○月○日
 ゆっくりらんしゃまを拾った。
 前からあの尻尾に興味あったんだよな。
 いい機会なので観察日記でもつけようと思う。
○月×日
 知り合いの家にらんしゃまを連れていった。
 そいつはゆっくりちぇんを飼ってるんだが、俺がそいつん家にいる間、らんしゃまとちぇんはずっとじゃれ合っていた。
 「ちぇええええええん!!!」
 「わかるよー!!!」
 こんな感じ。いやどんな感じだ。
 ともかく、仲いいってのはホントだったんだな。
○月△日
 こないだのとは別の友人がゆっくりおりんを拾ったというので、らんしゃまを連れて見に行った。
 友人宅に着き、らんしゃまはおりんを発見すると、
 「ちぇええええええん!!!」
と言って駆け寄っていった。猫系なら何でもいいのか、お前は。
 そしたらおりんが、
 「にゃーん!!!おりんりんらんどへようこそ!!!」
って言って、そこでらんしゃまはようやくちぇんじゃないことに気づき、ひどく狼狽していた。いや一目で気づけよ。
×月☆日
 らんしゃまと散歩をしているとれみりゃに遭遇。
 「ぎゃおー!!!たーべちゃうぞー!!!」
 出た決め台詞。
 よほど驚いたのか、らんしゃまは尻尾を1本落として一目散に逃げていった。トカゲかお前は。
 俺がその場で考えている間、れみりゃは尻尾にかぶりついていた。
 家に帰るとらんしゃまが不安顔で待っていたが、俺の顔を見るなり笑顔で飛びついてきた。お~よしよし。
×月◎日
 昨日1本落としたはずの尻尾が元通りの9本になっていた。
 昨日の尻尾切りが気になったので、気は引けたが、ある実験をした。
 昼寝してるらんしゃまの後ろからこっそり近づき…
 「ぎゃおー!!!たーべちゃうぞー!!!」
 するとらんしゃまは跳ね起きて、また尻尾を1本落として、部屋の隅に逃げていった。
 俺だと知って怒るらんしゃまをあやしつつ、落とした尻尾を拾う。意外ともふもふしない。
 そういえば昨日れみりゃは食ってたよな。うまいのか?
 一口食ってみる。
 こ、これは…スイートポテト!
@月$日
 家に帰るとらんしゃまがもう1匹いた。
 一緒にこの家で暮らしたいんだとか。それ、番になりたいってことか?
 いや、番になるのは勝手だがな、うちじゃ2匹も飼えんぞ!!!
 …とは言えず、泣く泣く許可した。食費どうしよう…。
@月¥日
 朝起きたら2匹とも妙にいい顔をしていた。
 あれか?すっきりーしてたのか?昨夜はお楽しみだったのか?おお、お盛んお盛ん。
 それはともかく、一晩考えた結果、小さな家庭菜園をすることにした。
 多少手間はかかるが、餌は自前で作れるし、余れば俺も食えるし、虫とか雑草の駆除をらんしゃま達にやらせれば、それが餌代わりにもなる。それに菜園の警備をさせれば軽い運動にもなる。すげー俺頭いい。
△月○日
 前から飼ってた方のらんしゃまが家から出たがらなくなった。
 相方に聞いてみると、産卵の準備に入ったらしい。あいつ雌だったのか。それとも雌役?
 そういえば、あいつ前に比べて尻尾が膨れてきたような…。
 ってちょっと待て。子供出来るのか?おいおい、勘弁してくれ。
△月☆日
 産卵が近いらしい。嫁らんしゃまの尻尾がパンパンだ。
 旦那らんしゃまと俺で嫁らんしゃまの様子を見ていると、突然嫁らんしゃまの尻尾が全部抜け落ちた!
 すると、抜け落ちた尻尾が次々に割れて、中から小さいらんしゃまが出てきた。なるほど、尻尾が卵になるのか。
 生まれたらんしゃまは総勢9匹。まぁ尻尾が9本だから当然か。
 尻尾の無くなった嫁改め母らんしゃま。子供の尻尾はまだ非常に小さかった。
 親も含めて計11匹か。圧巻だ。
 「「ゆっくりしていってね!!!」」
 「「「「「「「「「ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!!!」」」」」」」」」
 親子の初めての挨拶が交わされた。
△月×日
 母らんしゃまの尻尾は3日ほどで元通りになった。
 一気に増えたこともあり餌が不足がちだったが、親らんしゃまが尻尾を落として食べさせることでなんとかなっていた。それでも菜園の野菜じゃ足りないのは明らかだし、そもそも家に11匹も置けるスペースはなかった。
 俺は1つ決意をした。
△月△日
 俺は、9匹の子らんしゃまが入った箱を持ち、2匹の親らんしゃまを連れて、山まで来ていた。
 昨夜親らんしゃま達と話し合い、らんしゃま一家を野に帰すことになった。母の方は嫌がったが、俺の事情もあるし、子供達には、大自然の厳しさを経験させたり、怖い人間もいることを知ってもらったりすることが必要だと説得し、時々様子を見に行くから、と言ってようやく承諾してもらった。
 今日は巣になりそうな場所を探すために山に来たのだが、探すのは親2匹の役目。俺は子供を安全に運ぶだけ。
 しばらく歩き回った後、2匹がちょうどいい洞窟を見つけ、ここを巣にすると言ってきた。
 そこで俺は子供を箱から出し、両親が子供達を新たな住まいの中へ導いた。
 父らんしゃまは子供の後について巣に入っていく。残されたのは俺と母らんしゃま。
 母らんしゃまは今にも泣きそうだが、必死でこらえてるようだ。
 「元気にするんだぞ」
 と言って俺は母らんしゃまを抱きしめ、手を振りながら帰った。
 母らんしゃまも、俺が見えなくなるまで見送ってくれた。
以下作者の言い訳など
- らんしゃまの尻尾が油揚げとか稲荷寿司じゃないのは、それだとなんか歩いた跡とかがベチョベチョしそうで嫌だったからです。いや自分は好きですよ両方とも。
- 実は卵ネタと尻尾切りネタはゆっくりあやのを書く前からあったっていう。何という万能尻尾。スイートポテトは書きながら考えました。形や色を考えて一番近いかなぁと思ったので、スイートポテトになりました。
- 日付は適当です。一応記号の順番とかは考えながら書きましたが、あまり深く考えないでください。
- 感想、質問、誤字報告等あれば下のコメント欄へ。閲覧ありがとうございました。
尻尾の人
-  乙!!ちぇんの観察日記と少しリンクしてるんだな 
 なるほど、スイートポテト、その発想は斬新だ!  -- 名無しさん  (2008-11-26 20:18:48)
-  最近精力的に投下してくれて嬉しいよ、個人的にはらんしゃま一家に幸せに暮らしていって欲しい  -- 名無しさん  (2008-11-26 20:20:58)
-  感想ありがとうございます! 
 
 >>ちぇんの観察日記
 「ゆっくりちぇんを飼ってみた」のことですかね?
 一応読んではいますが…別にそれを意識して書いたとか
 そういうんじゃないんです。ごめんなさい。  -- 作者  (2008-11-26 22:23:57)
-  しあわせになれるといいねー 
 らんしゃまー
 ……?なんだかおいもさんが食べたくなってきたのはなぜー?
 @@?
 -- ゆっけの人  (2008-11-27 01:00:00)
-  感想ありがとうございます! 
 
 >>ゆっけの人さん
 ちぇん「らんしゃまのしっぽのまりょくだねーわかるよー」  -- 作者  (2008-11-27 09:35:43)
-  手に負えないから捨てるんですね。わかります。  -- 名無しさん  (2009-07-21 20:02:27)
-  飼い主側の事情で野に帰す(捨てる)なんて虐待としか思えなかった。  -- 名無しさん  (2009-09-05 16:55:11)
-  見てたらおいもさんが食べたくなってきたよー。 
 らんしゃまはおどろかしたら
 しっぽおとすんだねー。わかったよー。
 こんどおうちでらんしゃまおどろかしてみるよー。  -- ちぇん  (2010-04-17 23:37:46)
最終更新:2010年04月17日 23:37