一人の男によって世界は元に戻った。
ゲームはなくなり、死んだ人間は元に戻り。
さながら世界は救われたかのように見える世界となる。
無論、一般的な犯罪とかそういうのはあるにはあるのだが。
けれど、そこに彼は───入間ケイジと言う男の存在はいない。
原初となる過去へと向かった彼だけが、その時代にはどこにもいなかった。
存在こそ記憶している人たちが集まれども、彼がその場に戻ることはなく。
どうしたものかとそうこうしている間に、再び戦いの渦中へと巻き込まれることとなった。
「はぁ~~~にゃんでこうなるんだか……」
ツインテールのピンク髪を軽くかきむしりながら、ごちるのは吾妻梨々花。
動詞による戦争、ウェルベルムを戦い抜いて支配人に辿り着いて生き延びた存在の一人。
戦いが終わって(一応)平和になった世界から、急転直下のもう一度殺し合いの要求をさせられる。
別に戦うことはできるし、死の覚悟だってしてたつもりだ。と言うより結構死生観は軽い方だ。
生き方、死に方を選べる。そんな理由でウェルベルムに参加するような考えを持っていたのだから。
「ケイジュきゅん呼んで、幸せに暮らせってことなのかねぇ。」
ベリアルのしたいことはおおよそ予想がつく。
恋慕と言うか、特別な感情を抱いているケイジのために優勝してもらう。
そして願いを叶えてくれ。なんとも分かりやすい甘言なのだろうと思えた。
「だったらケイジの奴を呼んで来いっての。」
いろんな世界から人を呼べるなら過去からも呼べるだろう。
なら最初から呼んでほしいものだ。もしかしたらだが、
彼を生かすための行動をしていたかもしれないのだから。
その為にもう一回殺し合い、しかも今度は動詞だけではない。
あの星晶獣と呼ばれた存在は、明らかに動詞だけで戦ってはいないのだ。
フィジカルが
化け物。それだけはウェルベルムの戦闘経験の豊富さから理解できること。
はなから勝ち目の薄い勝負をさせている。だからこその支給品なのだろう。
幸いなことに吾妻の動詞の能力は先天性のものだからゲームが終わっても行使可能だ。
だから戦う手段自体はちゃんと残っている。それで勝ち残れるほど甘いものでもないとも理解してるが。
「あー、そのー、違うケイジなら此処にいるけど。」
一人ごちっていると、気の抜けるような声とともに声を掛けられる。
人の気配はしていたのでさほど驚く様子もないまま吾妻は振り返った。
出てきたのは、言ってしまえばどこにでもいそうなサラリーマン風の男だ。
特別顔がいいわけでも悪いわけでもない、容姿が優れても醜くもない。
どこにでもいるような、人畜無害そうな男が後方に立って左手を挙げている。
「敵……って感じじゃなさそうだね。因みに何ケイジ?」
「元刑事。」
「また警察かぁ。いい思い出ないんだけど。」
警察と言えば、ウェルベルム最初の頃の話だ。
警察の天地ミトスに追い回されて多数の死傷者が出ている。
それがきっかけでケイジは支配人をぶっ飛ばそうと思ったし、
いろいろターニングポイントになった部分であるのは否定できない。
とはいえ、警察に大事な人を殺されたわけでもある。偏見こそあるが、信用度は低い方だ。
「元だからね、も・と。もっとろくでもない奴だよ僕は。」
「大丈夫。記憶にある警察官も大量殺人だから。」
「僕より酷かった。いや、五十歩百歩かな?」
「五十歩百歩って、何しでかしたのそっちは。」
「世の中クソと思って滅べばいいと思った。」
「事実だけどガキみたいな理由すぎて笑えない。」
「でしょ?」
ケイジも言っていたことだ。人生は進もうとも退こうともクソだと。
なので似たようなものかと思えば支配人以上のやばいことをのたまっている。
本当にガキみたいな理由で世界をどうこうとか、子供じみてるにもほどがあった。
敵は大きい方が燃えるとは言うが、これは流石に別方向にしょぼすぎて呆れた顔になっている。
「で、そんなお子ちゃま元刑事が態々声をかけるの?」
『煽るねぇ、君。』とごちりながら顔をそらす。
そんな願いを懐いた人間だ。殺し合いにはむしろ乗るべきだろう。
だというのに、こうして対話を所望だ。情報を抜き取るというにしては、
余りにも日常的な会話の内容でどうにも要領を得ない内容に吾妻は別の意味で警戒をしていた。
「まあ、何? そういうのに懲りたというか───」
「もしも自分があいつらと同じだったら、どんな結末だったのかねぇって思ってさ。」
あいつらが目指して到達したのは、ある意味世界の救出だ。
自分の言葉が、あの手紙が変えたかどうかは定かではない。確認しようがない。
ただ、もしもその手紙のように何かを変えられるのであれば一回ぐらいは、
ガキっぽく駄々をこねてないで大人らしく振舞ってみるのもいいんじゃないのかと。
「あ、罪の清算とか贖罪とかかっこいいことじゃないよ? セカンドライフ? って奴かな。
あいにくそういうかっこいいこととか、僕には似合わないものだという自覚自体はあるからね。
どっかの誰かみたいに、一回ぐらいは立ち上がってみたい? 的な奴。いい年した男がダサいでしょ?」
自分の居場所を奪ったともいえる存在が、
自分のことを気にかけて何度も言葉を交わした。
そんな彼みたいになりたいヒーロー願望があるわけではない。
かといって今更世の中クソだと言い張って殺し合いに乗るつもりもない。
ただ、一度だけ。あの時思った『君みたいに生きたら何か違ったのかも』を実践してみたかった。
それは罪を償ってからではなく、こういう形であるというのは少々意外でもあるのだが。
「んー、まあ詳しくは知らないからダサいかどうかは知らにゃいし、
こっちだって人と殺し合うような戦いしてたわけなのは否定できないから、
理由はともかくとして、あんまし人のことどうこう言えない部分はあるんだけどね。」
軽い気持ちで参加したし、命のやり取りだって遠慮はなかった。
仇だと勘違いしたケイジを本気で殺そうと躍起になったことだってある。
だから彼の行為を糾弾するようなことも非難するようなこともしない。
ただ『まあいいんじゃね?』みたいな軽いノリに近しいものだ。
「信用、と言うよりもどうでもよさそうだね。」
「初対面なんてそういうもんじゃないの? 殺し合いの場ならなおさら。」
吾妻は仲のいい相手ならば、
はっちゃけた間柄にはなると言えばなれる。
けれどそうでないのなら結構ダウナー気味な所も多く、
彼だから特別塩対応と言った行為をしているわけではなかった。
「ま、その方が気が楽でいいよ。こっちが犯罪者ってことも気にしてないようだし。」
「犯罪者気にしてたらこっちも似たようなもんなんで。」
「最近の高校生は物騒なもんだことで。」
殺しをした学生はいたと言えばいたが、
此処まであっけらかんとしたタイプではなかった。
その学生は自分が正義だと思い込んでるような陰湿なタイプだ。
「あ、一応言うけど二十歳超えてるよ?」
「……マジ? そのピンク髪で?」
「マジ。」
少なくとも彼女は成人している。
ギャルっぽい見た目とそのピンクの髪色とツインテールと言う、
まさに学生ですとでも言わんばかりの見た目をしておきながらだ。
「若者って進んでるなぁ。」
「もしかして皮肉?」
とりとめのない雑談をしながら、二人は会話を続けていく。
此処が殺し合いの場であるかどうかが、嘘のような日常的な会話、
と言うほど軽いものでもないものを二人は続けていた。
「……ま、交流の会話はこれぐらいにしておいて。
支配人のベリアルでもぶっ飛ばしに行こっか。」
「それもそうだね。会話なんて死ななきゃいくらでもできるし。」
「そういえばまだ名乗ってなかったね。アタシは吾妻梨々花。そっちは?」
「足立透だよ。よろしくね、吾妻さん。」
『帰りましょう、足立さん。』
君のようになれるとは到底思っちゃいないよ。
ただ、君みたいなことをしてみたいと思っただけさ。
態々一人でテレビに飛び込んで、僕と話しにくる君みたいにさ。
【吾妻梨々花@ウェルベルム-言葉の戦争-】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:ベリアルを倒す。敵はデカイ方が面白いにゃ☆
1:足立さんと協力する。
2:ケイジの奴は……いるのかな。
[備考]
※参戦時期は80話、ケイジを飛ばす前。
※動詞の能力は使えます。
【足立透@ペルソナ4】
[状態]:センチな気分
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:ベリアルを倒す。一度ぐらいはやってみたいだろ? そういうの
1:吾妻と協力……ピンク髪のギャルの成人ね……すごいな最近は
[備考]
※参戦時期は敗北後。
※ペルソナは使えます。
最終更新:2026年03月09日 18:56