ  。r *o:*::f:::r:..l
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     __/| | l |ヾ-"~  | i  rr=-,::::::::.:r=;ァ |.」__」  .i-v-''''''"V"~~┴ 
  l⌒ 二 -l ..uUU""l´  | |  ノ(       Yヽヽ  ノ
 └    l  (  /`ゝヽ人 ⌒ 'ー=ョ ノ( 人,!| / 
      .|   ., -ソ〈 メ、ヽ、>,、 _____, ,. ^イレイ〉り

           ___ _
        ,.:''´::::::::>‐─``-....,,_
      /:::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::`':,
   , -<;::::::::::/::_、:, --──- ::;;_::::!\
  ハ,    `ヽ:::!/          ``ヽ,丶
  |      O' i   ハ   !ヽ ナト、ヽ  f' |
  ト       |  `ト--ヽ_|  --丶 !  |ノ
 /      ,.ハ_.,イ ( ヒ_]    ヒ_ン) | |__|  
/   / /   | | ""   ,___,  ""`|´ヽ
(.   !/´`!、  ヽハ     ヽ _ン    ノ\!
 \ |   ) 八 \''        ,ィ' ハ 〉
   ソ   (ノ´\ヽ_ `i tァ‐<´!/`∨
   |)   `,-‐'´ ヽヽ|\|ヽ! \| `ヽ ヽ      ri                   ri
    l l    ヽr‐─ヽ_|_⊂////;`ゞ--―─-r| |                   / |
    ゙l゙l,     l,|`゙゙゙''―ll___l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l
    | ヽ     ヽ   _|_  _       "l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |二;;二二;;二=''''''''''' ̄ノ
    /"ヽ     'j_/ヽヽ, ̄ ,,,/"''''''''''''⊃r‐l'二二二T ̄ ̄ ̄  [i゙''''''''''''''''"゙゙゙ ̄`"
   /  ヽ    ー──''''''""(;;)   `゙,j"  |  | |


その後、なんやかんやでにとりが神子と静HARDを滅ぼし、天下を取ったのだ!


「どこからともなく現れた第三勢力が天下とったぁああああああ!」

「こうしてにとりは全てのゆっくり達の長になり
 後のゆっくりの国の基盤となる…。」

「ま、待って、端折りすぎ!飛ばしすぎ!
 一体どういう経緯でにとりが天下を取ったのよ!」

「そうだな、具体的には両方でクーデターを起こして、
 混乱のドサクサで乗っ取ったらしい。」

「黒い!完全ににとり黒幕じゃないか!」

「で、残党はのとじこ暗黒工場長が先滅した。」

「工場長裏切ってる!つーか暗黒って何だ!一体何があったんだ!」

「あのとき、神子様が青峨とあんな事しなければこんな結果にはならなかったのかもな…。
 とじこはそんな心の隙をつかれて…。」

「あああああああああ!何があったのよ!とじこ工場長に何があったのよ!
 こんな事ならはしょれって言わなければ良かったぁー!」

~☆~

「…と、まぁこれが希望の面にまつわる昔話だ。
 これで、希望の面がどれほど恐ろしいものかわかったろう。」

全てを語り終わり、リーダーは⑨課の面々の顔を見る。

「…れいむ、解ったか?」

「れいむが理解できたのは、にとりクズという事実だけだよ。」

「まりさも工場長可哀想と言うことしか解らなかったぜ。」

⑨課の面々はいまいち理解できていないと言う表情をしていた。
リーダーはその様子を見てため息をつき、こう叫んだ。


      ,.ィ , - 、._     、
.      ,イ/ l/       ̄ ̄`ヽ!__
     ト/ |' {              `ヽ.            ,ヘ
    N│ ヽ. `                 ヽ         /ヽ /  ∨
   N.ヽ.ヽ、            ,        }    l\/  `′
.  ヽヽ.\         ,.ィイハ       |   _|  とにかく、この太古に作られた希望の面は恐ろしい力を秘めているんだ!
   ヾニー __ _ -=_彡ソノ u_\ヽ、   |  \
.      ゙̄r=<‐モミ、ニr;==ェ;ュ<_ゞ-=7´ヽ   >  そしてこいつをどうにかしなければお化けを倒すことができない!
.       l    ̄リーh ` ー‐‐' l‐''´冫)'./ ∠__
       ゙iー- イ'__ ヽ、..___ノ   トr‐'    /  それだけ理解していればいい!
       l   `___,.、     u ./      /_
.        ヽ.  }z‐r--|     /          |  ,、
           丶、`ー-- '  ./           l/ ヽ   ,ヘ
           `ー--‐ _´..                \/ ヽ/



 
 
「…あ~そういう事ね。」

「要するにこいつが全ての元凶と、そう言うことなのか。」

何となく理解できた⑨課の面々であった。


「…全く、長々と話してないで最初からそう言えばいいじゃない。」

「…うるさいな、こういう話をした方が何か気分が盛り上がるだろ?」


ちるののツッコミに、リーダーは反論する。

「で、どうにかするってどうするのだ?」

で、ゆーぎがリーダーにそう問いかける。

「ただ破壊するだけじゃ駄目だ、浄化の炎で面に込められた恨み毎焼き付くす必要がある。」

「じょ、浄化の炎?」

「その炎を使うためのスペルカードがここにある!」

リーダーはそう言って一枚のスペルカードを取り出した。
カードに書かれているのは燃え上がるような炎と皿だ。

「何だ?見たことのないカードだな?」

ゆーぎはカードを見て首を傾げる。
しかし、レティはカードを見て顔色を変える。

「…!そ、それってもしかして「大火の改新」!?」

「…流石だな、そうだ、これはもっとも危険度の高いスペルカードと言われている大火の改新。
 発動すれば半径1キロを浄化の炎で焼き付くすという恐るべきスペルカードだ!」

「え、えぇ!?」

「は、半径一キロ…。」

半径一キロもあれば詰め所どころか隣の家も余裕で範囲内。
⑨課の面々は思わず後ずさりしてしまう。
しかし、その中だけレティだけがリーダーに近づく。

「…ちょっと、普通のゆっくりがスペルカードを所持するだけで違反なの解ってるわよね?
 それだけでも危ないのに、そのスペルカードは特A級の危険物。
 そんなモンを警察である私たちに見せるなんて
 あんた逮捕してほしいと言ってるようなもんじゃないの?」

にらみつけてくるレティにひるむことなく、リーダーはこう言った。

「…お化けを倒すためだ、今回ばかりは大目に見てほしい。
 それに、安全策は用意してある。」

「え?」

「お前等、準備は終わったか!?」

リーダーはそう言って希望の面が詰まった穴がある方へと振り向く。

「もう完了しましたよー!」

そこにいたのは二人の部下と、穴を囲むようにたてられた木製の壁だった。

「な、何よあれは。」

「あの壁の中で大火の改新を発動させる。
 そうすれば被害はあの壁の中だけというわけだ。」

「え、そ、そんなので被害を防げるの??」

リーダーの話を聞いてレティは目を丸くする。
そりゃそうだ、半径一キロメートルを焼け野原にする炎が
こんな板切れで防げるとは思えない。

「論より証拠、やってみれば解る。」

リーダーはそう言ってカードを持ったまま
壁で囲まれた穴の方へと向かっていく。

「悪いが踏み台にさせてくれ。」

「ほう、俺を踏み台にするとは言い度胸だな、
 後でジュースを奢ってくれ、9杯でいい。」

「ああ解ってる、後で幾らでも飲ませてやるからな!」

リーダーは体の有る方の部下の頭の上に乗り、
木の壁の上の方へとやってくる。

「古代より伝わる浄化の炎よ、太古より伝わる忌まわしき呪いを断ちたまえ!」

リーダーはそう叫びながらカードを壁の中に投げ入れた!

⑨課の面々は穴を囲む壁をジッと見つめる。

十秒…三十秒…しかし、壁には一向に何の変化も見受けられない。


「…な、何よ、あんな大口叩いておいて、何にも起きないじゃない…。」


レティがそんなことを呟いた、次の瞬間だった。





          ,,-'  _,,-''"      "''- ,,_   ̄"''-,,__  ''--,,__
           ,,-''"  ,, --''"ニ_―- _  ''-,,_    ゞ    "-
          て   / ,,-",-''i|   ̄|i''-、  ヾ   {
         ("  ./   i {;;;;;;;i|    .|i;;;;;;) ,ノ    ii
     ,,       (    l, `'-i|    |i;;-'     ,,-'"   _,,-"
     "'-,,     `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '"  _,,--''"
         ̄"''-- _-'':::::" ̄::::::::::::::::;;;;----;;;;;;;;::::`::"''::---,,_  __,,-''"
        ._,,-'ニ-''ニ--''" ̄.i| ̄   |i-----,, ̄`"''-;;::''-`-,,
      ,,-''::::二-''"     .--i|     .|i          "- ;;:::`、
    ._,-"::::/    ̄"''---  i|     |i            ヽ::::i
    .(:::::{:(i(____         i|     .|i          _,,-':/:::}
     `''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i|      .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
       "--;;;;;;;;;;;;;;;;;""''--;;i|      .|i二;;;;;::---;;;;;;;::--''"~
               ̄ ̄"..i|       .|i
                 .i|        |i
                 i|        |i
                 .i|          .|i
                .i|           |i
               .i|      ,,-、 、  |i
               i|      ノ::::i:::トiヽ、_.|i
           _,,  i|/"ヽ/:iヽ!::::::::ノ:::::Λ::::ヽ|i__n、ト、
     ,,/^ヽ,-''":::i/::::::::/:::::|i/;;;;;;/::::;;;;ノ⌒ヽノ::::::::::::ヽ,_Λ
     ;;;;;;:::::;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;;:::/;;;;;;:::::::::;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::;;:;;;;:::ヽ




ボォァアアアアアアアアッ!


「うわあっ!?」「な、何!?」


突然のデカい音に驚く⑨課の面々。
壁で囲んだ穴の中から、いきなり火柱が吹き出したのだ。


「成功だ!大火の改新は無事に発動したぞ!」

「やったど…や、やりましたね!先生!」


MMRリーダーは近くにいた部下と一緒に成功を喜び合っている。

「せ、成功?じゃあこの炎は…。」

時刻はもう[[夕暮れ]]、空には茜色の夕焼けが映し出されている。
その夕焼けをもっと赤くせんとばかりに燃え上がる火柱を見て
そう呟いているレティに対し、リーダーはこう言った。


「そう、これこそが浄化の炎、後はこの炎が仮面を燃やし尽くすまで待てばいい。」

「……。」

「さて、本題はここからだ。」


リーダーはさらに凛々しい顔でレティにこう言ってきた。


「お払いは成功した、出すものを出してもらおうか。」

「な!?」


レティは思わずそんな声を上げてしまう。


「は?じゃないだろう?一応幽霊は何とかしたし勝負には勝ったんだ。
 それなりのご褒美はもらったって罰は当たらないだろう?」


そう言って詰め寄ってくるMMRリーダー。
一瞬、言葉に詰まるレティ。
だがすぐさま呼吸を整え、レティは反論する。

「う…うるさいわね!まだこっちの除霊は終わってないわ!
 両方終わってから結果を出すべきじゃないの?」

しかしリーダー、それを聞いてハンと鼻で笑う。

「私の見る限りじゃあ、お前たちがしたことはラーメンを作って臭い芝居をしたくらいにしか見えないが?」

「ぐうっ!」

本心では否定したい、でも事実だから反論できない。
レティは言葉を詰まらせてしまう。

「うわぁ~すごいね!花火大会なんか目じゃないね!」

「これだけ凄い炎ならお化けもひとたまりもないだろうな!」

何より⑨課の面々はこれで無事にお化けを倒したと納得している。
当初の目的をこいつらは果たしてしまったのだ。

「…じゃあ、報酬についての話に移らせてもらおうかな…。」

リーダーがレティに向かってそう言ってくる。

「レティ副長、ここは素直に報酬を払った方がいいんじゃない?」

「実際お化けは倒したんだし、お礼くらいはした方が…。」

部下達までそんな事を言ってくる。

「う、うう…どうする?本当に払うべきなのかしら?」

レティも払うべきかどうか悩み始めたその時だった。



「…おい!ちょっと待ってくれ!」


燃え上がる火柱を見ていたゆーぎが慌ててリーダーに呼びかけてくる。

「何だ?こっちは今、大事な話をしようとしているのだが…。」

「いや、さっきからこの燃え上がる炎を見ていたんだが…
 何だかおかしくないか、この炎?」

「え?」

言われてリーダーもまだ激しく燃え上がっている火柱の方を見る。
相変わらず派手に燃え上がっている以外何の変化もないように見えるが…。


いや、違う。


リーダーも確かに確認した。
激しく燃える炎の中に蠢く何かがいることを。


「な、何だ?炎の中に何かがいる?」


リーダーもこれは予想外の事態だったらしく、冷や汗を流して焦っている。

「どう言うこと?まさかお化けを倒しきれなかったのか?」

⑨課の面々もそんな事を言い出している。

「そ、そんなバカな、まさか本当に…。」

「て…リーダー!だからやめた方がいいって言ったど!」

「しかし受けた勝負を断るのは心が醜い。」

MMRも予想外の事態にひそひそと相談を始める。
「な、何が起こるって言うのよ…。」
レティがそんな事を呟いた次の瞬間。


ごおっ!


炎の中から燃え上がる何かが飛び出してきた!
胴無しゆっくりより一回り大きいサイズでかなり大きい。
⑨課の面々の視線もその火の玉に釘付けになる!


「何だ!あの火の玉は!」

「まさか、人魂って奴!?」

「ち、違うぜ!あれは…あれは!」


                (   ) ))
                ((⌒  
       }゙i        (⌒((⌒))  )) ,     「i
      ノ |        (⌒( ⌒ ) ⌒ )      | ヽ
 ト、    | |       ( (( ⌒ )) )        l  {    /}
 ヽ ヽ  〈、 i、       ((    ) ⌒))       |.ム   / !
.  ヽ ヾ,、_rL |      从ノ.::;;火;;;从;; 从))゙ メラメラ    ‐' /
   \ : ∵爻、   从::;;;;;ノ  );;从;;;;;从       : . /
      ヽ ∵ ヾk  从;;;;;::人 ;ノ;从;;;;;从人 ̄| _}i}∴ ∵ /
       \ ∵{=、,       cr炎ro     _fiヾk: :/
           ヽ∠__ノァt-、  /,仝yハ    ∠rtゝ-‐ '
            ゞニヾハ.  }K以ムハ  //> ′
                  >、ヽ }ニネネ冫:i/∠、
              /へ\ `ー八‐‐'_/' へヽ
             〃   >,才¨^¨弋ヽニニヾk
            {/,<- '/ /      \\  「|l|
             |{   トi′      > 〉 {.{l}
               |l  /7        //   !|
            {{  〈ハ}      z'_/    k!




「燃え上がるまっかちんだぁああああああ!」


前進を派手に燃え上がらせて飛び上がるそいつを見て
誰かが大声でそう叫んだ。
ちなみに、まっかちんとはザリガニのことである。


「ど、どういう事だ!?何で炎の中からザリガニが飛び出してくるんだ!?」


予想外すぎる事態にゆーぎは何が何だか解らない状態になっている。
一方、レティはそのザリガニの姿を見て何か思い当たることがあるようだ。


「ザリガニって、まさかあの報告書の…。」


あの報告書とは、前話で目を通した庭捜索に関する報告書である。
後半の方で、調理してしまった鯉の代わりに河原で捕まえたザリガニを池に放したという報告があった。
まさか、あのザリガニがそうだというのか。


「つーか、何かデカすぎない?」

「あのAA、イメージか何かじゃなくてホントにあのサイズだったのね…。」


そしてレティはザリガニを見て率直な感想を言った。
胴無しゆっくりより一回り大きいと言うことはだいたい40センチから50センチはあるという事だ。
明らかに一般的なザリガニの大きさではない。
こんなもんがその辺の河原で捕まえることができるなんて。
相変わらずゆっくりの国の生態系はどこか狂っている。


「げ!まだ出てくるぞまっかちん!」


しかもザリガニは一匹だけじゃなかったらしい。
激しく壁の中から吹き出してくる火柱の中から
同じくらいのサイズの火の玉がどんどん飛び出してくる。
もちろん、その正体が燃え盛るザリガニなのは言うまでもない。
最終的にザリガニは十匹くらい飛び出してきた、そして。


「うわぁああああああああ!」


それらは全てMMRに飛びかかってきた!
どうやら自分達の体に火をつけた犯人に怒りを覚えているようである。
当然と言えば当然だろうが。


「ちょ、ちょっとコッチにくんな!」

「ハサミが!炎がぁあああああ!!?」

「ちょっとこれシャレにならんでしょ…。」


まっかちんの猛攻にMMRは手も足も出ず逃げ回る。
そんな光景をただ呆然と⑨課の面々は見つめるのみ。


「…えーと、一応警察としては
 とりあえずあいつ等を助けるべきじゃないかレティ?」


ゆーぎがレティにそんな事を問いかけてくる。


「…そうね、一応市民を守る警察だったわね、
 それに、このままじゃああいつ等のせいで庭が大火事になっちゃうわ。」


燃えまくっているまっかちんはMMRを追いかけて庭中を走り回っている。
庭に生えている草木に火が燃え移ったら面倒なことになるだろう。


「ちるの、後で奢るから協力してちょうだい!」


レティはちるのに協力を要請する。


「…え~?」


それを聞いたちるのはあからさまなまでにイヤな顔をする。

「…何よ、その不満げな顔は!」

「だって、レティの奢るってたいていラーメンじゃん…
 あたい、脂っこいのはちょっと…。」

「…じゃあ、スイカバーとガリガリ君。」

「乗った!」

ちるのはさっきはと一転して目を煌めかせながらそう言った。
何という単純な性格。
まぁ、レティとしてはラーメンより安上がりだから別にいいが。


「そんじゃあ、同時段幕でまとめて片づけるわよ!」

「ちゃんと付いて来てよ!レティ!」


それはコッチの台詞よ、そう思いながらレティはスペルカードを取り出した。
ちるのも既にスペルカードを取り出している。

「リンガリングゴールド」

「アルティメットフリザード」

事前に示し合わせたわけでもなく、合図を決めていた訳でもないのに
二人のスペルカード発動タイミングはほぼ同じ。
長年の腐れ縁故に自然と息があってしまうのだ。

そして氷の弾幕は相乗効果で庭の気温を一気に氷点下まで下げてしまう。


ピキ!ピキピキピキイイイイイイッ!


そして暴れ回っていたまっかちん達も一瞬の内に凍りづけに変えてしまう。

「おぉ~~~…。」

その見事なまでの威力を見て、⑨課の面々は思わず関心の声を漏らしてしまう。


「まぁ、こんなモンね、さて、あいつ等はドコに…。」


レティがまっかちんから逃げ回っていたMMRを探そうとしたその時だった。



ヒラヒラヒラ…。


上空から、何かがひらひらとレティの前に舞い降りてくる。
レティは反射的にそれをキャッチする。


「レティ、何だそれ、パンツ?」

「違うわよちるの…これ、何かしら?」


気になったレティはそれを広げてみる。
…ズタズタでちょっと焦げ臭いそれは一目見ただけじゃ解らなかった。
…が、暫くそれをジッと見つめていたレティは
その正体に何となく気づく。
ふと庭の方を見ると、隅っこの方で何かが動いているのが見えた。


「…あ~死ぬかと思った…何なのさ、あのザリガニは…。」

「実は池に細工しているときにあいつ等にあったんだが
 追い出そうとしても激しく抵抗するので
 希望の面で無理矢理封じ込めてた。」

「な、何でそのことを報告しなかったんだど、てんこちゃん…。」

「本当は報告しようとしたんだがその前にお前達が来てしまった、
 お前、急ぎすぎた結果だよ?」

「…だからって賃鱈やってたら気づかれる可能性だって…ん?」


雑談をしながら呼吸を整えていたときに感じた妙な視線。
ふと、視線を上に上げると、そこには白い目で見つめている⑨課の面々の姿が。

「…え?」

状況が理解できないでいると、⑨課のまとめ役の一人であるレティが
自分の目の前にあるものを投げ捨てた。

       ,ィ, (fー--─‐- 、、
     ,イ/〃        ヾ= 、
     N {                \
   ト.l ヽ               l
   、ゝ丶         ,..ィ从    |
   \`.、_   _ ,. _彡'ノリ__,.ゝ、  |
     `ゞf‐> ;ハ二r^ァ < y=レヽ
      |fjl、    リj^ヾ)    ノ レ リ
      ヾl.`ー- べl,- ` ー-‐'  ,ン
        l     r─‐-、   /
         ̄ヽ、 ̄ ̄ ./ ̄
           `:ー '´

それは、まっかちんに攻撃されている内に外れてしまった、
変装用のお面だった。
そしてゆっくり達は理解した。
自分達の正体がバレてしまったことに。


「…あんたら、こんなモン被って一体何してるのよ…。」


                                                           _  ト 、
                                                           \ `ヽ! ,ハ
                                                         ,. -─-\, | /,. -‐─-..、.,    /|
                                                       ∠.,,__   `>'´::::::::::::::::::::::::::::`::、/ /
                                                          __`>'´-‐-、::::::::::::::;:'´ ̄i`Y   ./__
                                                          \__:;:. ''"´ ̄`○)i   ノ ハ/  __/
      ,. -‐-、        ,.- 、           ,. -───-- 、_                  /         ´ ヽ、__ノ::::`''<i   
     /     i      /,   ヽ.    rー-、,.'"          `ヽ、.               /  .  /    __ ヽ.    \:::::::::::::\ 
    /      ハ├──-//i    i    _」::::::i  _ゝへ__rへ__ ノ__   `l              ,' /  ,'   ,!   ,ハ` | |  |  ` ー--r‐'
   ,'      / ソ::::::::::::::::::ヽ、!    |   く::::::::::`i / ゝ-'‐' ̄ ̄`ヽ、_ト-、__rイ、    }^ヽ、     i. ! .i__!_ノ ''ァ‐テ‐、!__ハ |/  !      !
   i   /:;:::::::::::::::;:::::::::::::::ゝ、____ノ  .r'´ノ\::::::::  /イ,.イノヽ! \ レ ヽ,_`ヽ7ヽ___>、_ ノ ハ } \| |  | (ヒ_]  レ'  ヒ_ン )レ/  /     !
    〉--' /:/、__;:ィ::ハ::、_;:!:::i:::ハ::〈  /ヽ/ r'´ ィ"レ´ ⌒    ⌒  `!  i  ハ /  }! i ヽ   | 八 !!"" ,___,   ''" / , '       !
   i::::::::/::::::ハ_ニ;、,レ レ、_;、ゝ::::|:Y / / ハ ハ/ !     △   ∪ i  ハ  〈〈{_   ノ  }  _」  |'/ \|',   ヽ _ン    / /|      |
   ハ::::::::レヘ::i' rr=-,´   r=;ァハソ:::ハ ⌒Y⌒Y´ノ /l           ハノ i  ヽ⌒Y⌒Y´    ノ´ / ヽ、       / / ,ハ    |  |
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   ノ:::::::::::::ハヽ、 u ヽ _ン ノ::::i:::(       ノ レ^ゝi>.、.,_____,,...ィ´//レ'ヽハヘノ          /   /  ,'r,ソr/ ̄/  ,'/     \  !
  イ:::/::::::/:::イヽ>, -r=i':´イ:::ハノ                                   /     /)/ 「7‐|7  .  /        `ヽ!
  〈rヘ:::::!::レ´   `y二」ヽレ':::〈

「ア、アハ、アハハハハ…。」

MMR…その正体である万事屋てゐ三人組はとりあえず空笑いするしかなかった。



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最終更新:2013年10月14日 11:44