アリス×ゆっくり魔理沙7

※最初の方は某Wikiからの使い回しです。ifルートとしてご了承ください。


今日のおやつはつぶあん饅頭だ。もっとも、私はまりさが食べるのを見てるだけなのだが。
「はむはむ……」
「もくもく……」
「しあわせー!」
(……)
「おねえさんおいしいよー!」
「そう、よかったわね」
私は食べるゆっくりを見ながら積年の――実際はつい最近考え始めたことなのだが――疑問を考えていた。

ゆっくりはおいしいのだろうか。

「食べないで味を語るのは知性の敗北……」
「ゆっ?」
「あ、食べ終わったのね」
「ごちそうさま!」
「おいしかった?」
「うん!」
「私のこと好き?」
「うん!」
「お願い聞いてくれる?」
「うん!」

「まりさを食べてもいいかしら」

「…………」
「だめ?」
「……いいよ!」
「あら」
意外な反応だ。
「でもちょっとだけだよ! 全部食べちゃうとゆっくりできないからね!」
「痛くないの?」
「痛くないよ! ちょっと食べるだけならすぐ直るよ!」
なんと。……というか食べられたことがあるのだろうか?
「じゃあ、ちょっとだけ貰うわね」
そう言ってまりさの頬に手を添える。肌に手が触れたとき、僅かにまりさは震えた。
「怖いの?」
「ちょっとびっくりしただけだよ! 痛くないし平気だよ! おいしいよ!」
「そう……」
もう片方の手を添えて、力を入れてみたが……千切れない。
「直接齧った方がよさそうね」
「ゆっ」
抱き上げたときにまりさは小さく声をあげた。頬にキスするように目を瞑り顔を近づける。品よく小さく口を開けて……噛んだ。
「……」
あったかい。餅肌……もとい、餅そのものの食感の直後に、表皮と変わらぬ温度の餡子が口の中を泳ぐ。……美味しい。
数回咀嚼をした後、目を見開いて食べ跡を見た。鈍く餡子が出血のように滲み出ている。怪我の跡を直すときのように優しく舐めた。

しばらくして傷は自然にふさがった。再生力が高いのは本当だった。
「おいしかった? ゆっくりできた?」
「とってもおいしかったわよ。毎日食べたいくらい」
「……よかった! いつでもゆっくり食べてね!!!」
まりさもとても喜んでいた。饅頭らしく、食べられることが嬉しいのだろう。




「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!!!」
神社の境内で跳ねまわる二体のゆっくりたち。部屋の中まで声が外の声が聞こえてくる。微笑ましい光景だ。
「いつのまに仲良くなったのかしら」
「まったくね。今日になって突然『きょうはれいむのところでゆっくりする約束してるよ!』だもん。いつの間に、って話よ」
当の私は部屋で霊夢とお茶を楽しんでいた。……今日は魔理沙はいない。魔理沙は……
「どうしたの、急に浮かない顔しちゃって」
「あ、いやいや」
表情に出ていたらしい。……悪い癖だと思う。
「ふーん……」
「と、ところで、ゆっくりのことだけど」
「?」
「痛みを感じないっての知ってた?」
「……え?」
あからさまに霊夢は怪訝な顔をした。どうやら知らないようだ。
「千切れたり餡子が漏れたりしてもちょっとなら大丈夫なのよ」
「そんなはずはないわ。だって、家のゆっくりが肉まん……いや、ゆっくりレミリアに悪戯されたときすごく痛がって泣いてたもん」
「え、そんな。じゃあまりさが特別なのかな……」
霊夢がこちらに身を乗り出してきた。
「ねえ、アリス。あの子、貴女に喜んでもらうために、痛みを堪えてたんじゃないかしら」
「!」
「あの子はゆっくりの中ではおとなしい方よ。我慢もできる。……それに、貴女のことがとても好きみたいだし」
「ま、まりさ……」
私は……私は…………。
「れいむ、ゆっくりしたよ!!!」
「「!」」
私と霊夢がほぼ同時に振り向くと、そこにはれいむが右に、まりさが左に並んでいた。基本の配置だ。
「ああ、もうそんな時間ね。じゃあ、悪いけどアリス、そろそろ……」
「あ、うん。帰りましょ、まりさ」
「はーい!」
なんだかばつが悪くなってしまい、まりさを抱えて早々と博麗神社を後にした。


「すっかり遅くなっちゃったわね」
「ゆっくりした結果がこれだよ!」
「ふふ」
人気のない道で、ただ虫だけが声を立てていた。
「……ねえ、まりさ」
「ゆっ?」
「食べられて、痛かったでしょう」
「! …………」
まりさは俯いて震えていた。それからしばらくして、抱き上げた腕に水が伝うのを感じた。
「ごめんね。もうあんなことしないからね……」
「ゅっ……」
まりさを強く抱きしめたとき、私の頬にも同じものが伝っていた。


  • (つ∀;)イイハナシダー スゴクイイハナシダーーー -- 名無しさん (2008-12-09 01:55:34)
  • このシリーズに出てくるアリスってゆっくりまりさのことをただの魔理沙の代用品としか見てないためか絆を全然感じない。アリスが魔理沙のことを嫌いになったらまりさも平気で捨てそうだ。 -- 名無しさん (2010-04-21 12:44:59)
  • いい話だ。互いに想い合う。すばらしいね。 -- 名無しさん (2010-11-27 14:32:41)
  • スーゴークーイイハナシダナー -- ちぇん飼いたい (2012-02-27 20:19:22)
  • チョ―――――――いい話ダワ -- 名無しさん (2012-04-23 22:05:30)
  • あれ、目からヨーグルトが・・・ -- 名無しさん (2012-07-31 17:59:44)
  • だばーーーーだばばーーーー -- 魔法使いさん (2012-08-09 17:57:07)
  • あれ、目からヨーグルッチが・・・ -- 名無しさん (2012-12-12 17:22:57)
  • 饅頭食えなくなっちゃう -- 名無しさん (2014-09-22 09:37:26)
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最終更新:2014年09月22日 09:37