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 言うなれば様子見。
 それがこのベリアルが始めた殺し合いにおいてのセオリーの一つだ。
 誰がいて、どんな強さをしていて、何人いるのか分からない。
 その中で無暗に敵を作ることは、決して賢い行いではないだろう。

 だが、あくまでセオリーの話。
 例外と言うのは何事も存在している。
 単なる人ではなく化け物同士の戦いであれば、なおさらのことだ。

 戦場に躍り出るのは、
 片割れは瘦せこけた不健康が形を成したかのような男性。
 いや、細いにしても限度がある。腹部は両手で掴んでしまえば、
 反対側の指が触れるのではないかと見まがう程に痩せ細っている。
 些細なことでへし折れてもおかしくないぐらいで、華奢と飾った言葉では呼べない。
 ボロボロの歯や顔の染みも相まって、醜男と言われても仕方がないぐらいに歪な姿だ。
 しかし、両手に握られた鎌をひとたび振るえば風を切るかのような音が鳴り響く程に力強く、
 その一撃で相手の右腕は簡単に吹き飛んでしまうという、何処にそんな力があるのか疑いたくなるものだ。

「いい切れ味だなぁ! だがそんなんじゃ意味ねえんだよ!!」

 もう片割れも五体だけ見れば人だが、およそ人からかけ離れた存在。
 半身が氷、もう半身が炎に覆われた姿は少なくとも彼以上に人と呼べないだろう。
 腕を斬り落とされても笑いながら腕は切断面からそのまま右腕が生えて、そのまま殴りかかる。
 相手はそれを両手の鎌で防ぐものの、そこから相手はさらに口から炎を吐き出し相手を焼き殺す。
 だが、炎を振り払えば皮膚は焼けながら再生していると言う異様な光景を前に口笛を吹く。

「血鬼術───飛び血鎌!」

「ヒャドォ!」

 距離を取りつつ鎌から放たれる斬撃の飛び道具。
 飛来するそれを氷の魔法で相殺して、互いに睨みあう。
 並の人間ならそれだけで戦意喪失するものではあるが、
 鬼舞辻無惨の配下の中でも上位に君臨する上弦の陸の片割れ、妓夫太郎。
 大魔王バーンの配下となる六大団長の一人、氷炎魔団団長フレイザード。
 互いに強者とも言えるだけの実力を有しておりそうなることは決してない。
 二人揃って相手の動きを伺うかのように睨みあい続けるも、

「……やめだ。」

「……ケッ。」

 肩を竦めながらフレイザードが構えを解く。
 妓夫太郎も疑問には思わない。同じことを考えているからだ。
 このまま倒せるまで戦っても、無駄に消耗するだけなのだと。
 互いに再生する身体がある以上、並の攻撃で殺し切るのは難しい。
 となればどうするか。殺し合いの枷として用意された首輪を狙うことだ。
 だが、そんなものは殺し合いに巻き込まれた時点で一番危惧する一番の急所。
 揃ってそれだけは死守するだろう。そうなれば大技も要求されて面倒になる。
 負ける気はない。しかし勝てたとしてもその先を、大局を見据えての行動は不可欠。
 二人とも攻撃的な性格をしているが、頭のキレについては性格とは裏腹に優れている。
 ゆえに言葉で示さずとも、その意味は普通に理解できることだった。
 ついでに言えば、妓夫太郎の血鬼術の毒も通常の生物ではないフレイザードには通用しない。

「支給品も、てめえも俺も自分の技で戦えるんだから、対して役に立たねえもんなぁ。」

 鬼も、岩石生命体もも通常の食事を必要とはしない。
 なので支給品は勿論だが、食料目的で奪うメリットもかなり少ないものだ。
 支給品を確保すればそれだけ参加者の手に渡る支給品の総数は減るのでメリットはあるが、
 そもそもこれだけの存在を支給品目的で襲うのは、余りにも割に合わない労力が要求される。
 持ち前の血鬼術や闘法以上の結果を出せる武器となれば、別に強い武器を求める必要もない。
 要求される武器の強さも相応のものが必要になるので、外れたときのダメージも大きいだろう。

「学がなさそうに見えて頭の回転は良いみたいで助かるぜ。
 そういうこった。今決着つけるだけのメリットがお互いにねえ。
 再生能力は落ちてるからそれを補助できる道具があればいいかもだが、
 回復するために体力使ってちゃあ本末転倒って奴だ。無駄でしかねえんだよ。」

「そんな提案をする以上てめえも優勝する気なら、
 互いに敵を減らせる方がいた方が都合がいいからなぁ……」

 提案一つでそこまで察してくれるので、
 無駄な会話が省けることについて内心助かるフレイザード。
 最初は妓夫太郎から襲い掛かってきたので対話の余地すらないとも思っていたので、
 こうして話がスムーズに進むことは、余り予想ができていなかったことでもあったが。

「っつーわけだ。此処は解散して好き放題やろうぜ。」

 群れることを基本禁止とする上弦の鬼と違ってフレイザードは軍団長。
 だから察しがいい彼以上に、殺し合いと言う盤面の大局と言うのを見据えている。
 自分達のようなレベルが参加者なら、バーン様に匹敵する参加者もいるのではないか。
 その辺も危惧してある程度見据えた戦いをしておかなければならないだろうと。
 この点においては、彼よりフレイザードが経験者故に一枚上手でもある。

「そういやテメエ、優勝してぇ理由はあんのか?」

 何処へ向かうか考えつつ、フレイザードが呟く。
 大した理由はない。相手のことを知ったところで感銘を受けたりとか、
 はいそうですかと負けを譲ってやるつもりもない。ただならぬ勝利への執着。
 それがどこか自分にも重なって見えるところがあったので、なんとなく聞いてみただけだ。

「……妹。それ以外に理由はいらねえ。」

 彼の行動理念は人間のころから同じだ。
 我儘で頭の悪い。けれどそうでも愛せずにはいられない。
 無惨の血以外何も与えられなかった彼が、唯一持っていた無二の存在。
 彼女が、堕姫が、梅が幸福になれる道があるのであれば、無惨だろうと関係なかった。
 元々無惨に対しての忠誠心はない。あくまで妹が生きられるから選んだだけだ。
 徹底的なまでの妹に対する利他主義者。それが彼と言う存在なのだから。

「ハッ、妹ねぇ。俺には分からねえし下らねえと思うが、
 たった一つの理由で動いてるオレも似たようなもんだろうな。」

「そういうてめえはどうなんだ。」

「俺か? 俺はこのメダルみたいなもんが、存在が欲しいだけだ。」

 その面で家族愛とかを語るとは、
 随分変な奴だと思うが、否定はしなかった。
 生まれたばかりである彼には自分と言えるものがない。
 言うなれば、ある種の承認欲求とも言えるものだけで行動してる。
 他人からすればその程度のことだ。だが、その程度のことで戦えるのだ彼は。
 持ち合わせていた一つのものに執着している相手を否定することはしない。
 無論、彼は騎士道精神と言った高潔さとは無縁だ。あくまで自分を否定したくないので、
 理解をある程度示しているだけに過ぎないのだから。

 怪物達はそれぞれの道を歩き出す。
 たった一つ。唯一無二の持っていたもののために。
 それだけだ。それさえあれば他は何もいらない。

【フレイザード@DRAGON QUEST -ダイの大冒険ー】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:優勝してバーン様に捧げる。
1:奴(妓夫太郎)のような連中は今はほっとくに限る。
2:ガキ共(ダイ達)がいたら今度こそ倒す。
3:ほかの軍団長もいるんかねぇ。

[備考]
※参戦時期は死亡後。
 再生力は落ちています。

【妓夫太郎@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:血鬼術で作った鎌
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:優勝して妹を幸せにする。
1:あいつ(フレイザード)とは当分会わないでおく。
2:梅がいたら優先する。
3:鬼狩りも優先。

[備考]
※参戦時期は死亡後。
 ですが肉体は鬼です。
 再生力は落ちています。
※血液の毒の効果はかなり落ちています。
最終更新:2026年02月17日 13:14