猛『牛』じみた爆発的な膂力、
華奢な女性とは思えぬ『山』のような圧力
敵を叩き潰すのに一切容赦しない『辰』のような闘志、
まるで駆け抜ける『馬』のような俊敏性、
僕には歴戦の戦士ような迫力を感じずにはいられない。
まさに今は亡きオベンチョのような震え上がるほど怖い破壊的な猛威を感じ取っていた。
その瞬間ぼくは心の底から悟った。
おべんちょ、そしてそれに近い存在と巡り会う運命にあるのだと。
◆
「くっそ~~なにが殺し合いだよ、血の雨をあびろってことかよ。」
「愛するユカポンの体からほとばしる熱く気持ちいい液体なら無限にあびられるのになぁ。」
こいつは見ての通り殺し合いへ愚痴る吸血鬼、
それも人気アイドルユカポンファンのドルオタ吸血鬼である。
マスターバンパイア雅のバイオテロにより、日本人の殆どが吸血鬼と成り果てた絶望の日本。
生き残った僅かな人間は吸血鬼に生き血を吸われ犯され、
邪鬼に喰われ、暴威に打ちのめされる救い無き弱者となった。
このドルオタ吸血鬼もユカポンというアイドルの人間を
ファンからの愛情という名目を掲げて、欲望の赴くままに好き勝手に虐げている。
「まあユカポンがここにいればいいか、
いたら早く合流してまた触れあいたいなあ、
再会を祝して性器を舐めあいっこするんだ、
こんなにキュンと萌えてときめくシチュエーションはないよ。」
あまりに下衆で常人からすれば目を背けたくなるほど
気色悪い妄想を浮かべつつまずは大好きなユカポンを探すことにした。
「ユーカポオオーーン!!いるなら返事くらいして遅れよお!
かくれんぼしてる場合じゃないんだよ!
殺し合いなんかで僕らの尊く甘美な愛を引き裂かれていいわけがないんだってば!
また一緒にくっついて体をぶるんぶるんさせようよー!!」
「性器を舐め合いっこするのが飽きたなら次は乳首をしゃぶり合いっこしようよお!!」
大声を上げユカポンをさがす、
大きな声で注目されて
殺し合いに乗った人物に襲われるという考慮は
こいつの穢れた欲求しかない頭では到底できない。
仮にいなければこんなところから一刻も早く抜け出して
自分のものであり、セーラー服が似合うユカポンを目一杯かわいがりたい。
今頃ユカポンは一人悲しく寂しい思いをしているはず。
他のクソ吸血鬼に離れている間に奪われてはたまったんもんじゃない。
誰もが目を奪われ完璧で究極にかわいいからすぐに強奪される恐れがある。
ユカポンと一緒にいていいのは本当の愛を知って
誰よりもユカポンを支えられる愛深き自分だけであると。
ドルオタは自惚れて、自身を客観的にみることに関してはできなさすぎた。
愛の触れあいという名の性暴力を具体的にイメージしたせいか、
下半身の醜い棒はギンギンとテントを作り上げていた。
「ユカポン…待っていてね、また会えたら僕らの熱く切ない
ほっかほかの液体でシャワーみたいにずぶ濡れになるのも良いかもね。」
◆
「うぅ~。」
精神が砕けちり何も分からない幼子のようにキャスカはさまよっていた。
当然バトルロワイヤルの意味もわからず、身につけているデイパックの中身、
支給品の確認という常識に基づいた行動を一切する気が無い。
他の参加者からすればまさにたやすく殺害できる絶好の獲物。
デイパックの中から支給品を片付けのできない子供のように散らかしてしまった。
「本命はゆかぽんなんだけど…ちょっと英気を養うだけだ、
少しならゆかぽんも怒りはしないだろう。」
この吸血鬼はキャスカを発見し、
くだらない妄想で募った欲求を発散するべく陵辱を試みた。
頭の中でごめんねこれは浮気じゃないんだよと
無意味な謝罪をしながら下のテントを突撃させた。
赤子のようなぱっちりと開いた目でドルオタ吸血鬼を目に移すキャスカだが
この世で一二を争うほど醜いテントが視界に入っても特に何も感じないのか
一瞬見たあとすぐに目をそらし当たりをキョロキョロと見渡す。
「無視しないでほしいけど、嫌がらないってことは同意と言うことだね、寛容じゃないか。」
ズボンを外しテントの中が露わとなる、その穢らわしい低俗な棒が
キャスカの無垢な瞳に映ってしまう。
そのとき脳内に心を壊すほどの凄惨な記憶が爆発し巡る、
最悪、絶望、終焉、嘆き、苦しみ、滅び、恐怖、悲しみ
この世界に無限に存在するあらゆる負を煮詰めたような刻、
まるで幼児に与えたおもちゃのように肉体を砕かれる人間、
飢えた猟犬に投げ込まれた餌の如く悔い散らからされる人間、
この世の者とは思いがたい造形の存在から逃げ惑った末に踏み砕かれる人間、
そしてその場放り込まれた唯一の女は信頼を置き、
誰よりも支えたいと思った一人の男に
辱めを与えられた。
わずか一瞬壊れた心の中に蝕の記憶がちらつく。
「ああああああ!!??」
犯される恐怖と絶望に突き動かされるように息を乱しながら武器を握りしめる。
散らかした支給品の中には刀が含まれており
それをすぐさまつかみドルオタ吸血鬼に斬りかかる。
キャスカは心と記憶は壊れてもグリフィス不在時に鷹の団をまとめ上げ、
率先して剣をとり、数多の戦場と修羅場をくぐり抜けた記憶は
その肉体に骨の髄まで染みこんでいる。
ゆえにただの性的暴行を繰り返すだけの吸血鬼は相手にもならなかった。
「わっ!!振り回…わぁ??…。」
振り回すなと言い終えるまでにキャスカのふるう刀はドルオタ吸血鬼の首をはねた。
知能はともかく、吸血鬼の力の強さは一般人の3倍にもなる。
それほどの身体能力を持っていても、
鷹の団団長のグリフィスの片腕としていくつもの死闘を繰り返し、
幾度となく死と隣り合わせになりながらも生き延びたキャスカの前には
3倍の身体能力はハンデにもならなかった。
【ユカポンファンの吸血鬼@彼岸島48日後… 勃起したまま死亡】
■
「ハァハァ…」
初めて見た、人が人を殺すところを。
その女はまさにチヨタロウの常識の外に座する怪物だった。
生まれてから人殺しの現場を目撃するのはこれが初。
殺すか殺されるかの戦場にただの子供が引き込まれてしまったのだ。
呼吸も体も震えが止まらず、
もしかしてこれから僕も死ぬかもしれないという絶望が蝕み始める。
オベンチョという兵器を決死の思いで滅ぼし街を守ったと思った矢先、
殺し合いという新たな脅威にチヨタロウは直面したのだ。
(だめだ…ただ怖がっているだけじゃいけないんだ!!)
だがチヨタロウは気高き勇気があった。恐怖や脅威が身近に現れようとも
みんなを危険から守るために行動力を抜かりなく発揮できる立派な男の子だった。
以前も人間とは思えない兵器のような
化け物のおべんちょを
真冬の寒い阿寒湖に沈めることで葬ることに成功したのだ。
(実際には生きてたがチヨたろうが知ることはなかった。)
「……!!!」
目と目が合ってしまった。
男の人をたったいま殺した女はまだ手に武器を掴んでいる。
(気づかれた!!どうする!!?)
い、いかん。このままでは僕も斬り殺されてしまう。
恐怖のあまりに叫んでしまえば反応して襲われるかも知れない!!
理性と勇気をもってどうにか声を抑えるもそれだけでこの窮地は好転しない。
(そうだ!!鞄の中だ!何か役に立ちそうな道具はないのか!?)
主催のベリアルから渡された鞄と支給品のことを思い出し中身を物色した。
ここからは運頼み、バックに入れられた支給品次第でチヨたろうの生死が決まる。
外れの道具だったらもうお終い。
逆に大アタリの支給品であれば切り抜けることができるはずだ。
「こ、これは!!」
なんと中にはあのおべんちょを制御できる桃の乾物が入っていた。
これを使えば女を手なずけることができるかも知れない。
「おいお前ェェ!!これを食べるんだ!!」
桃の乾物を差し出した。
くんくんと乾物の匂いを小動物のように嗅ぎはじめた。
怪しい者ではないか判断しているらしい。
「……」
「…さぁ食べてみろよ。」
両者の間に奇妙な緊張が走る。
女は既に嗅ぐのをやめてただじっと見つめていた。
実は桃は苦手なのか?それとも見たことがないから深く警戒しているのか。
「早く食べろよ!!うまいんだってば!!」
このままでは埒が明かず、ちよたろうは口の中に強引に桃の乾物を突っ込んだ。
「!!??うぁあ!……ぁ?」
唐突かつ強引に口内に入れられて驚くもののすぐさま咀嚼を始めた。
「な、うまいだろ?」
ひたすら噛んで舌でももの甘みを堪能する。
噛めば噛むほど桃の甘みが伝わりあっという間に夢中でもぐもぐしはじめた。
「よぉし!成功だ!」
無事に気に入ってもらえたらしい。
安心して胸をなで下ろすチヨたろうだがまだやることが残っている。
「僕の言うことをきけばまたあげてやってもいいんだよ」
次も桃の乾物を恵んで欲しければ指示を受け入れろという契約を結ぼうとしていた。
ギブアンドテイクの法則を幼いながらも活用できるほどに
チヨたろうは賢い子供であった。
試される大地の北海道で生まれ育ったことだけはある。
一方の女ことキャスカもこの小っちゃい奴の言うことを聞けば
いいことがあるとわかったのか無言でうんうんと頷いた。
「良いんだね、これで契約成立だ。」
雇用主としての特権かチヨたろうはキャスカの背をよじ登り
肩車の体勢で乗っかった。そして子分にした女にたからかに名付けてあげた。
「今日からお前は僕の2体目こぶん…おべんちょ2号だ!!」
こうしてチヨたろうは子供らしからぬ知恵を絞った交渉でキャスカを新たな子分とした。
ちなみにおべんちょ1号とは以前に子分にできた大男の牛山辰馬のことである。
(ちなみに牛山辰馬という名前をチヨたろうが知ることはなかった。)
(僕、この殺し合いが無事に終わったらおべんちょ2号も葬ってあげるんだ…。)
ただこの女を従えるだけでは無意味。
殺し合いで生き残るためにこの女の強さを活用して
最後には街を守るため…
(2号…お前も葬ってあげるからね!どうか悪く思わないでくれよ…。)
初代おべんちょも生かしておけばあまりの強さゆえに街を襲う脅威となるかも知れない。
だから葬ってあげたのだ。
心を通わせたおべんちょが加害者として
破壊の権化と化すのは見たくはないし、
なにより街とそこに暮らす人々が滅ぼされる事態だけは絶対に避けなくてはならない。
このおべんちょ2号も全てが終わったらちゃんと葬らなくてはいけないのだ。
おべんちょ2号もきった無辜の人々を苦しめることは臨んでいないはず。
罪を背負ってしまう前に始末してあげるのもあるチヨタロウの優しさと言えよう。
どこまでもなんだかズレていて
見ても反応に困る大人と子供のコンビの珍道中が幕を開けた。
【チヨタロウ@ゴールデンカムイ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3、ユカポンファンの吸血鬼の基本支給品一式と支給品×1~3、キャスカの支給品×1~2
[思考]:オベンチョ2号(キャスカ)を活用して生き延びる。
1:降りかかる火の粉はオベンチョ2号に払ってもらう
2:殺し合いが無事に終わればオベンチョ2号には死んでもらう
※参戦時期は少なくともオベンチョ(牛山辰馬)を阿寒湖に沈めた後です。
【キャスカ@ベルセルク】
[状態]:健康、精神崩壊
[装備]:刀@彼岸島
[道具]:基本支給品一式、
[思考]:…チヨタロウの言うことを聞く
1:チヨタロウの言うことを聞く
※参戦時期は少なくとも蝕から生き延びて精神が崩壊した後です。
キャスカが散らかした支給品とユカポンファンの吸血鬼の支給品はチヨタロウがバックの中にしまいました。
『支給品紹介』
【刀@彼岸島】
宮本明が愛用している刀。
この刀以外にも彼岸島には刀が落ちていることがある。
最終更新:2026年02月25日 19:15