紅魔館の夜

 美鈴と3匹のゆっくりが美鈴の部屋に入っていく。
 3匹はめーりん、こまち、ゆうかで、3匹とも美鈴が飼っているものである。3匹にはそれぞれ仕事があって、めーりんは門番、こまちとゆうかは花の世話と、どちらも美鈴の仕事の手伝いである。
 ちなみに、一番最初に飼い始めたのがめーりんで、美鈴の特訓の甲斐もあって立派に門番を務めている。こまちは成り行きで飼うことになったもので、飼い始めた頃は美鈴の休日以外は美鈴の部屋で寝ていてばかりだったが、美鈴がゆうかをある人物から譲り受けてからは、ゆうかと一緒に花畑で精を出すようになった。
 「3人とも、お疲れ様」
 「「「おつかれさま!」」」
 「それじゃあみんなでお風呂入ろっか」
 「「「ゆーっ♪」」」
 1人と3匹は風呂場へ向かった。

 ~~~

 「ふあ…」
 パチュリーがあくびを1つき、小悪魔がそれに気づいた。
 「パチュリー様、もうお休みになりますか?」
 「…そうね。貴女ももう休んでいいわ」
 「わかりました。お休みなさい」
 「お休み」
 小悪魔は自分の部屋に向かった。
 「さて…」
 パチュリーは立ち上がった。
 「ありすー?」
 「ゆっ!」
 どこからともなくゆっくりありすが現れた。
 「どこ行ってたのよ?」
 「とかいはにおさんぽしてたのよ!」
 「もう寝るわよ」
 「はやねはやおきなんてとかいはねっ!」
 パチュリーはしゃがんでありすを見つめた。
 「…貴女は私のことどう思ってるのかしらね」
 「どうしたのぱちゅりー?」
 「ううん、なんでもないわ。」
 「へんなぱちゅりー」
 パチュリーはありすを抱き上げ、寝室に向かった。

 ~~~

 小悪魔は自分の部屋に入った。
 「むきゅっ。おかえりなさい」
 「ただいま」
 小悪魔を出迎えたのはゆっくりぱちゅりーだった。
 「きょうはこのごほんをよんでほしいわ」
 小悪魔はぱちゅりーが指した本を手に取った。表紙の挿絵は、全身が羊のような毛皮で覆われた人物が、手紙を読んでいるように見える。
 「いいですよー」
 小悪魔は椅子に座り、膝の上にぱちゅりーを載せた。小悪魔はぱちゅりーにも見えるように本を開いた。
 「いきますよ。"羊男が、クリスマスのための…"」

 ~~~

 「お休みなさいませ、お嬢様」
 「お休み、咲夜」
 咲夜はレミリアの部屋を後にした。
 1日の仕事が終わり、咲夜は自分の部屋に向かった。
 部屋に入ると咲夜は扉の鍵を閉めた。そして、部屋の隅にある扉を開けた。その先には小さな部屋があり、真ん中にはれみりゃがいた。
 咲夜はこのれみりゃを、紅魔館の誰にも内緒で飼っていた。
 「うー♪さくやー♪」
 咲夜に気づいたれみりゃが咲夜のもとに飛んでいく。
 「言いつけ通りゆっくりしてましたか、おぜうさま?」
 「れみりゃはいつだってゆっくりしてるんだぞー♪うっうー♪うあうあー♪」
 そう言ってれみりゃは両手を挙げ踊り出した。
 咲夜は鼻の奥で鉄の味が広がるのを感じた。

 ~~~

 紅魔館の廊下を歩く、1つの影があった。赤い悪魔の妹、フランドールだった。
 フランは足音を立てないように歩いていたが、ある窓の前で止まると、静かに窓を開け、そこから外へ飛び出した。
 フランはそのまましばらく飛び、森の中に着地した。
 「確かこの辺に…あ、いたいた」
 フランの視線の先には1匹のれみりゃザウルスがいた。れみりゃザウルスもフランに気づいたようだ。
 「うー♪ふらんおねーさんだぞー♪」
 れみりゃザウルスがフランによたよたと駆け寄っていく。
 実は、フランはこうして夜な夜な紅魔館を抜け出してはこのれみりゃザウルスと遊んでいたのだった。
 「ぎゃおー♪ゆっくりしていくんだぞー♪」
 「今日は何して遊ぼっか!」
 夜の森に、1人と1匹の笑い声が響いていた。

 ~~~

 レミリアは咲夜の足音が聞こえなくなったのを確認し、クローゼットを開けた。
 「あなた達、出てきていいわよ」
 すると、クローゼットの中から2匹のゆっくり…れみりゃとふらんが飛び出してきた。
 「「うー♪うー♪」」
 2匹を見るレミリアの顔はとても緩んでいて、紅魔館の主としての威厳は微塵も感じられない。
 レミリアも紅魔館の誰にも知らせることなくれみりゃとふらんを飼っていた。しかも、人前ではカリスマ全開にして、ゆっくり、とくにれみりゃに関しては気持ち悪いの自分の威厳がどうのとよく話しているのだった。
 「はう~♪れみりゃかわいいよれみりゃ~♪ふらんもかわいいよ~♪」
 そう言いながらレミリアは2匹に抱きついた。普段のレミリアからは想像すら出来ない姿だろう。
 「今日も3人でゆっくりするわよ♪」
 「ゆっくりするんだぞー♪」
 「ゆっくりするよ♪」

 ~~~

 紅魔館の夜は今日も平和です。

以下作者の言い訳など
  • 「カリスマなんか俺がぶっ壊してやるよ」って声が聞こえたので。
  • わかる人はわかると思いますが、小悪魔が読んでるのは「羊男のクリスマス」(村上春樹)です。
  • 小悪魔はパチュリーもぱちゅりーも好き。パチュリーはアリスが好き。でもアリスはゲフンゲフン
  • 感想、質問、誤字報告等あれば下のコメント欄へ。閲覧ありがとうございました。
尻尾の人

  • これは、もっと日常をクローズアップして欲しい作品です!!
    続きを書いてほしいなーとか、おもったりして~♪(期待の眼差し)
    -- ゆっけの人 (2009-01-01 10:11:12)
  • 日常とか何も考えてないんですが…。
    とにかくレミリアをぶっ壊したかっただけなんで。
    そんな目で見られても何も出てきませんよ。 -- 作者 (2009-01-01 23:38:32)
  • イイハナシダナー -- 名無しさん (2010-11-26 19:07:00)
  • なぜかうちの本棚に「羊男のクリスマス」の本があったw
    ちなみにフランは「ねじけ兄弟」が好きなパターンか?
    はう~!紅魔館のみんな結局ゆっくり飼ってんのか~!かわいい! -- れみりゃ可愛いよれみりゃ (2011-07-31 13:53:47)
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最終更新:2011年07月31日 13:53