勝手口の悲劇から既に24時間が経過。
すっかり日が暮れた街の一角で仄かに明るく光っている場所があった。
その場所で開かれているのは…。
「んめぇ!まっかちんうめぇ!」
「ザリガニなんて食べられるのかと思ったけど以外といけるなこれ!」
公安⑨課によるザリガニパーティであった。
灼熱の炎で程良く焼きあがったまっかちんは極上の味に仕上がっており、
ゆっくり達はその味に舌包みを打っていた。
「おうおう、みんな凄く盛り上がってるなザリガニで。」
「まぁ、みんなザリガニがこんなに旨いなんて思わなかったでしょうし。」
ゆーぎ所長の隣で大ちゃんがそんな事を言いながら
ザリガニのなおり草包みを食べていた。
「ホント、これは予想外の新食材ね…早速三郎店長に渡してきたわ。」
そう言いながらレティもザリガニを食べている。
しかも、胴無しゆっくりの一回りデカいサイズのザリガニにがぶり付いている。
「…念のために聞くが、それ食った後にラーメンも食べるのか?」
「…?当たり前でしょう?何を今更。」
冷や汗混じりで問いかけるゆーぎに向かってレティはさらりとそう答える。
…底なしすぎるレティの食欲に、恐怖すら覚えるゆーぎであった。
「…あの~…。」
と、そんなレティに声をかけるゆっくりが一人。
「…何?」
そう返してくるレティの表情は明らかに不機嫌なものだった。
それでもそのゆっくりはレティにこんな事を言ってくる。
「…身動きできないんだけど、何とかしてもらえないかな?」
「はぁ?何とかしたら逃げ出すのは目に見えてるからダメに決まってるでしょ!」
そのゆっくりの要求を速攻で却下するレティ。
「まぁ、そりゃそうだよね、じゃあそれは良いからさ。
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ヽ ∵ ヾk l||! _}i}∴ ∵ /
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ヽ∠__ノァt-、 /,仝yハ ∠rtゝ-‐ '
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せめてこの鼻を挟んでいるザリガニ捕ってくれない?」
半分生き埋めにされ、鼻をおもいっきり挟まれた状態で
てゐはそう懇願してきた。
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_」::::::i _ゝへ__rへ__ ノ__ `l
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ト、ト、 | /ヽ/ r'´ ィ"レ´ ⌒ ⌒ `! i ハ / }! i ヽ
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「うぉおおおおおお、は、鼻に、鼻に食い込んでくるどぉおおおお…。」
「このままじゃあ俺の鼻がハサミでマッカなんだが…。」
ちなみに後ろで他の二人も同じようなお仕置きを受けている。
「こっちを騙そうとしておいてその態度はぶてぶてし過ぎるわよ!」
レティは怒りの表情でてゐ達に向かってそう怒鳴りつけた。
これに対し、てゐはこう反論する。
「騙そうとしていたなんてそんな、
私らは言葉巧みにあんた等からお金を巻き上げようとしただけじゃん。」
「そういう行為を一般的に騙すって言うんじゃないかな。」
散るのがその反論を論破して、てゐはうぐっと言葉を詰まらせる。
「てゐさん、だかられみりゃは言ったんだど…
絶対失敗するって…。」
「私は絶対成功するって思ったんだけどねぇ…。」
そういっててゐは空笑いする。
「で、何でこんなバカなことをしたんだ?お前達?」
ゆーぎ所長がてゐ達にそう問いかける。
それを聞いたてゐはフッと笑って、こう答えた。
「そんなの、金が欲しいからと言う理由以外に何があるというのさ?」
持たざるものであるが故に、持つものから奪い取る。
これ以上は無いくらいシンプルな行動原理だった。
「…金がないってそんなのあんた等にとってはいつものことじゃん。」
そして、ちるのが実に的確すぎることを言ってくる。
てゐ達の金欠は、今に始まった事じゃあない。
「今回ばかりはホントに洒落にならない財政難だよ…。」
「家賃どころか、今日食っていけるのかさえ怪しいある様
お前調子に乗った結果がこれだよ。」
「みま様の家賃催促が怖くて、万屋にも帰れない状況なんだど…。」
万事屋三人組はそう言って深いため息をつく。
どうやら本当に洒落にならない状況に陥ってるらしい。
「…そんなに依頼人が来ないのか?」
「いや、一応来る、一応来てるんだけど…。」
「事務所にクーラーが無くて蒸し暑いから依頼人が万事屋の中に入るだけで、
「暑苦しい、依頼の話がしにくい!」と出ていく。」
「実際、今、中にいられないほど暑苦しいしね…
てんこちゃんもてゐさんも外で寝てるし。」
「まったくさ。」
「アハハハハハハハ。」
今度は三人で何処かの人形静止アニメの用に空笑い。
その笑いが妙に寒々しい。
「で、マトモに商売できる状況じゃないから
思いついたのが霊感商法ってインチキ商売なわけ?」
「インチキ言うな!お客さんは金を払ってうちの派手な霊媒パフォーマンスを見せてもらってるんだ!
あれだけのものを用意するのにどれだけの金がかかったと思ってるのさ!」
「ぶっちゃけお金は全然かかってないけどね。」
「ちょ、余計なことを言うな。」
れみりゃのつぶやきを聞いててゐは思わず怒鳴りつける。
「う、ゴメンだどぉ…。」思わず小さくなってしまったれみりゃだった。
「お金が掛かってないってどう言うこと?」
「例えばあの部屋中に敷き詰められた宝塔は
そこいら中でゆっくり星が落としたものを拾ってかき集めたものだし。
「あ、そこは本物なのか。」
「後でここに置いていく予定です。
落とし物だしね。」
「…くっそっ、卑怯な奴め。」
レティは思わず舌打ちする。
「それと、「大火の改心」もただの紙切れ、偽物のスペルカードだしね。」
「え、あれ偽物なの?」
「本物がどれだけ高いか知ってる?私等の今の財力で用意できる訳が無いじゃん。」
「ああ…。」
言われてみれば納得のいく理由であった。
「じゃあ、あの大量の希望の仮面もどっかで拾ってきたか自作したわけ?」
「……。」
ちるのの問いに難しい顔になるてゐ。
「何よ、その難しい顔は。」
「いやぁ、あれは拾ってきたとか作ったとかじゃなくて、
押しつけられたもの、だからねぇ。」
「は?それってどういう意味?」
「あれ、前にお寺の屋根の修繕依頼を引き受けたときに
もらった報酬なんだど。」
「報酬!?」
「うん、何かあれを大量に作りすぎたせいでこっちに払う報酬がないからって
段ボール十箱ほど、無理矢理。」
「うわぁ…。」
そこは流石に同情を禁じ得ない。
おそらく、何処の寺や神社も同じような状態で希望の面の処分に必死なんだろうな、と
さっきの神社やお寺のHPの様子を思い浮かべながら考えていた。
「全く、依頼したときはちゃんと現金で払うって言った癖に…。」
てゐはブツブツとそんな事を呟いている。
「…普通に現金で払えって押し返せなかったの?」
「そんなもんとっくに実行してるに決まってるでしょう?
でも結局実行できずにスゴスゴと帰ってきた。」
「は?何でよ?」
レティはてゐの方をみる。
てゐは罰が悪そうなか押してこう呟いた。
「交渉にいったらね、「もし、それを突っ返すというのなら、
傘地蔵がごとく夜更け万事屋にやってきて希望の面でデコレーションしてやる」って言われました…。」
「何それ、怖い。」
「神主の必死な目を見て、あこれ本気だって思って素直に引き下がりました。」
どうやら現在のゆっくりの国の神社界隈は希望の面の処分に必死らしい。
いったい、何があったんだろうか、まぁそんなの神主でも巫女でもないレティ達に解るわけもない。
「で、まぁ大量に押しつけられたこいつをどうするか
ホントに困り果てたわけ。」
「普通にゴミに出そうにも量が多すぎて普通にゴミ捨て場には出せない出しにくい!、
質屋に売ろうとしても「それを売るなんてとんでもない!」とか言われるありさま。」
「まぁ、完全にどうしようか、悩んでいたときにてゐさんがこんな事を言い出したんだど。
…これ、ホラーに使えね?って。」
「何じゃそりゃ?」
「初めて聞いたときはれみりゃも同意見だったど。」
「いや、まぁ言葉通りの意味なんだけど。」
てゐはハサミを振り解こうと顔を上下に運動させながらそう説明を続ける。
「こいつ見てさぁ、思った訳よ、見つめていると何か恐怖を感じるなぁって。
で、こいつでホラー的な演出を行えば何か良い儲け話にならないかなって。」
「…儲け話って。」
「いろいろ考えた末にたどり着いたのが
今回の霊感商法ってわけ?」
「…何つーか下らないことを思いついたのね、あんた。」
「これでも色々考えたんだよ、その道のプロっぽさを醸し出すためにマスクを調達したり、
このお面でそれっぽい雰囲気を醸し出すためにはどうしたらいいか色々試したりさ。
後、伝承でっち上げるのにも色々それっぽく聞こえるように
三人で話し合ったりもしたねぇ。」
「…その努力を万事屋の経営に回せば良かったのに。」
「う…。」
ちるのの正論で、てゐ達は精神的にダメージを受けたようだ。
「…最初のターゲットがまさかこいつ等の本拠地だったのが誤算だったかなぁ…。
ザリガニの大群に襲われたのも予想外だったし。」
「実は希望の面を入れるために池の水を抜いた時点で襲われた、
あわてて希望の面で動きを封じ込めたがドッコイザリガ二は生きていた。」
「ガソリンをタップリ染み込ませた希望の面に押しつぶされて
しかも火を付けられたのにまだ動いているとは思わなかったど…。」
てゐ達三人のゆっくりはかなり落ち込んだ様子でハァとため息をついた。
「…全く、相変わらず困った奴らだなこいつ等は。」
ゆーぎ所長もあきれるしかないと言った顔である。
ふと、彼女はTENGAから腕を出し、ローションまみれの手のひらをじっと見つめる。
「同下の所長。」
「ローションが温くなってきた。
冷蔵庫で冷やしてある奴と取り替えてくる。」
ゆーぎ所長はそう言って積め所の中に戻っていく。
「ねぇ、とりあえずこいつ等どうするのレティ?」
ちるのはれてぃにそう問いかける。
「取り調べに決まってるでしょ!今回の件について色々聞かなくちゃいけないし!」
「アハハ~お手柔らかにお願いします~。」
てゐは空笑いしながらそう答える。
「警察騙そうとしてその態度なんてふざけんじゃないわよ、
こちとらマジでお化けに頭悩ませてるのに、
おちょくるような真似してからに!」
「…え?もしかしてマジで出てるの、お化け。」
れてぃの言葉を受けててゐが意外そうな顔をする。
「ええそうよ!部下達が何人も目撃してるの!」
「…あ~何かあっさり引っかかったと思っていたけど
そう言う背景があったんだどね。」
れみりゃが何となく納得した顔になる。
「…普通に痛い発言だよね、それ。
今ザリガニに挟まれているこの鼻の三倍痛い痛い発言だよね。
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/ ハ├──-//i i
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ハ::::::::レヘ::i' rr=-,´ r=;ァハソ:::ハ ヘラ
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ノ:::::::::::::ハヽ、 ヽ _ン ノ::::i:::( ヘラ
イ:::/::::::/:::イヽ>, -r=i':´イ:::ハノ
〈rヘ:::::!::レ´ `y二」ヽレ':::〈
痛いよ~誰かケアルお願いしますー!」
こんな時まで相手をおちょくるとは、余裕があるのか無いのか解らないゆっくりである。
「そ、そりゃぁ私もホントにお化けの仕業とは思ってないわよ~!」
「じゃあ何だと思ってるのさ?」
言われてれてぃは静止する。
そう言えば幽霊お化けで騒いでいたから、その正体について考えたことはない。
「そ、そりゃあ…た、多分私の命を狙うヒットマンとか…?」
とりあえず、直ぐに思いついたお化けの正体を言ってみる。
「自分の命を狙うヒットマ~ン?何それ、自意識過剰じゃない?
いくら⑨課が武装警察だからって、そんなのに命狙われるほどじゃないでしょ。」
/^\ ,.へ___
/ >''´ ̄ ̄`'''ヽ7
| /´ _ _'ヽ、
〉 / /´ / , 、 、 ヽ〉
,. -‐-、 ,.- 、 / i イ レ\ ハノ! /i i
/ i /, ヽ. └rイ レ⊂(ヒ_] ヒ_ン)⊃ (⌒)
/ ハ├──-//i i く_ノ 〉 i"" ,___, " iハ _ノ ~.レ-r┐、
,' / ソ::::::::::::::::::ヽ、! | ハ. i ハ、 ヽ _ン 人ノ__ | .| | |
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〉--' /:/、__;:ィ::ハ::、_;:!:::i:::ハ::〈 ヽ、,_`ヽ,r'´ `ト、 ∞」 i  ̄`ー┬--‐‐´
i::::::::/::::::ハ_ニ;、,レ レ、_;、ゝ::::|:Y <  ̄〉、___ノ  ̄ Y/
ハ:::::::レヘ::i' ≠= =≠ハソ:::ハ >_/ /〉 , , 、!_ゝ
|::::::::ノ:::l:|" ♯ ,___, ♯ l:::::|::ノ `(⊆ノ/ / ! ハ
ノ:::::::::::::ハヽ、 ヽ _ン ノ::::i:::( くヘ,.へ_,.へ__,.ヘ,.ヘ
イ:::/::::::/:::イヽ>, -r=i':´イ:::ハノ `'r、__ハ___ハ__!ン
〈rヘ:::::!::レ´ `y二」ヽレ':::〈 ト_ン ト_ノ
「れてぃが何か頭がおかしいことを言ってるよー!
もって来てー!誰かエリクサー持って来てー!10個くらいもって来てー!」
なぜかちるのまで一緒にレティをオチョクリだした。
「…何よ、お化けより十倍はありえるでしょこっちの方が!」
レティが顔を真っ赤にしてそう叫んだ。
「どっちにしてもあり得ないって!
そんなのは疑心暗鬼が生み出した幻にすぎないって
相場が決まってるんだよ。
ま、だからこそ私も今回の商売を思いついた訳だけど。」
「ま、幻なんかじゃないわよ!
゙'-´..``````.´-'゙
゙l'-´..``````..,´-'l゙
/ \
'l, ,ヘ
l, .|
.| '゙|
( )
`-''',.., ,.,,:、
`,´-------::´..
/ ̄ \ \ \ \  ̄\_
/ \ \ | | \__
/ \_ \| | j \
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│ \ | | ||>'"´ ̄`\
| `<´ ̄` ̄ ̄\ ヽ
| └ -、 | |
| | ̄`>'´ ̄`'ー‐-、lー─--、__
|\ ノ/ `'ー-、 `丶、
|,ノ\ / `丶--- ヽ-- ' "´
一'´ ̄`'--、\ /
 ̄`ー=ニ´_ _ _ ,.. --- -
_ _.. --
現に被害者も出てるのよ!」
「そんなの、自分で勝手にこけて怪我して恥ずかしいから
お化けのせいにしてるだけじゃないの?」
「三郎の店長はそんな下らない嘘はつかないわよ!
お化けかどうかは解らないけど少なくとも店長は何者かに襲われたわ!」
「…でも、今の所襲われたのは店長だけで、その店長も大した怪我はしてないでしょ。
現に今あっちの方でなんかラーメン作ってるし…。
仮に殺し屋やお化けに襲われたのなら、もっと酷い目に遭ってない?」
「う、確かに…。」
てゐが予想以上に冷静な分析をしてくれたおかげで
レティの随分と頭に回っていた血が下がってきたようだ。
「まぁ、馬鹿馬鹿しい事を言ってる暇があったら
もう少し冷静に行動することだね。
さもなければまた騙されるかもしれないよ?」
「…話、解ってるわよ…って、何で私はいつの間にこいつに説教されてるのよ!
説教しなくちゃいけないのは私の方の筈なのに!」
いつの間にか相手のペースに乗せられてるのに気づき、
れてぃは慌てる。
「説教するつもりが説教される、それがてゐ流会話術です。」
「さすが、口から生まれたゆっくりは実力が違った。」
「ぐうっ…!」
相変わらず話を自分のペースに持っていくことだけは異様にうまいニヤケ顔のゆっくりを見て、
レティは自分のふがいなさを痛感するのであった。
「…所でさ、所長、いつ戻ってくるのかな?」
と、ちるのが突然そんな事を言ってくる。
「…いきなりどうしたのよ、ちるの。」
「だってローション取り替えてくると言ってから
大分立つけどぜんぜん戻ってこないじゃん。」
…言われてみれば所長がここを離れてから大分立っている。
そろそろ所長がキンキンに冷えたTENGAを身にまとって戻ってきても良い頃なのだが。
「コレは俺のフレから聞いた話なんだが。」
と、突然てんこが口を開く。
「ホラー映画では仲間たちから離れて単独行動をとる奴が
優先的に狙われるらしいぞ、まぁ一般論でね。」
全員、沈黙。
「…てんこちゃん、こんな時に不吉なことを言わないで欲しいど。」
れみりゃがそう言うと、てんこはあきれ顔でこう返してくる。
「私はホラー映画の法則を言っただけ、
リアルでこの法則が適用される訳無いでしょう?」
「…た、確かにそうね。」
「映画は映画!リアルはリアルだよ!」
そう言ってゆっくり達は笑い始める。(空笑い気味に。)
しかし、その直後。
「うわぁあああああああああああああ!」
「え!?」
棒読み気味な叫び声は部屋の方から聞こえてきた。
ゆーぎ所長が新しいTENGAを取りに向かった部屋の方から。
全員、息をのんでその部屋の方を見る。
「…い、今の叫び声って…。」
「所長の叫び声だったよ…。」
「て、てんこちゃんが余計なことを言ったから…?」
「おいぃ!あれはゆーぎ所長が勝手に襲われただけで、
私は関係ないでしょう!」
なにが起きたのか、ゆーぎ所長は無事なのかと騒ぎ始めるゆっくり達。
一時はかき消えた不安があの叫び声で蘇ってしまったのだ。
そんな中、真っ先に動き出す二人のゆっくりが居た。
/^\ ,.へ___ ,. -''"´ `' 、
/ >''´ ̄ ̄`'''ヽ7 ,'´ ,. -‐ァ'" ̄`ヽー 、`ヽ
| /´ _ _'ヽ、 // `ヽ`フ
〉 / /´ / , 、 、 ヽ〉 / .,' /! /! ! ハ ! ',
r⌒ヽ/ i イ レ\ ハノ! /i i ( !ノ-!‐ノ ! ノ|/ー!、!ノ ,.ゝ
/ \└rイ レイ (ヒ_] ヒ_ン)ハヘ| r⌒ヽ( ノ レ rr=-,::::::::::r=;ァi"/! ノ
_/ / く_ノ 〉 i"" ,___, " iハ / \) ,.ハ '|  ̄  ̄ ! ヘ(
〈__/ . /ハハ. i ハ、 ヽ _ン 人| / / / ) '! ト.、 -=ョ ,.イ i .ノ
/i レヘハレへ〉'=i⌒\ '´Vヽ _/ // /ノヽ,! i`>r--‐ i´レヘ ノ
/ / ⌒ヽ, /ヽ .\ ._〈__/ r / |/ー、\ \
.__ r / |/ー、\ \ "ヽ | i, ノ .\^ i
"ヽ | i, ノ .\^ i | ヽ./ ヽ、_../ / . ヽ、__ノ
| ヽ./ ヽ、_../ / . ヽ、__ノ i / // ./
i / // ./ ヽ、_./ ./ /
ヽ、_./ ./ / / /
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副長、レティと突撃隊隊長、ちるのである。
二人は所長の安否を確認するため、真っ直ぐゆーぎの居る部屋へと駆け抜けていく。
そして次に動いたのは…万事屋三人組だった。
「てんこ!」
てゐが叫ぶと、てんこが頷く。
「うぉおおおおおおおおおお!」
/( _,,....,,....,,....,.,,.( ( r r ∠
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"-:::/ / i ´ノ.」_ノレ' レ' ソ ヽヽ
i { { rr=-,:::::::::::r=;ァ i ',
ノ ヽ ヽ" ̄  ̄"ノ i ', ボコォ
` i \ヽ 'ー=ョ | ノ i
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ノ | ,ノ 人 V ノ ,_
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ヾ从ソヾ、;;ソ'人゚;,ィ~;;へ从/∨ゞ〆´ ,.,
_..〆 ..:::ソ ..:_:ノ .::j.::::...ヽ _.:`ヽ:`
てんこがまるでトイレで息むような叫び声をあげた次の瞬間、
てんこはまるでチューブから歯磨き粉をひり出すように
穴からでてくる!
「うぉおおおおおお!」
ポン!ポン!
自由になったてんこはまるで大根を引っこ抜くように
れみりゃとてゐを引っこ抜く!
ついでに鼻にぶら下がっていたザリガニも捕ってあげた。
コレで、3人は完全に自由になった。
すぐさま三人は、レティやちるのと同じく、ゆーぎの居るはずの部屋へと向かっていく!
…真っ先に動いた5人のゆっくりが部屋の前までたどり着くのに、そう時間は掛からなかった。
が、5人の足は部屋の前で止まっている。
中の様子を確かめる勇気がなかなかでてこないのだ。
しかし、中を確かめなければ何も始まらない。
ついにレティが意を決し…!
ガラッ!
「………………!」
全員、息が詰まって声がでない。
それほどまでに、扉の向こうの光景が。
余りにも、余りにも、余りにも。
「\
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l_ └-‐=== = =---┤
し==‐---ャォ──====──'J
[SPLIT]
意味不明すぎる光景だったからだ。
「…何をどうすればこんな事になるんだどぉおおおおおおおお!」
れみりゃのツッコミが、全てを物語っていた。
最終更新:2014年04月30日 22:29