ゆっくりもこうを飼おう その3
人間の里にクリスマスの時期がやってきた
この幻想卿は日本にあるが、西洋系の妖怪もいるため西洋の文化も幻想入りしていた
クリスマスもその一つで、皆がそれぞれに祝い事をしていた
最も、ただ飲み会をする口実を欲しかっただけかも知れないが
「もっこもっこにしてやんよ!」
そして私も今、もこうのクリスマスプレゼントを考えていた
よく手伝いをしてくれるのでささやかなものを送ろうと考えたのであったが
そもそもゆっくりには何を送ればいいのだろうか?
もこうはというと最近流行った歌を歌っている
そのせいか鳴き声が今までの「ゆ!」だったのが「もこ!」に変わってしまった
これはこれで個性があって悪くはないのだが
「なぁ、もこうは何か欲しいものはあるか?」
「もこ!もこうはおにいさんといっしょならそれでいいよ!」
と中々に殊勝なことを言ってくれる
ここまで賢く育ってくれたのは嬉しいが、こういうときは素直に欲しい物を言って欲しいものだ
と、ここで扉がドンドンと叩かれた
ノックにしては低いところから聞こえてきたが相手が分かっているので気にしない
「お、ちぇんか」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
友人のちぇんが遊びに来た
ちぇんは丁寧にゆっくりの挨拶をする
もこうも挨拶をしてちぇんを招き入れた
「わかるよーちぇんはあそびにきたんだよー」
友人の家とは割と近所なためたまにちぇんが遊びに来る
逆にもこうを遊びに行かせるときもある
らんは最近ちぇんの親離れを見守っているらしくあまり着いてくることはなかった
「もこ!ゆっくりあそぼうね!」
ちぇんには飼いゆっくりであることを示すバッジが付けてある
このバッジは飼いゆっくりの賢さを現す一種の目安だ
ランク分けされておりちぇんはシルバーバッジ
その上のゴールドバッジは店の手伝いをするゆっくりなどが付けているため、ペット用と言うよりも商業用に近い
が、ペット用であっても賢いゆっくりはゴールドバッジを取得することが出来るため時々付けているゆっくりがいる
ちなみにもこうも先日シルバーバッジを取得したばかりだ
今まではお手製のリボンを付けて飼われていることを証明していた
確からんは近々ゴールドバッジの試験を受けるらしい
ゆっくりらんは賢いので案外合格するかも知れない
「もこ、もこうがあっためてあげるよ!」
考え事をしているとおやつにと上げたおにぎりをもこうが頬張っていた
炎を上手く操ることが出来るようになり、なんと口に入れたものを軽く温めることが出来るようにまでなった
もこうが口からおにぎりを出すとそれは焼きおにぎりになっていた
「わかるよーやきおにぎりだねーもこうはすごいよー!」
「もこ♪」
焼きおにぎりをちぇんと半分ずつわけるもこう
二匹ともふーふーしながらおにぎりを食べていた
やはり、ゆっくり同士で遊ぶのは楽しいようで二匹は時間を忘れて遊んだ
ドンドンとまた扉が叩かれ、開けてみるとそこにはゆっくりらんの姿が
「らんはちぇんをむかえにきたよ!そろそろおうちにかえるよ!」
ゆっくりのお迎えだ
こういう風景を見られるとは中々に貴重なものだ
「わからないよー。まだくらくないよー?」
「おにいさんがさんたさんにてがみをかくかららんがむかえにきたよ!」
「もこ?」
まだ遊びたいというちぇんにらんが「サンタに手紙を書く」と言う
それを聞いたちぇんは「わかったよー」と言いらんの元へとテポテポて歩いていく
「ちぇんはもうかえるね!もこうもおにいさんもゆっくりしてね!」
「ゆっくりしてね!」
らんがペコりとお辞儀をすると二匹は器用に戸を閉めて友人宅へと帰っていった
「もこ?おにいさん、さんたさんってなあに?」
「あぁ、サンタさんはな…」
もこうにサンタの説明をしていなかったことを思い出した
もこうにはサンタとは良いゆっくりにプレゼントをくれる人だと教えることにした
これならば何か聞き出せるかも知れない
「サンタさんは良いことをしてるゆっくりにプレゼントをくれる人なんだよ」
「もこ!?」
「もこうはサンタさんにお願いするものはないかい?」
「もこ…」
どうやらもこうにも欲しい物があるようで、言うか言うまいかともじもじと迷っている
少し考えた後にもこうは意を決して
「もこうはかぞくがほしいよ!」
「かぞく…だと…?」
もこうはペットショップで購入したために早期に親元から離されている
そのせいかゆっくりの家族に憧れているようだ
先ほどもらんと一緒に帰るちぇんを羨ましそうに見ていた
「さんたさんにおねがいするね!」
「あぁ…」
が、私には難しい問題だ
成体ゆっくりを連れてこようにももこう種は珍しいためまず見かけない
ペットショップでも成体もこうは見なかった
かといって別の種類のゆっくりをあてがうわけにもいかない
それは成体ゆっくりにももこうのためにもならないからだ
シルバーバッジ取得記念に新しいケージを買ってあげたときに大喜びしていたのを見て油断してしまった
幸い、小博打で得た金があるため金銭的な問題がないのが救いだが
「もこうは良いゆっくりだからゆっくりやすむね!」
遊び疲れたのかもこうは新しいケージへと戻り寝床で休み始めた
と言うわけで今から急いでペットショップへ行こう
「え~成体のもこうですか?希少種の成体は中々いないんですよ…」
「そうですか…」
ダメ元で聞いてみたが、やはり珍しいだけあってこの店にはいないらしい
「明日になれば、ブリーダーさんからまた新しいゆっくりを引き取るんですがその時にもう一度来てはどうですか?」
「分かりました…今日はこのゆっくり用高級フードをください」
クリスマス用に豪華なフードを買って帰った
明日また来るが今日のウチに用意は済ませておこう
家に帰るともこうはまだ眠っていたので、帰りに買った小さめのクリスマスツリーを飾ることにした
小さいながらも色とりどりのイルミネーションにプレゼントやサンタ、靴下を模した飾りに極めつけはツリーの一番上にある大きな星だ
なんでも、とある魔法使いが出したらしくその輝きは宇宙の星を連想させる
ゆっくり用高級フードを冷蔵庫にしまい、準備はできた
次の日、再びペットショップを訪れるとケースの中のゆっくり達が一新していた
クリスマスプレゼントに買っていく客が多くなったために買い手が見つかったゆっくりは別のスペースに移したらしい
新たなケージの中にはこれまた新しいゆっくり達がゆっくりとしていた
狭いながらもゆっくりできるように設計されたケースのためゆっくりは幸せそうにしている
「「あるゆっくりしたひのこと~♪」」
「ありしゅはゆっきゅりしゅるよ」
「いもうとたちもゆっくりしてね!」
歌を歌うものからまだ眠いのか藁の上で眠るもの、どのゆっくりもそれぞれゆっくりしていた
「いらっしゃいませ。あぁ、あなたですか、残念ながらもこうは今回いないんですよ」
「やっぱり難しいですよね…」
「えぇ、もこうはいませんが今回も希少種を仕入れたんですよ」
ちょっと見てみませんか、と店主は私にケージを指し示す
そこには特徴的な帽子を頭に乗せたゆっくりが眠っていた
青みが掛かった銀色の髪をしたそのゆっくり、ゆっくりけーね
帽子はさしずめ三重の塔、と言った感じで物理的法則を無視したかのように頭の上に乗っかっている
「ゆっくりけーね、名ブリーダーの×××さんが育てたゆっくりから産まれたんですよ」
血統書を見せてくるがそんなものは別にどうでもいい
この特徴的な帽子に私は一目惚れしてしまった
昔から私は主人公よりも脇役が好きになってしまうタイプでグ○ンラ○ンより○ング○タンが好きだ
その私の心をこのゆっくり(の帽子)は掴んではなさい
「店主、このゆっくりをくれ」
と、思わず即決してしまったのである
店を出た後に、我に返った
もこうのクリスマスプレゼントを買いに来たというのに何と言うことを…
店主には今晩取りに来ると伝えて買い手が付いたことを示す札を貼ってもらってあるが考えると軽率すぎた
キャンセルするわけにもいかず、もこうへのクリスマスプレゼントはゆっくりけーねと決まってしまった
「おにいさん!くつしたをつるしてね!」
「分かった分かった」
もこうにサンタはくつしたにプレゼントを入れると教えたところくつしたをねだられたのでゆっくりが一匹はいるほどの靴下を用意した
それを壁に吊して後はプレゼントをいれるだけ
もこうは楽しみなのかどこかそわそわしている
「もこ~…さんたさんはいつくるの?」
「サンタさんはみんなが寝ている時に来るんだ。夜更かししたらサンタさんは来ないぞ」
「もこ!きょうははやくねるね!おにいさん、おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
もこうは昨日と同じくケージの中の藁の上で寝ている
このケージは少々奮発したためゆっくり二匹なら余裕ではいる大きさはある
今はもこう一匹のため空きスペースがある
「さて、そろそろかな」
時計を見ると約束の時間が近くなっていたので私はペットショップへと急ぐことにした
ペットショップでけーねを受け取った
今回はケージはないため手で直接抱えている
けーねが寒くないようにと店主がゆっくり用毛布をサービスしてくれたため今はすやすや眠っている
この分だと上手くいきそうだ
家に帰るともこうが眠っているのを確認してから靴下にけーねをいれる
流石に宙ぶらりんは可哀想なので靴下は床に降ろしておく
後は明日になりもこうが起きるのを待つだけだ
翌日、もこうはいつもより早く起きて逆に私を起こした
「おにいさん、ゆっくりはやくおきてね!」
私の顔をペチペチと叩いてくるのでたまらず起きてしまった
「まだ6時だぞ…」
「ゆっくりごめんね!でもくつしたさんがゆかにあるよ!」
ソワソワと靴下を見るもこう
その眼はキラキラと輝いていた
「…サンタさんが来てくれたみたいだな」
「もこ♪」
膨らんだ靴下を見てもこうは上機嫌のようだ
「ゆっくりしていってね!」
この挨拶を聞いたゆっくりは反射的に返してしまう習性を持っている
それは靴下の中のけーねも例外ではなく
「ゆっくりしていってね!」
と、靴下の中から這い出てきた
「ゆ?ここはどこ?」
けーねは見慣れない部屋に少々戸惑っているようだがもこうは大喜びだ
「もこ!おにいさん、ゆっくりがいるよ!」
「あぁ、おまえの家族だ」
それを聞くともこうはけーねに歩み寄った
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
互いに顔を合わせて挨拶を交わし
「もこ!もこうはもこうだよ、ここはおにいさんのおうちだよ!」
「けーねはけーねだよ!もこうはとってもゆっくりできるゆっくりだね!」
少々肌寒かったが、それでもけーねはもこうの近くにいると暖かかった
もこうもゆっくりにとっての最大の賛美を送られて顔を赤くして照れていた
「けーねともこうはかぞくだよ!ゆっくりしようね!」
「ゆっくりしようね!」
けーねももこうもまだ子ゆっくり。野生では時折親を亡くしたゆっくりが他のゆっくりの家族に迎え入れられることがあると聞いたがどうやらけーねももこうのことを家族と思ってくれたようだ
二匹は楽しそうに家の中を走り回っていた
夜にはいつもより豪華な餌を与えてあげた
けーねはぱちゅりー種のように賢いため舌が肥えることもなく、普通の餌も一緒に食べてくれたので一安心だ
「「む~しゃむ~しゃ、しあわせ~♪」」
けーねはこの家ともこうが気に入ったようで、幸せな顔をしている
もこうも初めての家族にとても喜んでいる
大きめのケージが役に立ち二匹は藁の上で寄り添うように眠りだした
最初はどうなることかと思ったが、これはこれで良い結果に終わってくれた
「メリークリスマス、もこう、けーね」
ゆっくり用毛布を掛けてやり、私も床に付いた…
時間とネタの都合上残念ながらラオめーりんの話がかけません(´;ω;`)
れみりゃサンタとか考えてたんですが…
- もこたんかぁいいよお(´;ω;`) -- 名無しさん (2009-01-16 16:55:24)
- ラ、ラオめーりんの人だったのか‥!人の成長というのは素晴らしいですね
ああもう本気で可愛いわ、みんな。飼いたい、マジで切に思う飼いたい。
そして希少種と聞いてけーねではなくかぐやを想像してしまった私はかぐもこ派。でもたまにはけねもこも良いよね!! -- 名無しさん (2009-01-16 17:31:21)
- くおお、かわええのう -- 名無しさん (2009-01-16 18:18:23)
- ほのぼのー
-- 名無しさん (2009-01-27 23:47:52)
- グ○ンラ○ンより○ング○タン
は、
グレンラガンよりキングキタンでしょうか?? -- 特定の種だけゆっくり愛でな人 (2009-02-28 16:13:28)
- けねもこは俺のジャスティス
-- 名無しさん (2010-01-23 01:06:40)
- やっぱけねもこだね。
-- 名無しさん (2010-12-01 15:01:32)
- バッジとか舌が肥えるとかお好きですね -- 名無しさん (2012-06-12 20:47:18)
- ゆっくりけーねは、ゆっくりもこうのことをもこたんと言う。 -- 白上沢慧音 (2012-09-25 21:24:01)
- ↑先生何やってんですかwww -- 名無しさん (2012-12-25 18:39:18)
- >>やっぱけねもこだね。
もこけーねだろ -- yiuyiuiyiuiyiuyiuyiuyiuyiuyiuyiuyiuyiuyiuyiu (2019-11-21 16:45:36)
- とってもゆっくり出来るよー -- もこうの愛でがみたい人 (2022-01-09 18:57:41)
最終更新:2022年01月09日 18:57