永遠な二人 ~嘘夜~

※東方キャラ登場注意
※しかも二次設定過多
※オチなんてないよ





ゆっくりSS 永遠な二人 ~嘘夜~





 幻想郷、卯月の一日。
 誰が言ったかしらないが、本日に限り嘘をついても咎められない日だとか、どうとか。

「という訳で今日は嘘で勝負よ」
「どういう訳か知らないけど望むところよ!」

 ここは迷いの竹林の中にある永遠な御邸、永遠亭。月の姫である蓬莱山輝夜の現居である。

「ルールは!?」
「交互に嘘を言い合うターン制。騙されたら負け!」
「OK、把握したわ」

 当然の様に永遠帝に入り浸っていた妹紅に向かって、唐突に変な勝負を挑んできた輝夜、そしてまた当然のようにその勝負に応える妹紅。
 最近じゃこんな光景は日常茶飯事だ。
 文字通り永遠の好敵手である二人にとって、いかなる場所でも、どのような勝負でも、受けて立つのが常識らしい。

「ジャッジはこのかぐやと」
「もこうがゆっくり務めるよ!」

 そして当然のようにそれぞれの頭の上に載っていたゆっくり、妹紅のゆっくりかぐやと輝夜のゆっくりもこうが審判を名乗り出た。
 何故か双方無駄に自信満々な得意げな顔をしている。つまりいつも通り。

「それでは」「ゆーい、スタートだよ!!」
「じゃまず私のターン!!」

 ジャキーン、とスペルカードを手前に構え、デュエリストなポーズを取りながら輝夜は言う。

「実は私ってば永琳より年上なの」
「嘘付け」

 ちなみにスペルカードはポーズのために出しただけである。

「姫、残念」「次はもこたんのターンね!」
「よっしゃ、私のターン!」

 ジャキーン、と妹紅もスペルカードを持って輝夜のポーズのマネをする。妹紅は付き合いの良い娘である。

「東方星蓮船のExボスは実はまた私だ!」
「はい、嘘!」
「もこたん、それ嘘というより願望じゃないかしら?」

 頭の上のゆっくりかぐやにもつっこまれた。

「それじゃ、また私のターンね!はい、実は月の裏側には宇宙人の侵略基地ができていて、地球侵略を虎視眈々と狙っているの!!」
「スパ厨乙!」
「はい、じゃまたもこたんのターンだよ!」「ゆっくり頑張ってね!」
「応ともさ。永遠亭にさぁ、亡霊の親玉がいるじゃん?あいつ遂に先日夜雀の焼き鰻屋を襲って食っちまったらしいんだよ!怖いねぇ」
「嘘、昨日えーりんと一緒にその屋台行ったもん!」
「もこたん、残念ね!」「じゃ、また姫のターンだよ!!」
「妖怪の賢者の紫っているじゃない?あの人実はまだ16歳らしいよ!」
「ないない」
「ないね!」「絶対ないね!」
「よっしゃ、次!!」




「ねぇ、てゐ」
「ん、なぁに?」
 そんな様子を永遠亭の中庭から眺めていた月兎は相方に問い掛けた。
「あれって決着付くのかなぁ。相手が嘘をつくことが前提になってるんだから、例えどんな本当らしいことを言われても
 『嘘』って言い続ければ何時まで経っても決着付かないと思うんだけど。ていうか、アレ楽しいのかしら?」
「まぁ、嘘を付くって行為はどんな状況であろうと楽しいものだよ。例え相手を騙しきれなくても、
 『本当でないことを堂々と言ってのける』ってことは気持ちの良いことだから」
「あんたが言うと本当説得力があるわぁ」
 やれやれと、軽く溜息を付きながら月兎は首を振った。
「それにね」
「それに?」
「どんな状況だろうと、絶対に『本当ではないのか?』と疑ってしまう嘘もあるんだよ。あの二人の場合は特に分かり易いかなぁ。
 この場合、先にそれに気付いたほうが勝つよ」




「はぁはぁはぁ」
「いい加減疲れてきたわね‥」

 始まってから2時間ほど経過した昼下がり。
 流石の蓬莱人の二人も漸く疲れが溜まってきたらしく、その場でぺたりとうなだれる。

「ゆゆぅ、まだ決着は付いてないよ!ゆっくり再開してね!」
 ゆっくりかぐやが妹紅の頭の上でピョンピョン跳ねながら文句を言う。

「諦めたらそこで試合終了だよ!」
 ゆっくりもこうも輝夜の頭の上で器用にグルグル転がりながら彼女達を叱咤する。

「ごめん、ちょっと休憩」「ちと休ませてってば」
「ゆぅ、だらしないわね!」「とらうまぁ!」

 そこでゆっくりかぐやはぴょこんと妹紅の頭の上から飛び降り、向き合っていた輝夜の顔を見上げた。

「ん?どうしたの、かぐや?」
 何時になく真剣な眼差しをしているかぐやに違和感を感じて、輝夜は聞いた。
「ゆゅゆ、あのね」

 そして、唐突に、何気なくかぐやは言った。

「実は、もこたんは昨晩、慧音とお楽しみでした」
「え‥?」

 輝夜は一瞬ぽかんと呆けた後、

「ぃぇええええ!本当!?」
 酷くうろたえながら涙目になってゆっくりかぐやを問い詰めようとした。

「嘘」
「あ‥」

 ゆっくりかぐやのシンプルな返答で、輝夜は今自分達が何をしていたかを気付き、

「何やってんのよ」
「ゆゆゅ、姫の負け?」
 呆れ顔で自分を見ている一人と一匹に気付き、

「ゆっふふふ、案外簡単だったわね!そんなに動揺しちゃったかしら?」
 やってやったという顔でニヤニヤ笑うゆっくりかぐやの顔を見て、
 たった今自分がしてしまった大失敗に気付いた。

「ま、待って。無し無し無し無し、今の無しだってばぁ!!うあわぁあんん」

 輝夜は顔を真っ赤にして必死に弁解しようとした。だが、しどろもどろになりすぎて何を言ってるのか分からない。

「呆気無い幕切れだったわね、もこたん」
「ああ、そうね」
 そう言って妹紅は手柄を立てたかぐやを妹紅はよしよしと撫でてやる。

「だから無しだってばぁ!!」
「ゆゆ、姫。もこうに任せて!」 
 主人のフォローに回ろうというよく分からない使命感を発揮したゆっくりもこうは、
 ぴょこんと輝夜の頭の上から飛び降りて、大きな声で言う。

「みんな、もこうの言うことを聞いてね!!こんどはこのもこうのターンだよ!え~と‥」

 何を言うべきか5秒ほど考えて、ゆっくりもこうは声高らかに叫ぶ。

「昨日ね、人間の方のもこたんが永遠亭に来て、堂々と居眠りしてたよね」
「ああ、昨日も確かにここに来てたけど」

 そんでお茶菓子をごちそうされた後、春の陽気に誘われてうとうとしてしまった記憶が確かにある。

「その時ね、姫がそんなもこたんに呆れて近寄って‥」


『まぁた、妹紅ってば人んちで堂々と寝ちゃって‥。一応私達の関係って宿敵じゃなかったかしら?』

『でも本当すやすや眠っちゃって‥』
(ちょっと可愛いなぁ)

『‥‥えいえい』
(うわぁ、ほっぺたがゆっくりみたいに柔らかい‥)

『‥‥‥、誰も見てないわよね。ちょっとだけ‥』
(前にも触ったけど‥、綺麗な髪だなぁ。あぁ、手入れとかしてあげたい)

『‥‥‥‥‥ちょっとだけなら、一緒に寝ても‥』


「とかしてたよ!!」
「ぬぁ!?」

 一瞬妹紅は戸惑い慄いたが、すぐに現状を思い出す。

「てぁああ、嘘か。ちょっとびっくりしたぁ」

 当人を前にあまりにもリアルに現場を語るものだから、少し頬が熱くなってしまった。
 危うく騙されそうになっていたことに冷や汗を流し、気を取り直し自信ありげにエヘンと言い返す。

「残念だったわね。そんな見え見えの嘘じゃ私は騙されないわよ。ということでこの勝負は完全に私の勝ちね、輝夜」
「え、ええ‥、あぁ、うん‥そ‥そうね」
「ん?」

 どういう訳か、輝夜は妹紅から顔を背け、動揺したようにガタガタを身体を揺らしていた。

「ちょっと、どうしたの、あんた」
「い、いや‥な‥にゃんでもにゃいです‥」

 輝夜は妹紅の顔を決して見ないように目を逸らしながら返事をする。明らかに何でもなくない。

「ちょっと、もこたん!!」
「ゆ?なぁに、かぐや」
「今日の戦いの主旨は嘘をつくことよ。本当のこと言ったら意味がないじゃない!!」
「あ、そっか。もこうはうっかりしてたよ!!」

 あれ?
 今、隣に居るゆっくりsは何て言った?
 妹紅の頭にほんのり悪い予感が通り過ぎた。

「という訳で、姫、それにもこたん。さっきの話は特に嘘が入ってなかったから無効票よ!」
「ゆっくりごめんね!!」

「え? え? あれ?マジで??」

 本当?の話?
 私が寝てる間に、輝夜にほっぺぷにぷにされて、髪さわさわされて、ついでに添い寝?
 カァァと、妹紅は自分の頭に血が勢いよく登っていく音を聞いた。

「い‥いあいあいあ‥ち‥違うわ‥違うのよ妹紅」

 輝夜はもうどうにもならないくらい顔を真っ赤にして、ばたばたと両手を目の前で振った。

「ま、まさかゆっくりたちに見られてるなんて思ってなかったし‥いやそうじゃなくて‥だから‥ああぁううぅうぅうう‥」
「お、おい輝夜。取り敢えず落ち着こう、ね?」
「ち、違うんだから!!私別にそんな‥妹紅のこと好きだなんて‥て、ていうか大嫌いだし!!」
「ぬぁ!?」

 そこで、輝夜の傍らに居たゆっくりもこうがポツリと輝夜に聞いた。

「姫、今のも嘘?」
「ひにゃ!!??」

 姫、臨界点突破。

「ゆ?」
 輝夜はガシッとゆっくり妹紅の頭を掴み、立ち上がると、

「うう、うわぁああああああああんん。おうち帰るぅううううううううう」
「と、とらうみゃあああああああ!!」

 そのまま半泣きの状態で走って逃げ出した。 

「ちょ、待て、ここがあんたの家でしょ!!??」
「追いかけましょう!!もこたん」

 妹紅もすぐさま立ち上がり、輝夜の後を追う。

「来ないでええ!妹紅なんて嫌い!!」
「な、私が何をしたっていうのよ!!」
「とらうまぁああ。ところで姫、さっきのも嘘?」
「ち、違う。だから違うぅう!!私はもこうなんて嫌‥、いや、大好きなんだから!!」
「ぶ、ぶぁ、馬鹿!!何大きな声で言ってんのよ!!」



 ドタバタと延々と、永遠亭では二人の不死者の追いかけっこが続く。
 今日も今日とて、色々といつも通り。
 嘘ではなくて。



 卯月の一日。騙し合い勝負結果。

    妹紅○―×輝夜




 永遠な二人 ~嘘夜~        終わろ

書いた人  かぐもこジャスティス


  • これはいいかぐもこwww -- 名無しさん (2009-04-17 22:47:43)
  • お前らもう付き合っちゃえよ・・・ -- えいこまが俺のジャスティス (2010-08-18 20:02:16)
  • 基本はマリアリだろ!? -- 存在しない者 (2012-08-05 20:50:36)
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最終更新:2012年08月05日 20:50