てゐ魂44話2




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   i\レヘハ`,´-------::´..Vヽy'´
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       くヘ,.へ_,.へ__,.ヘ,.ヘ
        `'r、__ハ___ハ__!ン
         ト_ン   ト_ノ

「うわぁ。」

頭からドンブリを被ったちるのを見て、二人はそんな言葉しか出てこなかった。

「な、何だ!?急に前が見えなくなったぞ!
 まさか新手のスタンド攻撃って奴なのか!?」

当のちるのは何が何だか解らずに戦闘体勢をとっている。
いきなり視界が塞がれれば慌てるのも当然だろう。

「落ち着きなさいちるの。落ち着いて顔に手を当ててみて…。」

混乱しているちるのにレティはアドバイスを送ろうとする。
しかし、その前に思わず言葉を詰まらせてしまう。

「ウォオオオオオン…。」

「うっ…。」

ドンブリを被ったちるのを見つめている堕ちたりしサブリアンの視線に気付いたからだ。
生気が宿ってないその視線にレティは思わず後退りする。

「な、何かあいつら様子がおかしくない?」

てゐはその視線に肌寒いものを感じながら、レティにそう問い掛ける。

「そんなの、見れば解るわよ!問題は、何であんな状態になっているかだけど…あ。」

そこでレティは気づく。
堕ちたりしサブリアンの様子がおかしくなった原因。
それは、ちるのが被っているドンブリが関係していた。

「ドンブリの香りよ。」

「へ?」

「ちるのが被っているドンブリの香りが、サブリアンを惑わせてるのよ!」

「はいぃ!?」

何度も言うがラーメン三郎のこってりスープの香りは濃厚だ。
それはもうドンブリを何度も念入りに洗浄しても、ほんのりと残ってしまうほどに。
その香りは匂いに敏感なサブリアン達を狂わせるには十分だった。

「まずいわ!ちるの!今すぐそのドンブリを外しなさい!」

レティはちるのに向かってそう叫ぶ。

「へ?ドンブリって何の事?」

しかしそもそも自分がどんな状態なのか理解していないちるのは、
ドンブリと言われても何の事だか理解できない。

「ウォオオオオオン!」

そうこうしている内に堕ちたりしサブリアン達が今日の俺は
人間火力発電所だとばかりに襲いかかってくる!

「ち、ちるのぉ!」

思わず叫んでしまうレティ。
しかしここで予想外の出来事が起こった!


ズザザザザザザ


「へ?」



                           勺儲靄靄醴醴醴蠶體酌羽紜益㎎益山∴          ベヨ迢鋸醴蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
                           ∃儲霾誧露繍蠶髏騾臥猶鬱㍗  ご笵此∴        ∃㌶謳廱躔騾蔑薺薺體髏蠶蠶蠶蠶蠶蠶
                           ヨ儲諸隴躇醴蠶歎勺尓俎赴        レ      ∴㌶醴蠶鬪にに     躇躇醴蠶蠶蠶蠶蠶
                           ヨ鐘諸薩讒蠢欟厂  ベ状抃   【●】 厂      ヨ繍蠶蠶臥に        躇蠶蠶蠶蠶蠶蠶
                            ㌶罐諸醴蠶蠶歎      マシ‥…ヲ冖ヘ      .∴瀦醴蠶襲㌦         躇蠶蠶蠶蠶蠶蠶
                            加罐讒蠶蠶欟厂      ㌶ ヘ㌶㌶ヘ       ∴㌶醴醴蠶甑        【●】に  蠶蠶蠶蠶蠶蠶
                            溷霾醴蠶蠶勸      ㌶  ヘヘ  ㌶       ∴ヨ繍醴蠶蠶鬮に に  庇蠶蠶∴蠶蠶蠶蠶蠶蠶
                            醴蠶蠶蠶蠶髟      ㌶       ㌶       ベ湖醴醴蠶蠶蠶庇 にに庇蠶蠶蠶.∴蠶蠶蠶蠶蠶蠶
                            蠶蠶蠶蠶欟      ㌶        ㌶         ㌶繍蠶蠶蠶蠶蠶曲㌶㌶㌶㌶㌶㌶に㌶蠶蠶蠶蠶蠶
                            蠶蠶蠶蠶歉     ㌶      ヲ 澁畄_迢艪蠶蠶蠶蠶蠶蠶甜川㌶㌶∴ ∴∴㌶㌶髏蠶蠶蠶蠶
                            蠶蠶蠶蠶髟      ㌶     ヲ  コ醴蠶奴繍蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶齡辷㌶    ∴㌶㌶醴蠶蠶蠶蠶
                            蠶蠶蠶鬮か                .ベ苛ザベ繍蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶醯己に⊇三介㌶㌶醴蠶蠶蠶蠶蠶
                            蠶蠶髏鬮シ      ㌶                 尽慵蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶自辷㌶躇㌶鐘㌶躇蠶蠶蠶蠶蠶
       ゙'-´..``````.´-'゙            蠶蠶醴勸      ㌶                    氾隅髏蠶蠶蠶蠶蠶靦㌶㌶雄躍躇㌶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
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     /          \、          蠶蠶蠶髟      ㌶      _山辷ム㌶蠡舐鑓躍醯罎體體體驩讎櫑㌶蠶蠶蠶㌶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
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   .|              '゙|ヘ| n⌒i     蠶蠶欟シ       ヲ  禰蠶蠶蠢螽螽㌶醴蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶躍蠶蠶蠶曲蠶蠶蠶曲蠶蠶蠶蠶蠶蠶
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   i\レヘハ`,´-------::´..Vヽy'´        蠶蠶蠶診      ヲ     ベ沿益旦以迢益讒醴髏曠醴蠶蠶蠶蠶蠶蠶㌶蠶蠶蠶躇髏蠶蠶蠶蠶蠶
   ヽ、,_`ヽ,r'´ `ト、 ∞」 i  ノ          蠶蠶蠶甑シ    ヲ       .げ隅艪蠶蠶蠶蠶蠶蠢鸙蠶髏蠶蠶蠶蠶蠶㌶蠶蠶蠶躇蠶蠶蠶蠶蠶蠶
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    >_/ /〉 ,  ,   、!_ゝ          蠶蠶蠶蠢鈊∴              ベ川捍軆髏蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶曲蠶蠶蠶躇蠶蠶蠶蠶蠶蠶
    `(⊆ノ/ /  !   ハ           蠶蠶蠶蠶鋻シ              ∴∃氾据醴蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶躇蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
       くヘ,.へ_,.へ__,.ヘ,.ヘ           蠶蠶蠶蠶蠢此            ∴⊇以㌶繙醴蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶躇蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
        `'r、__ハ___ハ__!ン           蠶蠶蠶蠶蠶鋻∠∴  .∴∴∠ヨ旦滋躍蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶躇蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
         ト_ン   ト_ノ            蠶蠶蠶蠶蠶蠶醢山ム沿当益錙躍蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶躇蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶


正直、レティもこれには驚いた。
ちるのの背後に居たお化け達が、一斉に陣形を組んだのだ!
まるで、サブリアンからちるのを守るように!

「え?何で?何であいつらちるのを守ろうとしてる訳?」

てゐもレティも理解できない。
お化け達は敵だと思っていたが、まさか味方だったのか?


「うぉおおおおおおおおお!」


そんなゆっくり達の思惑をよそに、サブリアンとお化けの戦いは始まった。


ズガァアアアアアン!


「ぎゃあああああああああ!」


そしてその決着は、サブリアンがお化けを一瞬で吹き飛ばすという形であっさりと決着がついたのだった。


『よええええええええ!』


そりゃてゐとレティが思わずそう叫ぶのも無理はない。
いくら何でもサブリアンの一撃であっさりお化けが倒されたら、
そいつを相手に逃げ回っていた自分達の立場が無いというものだ。

「ップハァ!ようやくドンブリが取れた!」

と、ここでちるのは何とか自分の頭からドンブリを外すことに成功する。
クリアになった視界でちるのが目撃したもの。
それは死々累々なお化け達とこっちをジーッと見ている堕ちたりしサブリアンの姿だった。

「うぉおおおおおお!?」

そりゃあいくら鉄の心臓を持つちるのでもこんな叫び声をあげるというものである。

「ちるの!サブリアンから離れるのよ、早く!」

レティはちるのに向かってそう叫ぶ。
無論、ちるのもすぐにそうするつもりだ。


「うぉおおおおおお!」


すぐさまサブリアンのいる方向とは反対側に向かって走るちるの。

「ラァアアアアアメェエエエエエン!」

サブリアンも自分達が今しがたぶっ飛ばしたお化けをふんづけて、
ちるのを捕まえんと追い掛けはじめる。
そしてこのちるのの行動の結果巻き添えが二人増えることになる。


         ,.,、
  __  // \   .___                                                              /^\      ,.へ___
  \ヽZ>ト┴''"´ ̄~`メ 7∠__                                                            /   >''´ ̄ ̄`'''ヽ7
  /:リ.~..::::::::::::::::::::::::::::::::....ヾ_7/\                                                          |  /´ _       _'ヽ、
 ノ.::::)..:::::::::::::::::ハ::ヽΛ:::::::::::::.ヽ:::::::::...)                                                         〉 / /´  /  ,  、  、 ヽ〉
 i.::r'´r'"::ノ\:ノ j:ノ/ Vi::::_:::ハ::::::::ハ                                                     r⌒ヽ/  i イ  レ\ ハノ! /i  i
 ! (.:::::!Y(ヒ_]      ヒ_ン )i,イ/:::l:::::::ノ                             ,. -''"´     `' 、             / \└rイ レイ (ヒ_]   ヒ_ン)ハヘ|
 ヘ:\トl     ,___,   "ノ::レ':::::ノ::::::(             ,. -‐-、        ,.- 、  ,'´  ,. -‐ァ'" ̄`ヽー 、`ヽ          _/ /   く_ノ  〉 i""  ,___,  " iハ
  ).:∠:!    ヽ _ン ∠::::::::_,イ::::::::::.)           /     i      /,   ヽ//         `ヽ`フ         〈__/  . /ハハ. i ハ、   ヽ _ン   人|
 (:::::::.!ヽ          ̄フ l::::::,イ           /      ハ├──-//i   / .,'  /! /!   ! ハ  ! ',               /i レヘハレへ〉'=i⌒\ '´Vヽ
  \:( `ゝ、    _,,,ィk´‐-、.j:::ノ            ,'      / ソ::::::::::::::::::ヽ、!  (     !ノ-!‐ノ ! ノ|/ー!、!ノ  ,.ゝ            /   / ⌒ヽ,   /ヽ  .\
    /            ヽ            i   /:;:::::::::::::::;:::::::::::::::ゝ、(  ノ レ (○),:::::::::(○)i"/! ノ        .__   r  /     |/ー、\   \
   //~ヘ         イ~\ ヽ           〉--' /:/、__;:ィ::ハ::、_;:!:::i:::ハ::)  ,.ハ '|  ̄ ,rェェェ、 ̄ !  ヘ(        "ヽ |  i,        ノ   .\^   i
 彡=⊃   i        i゙  ⊂、  )          i::::::::/::::::ハ_ニ;、,レ レ、_;、ゝ::::|:Y) '! ト.、  |-r-r,| ,.イ  i .ノ          | ヽ./ ヽ、_../   /     .  ヽ、__ノ
        i       .ノ    !リノ         ハ:::::::レヘ::i' (◎)   (◎)ハソ:::ハ ノヽ,! i` 、`ニニ´ ´レヘ ノ          i /  //  ./
      /'‐、____.、<`゛ヽ             |::::::::ノ:::l:|"   ,___,   l:::∬  ヽ(へ レィr'7ア´ ̄`ヽ. )'           ヽ、_./ ./  /
      ( (´     ~ー`='~             ノ:::::::::::::ハヽ、  ヽ _ン  ノ┌-┐   ノ /イ       Y                / /
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        (,_〉ii|||||||||||||||lii=-            〈rヘ:::::!::レ´   `y二」ヽレ':::\ \/`/::メ:::`ヽ、_二、___イ              |_/


則ち、ちるのが逃げた先にいるレティとてゐである。


「うぉおおおおおい!?」

「何でこっち側に逃げてくるのさ!?」


ちるのと追い掛けて来るサブリアンを見てそう叫んでしまう二人のゆっくり。


「そんなのおまえ達を巻き添えにするために決まってるだろ!」


そう返すちるのの顔は実に邪悪でしたと、後にてゐは語るのであった。
いや、そもそもこんな危機的状況に見舞われて、無事に後に語れるのか。
全てはてゐの逃げ足に掛かっていた。


「うぉおおおおおおおおおお!」


今だかつて無いほどの気合いを入れて、てゐはちるのと彼女が引き連れてきたサブリアンからスタートダッシュで逃げようとする。

「…ってちょっと待った。」

と、ここでてゐは忘れていた事を思い出す。

自分の頭の上に乗っかっているラーメンドンブリだ。

これを下手に落としたら、破片で怪我をする危険性も高いし。
何より、このドンブリから漂う三郎の香りはサブリアンを興奮させてしまう効果があるようだ。
どうしたものかとてゐは考える。勿論となりのレティも自分が抱えているドンブリについて同じ事を考えているようである。
突如沸いて出た問題、その問題にたいする解決法は意外な所から来た。


「二人とも!ドンブリをこっちに投げてください!」



            ,.,、
     __  // \   .___
     \ヽZ>ト┴''"´ ̄~`メ 7∠__
     /:リ.~..::::::::::::::::::::::::::::::::....ヾ_7/\
    ノ.::::)..:::::::::::::::::ハ::ヽΛ:::::::::::::.ヽ:::::::::...)
    i.::r'´r'"::ノ\:ノ j:ノ/ Vi::::_:::ハ::::::::ハ
    ! (.:::::!Y(ヒ_]      ヒ_ン )i,イ/:::l:::::::ノ
    ヘ:\トl     ,___,   "ノ::レ':::::ノ::::::(
     ).:∠:!    ヽ _ン ∠::::::::_,イ::::::::::.)
    (:::::::.!ヽ          ̄フ l::::::,イ
     \:( `ゝ、    _,,,ィk´‐-、.j:::ノ
           i  .::::/ /  .i
          .i .:/ .:::,i  /
          i / .::// ./
          i ..::::/ .//_つ
          ト-イ  (__ノ
          /  /
         / /          .
        ノ /
       / ノ
      / ./
     //
  ノ⌒/
..⊂_,,/


視界の隅の方で新入りはたてがよっしゃバッコイとばかりに両手を上げている。
どうやらこっちにドンブリを投げ渡してほしいようだ。
てゐは一瞬ちゃんと新入りはたてにどんぶりを投げ渡せるのか考える。
だがこっちに迫ってくるちるのとサブリアンを見て迷っている時間は一秒たりとも無いと確信する。

「うぉおおおおおおおお!」

てゐは全身で反り返りその勢いで頭の上に詰まれたドンブリを新入りはたてに向かって放り投げた!
その横でレティがほぼ同じタイミングでドンブリを投げるのをてゐは見る。
レティも同じような思考回路で新入りはたてにドンブリを投げ渡すことを決心したんだろう。
自分とこいつの思考回路は何処か似ている、その事を改めて理解してちょっと不快な気持ちになったてゐであった。


「よっと!」


二人のゆっくりが投げ付けたドンブリを新入りはたては一つも落とさずに受け止める。
元々身体能力が高いのか、それとも三郎への愛故なのか。
どっちにしても公安⑨課、期待の新人なのは間違いない。

とりあえずこれでドンブリは新入りはたての手に渡った。
もしかしたらこれでさらに強いドンブリの匂いにつられて、
サブリアン達が新入りはたての方へと向かって行かないか、とてゐは期待した。

「ウォオオオオオオン!」

しかし世の中うまくいかない事の方が多い。
サブリアン達ははたてなんか眼中に無いと言わんばかりにこっちに向かってくる。

「ああもう、今はとにかく逃げるしかないってこと!?」

てゐとれてぃはすぐさまその場から逃げ出した!

「逃がすか!」

もはや目的を忘れてるというかサブリアンの一員になってるちるの。
彼女はサブリアンとともに、てゐとレティを追い掛けて行った。



さて、これでこの場に立っているゆっくりは、はたてただ一人ということになる。

「…。」

ドンブリを抱えているはたてが見るのは、死死累々な状態で倒れているお化け達であった。
全員、目を回していて起きる気配すらない。

「ああもう、お化けなら倒れたら素直に消えてくれれば良いのに。」

新入りはたては溜め息をつきながらそう呟く。
しかしこの倒れたお化け達を庭のど真ん中に置いておく訳には行かない。
死体なら現場保存のためにそのままにする必要性がある。
だが、こいつらは気絶してるだけ、なら端に退けておいても問題無いだろう。
そう思った新入りはたては倒れているお化けを運ぼうと持ち上げようとした。


ハラリ


と、お化けの懐から何かがこぼれ落ちる。
それは、手の平サイズの手帳に見えた。
「ん?」
それが視界に入った新入りはたては何かと思いそれを広い上げた。
そしておもむろにその手帳を開き。

「え?」

その目を見開いた。

「う、嘘でしょ?何でお化けがこんな物を…まさか。」


手帳のような物の中身と倒れているお化けを交互に見やった後、
新入りはたては他のお化けの身体をまさぐり始める。

「ああ、やっぱり。」

その結果、全てのお化けからはたての予想通りの物が出てきた。
それを見て、新入りはたては確信する。


「こいつら、お化けじゃ無い!」


~☆~


「てゐさん何処に居るんだどか!?」





           ,. -───-- 、_
      rー-、,.'"          `ヽ、. 
     _」::::::i  _ゝへ__rへ__ ノ__   `l
     く::::::::::`i / ゝ-'‐' ̄ ̄`ヽ、_ト-、__rイ、    }^ヽ、
   .r'´ノ\::::::::  /イ,.イノヽ! \ レ ヽ,_`ヽ7ヽ___>、_ ノ ハ } \
  /ヽ/ r'´ ィ"レ´ ⌒    ⌒  `!  i  ハ /  }! i ヽ
 / / ハ ハ/ !     △   ∪ i  ハ  〈〈{_   ノ  }  _」
 ⌒Y⌒Y´ノ /l           ハノ i  ヽ⌒Y⌒Y´
       〈,.ヘ ヽ、        〈 i  ハ  i  〉
      ( ノ レ^ゝi>.、.,_____,,...ィ´//レ'ヽハヘノ
   / ̄ヽ{  '  }::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..,,_..,,
    ̄フ...人____( ) )'''''''''      '''''ヽ_..,,-"
    "-:::/  / i            ヽヽ
      i   { {  ! i  i  i  ; i   ',
      ノ   ヽ ヽ ゝヽ人人、/_ノノ  i  ',
     `  i  \ヽrr=-,:::::::::::r=;ァ|  ノ  i
     ,'   |    ).)" ̄ ,rェェェ、 ̄"' |/' | !
    ノ   |   ,ノ    |,r-r-|  人 V ノ ,.、   __
  /     |   ( >、.._ `ニニ´i.イ ヽ  ヽ(_,i !,,.-''" ノ
        人  ヽ  /ヽ二ン ヽ  \ \.! ヽ -=ニ__
      〈  人  \ 〉/:::::{::}::::ヽ i !, ヽ,!   !  ‐--,'
      )   \  ''ヽ:::::::人::::;::ヽ   r/ ヽ   ー,--'
     く     人  (::::ノ|・|ヽ:::ヽ、_ /!  7`\ ̄
    人 /=∞=/)._ \ ヽ||・||)   !`ー,ヽ-' ∧ \
  /  .〈  ヽ、/   ) . /||・||(  /     ヽ\ )
       \, .\ヽ  ( ( (||・||)  >   人 \) )/


てんこの頭の上でれみりゃはそう叫ぶ。
てんこが走り回り、その頭の上に乗ったれみりゃが周囲を見回す。
これにより迅速に目的の物を見つけだすコンビネーション。
長い間万屋で仕事をしている内に身につけた。
胴無しと胴有りのコンビだからこそ成り立つ連携である。

しかし、そのコンビネーションを以ってしてもてゐの姿を発見することは出来ない。
それはれみりゃに明らかな焦りを生み出していた。

「うぅーてゐさんどこに行ったんだどぉ…。」

「焦るな、ここで焦ると大事な物も見逃してしまうぞ。」

一行にてゐが見つからずに不安になるれみりゃをゆーぎ所長が励ました。
「そ、それくらい解ってるど!」
れみりゃは照れながらそう答えるのであった。


「それにしても二人とも一体何処に居るんですかねぇ。」

「あの声と音はこの辺りから聞こえてきたと思うんですけど。」

そう言っててんこと大ちゃんは辺りを見回してみる。
詰め所の庭には何等変わった所が無いように見える。
そして、レティとてゐの姿も見当たらない。

「うーん、さっきの音は気のせいだったのでしょうか?」

てゐとレティの姿が見えない事について、大ちゃんはそんな予測を立ててみる。

「おいぃ?あの声と音はこの場にいる全員が聞いたんだから、
 気のせいなんて有り得ない。
 お前、そんな簡単な事もわからにぃのか?」

そんな大ちゃんに向かっててんこはそう反論する。
そう、彼女の言うとおり。

壁が崩れる音も。

4連続で聞こえた叫び声も。

その場にいるゆっくり全員が確かに耳にしているのだ。
あれを全て気のせいにしてしまうのは流石に無理がある。

「じゃあ、てゐさんとレティさんは一体どこにいると言うのですか。」

大ちゃんがそう言ったその時だった。


「うわぁあああああああああ………。」


確かに聞こえた。
遠くの方から、ゆっくり特有の棒読み的な叫び声が。

「え?」

「今の叫び声って…。」

れみりゃは自分の下にあるてんこの顔を見下ろした。
対するてんこも上にいるれみりゃを落とさないよう、視線だけ見上げながらこう言った。

「ああ、てゐの声なのは確定的に明らか。」

てゐは近くにいる。
そう確信した二人は、辺りをキョロキョロ見回しててゐの姿を探しはじめた。

…結論から言うとてゐはすぐに見つかった。
詰め所の渡り廊下を走っていたんだから、すぐ見つかるのは当然だろう。
問題は、周りの状況だ。


                   ,. -''"´     `' 、
                 ,'´  ,. -‐ァ'" ̄`ヽー 、`ヽ
                 //         `ヽ`フ
                / .,'  /! /!   ! ハ  ! ',
               (     !ノ-!‐ノ ! ノ|/ー!、!ノ  ,.ゝ
           r⌒ヽ(  ノ レ rr=-,::::::::::r=;ァi"/! ノ     ,. -‐-、        ,.- 、
           / \)  ,.ハ '|  ̄      ̄ !  ヘ(   /     i      /,   ヽ.
          / / /  ) '! ト.、  -=ョ  ,.イ  i .ノ  /      ハ├──-//i    i
         _/ //   /ノヽ,! i`>r--‐ i´レヘ ノ   ,'      ┛┗::::::::::::::::::ヽ、!    |
        ._〈__/ r  /     |/ー、\   \     i   /:┓┏:::::::::::;:::::::::::::::ゝ、____ノ
          "ヽ |  i,        ノ   .\^   i     〉--' /:/、__;:ィ::ハ::、_;:!:::i:::ハ::〈
            | ヽ./ ヽ、_../   /     .  ヽ、__ノ     i::::::::/::::::ハ_ニ;、,レ レ、_;、ゝ::::|:Y
            i /  //  ./              ハ:::::::レヘ::i' ttテュ,:::::::::,rェzァハソ:::ハ
            ヽ、_./ ./  /                |::::::::ノ:::l:|   ,rェェェ、  l:::::|::ノ
                / /                 ノ:::::::::::::ハヽ、  |,r-r-| ノ::::i:::(
              ノ.^/                  イ:::/::::::/:::イヽ>`ニニ´i':´イ:::ハノ
           |_/                   〈rヘ:::::!::レ´   `y二」ヽレ':::〈


てゐはレティと一緒に並走していた。これはまだ解る。


                /^\      ,.へ___
               /   >''´ ̄ ̄`'''ヽ7
               |  /´ _       _'ヽ、
               〉 / /´  /  ,  、  、 ヽ〉
           r⌒ヽ/  i イ  レ\ ハノ! /i  i 
          / \└rイ レイ (ヒ_]   ヒ_ン)ハヘ|
         _/ /   く_ノ  〉 i""  ,___,  " iハ
        〈__/  . /ハハ. i ハ、   ヽ _ン   人|
             /i レヘハレへ〉'=i⌒\ '´Vヽ
              /   / ⌒ヽ,   /ヽ  .\
        .__   r  /     |/ー、\   \
          "ヽ |  i,        ノ   .\^   i
            | ヽ./ ヽ、_../   /     .  ヽ、__ノ
            i /  //  ./
            ヽ、_./ ./  /
                / /
              ノ.^/
           |_/

追い掛けているのはちるの、まぁこれもまだ理解できる。


         ,.,、                      ,.,、                      ,.,、
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 ヘ:\トl     ,___,   "ノ::レ':::::ノ::::::(    ヘ:\トl     ,___,   "ノ::レ':::::ノ::::::(    ヘ:\トl     ,___,   "ノ::レ':::::ノ::::::(
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しかしその後に続くゆっくりはたての大群は、どう考えてもれみりゃとてんこの理解を超えていた。

「なんじゃあれは!?」

思わずそう叫んでしまうほどに。

「おまえら、いい加減観念したらどうなんだ!」

「そういわれて素直に観念すると思ってるの?死ぬの?」

「って言うかあんたも追われてるようなもんでしょうが!
 何でそっち側の立場でもの言ってるのよ!」

そんな罵倒を繰り返しながら、渡り廊下を駆け抜けて行く追うもの追われるもの。
何て言うか頭の中が整理しきれず、ただ呆然とれみりゃ達は立ち尽くす。

「…あの、誰か助けに言った方が良いんじゃないですか?」

大ちゃんのその一言でようやく全員が現実に戻ってくる。

「ナイトはメイン盾だから普通じゃあ考えられない早さで駆け付ける!」

そう言っていの一番に走り出したのはてんこ。
しかし全力疾走でも戦闘のてゐとれてぃには愚か、後ろに居るサブリアンにも追いつけない。

「てんこちゃん、全然追いついてないど!」

頭の上のれみりゃが落ち無いように踏ん張りながらてんこにそう訴える。

「お、おいぃ、相手の方が普通じゃ考えられない速さとか洒落にならんでしょ…。」

その早さには流石のてんこも焦りだす。

「じゃあ、これでどうだど!」

おおっと、ここでれみりゃが帽子の中から何かを取り出した!


      ,、,,..._
     ノ ・ ヽ
    / :::::   i
   / :::::   ゙、
   ,i ::::::     `ー-、
   | ::::          i
   ! :::::..        ノ
   `ー――――― '"

でたぁああああ!伝家の宝刀、ひよこ饅頭だぁああああ!

「そりゃぁあああああ!」

れみりゃ、それをとりあえずサブリアンに向かって投げ付けた!


…………べちょ。


「あ。」


で、結果どうなったかと言うと。
れみりゃの腕力…いや、腕が無いのでとりあえず腕力的ななにかじゃあひよこ饅頭の飛ぶ距離もたかが知れている訳で。
敵に向かって投げた筈のひよこ饅頭は虚しく地面に落ちてしまった。
そして、それだけでは終わらなかった。


グニュ。


「お?」


てんこがそのひよこ饅頭をうっかり踏み付けてしまったのだ!
ひよこ饅頭に足を取られ、てんこはおもいっきり体勢を崩す。


「おぃぃぃぃぃい!」


もうこれわざとだろとしか言え無いくらい、派手に転ぶてんこ。
その果てに転んだ勢いは、頭の上に居たれみりゃを空中に放り投げた。

「え?」

その勢いは普通の勢いじゃ無い。
例えるならカタパルトで豪快に射出された飛行機である。

「ぅゎぁぁぁぁぁぁああああああああああ!」

叫び声がドップラー効果を起こすほどの勢いでぶっ飛んで行くれみりゃ。
何でこうなった。
ひよこ饅頭を粗末に扱ったせいでひよこ饅頭の神様の怒りを買ったのか。
しかし、不幸中の幸かれみりゃはお空のお星様になることはなかった。


ドゴッ。


~てゐにめり込むれみりゃAA~


そうなる前にてゐにぶつかったお陰で勢いが削がれたからだ。


「グハッ。」



勿論、高速でぶっ飛んできたれみりゃ弾丸を喰らってただで済む訳が無い。
てゐはれみりゃと一緒に真横に吹っ飛び…。

「グフッ!?」


          __       .
        -''"´     `'   , - 、       , -‐- 、
 *   ,'´ ,. -‐ァ'" ̄`ヽー 、`,r'   ,\      i     \
     ゝ//         i    i\゙i-──┤ハ      ゙i
   // .,'  /! /!   ! ハ |    !、,r'::::::::::::::::::ソ ゙i      ',
 ___/(    ! ノ-!‐ノ ! ノ|/ー!、____、ゝ:::::::::::::::;:::::::::::::::;:\   i
 `ヽヘ  ,ノレ' (○)   (○) 〉::ハ:::i:::i:ハ::ハ::ィ:::ハ::゙i:\ `--〈
  (   ノ ! ///,rェェェ、///  Y:|::ハV__, レ レ、__ヽハ:::::ヘ::::::::i
   ノ)  ,.ハ ''" |-r-r,|' " ' !ハ::Virr=-,   r=;ァ  i::ヘJ::::::ハ
   ,_)__'! ト.、 `ニニ´  ,.イ (,::|:::::l" ̄    ̄ "".|:l:::(::::::::|
  r'"ヽ   t、 `>r--‐´レヘ ノ):::i::::!、  'ー=-'   ノ'ハ::::::::::::ヘ
   ( ノ .ヘ,ィヽ、ハ、 `'ーr''´ ノヘ.!、ハ:::ト`"∩=r-∩,<,r'ト:::゙i、::::゙i:::ト
   (r‐-、/    i`''::ー‐ヘ´:::::::Y,_,.ノ`"',. -───-- 、_
 o  _,./!,    !::::::::::::::::Y:::rー-、,.'"          `ヽ、.   
   ノ  / ` ' ,イ、:;_::::::::::ノi::_」::::::i  _ゝへ__rへ__ ノ__   `l
 。 ^'ーァ'     |く:;___::::::::__;:iく::::::::::`i / ゝ-'‐' ̄ ̄`ヽ、_ト-、__rイ、    }^ヽ、
    rく___    | /  ̄ ´.r'´ノ\::::::::  /イ,.イノヽ! \ レ ヽ,_`ヽ7ヽ___>、_ ノ ハ } \
    ン'  `ヽ__」  /  /ヽ/ r'´ ィ"レ´ ⌒    ⌒  `!  i  ハ /  }! i ヽ
   ::!___,.ヘ_ノ、:::`''ァ'ヽ./ / ハ ハ/ !     △   ∪ i  ハ  〈〈{_   ノ  }  _」
  ::::::::::::::ヽ>、::::/::::::::::⌒Y⌒Y´ノ /l           ハノ i  ヽ⌒Y⌒Y´
   :::::::::::::::::`r 、/>ーr-─ァr 〈,.ヘ ヽ、        〈 i  ハ  i  〉
     ::::::::::::i` ̄´7'"` ̄´::`'ーノ レ^ゝi>.、.,_____,,...ィ´//レ'ヽハヘノ
  ○    :::::i`ー-ァ'::::::::::         o
         ` ''´       ..::;:、



今度はレティも犠牲になりました。


ドンガラガッシャーン!


そして3人のゆっくりは、転がるような勢いで障子をぶち破って部屋の中へ。


畳敷きの部屋の中で目を回すゆっくり三人衆。

「…おいれみりゃ、あんた何でぶつかってきた訳?」

「わ、わざとじゃないんだど…。」

睨み着けてくるてゐにれみりゃは本気で謝罪する。

と、そこに誰かが部屋へと入ってくる。
しかも足音からして入ってきたのは一人じゃなく、複数。
勿論、この状況で部屋に入ってくる奴らなんてあいつらしかありえない。


    /^\      ,.へ___
   /   >''´ ̄ ̄`'''ヽ7
   |  /´ _       _'ヽ、
   〉 / /´  /  ,  、  、 ヽ〉
  /  i イ  レ\ ハノ! /i  i 
  └rイ レイ (ヒ_]::::::::::ヒ_ン)ハヘ| n⌒i
  く_ノ  〉 i"" ,______,  iハ _,,.! ノ
   ハ. i ハ、  |V ヽ/V 人|´ /
  i\レヘハレへ、 _ヽ _ン ,.Vヽy'´
  ヽ、,_`ヽ,r'´ `ト、 ∞」 i  ノ
  <   ̄〉、___ノ   ̄  Y/
   >_/ /〉 ,  ,   、!_ゝ
    `(⊆ノ/ /  !   ハ
      くヘ,.へ_,.へ__,.ヘ,.ヘ
       `'r、__ハ___ハ__!ン
        ト_ン   ト_ノ


「どうやら年貢の納めどきのようだね!」

「ち、ちるの…。」


こっちを見下ろしてくるちるのを見てレティはそう呟く。

「いや、あんた何でいつの間にそっち側に付いてるんだど。」

そしてれみりゃはちるのに向かってそんなツッコミを入れる。

「レティを倒すためなら手段を選ばない。それがアタイ。」

迷いの無い瞳でそう断言するちるのにれみりゃはもう無理矢理納得するしかない。
そしてサブリアン達はゾロゾロとちるのの背後に集まってくる。
もはやマジで襲い掛かる3秒前だ。

「あー、れみりゃのせいで年貢の納め時だ~。」

「ちょ、勝手にれみりゃのせいにしないで欲しいどてゐさん!」

半ば諦めモードのてゐに向かってれみりゃがそうツッコミ返す。

「さぁ!皆の者かかれぇ!」

ウォオオオオオオオオオ!

ちるのの号令とともにサブリアン達は襲い掛かった!


「うわぁああああああああああ!」



           ,.- 、        __                   ,.,、                      ,.,、                      ,.,、
          /::::::::::\      /::::!             __  // \   .___        __  // \   .___       __  // \   .___
          ,'::::::::::::_;;::ゝ-─<:;::::::::::!            \ヽZ>ト┴''"´ ̄~`メ 7∠__      \ヽZ>ト┴''"´ ̄~`メ 7∠__      \ヽZ>ト┴''"´ ̄~`メ 7∠__
        i:::::::;:'" _      `ヽ;::|            /:リ.~..::::::::::::::::::::::::::::::::....ヾ_7/\    /:リ.~..::::::::::::::::::::::::::::::::....ヾ_7/\    /:リ.~..::::::::::::::::::::::::::::::::....ヾ_7/\
        r!;:7' ,.'´  ハ    !   ヽ;:!           ノ.::::)..:::::::::::::::::ハ::ヽΛ:::::::::::::.ヽ:::::::::...)  ノ.::::)..:::::::::::::::::ハ::ヽΛ:::::::::::::.ヽ:::::::::...)  ノ.::::)..:::::::::::::::::ハ::ヽΛ:::::::::::::.ヽ:::::::::...)
        /:::/ ./ /  ,' !   ! ; , ヽ!>          i.::r'´r'"::ノ\:ノ j:ノ/ Vi::::_:::ハ::::::::ハ  i.::r'´r'"::ノ\:ノ j:ノ/ Vi::::_:::ハ::::::::ハ  i.::r'´r'"::ノ\:ノ j:ノ/ Vi::::_:::ハ::::::::ハ
      く/`iノ iノ  !__,.、/ | /_,!-ハ  〉         ! (.:::::!Y(ヒ_]      ヒ_ン )i,イ/:::l:::::::ノ   ! (.:::::!Y(ヒ_]      ヒ_ン )i,イ/:::l:::::::ノ   ! (.:::::!Y(ヒ_]      ヒ_ン )i,イ/:::l:::::::ノ
      /   /∠,..イ (ヒ_]  レ' ヒ_ン! ヘ(          ヘ:\トl     ,___,   "ノ::レ':::::ノ::::::(    ヘ:\トl     ,___,   "ノ::レ':::::ノ::::::(    ヘ:\トl     ,___,   "ノ::レ':::::ノ::::::(
    _ __!  i__ノ !ノ '" U ,___,  ",Vi,‐ァ ミ        ).:∠:!    ヽ _ン ∠::::::::_,イ::::::::::.)    ).:∠:!    ヽ _ン ∠::::::::_,イ::::::::::.)    ).:∠:!    ヽ _ン ∠::::::::_,イ::::::::::.)
    ヽ∠'、,__ゝ`ヽト.、   ヽ _ン  ,イ.〉/__,,.. -‐、     (:::::::.!ヽ          ̄フ l::::::,イ    (:::::::.!ヽ          ̄フ l::::::,イ    (:::::::.!ヽ          ̄フ l::::::,イ
    , 彡 ヾ.     〉>,、 _____, ,.イレ'ヾ´  __,っノ      \:( `ゝ、    _,,,ィk´‐-、.j:::ノ      \:( `ゝ、    _,,,ィk´‐-、.j:::ノ      \:( `ゝ、    _,,,ィk´‐-、.j:::ノ
ド  //  く : ゝ、.,_,. イノ´::`ヽ,_∞_i::レi   i, :'"   ) )       /            ヽ         /            ヽ         /            ヽ
タ   __)  i ll:  `ヽ::::::::::::::::',_____!::::',__ノ    彡    ド   //~ヘ         イ~\ ヽ     //~ヘ         イ~\ ヽ     //~ヘ         イ~\ ヽ
   ノ   _:,,.! イ´  ヽi::::::::i:::::::::::::::::::i   .:ト 、.,_  (_    タ彡=⊃   i        i゙  ⊂、  )   彡=⊃   i        i゙  ⊂、  )   彡=⊃   i        i゙  ⊂、  )
   ) (⊂__,,..ゝ_   /:::,: '"´ヽ;::::::!::::i  ノ_____,ソ   て         i       .ノ    !リノ          i       .ノ    !リノ         i       .ノ    !リノ
   ⌒       .....,':::/ __,,. 、!:::::::;::::',-、_     Y´        /'‐、____.、<`゛ヽ            /'‐、____.、<`゛ヽ            /'‐、____.、<`゛ヽ
        .....:::::::::ノi::::i7´   ,!::::ァ'"`'' :、!, l: |!           ( (´     ~ー`='~            ( (´     ~ー`='~            ( (´     ~ー`='~
      :::::::::::::::く∠:::::i  '"´i//i     ヽ              \゙i                     \゙i                     \゙i
        :::::::::::::::`ー'、    !ー-:`ー-、____ノヽ             (,_〉ii|||||||||||||||lii=-             (,_〉ii|||||||||||||||lii=-             (,_〉ii|||||||||||||||lii=-
           ::::::::::::::`''ー- '::::::::::::::::ヽ.,____ノi 彡
             彡           ヽ、__ノ


号令をだした、ちるの自身に。
てゐとレティとれみりゃ、唖然とした顔で襲われるちるのを見つめている。


「あの、これは一体何が起こってるんだど、てゐさん?」


れみりゃはてゐにそう問い掛ける。


「いや、いきなりそんな事問い掛けられても。」


てゐも困惑した顔で襲われるちるのを見つめている。
その時、レティが何かを思い出した顔になった。

「…そういえばこいつら、元々ちるのから漂う三郎の匂いを追い掛けて来たんじゃなかったかしら。」

アクシデントで、ちるのは三郎のドンブリを頭からガッポリと被ってしまった。
サブリアンはちるのから漂う、三郎の濃厚なニオイを追い掛けてきたのである。
てゐとレティはとばっちりで、サブリアンから逃げ回る羽目になっただけである。


「し、しまった…完全に失念していた…。」


サブリアンにねぶられしゃぶられながら、ちるのは無念の意を表したのであった。


「と、取り合えずの危機は去ったのかど。」


れみりゃはそんな事をつぶやくと、てゐはため息を付いてこう言った。

「んな訳無いに決まってるでしょうが。」

そう、別に現状は何も改善されていない。
だって、てゐ達が飛び込んだ部屋のまわりをサブリアンが徘徊しているのだから。
完全包囲されていて何処にも逃げ場はない。
袋小路の八方塞がりだ。


「どうするんだど、てゐさん?」


れみりゃはてゐにそう問い掛ける。
そんな事急に問い掛けられても、すぐに答えなんて出せる訳が無い。
それでもてゐは考えてみる。自分も、仲間も助かる手段を。


「…一か八か、強引に包囲網を突破してみるしか…。」


てゐが出した結論は実に単純な方法だった。
力押しの正面突破、何ともシンプルで乱暴な方法だ。
だが、他に良い手は有るのか?と、聞かれても何とも答えようの無い現状なのは確かだろう。
てゐは髪の毛の中からスペルカードを一枚取り出した。


「てゐさん!?ホントに強行突破するつもりかど!?」

「他に良い手も思い付かないじゃん。」

「ちょっと!一般ゆっくり相手に弾幕はご法度よ!」

「あれが普通のゆっくりに見えるの?」

レティのツッコミに対し、てゐはサブリアンを指差してこう言った。



         ,.,、                      ,.,、                      ,.,、
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「…ゴメン、見えないわ。」

「解ればよろしい。」


今にも襲い掛かりそうなサブリアンを前に、てゐはスペルカードを構える。
そのまま姿勢を崩さず、後ろにいるレティとれみりゃに向かってこう言った。


「いい?スペルカード発動と同時に走り出すんだよ?」

「…解ったわ。」

「了解だど!」


てゐの言葉に同時に頷くレティとれみりゃ。
タイミングは一瞬、しくじれば二度目はない。


『エンシェントデューパ』


てゐのスペルカードの発動と同時に三人のゆっくりは走り出した!


ズガガガガガガガガガ!


「!?!?!?!?!?」


スペルカードから発射された弾幕はサブリアンの足を見事に捕らえた!
弾幕を足に受けたサブリアン達は、バランスを崩して一斉に転んでしまう。


「今だ!走れ!」

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最終更新:2014年04月29日 11:46