アリスとゆっくりありすの生活
私の名前はアリス・マーガトロイド、この辺でちょっとは名の知れた都会派魔法使いよ
今日は雨が激しいから魔理沙の家にも行けない
何か暇つぶしはできないものかって……ドアに何かがぶつかったわね……
私が玄関のドアを開けると黄色いバスケットボール大の何か……いや
そこには息も絶え絶えなゆっくりありすがいた
雨に濡れたからか髪の毛が全く整っていない、おまけに髪飾りまで落としている
そして私が一番気になっているのは頭に生えている蔓
そこに生えていた赤ゆっくりはありすが一匹、それに……嘘でしょ!?
雷雨降り注ぐ魔法の森、その中を飛び跳ねる一匹の饅頭
そしてそれを追いかける二匹の饅頭
よく見ると逃げる饅頭には頭に大きな蔓が生成されている、恐らく赤ゆっくりだろう
「ゆっ!ゆっ!ゆっ!……」
「まってね!へんなあかちゃんつくるゆっくりありすはゆっくりしないでね!!!」
ありすを追いかけるのは二匹のゆっくりれいむ
どうもありすが先天性異常のあるゆっくりか何かを作ってしまったらしい
でも…このれいむ達を責めないでやってほしい
何故なら、彼女らは怖がっているだけなのだ
ゆっくりも他の動物同様、イレギュラーな存在を極端に嫌う事がある
なまじ中途半端な知性を持っているが故にその行動が我々を不快にさせることもある
このゆっくりありすはたまたまおかしな赤ゆっくりを作ってしまった、運が悪かっただけなのだ
途中でれいむ達が動けなくなる、ゆっくりは饅頭故に長時間雨の中で行動する事ができない
川や海なら水棲種でもない限りなおさらだ
「ゆゆっ!?ゆっくりうごけないよ?」
「ゆっ…れいむをゆっくりたすけてよ!!!」
ゆっくりは植物型出産をする際に頭から蔓を伸ばす
その際に赤ゆっくりを雨等から守るために大きな葉っぱを生成する
これがありすを雨から守るため、ありすはどうにか一つの家にたどり着く事ができた
ちなみに動けなくなってしまったれいむ達は後からやってきたまりさ達に助けられ
一命を取り留めたとだけ書いておこう、これはありすの物語だ
私は事態の整理を始めた、まずゆっくりありすが私の家の前にいる事
それにゆっくりありすは頭に赤ゆっくりを生やしている事
その赤ゆっくりは親、私と同じ髪の毛、髪飾り
こいつはゆっくりありす、勿論私がモデルね
次に大きなうさみみに薄紫の髪、これはゆっくりれーせん
青い髪の毛にちょっと変わった帽子、これはゆっくりけーねと言った所かしら
赤い髪の毛に二つの髪飾り、これはゆっくりこまち
ありすはともかく他の三匹はこの近辺では見ない
れーせんは永遠亭付近の竹林、けーねは竹林付近の草原
そしてこまちは無縁塚の三途の川付近に生息していると聞く
でもここまでくるとは本当に考えにくい、ゆっくりにおける先天性異常かしら?
とりあえずゆっくりありすを家の中に入れてあげる事にする
私の顔をしたゆっくりに家の前で死なれても嫌だ、とりあえず最低限の治療は施す
まず外傷の確認、逃げる際に石でもぶつけられたのか
皮の表面に石で抉られたような跡が数カ所ある
「ゆ…いたくなんか…ないわ……」
「こんなのを残しといてよくゆっくりありすと名乗れるわね、私が恥ずかしいわ!」
それに雨に打たれているけど赤ゆっくりを守るための葉っぱが傘になってくれたようね
補強をするのは底面だけで済みそう
「ゆ…とかいはのありすに…なにするつもり?……」
「どうもなにも、家の前であなたに死なれちゃ気分悪いわ!」
それに元気が無い、雨の中死ぬ気で逃げれば当然か
ちょうど家にグレープジュースがあった、勿体無いけどこれを振りかけておく
「ほら、こいつでも飲んでおきなさい、少しは元気出しなさいよ」
そして私は家にあった小麦粉を取り出し、ありすの補強に使用する
底面に付いていた砂利、石などを丁寧に取り除き、駄目になった皮を練った小麦粉で補強する
その際にでこぼこにならないように気をつける、私がモデルである以上変な格好にはさせられないわ
「君…髪飾りはどうしたの?落としたみたいだけど」
「ゆっ!?…か…かんじないわ!!!」
そして無くなった髪飾り、ありすは動揺して無い風を装っているけどバレバレね
無言で涙を流し始めてるじゃない、ゆっくりの髪飾りは自分の個性を出すというけど
私にはあまり見分けは付かないわ、ゆっくりにしかわからないのかしら
このありすは私のだとアピールするためにも新しい髪飾りを作ってあげる必要がありそうね
拾った以上、私にはこのありすを育てる義務がある、こんな状態のゆっくりを放り出せないわ
赤ゆっくりは皆目を閉じている、息をしている所から死んでいる訳では無さそう
この大きさだと……恐らく明日の昼には生まれそうね
私はありすに合わせて髪飾りをぱっぱと作る、私のサイン入りよ
これでありすに施すべき治療はほとんど終わったわね
あとは小麦粉の癒着を待つだけ、私はゆっくりの飼い方を再確認しつつ
人形達を操作しありす達が逃げられないように部屋を改造する事にした
あらかた改造を終えた所で私は眠りに就く
念のためにありすを自律型の人形に監視させておく事にする
明くる日、目を覚ました私はありすの様子を見る
昨日の事で本当に疲れたのかまだ寝ている、赤ゆっくりも生まれ落ちていない
小麦粉も完全に癒着した、ありすもゆっくり本来のスタイルを取り戻したと思うわ
「上海、蓬莱、お疲れさま」
私が起きるまで監視していてくれた、これからも働いてもらわないとね
「ゆ…」
私が朝食を摂っているうちにありすが目を覚ます
ありすの朝食も用意済み、その辺からゆっくりにも問題のなさそうなきのこを採ってきたわ
「お目覚めの気分はどうかしら?」
「ゆ…ここは…」
「私の家よ、そこに食べられるのを置いといたから食べておきなさい」
「ゆっ、べつにうれしくないんだから!」
そう言いつつもきのこを器用に飲み込んでいくありす
食べかすをこぼしていないのは流石、自称とかいはと言うだけはあるわね
「ごちそうさま、べ…べつにうれしかったわけじゃないんだから!……ありがと……」
何だかんだうれしい事言ってくれるじゃない、ありすの習性は理解しているから安心して
ありすはコミュニケーションをする際に恥ずかしさから来るのか
自分の思っている事の正反対の事を言ってしまう、ありすの習性を理解していること
ありすと数日付き合えばわかる事と飼い方の本には書いてあったわ
と思っているうちに突然ドアが開き、見慣れた人物が入ってくる
といっても魔理沙ではない、魔理沙同盟であるパチュリーよ
「あら、パチュリーじゃない、図書館は大丈夫なの?」
「その点においては抜かりなしよ、小悪魔に試作品の装甲を付けてもらったから」
「試作品?」
「そう、ちょっと面白いアイテムが来たから河童と協力してそれの内容を再現してみたわ」
「なんかろくでもない物ができていそうね……」
試作品の話はほどほどにしてパチュリーにありすの様子を診てもらう
「なるほど…先天性の異常ね、こういう個体は見た事があるわ」
「それで…どういう個体なの?」
「そう…このありすはさまざまなゆっくりを生む事ができるのよ」
私は驚愕せざるを得なかったわ、先天性の異常と聞くと
どうしても表面上にでる異常を思い浮かべるけど
さまざまなゆっくりを生む事ができるとは大したものね
「でも…それで他のゆっくりに怖がられて最悪の場合は群れによって殺される場合もあるわ」
「そうなった時に私は小悪魔に命じてそのゆっくりと赤ゆっくりを強奪させてきたの」
「そのゆっくりは今は私が図書館で飼っているわ、種類はれいむよ」
それがパチュリーが見た最悪のケース、私が昨日の夜経験したケースも教えておく
「なるほど、だとすると群れの質は良かった方ね、まとめているゆっくりがまともだったのかしら」
「多分逃げ出せただけ運の良かった方ね、質が悪いと逃げる間もなく群れから総攻撃されるわ」
この異常については何となくわかった、まずは赤ゆっくりが生まれ落ちるまで
私はパチュリーと世間話をしていたわ
ふと私はありすを見ると赤ゆっくりが生まれ落ちようと体を揺らしていた
それにも関わらずありすはすやすやと眠っている、それだけ疲れたと言う事にしておくわ
「下にタオルは敷いているわね、生まれて潰れたら笑い事じゃ済まないわよ」
そんなことは参考書で学習済み、タオルは念のためにふっくらした奴を3枚も敷いてあるわ
「まず落ちるのは…ゆっくりれーせんかしら」
勢い良く体を揺らしていたれーせんが蔓から切り離され、タオルに着地する
「ゆ…ゆっきゅりちていきまちゅ!!!」
モデルと同じく目は真っ赤だ、いざと言うときはこれで相手を混乱させているうちに
逃げだすと聞く、ゆっくりにしてはモデルの能力を生かした良くできた自衛手段と言えるわね
次のゆっくりがタオルに落下する、ゆっくりこまちよ
「ゆっくりしていくよ!!!」
れーせんと違い、赤ゆっくりであるにも関わらずしっかりした口調で話す
モデルが話し好きだからかな、あ…次はけーねの番ね
「けーねと言います、ゆっくりしていってね!!!」
モデルが教師をしているからかしら、自己紹介に簡単な漢字を混ぜているわね
それにこまちと同じくしっかりした口調ね、教師が元ならそうであって欲しいわ
最後にありすが生まれ落ちる、三匹と同じく危なげも無く着地する
「ゆっきゅりちていきゅわ!!!」
パチュリー曰く、赤ゆっくりはろれつが回らないのは当然みたい
こまちやけーね、あや等のモデルが話術に長けた、または話し好きのゆっくりは
しっかりした口調で話すみたいね
「どう?ゆっくりと言っても様々な種類がいるのよ、多分これからも増えていくと思うわ」
「生まれたときからしっかりした口調の子もいるのね……」
さて、赤ゆっくりが生まれたのに気がついたのかありすが起きているわね
「このこたちが…ありすのかわいいあかちゃん……」
群れで見ないゆっくりだったのか不思議そうに赤ゆっくり達を見ているわね
何だか泣いているようにも見えるけど……まあ群れから追い出されてまで生んだゆっくりだからね
赤ゆっくりが全て生まれ落ちたためか、ありすの頭上に生えていた蔓がぼろぼろと崩れ落ちていく
これは赤ゆっくりの最初の食べ物となるわ
この蔓は今まで赤ゆっくりを育てていたものだけあって栄養たっぷりよ
とりあえず分け隔てなく赤ゆっくり達に蔓を与えているようなので安心する
この手のゆっくりは特定の赤ゆっくりにしか餌をあげない場合もあるので心配だったけどね
「ゆっくりたべていいのよ、あんしんして」
「ゆっ!ゆっくりたべていくよ!!!」
その割には腹が減っているのかゆっくり食べていない気がするけどまあ良いわ
私は赤ゆっくり達が蔓を食べるのをパチュリーとお茶を飲みながら観察していたわ
- 元ネタの明記 パチュリーの言う試作品とはACfAに登場する兵器を小悪魔のサイズに合わせたものだと思われる -- ありすアリスの人 (2008-10-13 16:24:39)
- 魔理沙同盟………… -- 光神 (2009-10-17 19:37:25)
最終更新:2009年10月17日 19:37