漆黒の闇に包まれた絶望の島。その静寂を切り裂いたのは、正義の味方……もとい、地球一がめつい男・デラックスファイターの、鼓膜を震わせる絶叫だった。
「ふざけんなよ……! せっかくアメリカのブラックフライデーで、新型ポイポンを強奪……じゃなくて、正当な手段(※返品の列に紛れ込む)でゲットした帰りだってのにッ!」
彼は憤怒していた。購入するたびに宿敵・鷹の爪団に粉砕される、最新型スマホ『ポイポン』。今回こそは、アメリカまで買いに行き誰にも邪魔させず自宅で使用するはずだったのだ。
「新型ポイポンのない人生なんて、具のないチャーハンみたいなもんだぞ! 許せねぇ……こうなったら、主催者のベリアルだかシリアルだかからポイポンを山ほど分捕ってやるッ!」
怒りに任せ、彼は木々に向けて右手を突き出した。
「とりあえず試し撃ちだ。……食らえっ、デラックス・ボンバー!!」
放たれたのは、本来なら山を削り、ビルを吹き飛ばすほどの破壊光線。しかし、放たれたのは古くなった蛍光灯のような頼りない光だった。
パチン。
乾いた音と共に、大木の幹に、きつつきがつついたような小さな穴が開く。
「……は?」
立ち上る、線香のような細い煙。デラックスファイターは、引きつった笑いを浮かべた。
「おかしい。……何だこの、しみそばかすレーザーみたいな出力は、これじゃ、優勝どころか道端の蟻すら殺せねぇぞ……!」
毒づきながら、彼は支給品のデイパックをひっくり返した。中から転がり出たのは、見覚えのある長方形の筐体の画面
「おっ、ポイポン……! まさか、俺の最新モデルがここに……!」
期待に目を輝かせたのも束の間。手に取ったそれは、液晶は粉々に砕け、辺りに接着剤で残骸が引っ付いている『ポイポンの成れの果て』だった。
「ふざけんなぁぁぁ!! 日清がスポンサーに付いてないからって、俺をコケにしていいと思ってんのか!! こんな、薄くなったつむじに載せるくらいしか使い道のない鉄くず、いらねぇんだよッ!」
地面に叩きつけようとして「ジャンク品としてメルカリに出せば、送料込みで500円にはなるかも」という卑しい思考が働き、彼は踏みとどまった。
◆
「……ん? なんだ、あのガキ」
重い足取りで進んだ先。月明かりを背に、小さな人影が立っていた。
赤いマントに、鳥を模したマスク。昭和の香りが漂う、どこか懐かしい姿。
「おいおい、俺様のコスプレか? 奇遇だなぁ、少年。よしよし、殺す前に特別にサインくらいしてやるぞ。感謝しろ」
そして彼はその少年のもとへ近づき、自信満々に声を出した。
ふんぞり返るファイターに対し、その少年――パーマン1号は、理解不能な物体を見るような目で彼を見つめた。
「……デラックス……なに? おじさん、何言ってるの?これはコスプレじゃなくて、パーマンのセットだよ。おじさんは僕をからかってるんだね」
「あぁ!? デラックスファイターを知らないだと? この世間知らずのクソガキが……! 大人を舐めるのも大概にしろよ。……いいか、これが本物のコンプライアンスを無視した社会の厳しさだ。死ね! デラックス・ボンバー!!」
逆上したファイターが、至近距離で「弱体化レーザー」を放つ。だが、パーマンは欠伸でもするかのような余裕で、ふわりと浮き上がった。
「あぶないなぁ。……悪いことする大人には、こうだ! くらえ、パンチ!!」
「ぐえっ!?」
子どもとは思えないくらいの攻撃を顔面に叩き込まれた。
地面を転がるファイターを尻目に、パーマン1号は首を傾げる。
「変だな……。いつもなら、もっと飛ばせるはずなのに。この島、やっぱりパワーを制限されてるのかな?」
「(な、なんだこのガキ……! これで制限されてるだと!?バランス調整ミスにもほどがあるだろ!)」
◆
数分後。デラックスファイターは、パーマンの支給品であるロープで、まるで出荷される松坂牛のように大木にぐるぐる巻きにされていた。
「うぅ……お願いします! 私はただの善良な納税者です! 解放してください! 殺し合いなんて乗りません! 新型ポイポンも諦めますからぁ!!」
「ふんっ。悪人はみんなそう言うんだ。反省するまで、そこでじっとしてて。……さようなら、おじさん!」
パーマン1号は、不安定な軌道を描きながら夜空へと消えていった。
静まり返った島に、拘束された「元」ヒーローの、魂の叫びが木霊する。
「誰か……! 誰か、助けてぇぇぇ!!」
【デラックスファイター@秘密結社鷹の爪】
[状態]:ボコボコ、ロープで大木にぐるぐる巻き
[装備]:いつもの格好
[道具]:基本支給品、ボロボロのポイポン@秘密結社鷹の爪団
[思考・状況]
基本方針:優勝してポイポンをゲットする
1:誰かこのロープをほどいてほしい
[備考]
※デラックスボンバーの威力がかなり下げられています
【パーマン1号@パーマン】
[状態]:健康
[装備]:いつもの格好
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本方針:殺し合いをする人をこらしめる、殺しはしない
1:善良な人の保護
2:なんか力がでないなぁ……
3:2号、パー子、パーやん達もこの殺し合いに呼ばれてるのかな?
4:変なおじさんだったな
[備考]
※攻撃力、飛行力などの能力が制限されています。
【支給品紹介】
【ロープ@現実】
パーマン1号に支給
一般的なロープ、物を縛ったり、人を拘束したり、様々な用途で使える。
【ボロボロのポイポン@秘密結社鷹の爪】
デラックスファイターに支給
鷹の爪団によって壊されてしまったポイポンの成れの果て、ただの鉄くず。
薄くなったつむじに乗せると良いらしい。
最終更新:2026年02月25日 08:00