- 現代にゆっくりが来たとしてください。
- 落とし穴?を作ったのは……ばb……スキマの人なんですかね?
「ゆっくりしていってね!」
ある朝起きると私の部屋には変な物体がいた。起き抜けの大音響は偏頭痛持ちに響く。
「な、なんだオマエ!?」
「ゆっ?ちぇんはちぇんだよぉ、わかってねぇ?」
猫のような耳と二股の尻尾を持つ不可解な生物(ナマモノ)はちぇんと名乗った。
ちぇんの話いわく、野原であそんだらへんな穴に落ちて気づいたらここにいたらしい。
家に落とし穴が続いてるわけもなし……まぁそこら辺は後で考えるとして。
「ふぅむ……」
考え込みながらちらりとちぇんを見る。
ゆらりゆらりと尻尾が動き、それにあわせてふにゃらかふにゃらかと体が動いている。なんとユーモラスなナマモノなのだろうか。
「おにいさん、どうしたの?」
「誰がお兄さんか、あたしは女だ」
髪は短いが。
「じゃあおねえさん、どうしたの?」
「いや、このアパート、ああこの部屋な?ペット禁止でなぁ」
「こ、こまるよ!ふゆもちかいからおそとにでてもたべものさんがないよ!!」
「まぁ、お前が前住んでたところから比べても食べ物少ないわなぁ……つぅわけでものは相談だ」
「ゆ?」
「おまえさんが家を散らかさないっつうならこの部屋においてやっても構わん」
正直追い出す気はさらさらない。だって可愛いじゃないか!
猫が好きだがアパートじゃ飼えないというジレンマから逃げるための逃避行動ではない、断じてない。
「ありがとぉぉぉ!」
と涙を流してまで喜ぶとは……。ここまで感謝されるとは思わなかった。
「あ、そういえばちぇん、アンタ何を食べるの?」
「むしさんやくささんだよぉ」
「ここらにゃ草も虫もあまりないな……、アンタそれ以外も食べれる?」
「からくなければだいじょうぶだよぉ」
「よしわかった、とりあえず今日はコレを食べてくれ」
といって煎餅を出しておく。
「あれ?おねぇさんどこにいくの?」
「あたしはこれから大学があるんだ、すまんが夕方になるまでは帰ってこれん」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「というわけで毛布にでも包まっていてくれ」
「ぬくぬくだよぉ、あたたかいよぉ! Zzz………」
なんという猫体質。可愛いにも程があるぞ、ちぇぇぇぇぇん!
「ハヤっ!!まぁいいか……」
大学に行くとしよう。あぁ、論文書くのメンドい………。
夕方に家に帰って来たらまだちぇんは毛布に包まって寝ていた。
ご飯食ってないし……もしかしたらゆっくりしてればこいつら食べなくても生活できるんじゃないか?
まぁ、とりあえずご飯を買って来たのだから起こすことにする。
「むにゃむにゃ……あ、おはようおねぇさん!ゆっくりしていってね!!」
「おはようじゃなくてこんばんはだけどな、桃缶買ってきたが食べるか?」
「もも?」
「果物だけ「たべるよ!」……早いな」
汁をこぼしたら拭くのが面倒なのでタオルケットを持ってきて敷いて食べさせた。凄く和んだ。
そのあと、風呂で体を洗ってやり、猫じゃらし(エノコロ草)でひとしきり動かせた後、毛布に包まって寝たのを確認した後
私は寝ることにした。
翌日
「「ゆっくりしていってね!」」
「増えてる!?」
増えてた。今度もちぇん(小さい)だ。だが、片方がベランダにいる。
すぐに部屋に入れながら
「な、なんで増えてるの!?」
「さっき、うーぱっくがこどもをとどけてくれたんだよ!」
うーぱっくがなんだかは知らないがコウノトリみたいなものだろう。なんだこのメルヘン生物……。
ともあれ、私とこやつ等の生活はまだ始まったばかりだ。
ああ、モフりたい。
後書き
ゆっくりちぇんは可愛いと思う今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
猫が飼えない理由は現在進行形で私の実体験です。
ゆっくりゆーぎ
ゆっくりとお兄さん
- ここのやくも一家が可愛すぎて仕方ないのだが… -- やくも大好き (2012-10-12 05:04:47)
最終更新:2012年10月12日 05:04