『友と繰り返した日々』
「こら!!まてー!!!」
「むーしゃ、、むしゃ、ばりぼり、しあわせー!!」
食べながら跳ね回るゆっくりれいむを追いかける俺。
何で追いかけているかと言うと、憧れのあの子に貰ったクッキーを
おやつとしてありがたく食べようと、台の上に載せ手を洗いに台所に行っていたら
いつの間にやら昼寝から起きたれいむに全部ぺロっと持っていかれたからだ。
「うおおー!!あの子に貰ったんだぞおぉおぉぉっ!!!ぐぁえぜえええええええ!!!」
俺は半ば涙目になりながら、そのゆっくりと言う呼称に似合わず
居間中をすばしっこく飛び跳ねて逃げ回るれいむを追いかける。
「ゆふふ・・・ゆっくりしてもいいのよ。」
(うぐぐ・・・れいむの奴め。台の向こうで口を猫のように丸めて目も細めた
嫌らしい表情でこっちを挑発とは・・・。もう許さん!!)
「こんちきしょー!!そこを動くなっ!!!」
台があるのもなんのその。飛び掛る!!
「ぴょーーーーーん!!」ドカッ!!
「ぐがっ!!!っつー・・・!!動くなっつてんだろーが!!!」
手が届こうかという寸前で見事な大跳躍を見せられ俺は床に顔を強打、れいむには逃げられてしまった。
「ゆっくりしていってね!!!」
ふすまの前でふんっと息巻いてから顎を上げて踏ん反り、嫌がらせの様に何時もの決め言葉を放つれいむ。
その態度に俺の怒りが有頂天になったその時だった。
「こらっ!!!あんた達!!ドタバタ騒ぐな!!!ご近所様に迷惑だろが!!!」
耳が痛くなるほどの大声。開いたふすまの奥からやって来るのは鬼か悪魔か
そんな事を思わせる程怒り心頭と言わんばかりの形相の母が
部屋に入ってくるや否や、いの一番にれいむの頭をむんずと掴みあげて俺とれいむを睨む。
「「う、うわああああああああああああああああああああああああ!!!」」
多分その時、俺とれいむの表情は一緒だったに違いない。
「「ゆ、ゆるしてね!!」」
「れいむはわるくないよ!!」
「俺はわるくないよ!!」
そんな言い訳がこの鬼神に通じるわけが無いのだ。平手を一発づつ仲良くもらうハメになった俺達は、
夕暮れの中,縁側に座ってその無常に黄昏ながら反省会。何時もの喧嘩の後の儀式みたいなものだった。
「たいせつなものだったんだね。ごめんね・・・。」
夕日で空が染まる中。あのクッキーが俺の大切な物だと知ったれいむのうつむく姿が目に焼きつく。
「ふん、また貰ってみせるさ・・・。だから其処までのもんじゃねえよ・・・。」
「ゆっくりしていってからがんばってね!!!」
それはれいむなりの励ましだったのだろう。落ち行く日の強い光に照らされた、こちらを向いたれいむの
何時もの根拠の無い自信たっぷりな表情が俺には心強く、嬉しく感じられたのだった。 即興の人
最終更新:2008年11月06日 20:29