永遠な二人

※東方キャラ登場注意(しかも2次より)

   ゆっくりSS 永遠な二人


蓬莱の人の形、藤原妹紅。
永遠と須臾の罪人、蓬莱山輝夜。
彼女らは互いに殺しあう運命を背負った文字通り永遠のライバルである。
二人は今日もまた運命の邂逅を果たし、終わることの無い闘争を繰り返す。



―人間の里 大手ディスカウントストア(←ツッコミ不要)―

「えぇと、今日のチラシに書いてあった‥」
「ゆっくりフード徳用サイズ299円(お一人様一袋限り)は‥」

「「ラッキー、最後の一袋だ‥」」

「ぅわ、妹紅」
「げっ、輝夜」
「奇遇ねぇ、まさか貴女もゆっくりを飼っているとは思わなかったわ。生活にそんな余裕なんてあるの?
 低所得の竹林ホームレスが」
 藤原妹紅は人々にその身を疎ませぬためか、人里を離れた竹林に居を構えている。しかし断じてホームレスではない。
 ボロ小屋であろうと家は家である。
「あんたこそねぇ。年がら年中引き篭もりっぱなしで生き物の飼い主なんて務まるのか?成金蓬莱NEET」
 蓬莱山輝夜は最近まで自身の邸である永遠亭にその身を隠し続けていた。それこそ何百年もの時を。
 だからといってNEETのヒッキーという訳ではない。だって姫だし。
「少なくとも竹林ボロ小屋住まいの卑しい貴女よりはね。‥どうでもいいからその手を離してくれないかしら?もこたん」
「五月蝿いなぁ、あんたこそ手を離してよ。金ならいくらでも自分家にあるんだろう、てるよ!」
「資産はたくさんあっても、一月のお小遣いは限られてるのよ!!いいから私に譲りなさい!」
「こっちは生活費が限られてんのよ!あんたが離せ!!」
「痛っ、つねるなぁああ!どうせ貴女んとこのゆっくりなんて貴女に似て下賤で卑しい可愛くない駄饅頭なんでしょ!!
 私のゆっくりに譲りなさい!」
「むきーぃいいいいい!!!ふざけんんぁああああああああああ!!!私の子はもう超絶可愛いんだぞ!!
 あんたはどうせゆっくりなんてストレス解消にしか使ってないんだろ、この虐厨が!!」
「言うことにこと欠いて虐厨ですってぇええええええええ!!ふざけんじゃないわよ!
 私の可愛い子にそんなことできるわっきゃないでしょ!!ご飯どころか10時3時のおやつも欠かさないわぁああああああ!!」
「五月蝿ぇ!こっちだって風呂毎日入れて綺麗にしてあげてるし寝るときだっていつも一緒だってのよ!!」
「そんなもん基本中の基本じゃボケがぁあああああああ!!!こっちは更に1日2回は散歩させてあげてるし
 髪の毛の手入れだって欠かしてないんだから!!」
「そんなの私だって‥!!」

 その後、餌は何を与えているか、一日の「ゆっくりしていってね!!!」を言った回数、どれだけハグしているか、
 一緒にどんな歌を歌っているか等等、親馬鹿二人による「どっちがよりゆっくりを可愛がってるか争論」は延々と続いた。
 その間、半獣の寺子屋講師や従者の月産兎が側を通りかかったりしたが、
 人だかりができるほどの注目浴びても尚醜い言い争いを続ける二人を半分呆れ、
 半分可愛そうなものを見るような目で見た後、華麗にスルーして通り過ぎた。

「ぜぇぜぇ‥、そこまで‥言うんだったらな‥」
 言い争いにも疲れたのか、妹紅が息を切らせつつ言う。
「これからあんたん家行ってあんたのゆっくりを見てやるよ!!」
「ッ!!」
 これに対し輝夜は顔を曇らせ酷くひるんだような仕草を見せた。
「何だ?見せられないのか?やっぱ虐待でもしてて傷だらけなんだろ?」
「ば、馬鹿!!そんな訳ないでしょう!!ただ‥、いやでも、ね。
 貴女が私のゆっくり食べちゃわないか心配だし‥」
「食うか!!できるかそんな可哀想なこと!!」
「‥でも、でもね。うぅんと、突然お客なんて呼んだらえーりんも怒るかもしれないし‥」
「誰がそんなことで怒りますか」
 突如後方で聞きなれた声がして、輝夜は背筋を伸ばし驚きながら振り向いた。
 そこにいたのは蓬莱山輝夜の永遠の従者、月の頭脳、八意永琳その人であった。
「え、えーりん!!何でここに!?」
「うどんげから『姫が人前で馬鹿な喧嘩してる』って聞いたからそれを止めに来たんですよ。
 まったく、永遠亭の姫あろう者がはしたない!」
「う~、ごめんなさい~」
 顔を赤くして下を向く輝夜。
「それと妹紅」
「お、何よ!?」
 突然話に加えられ、妹紅は思わず身構える。
「あなた姫のゆっくりが見たいですってね?」
「あ、ああ。確かにそう言ったけど」
「まさか、えーりん!あの子を連れてきたの!?」
「ええ、おうちで寂しそうにしてたので。今この中に」
 永淋は片手でサッカーボールくらいの大きさのバスケットを掲げ、笑顔で答える。
 なるほど、確かにバスケットの中からは
「ゆー、ゆー、狭いよ!!ゆっくり出せよー」
 といったゆっくり特有の鳴き声が聞こえる。
「おお、見たい見たい、是非見せてくれ」
 妹紅は年甲斐のない好奇心を目に宿し永琳に頼み込んだ。
「だ、ダメぇええ!!妹紅は見ちゃダメだってばぁ!!」
 それを輝夜は顔を真っ赤にして大声で止める。
「といっても別に隠すものでもないでしょう、姫?」
 そういって永琳が輝夜をなだめる。何故かその顔はにやにやと笑っているが。
「でも、でもね永琳‥」
「ほら、出てきていいわよ」
 そして永琳はバスケットの蓋をあけた。

「ゆ、ゆぅううう!!!」

 そういって元気な声で飛び出したゆっくりは、ゆっくりらしからぬスピードで、
 何と空を飛び、そしてゆっくりと主人である輝夜の頭の上に降り立った。
「とらうまになるよ!ゆっくりしていってね!!!」
「お、おおお、おい、これって‥!」
 妹紅が驚くのも無理はない。
 大きなリボンに青白い長髪。そして飛び立つ際に一瞬見せた炎の翼。
 それは希少種のゆっくりもこうであった。
「私ゆっくりかよ!!」
「ち、違うのよ!!別に貴女のゆっくりだから飼ってる訳じゃなくてね!!えーと、えーと、
 ほら、『雨に濡れてたから』とかいう訳でさ」
 しどろもどろになりながら、輝夜は必死に言い訳を言ってみるが、
「姫がですね、『せっかく飼うんならもこたんのがいい!!』と我侭のたまってね、
 うちの兎を総動員させて探させたのよ。あの時は大変だったわ~」
 永琳の告白により一瞬でその努力も水泡に帰す。
「とらうま~!とらうま~!」
「か、輝夜、お前‥」
 妹紅は呆然としながら思いもよらぬ方向に話が転がっしまったことを感じていた。
「ちょ!何言ってるのよ!!ちが、違うんだからね、妹紅!!」
「姫ったら昨日も『もこたん可愛いもこたん~』とか『もこたんは私のこと、好・き?』とか話しかけてましたしねぇ。
 ペットが気に入ってくれたのは嬉しいんですけど、ちょっと、ねぇ?」
「くぁwせdrftgy、え、えーりんな、何言って‥」
「もこうも姫のこと好きだよ!!とらうまレベルだよ!!」
「うわぁああああああああああ!!」
 そう叫ぶと輝夜はゆっくりもこうをがしっと掴み抱きかかえ、
「うわぁあああんん!!えーりんの馬鹿ぁああああ!!」
「と、とらうみゃあああああああ!!」
 泣きながら全速力で去っていった。
「あらあら、あの娘は本当素直じゃないんだから。うふふ」
 永琳はその様子を見つめながら口に手を当て微笑む。
「それに、貴女もね」
「‥‥、何が良いたい?」
「それは貴女が一番分かってるでしょうに」
 悪戯っぽくそう言うと、永琳も輝夜を追いその場を去っていった。



 ―次の日 迷いの竹林―
 歩きなれた道を藤原妹紅はゆっくり歩いていた。向かうは、輝夜が住む永遠亭。
「ふぅ、何で私があいつの心配しなきゃいけないんだか」
 一人そう呟く。
 いや、性格にいえば一人ではない。彼女の頭には一匹のゆっくりが心地よさそうに座っていた。
「ゆっ、ゆっ、ゆっゆっゆ~♪宇宙を泳いでるみたい!!」
「こら、あんまり暴れるな。落ちるぞ」
「ゆぅ!もこたんもこたん!」
「ん?」
「これから何処行くのかしら、わたしたち?」
「今ごろそれを聞くか」
 妹紅は呆れたように首をふる。
「ゆぅ!ゆぅう!首ふっちゃダメだよ!落ちちゃうわよ」
「ちょっとな、知り合いの家だ」
「ゆぅ?何をしに?」
 そう聞かれて妹紅は少し考えて、こう答えた。
「まぁ、向こうが見せてこっちが見せないのはフェアじゃないからな」
「ゆ?」
「つまり、お前を自慢にしにいくんだよ、かぐや」
「ゆっ、分かったわ!お披露目タイムなのね!可愛いかぐやを自慢せずにはいられなくなったのね♪
 その気持ち大正解よ、もこたん!」
 そう言って、妹紅の上のゆっくりかぐやは嬉しそうにふんぞり返る。
「ああ、あいつがどんな顔するか、私も非常に楽しみだわ」
 妹紅もニヤリと笑いまがら、永遠亭への歩を速めた。




うん、ゆっくりSSっつうより東方百合SSだね、すまない。
出番が少ないゆっくりもこうやゆっくりかぐやが書きたかったんだ。
何より駄文ですまない。
あとゆっくりかぐやの口癖が分からないから適当なんだ、すまない。





  • 輝夜も妹紅もこのツンデレ具合が可愛いですねw -- 名無しさん (2008-11-15 01:42:00)
  • 相思相愛かよてめーらwwwいやゴチです -- 名無しさん (2008-11-15 18:04:44)
  • あ、誤字見つけた。すまない、恥ずかしいスルーしといてくれw -- 書いた人 (2008-11-17 12:13:23)
  • ゆもこう飼ってるのは見え見えなのに面白い。なんでだ。 -- 名無しさん (2008-11-17 22:21:09)
  • 永淋⇒×
    永琳⇒○
    いくらなんでも致命的すぎたので治しときました。くそ、今まで全然気付かなかったぜ -- かぐもこジャスティス (2008-12-26 13:48:47)
  • ttp://ktmhp.com/img/yukkuri/a_50183_0.jpg
    むの人さん、否、むの人様が挿絵をお書きくださったようです。多謝多謝多謝。 -- かぐもこジャスティス (2009-06-18 04:56:37)
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最終更新:2009年06月18日 04:56