「いや~、勇者と言ってもいろいろあるもんだね」
「全くだな」
空の島のどこかで、二人の男女が話している。
女の方は青みがかった長髪を持った美人で、少々露出度の高い服装をし、手には槍を携えている。
彼女の名前はアーサー・ペンシルゴン。
とある世界のVRMMO『シャングリラ・フロンティア』の一介のプレイヤーである。
正直一介のプレイヤーというには特異な経緯を辿っていたり、PKとして名をはせているなど目立つ部分はあるが、それでも一介のプレイヤーである。
ゲームではPKだったり、NPCを巻き込んでの爆破だったりと外道ムーヴが目立つことが多いのが特徴である。
しかし、そんな彼女でもこの殺し合いには乗り気ではない。
曲がりなりにも現実ではモデル、天音永遠として活動している身。
ゲームを現実に持ち込まない分別くらいはあるのだ。
対する男の手には、どこか作り物めいた剣を手に持ちながら、ペンシルゴンの言葉に合いの手を入れた。
彼の名前はヤシロ。
とある世界でE3と呼ばれるドラッグを恒常的に使い、夜の街を支配する人間、通称魔王を討伐する仕事、勇者を生業とする男である。
勇者と聞くと華々しい英雄を思い浮かべるかもしれないが、彼に言わせればこんな仕事は最低のクズがやるような物である。
もっとも、荒事を生業としているので実際裏稼業の人間がやることが多いのが事実だが。
そんな彼も殺し合いには乗り気ではない。
金に困っているし、仕事道具であるE3を手に入れるのも楽ではない。
趣味のカードゲームも負けることが多いが、それでも今の生活に不満などないのだ。
だからこそ、元の世界における魔王なのかは知らないが、とりあえずベリアルを討伐する気ではある。
「私も勇者だけどさ。このアバターのサブジョブでしかないんだよね」
「んなこと言われても俺の趣味はカードゲームなんでな。VRMMOとか言われても知らん」
「本当に異世界なんだね。天之河君はどう思う?」
ここでペンシルゴンは、実はもう一人いた相手に話を振った。
三人目は容姿端麗な少年で、手には聖剣と呼んでも差し支えない剣を携えている。
彼の名前は天之河光輝。
元々は文武両道のイケメンで、クラスのトップカーストをひた走る少年だった。
しかしある時、彼はクラスメイトと共に異世界トータスに召喚されてしまう。
そこで彼らは、敵対する魔人族との戦争に敗れかけている現地人に助けを求められる。
その手を迷いなく取った光輝は、仲間と共に勇者の資格を持つ者として魔人族との戦いを始めるのだった。
もっとも、その魔人族が自分たちと同じ人間である事実を最近突きつけられた彼は、少々あり方に惑っているが。
彼が殺し合いに乗るなどありえない。
彼は必ずベリアルを倒し、自分と同じように連れてこられた人々を助けると胸に誓う。
だがそれはそれとして、光輝はペンシルゴンとヤシロの会話が気に入らなかった。
勇者。華々しい英雄、人々の希望の筈のもの。
それを軽んじるような会話をする二人に、彼はいい気がしない。
無論、所が変われば言葉の意味が変わることがあるのは分かる。
ペンシルゴンの語る勇者がゲームの物なので、わざわざ怒るのも大人気がなさすぎるとは思う。
ヤシロの語る勇者が人を殺すことがあると知ったときは怒ろうかと思ったが、少なくとも合法的な物である以上彼に文句をつけるのはどうにも筋違いだ。
なのでこれらの不満は一旦飲み込み、光輝はペンシルゴンの質問に答えた。
「そうですね。異世界は知っているつもりですけど、こんなにたくさんあるとは思ってなかったですよ。
しかも二人とも地球の日本人なんですよね?」
「うん。パラレルワールドってことなるのかな」
言ってて気が遠くなりそうになるペンシルゴンと、同調する二人。
しかし光輝の決意は決まっている。
「確かに敵は強大かもしれません。
でもみんなで力を合わせれば、ベリアルを倒せるはずです! だからまずは仲間を集めましょう!!」
「まあ、ひとまずはそれしかないよねえ。首輪も外さなきゃいけないし」
「人集めも結構だけどよ。その前に一つ確認だけ確認しなきゃいけないことがある」
「……なんですか?」
神妙な顔をして尋ねてくるヤシロに、光輝は疑問の顔を浮かべる。
そんな彼を見て、少々苦虫を潰したような顔をしながらヤシロは問う。
「お前、殺し合いに乗った参加者と会ったらどうするつもりだ?」
「……そんな人いますか?」
ヤシロの言葉に光輝はキョトンとした表情で返す。
彼から見ればベリアルはいきなり自分たちを誘拐してきた相手で、そんな相手を信じるだろうか。
ヤシロのように人殺しを生業としている人間はそうそういないだろう。人殺しなんて普通できるはずがない。
なので光輝からすれば、ベリアルの語る魔物はともかく、他の参加者を警戒する発想がなかった。
しかし、これにペンシルゴンが否を叩きつける。
「いやいるでしょ。
そりゃ誘拐犯の言うことを真に受けるのが馬鹿だとしても、だからこそベリアル側で調整するもんじゃない?
殺しは嫌だけど死にたくないしベリアルに勝てるわけないから従うとか、すごく切羽詰まって叶えたい願い事があるとかさ」
「だったら説得しますよ。
そんなことしなくても力を合わせればベリアルを倒せるって。もし何か事情があるなら、勇者として俺が解決するって言います」
光輝は自信をもって宣言するが、それを見てペンシルゴンとヤシロは押し黙る。
熱意を認めたのではない。むしろその逆。熱意を危険視したのだ。
光輝は本気で言っているし、本気で成し遂げるつもりだ。
だがもし説得が通じなかったらどうするのだろうか。
殺し合いに乗るだけの事情が、彼に解決できる類のものではなかったらどうするのだろうか。
そして光輝が、そのことに思考が及んでいるとは、どうしても思えないのだ。
悪人ではない。
背中を預けるには信頼足りえるのかもしれない。
だが行動を共にするには、天之河光輝という人間には不安要素が付きまとう。
それがペンシルゴンとヤシロの二人が出した結論だった。
だがそれを踏まえての行動はできない。
なぜならば――
「フシュールルルル」
ふと気づくと彼ら三人の前に、老人の顔が付いた偵察機から、別の少年たちの頭、腕、足、胴体などいろいろなものがあちこち生えている謎の生物が現れた。
どう見ても人間ではない完全な異形だが、かろうじて首輪とデイパックを所持しているのが確認できたので、どうやら参加者のようだ。
「アッアオ!ウーベベ!」
「お前、アレにも説得するのか?」
「いや流石にアレはちょっと……」
不気味な声を上げながら三人の元へ向かってくる異形に対し、彼らはそれぞれ武器を構える。
こうして、三人の殺し合い最初の戦いが始まった。
三人から怪物として扱われているこの異形は、元々は五人の人間だった。
勇者と呼ばれ、それぞれ勇者にふさわしい人間性の持ち主だったが、邪悪な老人たちに使い捨てにされ、敵に殺された挙句、残った死体を組み合わせ、偵察機と融合させられてしまったのだ。
そんな異形の名前は、元の五人の勇者『ああああ』『あかさた』『ああああ』『ああああ』『ああああ』の名前を体と同じく組み合わせた大勇者『あああああかさたああああああああ』
もはやこの異形に元の勇者たちの意識はない。
ただ見つけた参加者に襲い掛かる、自我のないクリーチャーでしかない。
【天之河光輝@ありふれた職業で世界最強】
[状態]:健康
[装備]:エクスカリバー@ファイナルファンタジーⅤ
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2
[思考]:誰も殺さずベリアルを倒して殺し合いを止める
1:この
化け物(あああああかさたああああああああ)を倒す
2:まずは仲間を集める。
3:殺し合いに乗ってしまった人がいるなら説得してやめさせる。怪物は倒す
[備考]
※参戦時期は少なくともオルクス大迷宮で香織と合流した以降です(アニメだと1期終了後あたり)
【アーサー・ペンシルゴン@シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~(アニメ版)】
[状態]:健康
[装備]:ブリューナク@テイルズオブヴェスペリア
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2
[思考]:殺し合いはしない
1:まずはこの化け物(あああああかさたああああああああ)にどうにかしないとね
2:天之河君……悪い子じゃないのは分かるけどね……
3:サンラク君やカッツォ君がいるなら合流したい。外道の方が話が早くていいよ
[備考]
※参戦時期は少なくともウェザエモン戦終了以降です。
【ヤシロ@勇者のクズ(アニメ版)】
[状態]:健康
[装備]:伝説の剣@遊戯王デュエルモンスターズ
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~1、E3×10@勇者のクズ(アニメ版)
[思考]:ベリアルを討伐する
1:とりあえずこの化け物(あああああかさたああああああああ)に対処する
2:天之河に不安。大丈夫かコイツ
3:どうでもいいけどよ。E3はともかくとして、なんか二人に比べて俺の武器だけショボくないか?
【あああああかさたああああああああ@ファイナルファンタジーS】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:フシュールルルル
1:フシュウゴゴゴゴ・・・・
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※自我はありませんが、とりあえず参加者を見たら襲い掛かるようです
【エクスカリバー@ファイナルファンタジーⅤ】
天之河光輝に支給。
伝説の12武器の騎士剣として登場。攻撃力110。
聖属性が付与されており、また装備すると力が5上昇する。
聖属性吸収装備をした相手に攻撃すると逆に回復するので注意しよう。
【ブリューナク@テイルズオブヴェスペリア】
アーサー・ペンシルゴンに支給。
物理攻撃力770の槍。
また装備していると空中での攻撃回数が増える『エアリアルコンボプラス3』と、ジャンプ中は攻撃で仰け反らなくなる『「エアリアルアーマー』のスキルが付与される。
本ロワでは装備して戦い続けても二つのスキルは習得できないので注意。
【伝説の剣@遊戯王デュエルモンスターズ】
ヤシロに支給。
装備したモンスターの攻撃力と守備力が300アップする装備魔法。アニメでは城之内が使用した。
本ロワでは剣として支給され、装備していると攻撃力と守備力が上昇する。
【E3×10@勇者のクズ(アニメ版)】
ヤシロに支給。
正式名称はエーテル・エフェクト・エンハンサー。
首から専用の注射器で注入すると体内にある、かつて魔力と呼ばれていたエーテルを増加させるドラッグ。
使用者は超人的な身体能力と特有の「エーテル知覚」を得ることができる。副作用として強い暴力衝動と中毒性がある。
最終更新:2026年03月19日 02:09