『「あはは……えっと、それなりに楽しかったですよ。ナギサ様とのお友達ごっこ。」』
それが殺し合いに巻き込まれる前に、少女が聞いた最後の言葉であった。
「……これは、罰、なのでしょうか」
応えるものは誰もいない。
直前まで殺されかかっていた所に、事態の首謀者/私が切り捨てたヒトからの伝言を聞かされ…その直後にティーパーティーホスト代行の私、桐藤ナギサはこの悪趣味極まった殺し合いなどという催しに巻き込まれた。
「……彼女たちを切り捨てた、罰がこの催しへの参加だというなら……私は……」
大義のために、トリニティ総合学園という大のために、なにより…せめて彼女だけは死なせたくないと思った幼馴染(ミカ)のために、裏切り者がいると断定した補習授業部という小を私は切り捨てようとした。
先に裏切るような真似をしたのは私で、手段と目的が逆転していることにも気付けないままで、言われるまで後悔など抱いてなくて……。
なのに言われた瞬間頭が真っ白になってしまい…首輪という形で生殺与奪の権を握られた途端、こうして後悔…いやもはや悔恨と言っていいそれに苛まれている。
「……なにもかももう、遅いというのに…」
目をかけていた彼女が、ヒフミさんが私のことを切り捨てるのも、今考えると当然としか言えなかった。
先にお友だちごっこに貶めたのは、どちらの方なのかという話なのだから。
『……ですが、先生。ゴミを細かく選別して捨てるのが難しい時は、箱ごと捨てるというのも手段の一つ……そうは思いませんか?』
「……ゴミは私の方じゃないですか」
過去の自分の言葉が突き刺さる。
…優勝すれば、という考えが浮かばなかったと言えば嘘になる。セイアさんを生き返らせて…とも思いはした。けれど…ミカさんならともかく私にそんな力はない。それにあの淫らそうな言葉遣いの男の言う事を鵜呑みにするには、私はティーパーティーという立場として謀略に揉まれすぎていた。
……これが私への罰なら、粛々と受け入れて終わろう。…そう潔くなるには、目の前で首が吹き飛んだ、星晶獣とやらと呼ばれていた女性の最期が頭に過って終わらせようとすることもできない。死にたくないって思っている私がいる。でも……生きるために汚れた手を更に血に染める気にもなれなかった。……そんなことをしてしまえば、もう私はミカさんにすら顔向けできなくなる。
……支給品を確認する気にすらなれないまま、呆然としている私は格好の的にしか見えなかったのでしょう。
突如足元に銃撃を受け、思わずそちらを視ると…そこには人型の
化け物とでも言うべき相手が居た。
「剣崎一真…仮面ライダーブレイドと出会ったか?」
手と一体化した銃を向けながら、脅すかのように怪物は問いかけてくる。
「……さあ。どうでしょうね」
素直に知らないと答えても、結果は変わらない気がした。投げやりになってしまってる所は正直あったけど、出た言葉は覆らない。
「話す気はない、か。ならば任務の遂行を優先さ
せてもらおう。首輪の確保と解析は必要になる」
そう言うや否や、右手のアームガンとでも言うべき銃器を相手は私めがけて放ってくる。
咄嗟に避けれはしたけれど、バッグの中身を確認する暇を相手は与えてはくれない。
「…そのカズマという方をっ…どうするつもりで…!?」
「ここで死ぬお前が知る必要はない」
「ぁっ…きゃあっ!?ぁ"あ…!!?」
銃撃が当たってしまいましたが、この程度なら…と思っていた所に、射撃の威力がいきなり上昇したのか痛みを感じる。
ふっとばされた上で、距離を詰めてきた相手は左手の棒を私へと押し当てた。
瞬間、電撃が私を襲う。痛みで思考をめちゃくちゃにされてしまった。
「素直に答えればいいものを」
「…っ…こたえたところで…最終的には殺すつもり…なのでしょう…?」
どうにかそう言ったものの返答はなく、代わりに再び痺れと激痛が私を襲った。
……知らないと言った所で…殺すことを躊躇わないだろうという見立ては合っていたようです。
……ここで私は、終わる。…元より殺される寸前だった身、死ぬまでの時間が少し延びただけ……そう割り切るには、私の心はそこまで強くはなくて、完全に諦め切れるほど弱くもなかった。
自業自得以外の何物でもないというのに、セイアさんのように死にたくないと思ってしまう自分に、我ながら呆れてしまう。
「……たす、けて……だれか……わたしは、まだ……しにた、く……ないっ……!」
口から溢れるけれども、誰も聞いてなどくれない。ここでわたしは、桐藤ナギサは死ぬ。頭の中にこれまでの記憶がフラッシュバックして行って……。
────走馬灯が流れていく、そんな時だった。
「その子から離れろ!お前の相手は俺だ!!」
叫びながら、男の人がこちらへと向かってきて……姿を変えて、化け物を斬りつけ吹っ飛ばしてわたしをたすけてくれたのは。
封印出来ないアンデッドを新たな形態で倒して気絶したと思ったら、気付いたらこんな所に居て…何も出来ないまま目の前で女の子の首が吹っ飛ばされた。
アンデッドとの戦いの中でどれだけ力を手に入れても…両親が焼け死んで行くのをただ見てるだけしか出来なかったあの時の自分と、結局なにも変われてないんじゃとすら思えてしまう。
…けれど、だからこそ決めた。あの男を倒してこんなふざけた殺し合いなんて止めるって。これ以上誰かをみすみす死なせるようなことは…嫌なんだ!
そう決めた矢先に、聞こえてきたのはか細い女の子の声。
助けを求める、死にたくないという声が聞こえた瞬間…俺の行動はもう決まっていた。
戦えない全ての人のために…俺は戦う!!
「変身!」
Turn Upとバックルの音声が鳴ると同時に現れたオリハルコンエレメントに俺は飛び込み…目前のアンデッドをラウザーで斬りつけ距離を取らせ女の子の無事を確認する。
「ここは俺に任せて、君は逃げるんだ!」
「…ぇ、ぁ…ですがっ…」
「いいから行ってくれ!」
「…あし、が…っ… 」
光る輪っかと羽根の生えた、天使みたいな女の子は動けそうになかった。逃げてもらえた方がよかったけれど…今はやるしかない!
「…剣崎…やはりお前も来ていたか。ならばここで…!」
「お前はここで倒してみせる!!」
私の目の前で、化け物と男の人が変じた、仮面を被った紫紺色の剣士とでも言うべき方が戦う。
言われた通り逃げれればよかったのに、痺れのせいか腰が抜けてしまったのか、身体が…特に足が言うことを聞いてはくれなかった。
化け物のアームガンを避けながら、仮面の剣士…相手の言う「ケンザキカズマ」さんは果敢に攻めていく。
斬りかかったり、殴ったりの応酬の中彼は…剣の機能のようなものを展開して、トランプのカードらしき物を読み込ませるようにした。
すると機械の音声が響いたと同時に…明らかに先程までより鋭さが増した一撃が怪物を襲う。
(…スラッシュという音声がなっていた辺り……対応したカードを読み込ませることで強化している…と言ったところでしょうか)
何処か他人事のような思考が浮かんで……ふと試みると、身体を動かせることに気付いた。
(…今なら、カズマさんが言っていた通り逃げることができる……)
「ラウズアブゾーバーも無しで勝てるとでも?」
「勝ってみせるさ!彼女を死なせるわけには…行かない!」
どう考えても…ここは言葉に従って逃げるべき局面でしょう。化け物は2種の銃撃だけでなく痺れさせ殴打する棒も振るい、対してカズマさんは剣を振るって斬り払ったり、装甲で受け止め徒手空拳も交えたりと戦況は互角…いや、カズマさんの方が若干押されている。
(……ミカさんならともかく、ここで私が残っても役に立てることなんてなにもない。カズマさんの邪魔になるだけ……それに死にたくなんて…だから逃げるべき……はずで……)
「こちらが欲しいのは彼女の首輪とお前の身柄だ。この状況では倒す以外で済むならそれに越したことは無いが…」
「つまり…あの子を殺して首輪を奪うつもりなんだろ!?だったらお前を行かせるわけにはいかない!」
…押されながらも彼は…カズマさんはそう叫んで、決して退こうとはしない。
「……どうして。どうして会ったことすらない私の為に、貴方は…そこまで……??」
……気付くとそう、言葉が出ていた。…答えなんて、返ってくるはずもないのに。そんな余裕が彼にあるわけがないのに。
「決めたんだ!戦えない全ての人たちのために…
戦うんだって!だから君も俺が死なせない!……目の前で誰かが死んでいくのをただ見てるだけなのは…もう嫌なんだ!」
……なのに悲しみと、何処か悲壮で…それでも確固たる決意が籠った声で彼は応えてくれた。銃撃が彼を襲い、それでも再び相手へと果敢に向かっていく。
(……まだ打てる手があるかも知れないというのに、私はっ…何を逃げようなどと考えていたのでしょう。
…ティーパーティーのホスト代行として……いいえ、それ以上に「桐藤ナギサ」一個人として、身を挺してまで助けようとしてくれる方を……見捨てたくなんて、ない!)
バッグの中身を見ると、ひとつの銃器がそこにはあって……平和のための力となるというその銃を手に取った上で、相手がカズマさんにかかりきりになっている所を近付き……私は発砲することを選びました。
引鉄を引く指には不思議と、震えはなくて……そして銃声が鳴り響いた。
怪物は目前の仮面の戦士……仮面ライダーブレイドへとかかりっきりにこそなっていたが、ナギサが銃を手に持ち距離を詰めてきたことには気付いていた。
しかし先程までの有様からしてやけっぱちにでもなったと判断したのもあって、下手に避けてその隙をブレイドに叩かれるよりは受けた上で戦闘を続行するという判断をし……見事失敗した。
原因はナギサに支給されていた銃の火力にある。
外宇宙から飛来した生命体ドラゴンにより人類の9割が死に追いやられた世界にて…それでも平和をもたらす力となることを目的として造られた「ピースメーカー」。それが彼女には武器として支給されていた。
個体によってはアメリカ合衆国の国土が消滅する程の核の雨霰を受けてなお健在なドラゴン(この場合は元ヒトの人竜だったが)やその親玉にすら有効打を与えれる威力を出せる銃である。
当然そのままお出しすればゲームにならない為主催側により威力は低下させられているが、それでも馬鹿にならない攻撃力を誇っている。
制限が無い場合の話だが、全身を消し飛ばすレベルの攻撃を受けないと行動し続けれる耐久力の持ち主である怪物が相手でなかったのならとっくに勝負は決まっていただろう。
最も被弾による隙は大きかった。
怪物が体勢を崩した所にめがけて、カードを読み込んでいたブレイドがタックルを放つ。
本来の歴史では当たらないことに定評のあった突撃だが、ここではダメージもあり怪物は避けれずふっ飛ばされてしまった。
そしてさらなるチャンスが生まれ……ブレイドはそれを見逃さない。
装着者の感情により融合係数が上下し性能が変動するのがブレイド達のライダーシステム。
強化形態であるジャックフォームやキングフォームにならずとも目前の少女を守ると死なせないという思いがあり、殺し合いを止めるという決意故にどうにかやりあえてた所で出来た隙を…見逃す選択肢などなかった。
カードを3枚連続でスキャンして…加速した上で電撃を纏う必殺技のキック、ライトニングソニックを放った。
「ウェェェェイ!!」
決死の叫びと共に怪物は蹴り飛ばされ……爆発が起きる。
「……倒せた、ということでしょうか?」
「…いや、手応えがあまりなかった。逃げられたかも知れない…ごめん」
「…そんな、謝るべきは私の方ですよ。今回は偶々上手くいっただけで…通用しなかったらと思うと……それと、ありがとうございます。貴方が助けに入ってくれてなければ…今頃私は……」
「こっちこそ、君が気にしなくてもいいさ。俺が決めたことなんだからな。戦えない人達の為に戦って、守るんだって……あの時何も出来なかった俺には、君ひとり守るので手一杯だったけど…諦めたくなんてないんだ」
…私を助けてくれた、罪悪感に飲まれて燻ったまま無為に死ぬ…そんな運命に抗おうという勇気をくれた紫紺の戦士…あの怪物曰く「仮面ライダーブレイド」という姿から彼は元の…人間の姿に戻る。
「先生」やあのベリアルとか言う淫らな言葉遣いの男に、殺されてしまった女性のように…彼もまたキヴォトスの外の存在なんだろう。
「そうだ、君…名前は?」
……失念していました。そう聞かれて、名すら話していなかったことをようやく思い出したのです。
「…助けて頂いた身でありながら申し訳ないばかりです。私は……」
トリニティ総合学園所属のティーパーティーホスト"代行"、桐藤ナギサと…そう名乗った所。
きょとんとした表情をカズマさんは浮かべていました。…まあ、キヴォトスの外の存在だろうカズマさんが知らないのも無理はないでしょうとしつつ話を聞き出そうとして……彼の口から出てくるのは「アンデッド」だの「人類基盤史研究所」だの「バトルファイト」だの聞いたことのない単語ばかり。
なんなんですか「バトル」「ファイト」と同じ意味の単語を重ねた頭の悪そうな言葉は……。
……先のあの男の言っていた「星晶獣」については、私は勿論カズマさんも聞き覚えはなく。
「……もしや、あの男や殺されてしまったあの女性に私、それにカズマさんはそれぞれ……全く違う世界の存在なのでは?」
「…同じ世界?なら知ってて当然なことなのに、ここまで噛み合わない以上…確かにあり得るかも知れないな」
当初は先生と同じキヴォトスの外の存在と思っていましたが、それなら先生側も何かしら触れている筈……ホスト代行として持っている情報網得れた情報と脳内で照らし合わせても、それららしき物は無く……俄には信じがたい結論へと至ったのです。
(……となると、私の地位や立場などはこの場ではまず役に立たない…と。……役に立つ状況が来るということは同じ世界から巻き込まれてるということになるので、来ない方が良いのでしょうが)
「…それで、ナギサちゃんはこれからどうしたい?俺は…巻き込まれてしまった人たちを探したいって思ってる。さっきまでの君みたいに、戦おうとすら出来てない人たちもきっといるだろうから」
本来の自分を押し殺してでも務め続けてきた地位等の何もかもが、殆ど役立たず同然という事を突きつけられて……動揺してる最中、カズマさんはそう話してくる。
わたしのことなんて疑いもしてないというのが、一目でわかった。
「……カズマさんは、どうして私を信じるんですか?私が乗っていないふりをしていざという時に殺しにかかる…という可能性もあると思いますが」
「俺には君がそんなことするようには見えないな」
「……見た目や印象だけで判断してどうするんですか」
「…わざわざそう口にして言ってくれる辺り、ナギサちゃんは優しいと思うけど」
「っ……やさしくなんて!!……わたしは、やさしくなんてありません…カズマさんが思ってるような善人じゃ……ないんです……!」
気付くとそう、口走ってしまっていた。
……どう考えても、言わずに心に秘めておくべきだろう。ここで言っても私が不利になるだけ。死ぬ確率が上がるだけ。…殺し合いに乗ってるわけでもないのに疑心に陥らせる意味なんて何処にもないなのに。殺し合いに乗るという選択肢は、彼に救われたあの時からもう私の中には存在しないというのに。
『今の君はきっと、疑心暗鬼の闇の中だ』
……先生に言われた言葉が脳裏を過ぎる。……その通りとしか言えなかった。
かつての私…ホスト代行をするためには不必要だと…適応しなければと切り捨てた過去の私を想起させる目前の彼であろうと、私のしでかした裏切りを…愚行を知ってなお優しいなどと言えるわけがない。そのはずだと……身体が心の制御を離れるかのように、気付くと私は己の罪を吐露していた。
「……わたしはきりすてた、トリニティ総合学園全体のために…幼馴染のミカさんのために……いるかもしれないとしていたうらぎりものをいるとだんていして…きにかけてた、"おともだちのつもり"だったヒフミさんたちを……みなさんを…!!」
「……優先順位をつけて…まもるためきりすてたけっかみそこなわれて……ころされるかも、しれないところでここに……」
「……わたしはやさしくなんてない。やさしくなんかっ……先に切り捨てておきながらっ…切り捨てられてきずつくどうしようもないおろかものなんです……!!」
……言ってしまった。一切合切全てをぶち撒けてしまった。…これでもう、彼とはお別れになってしまうでしょう。
……それできっといい、彼のようなお人好しは、わたしのようなどうしようもない半端者と一緒にいるべきではないのだから。彼のような…戦えない人達の為に戦うという立派な志を持つひとはわたしなんかに構わず、もっとたくさんのひとたちを助けるべきなのだから。
──なのに。
だというのに……彼に浮かぶ表情は…そうであってくれ/そうであってほしくないと願った、軽蔑や嫌悪のそれではなく……悲痛と心配が揃ったようなそれで。
「……どうして……そんなかおをするんですか…!?……きいてなかったわけでもないでしょう??大のために小をきりすてれるようなにんげんが…このころしあいで信用されるわけがない…なのにどうして…どうしてっ……!!」
りかいができなかった。もうなにもかもがぐちゃぐちゃで。
「……前に仲間に、俺の友達にこう言われたんだ。『100回人を裏切った奴より、100回裏切られてバカ見た人間の方が僕は好きだ』って。
…その時の俺は信じてた先輩に裏切られて、今の君みたいに一杯一杯になってたから……それに。
…昔から何十回も何百回も、信じては裏切られて…また信じては裏切られて…もう信じないぞって決めて、なのに結局信じてしまって、だから……裏切られたとしても、俺は信じることをやめたくない」
……なんですかそれは。…筋金入りの、おひとよしじゃないですか……。
「……まあ、その後アンデッドとの戦いに迷って別の仲間にビンタされたりもしたけど。
『目の前に苦しめられてる人たちを救うために戦うのがライダーの仕事じゃないのか』って…。
……とにかく、俺は君を信じるよ。…自分の失敗をそんな有り様になるまで悔めるような子を…俺は悪い奴とは思えないから」
……ふと頬に手を当てると、瞳からずっと溢れ続けていたことに今更気付いた。
「……えんぎ、だとは……」
「そうには全く見えないけどな。…仮にそうだとしても、その時は俺が君を止める。止めることで守って、救ってみせる。ライダーの仕事である以上に…それが俺のやりたいことだから」
……あなたのようにあれたなら、どれだけよかったか。
……過去は決して変わらない。わたしが彼女たちを切り捨てた、裏切った事実は揺らがない。けれども……それでも、少しでも彼のように……なりたいと、そう思ってしまった。
……烏滸がましいとも、彼女たち(補習授業部)をゴミ呼ばわりした口で何を言うのかというのは重々承知の上。だけど……わたしをたすけた上で、過ちを聞いてなお、こうまで言ってくれた方を……放っておくという選択肢はわたしには無かった。
……ここでなお食い下がったりすればそれこそ、ミカさんに顔向けなんてできないのだから。
「……わかりました。……私も、カズマさんに付いて行くことにします。…貴方がよろしければ、の話になりますが」
「えっ?…いいのか?君には探したい友達が…」
「…私のような人を信じるって言い切るカズマさんを放っておけば、他の誰かに騙されてしまいそうですから。ティーパーティーホストとしての地位は意味を成さなくとも、経験は生きるはずです」
……半分は本当。もう半分は……カズマさんへの心配というより、懸念。
『あの時何も出来なかった俺には、君ひとり守るので手一杯だったけど』
先程のカズマさんのこの言葉もあって、なぜか危なっかしさというべきでしょうか…なんと言いますか、状況次第では自分すら投げ捨ててしまいそうなところが……不安に駆られてしまったから。怖いと思ってしまったから。
……恩人をみすみす死なせるような真似は、決してしない。
「…流石に俺もそこまで頭は悪く……ナギサちゃん!離れ──」
NPCとやらが現れたのを見て、咄嗟にカズマさんが叫ぶ。
けれど…撃った方が早いと。不思議とそう思えて引鉄を引いた結果……それは弾け飛んだ。
「……ぇ?」
「…すごい威力だな」
呆然とする私とカズマさん。
「……もしかして私、一歩間違えればカズマさんを……」
血の気の色が引く。こんな威力の銃弾をもし曲がり間違ってカズマさんに当ててしまっていれば…いくらブレイドになっていようと重傷は確実なはずだろう。
「……この銃は、普段使いするには危険すぎます。他の支給品になかった場合、カズマさんがよろしければ…捜索の手伝いをしてもらってもいいでしょうか……?」
「…確かにあの威力だと、人質に取られた時とかに使うと危険そうだな…わかった、とりあえず君の残りの支給品を確認してからになるけれど」
「…ありがとう、ございます」
喚きながらかなぐり捨てていた冷静さが、少しは戻ってきた気がした。
……私のような貧弱な者にこんな過ぎたる力を与えて、あの卑猥な言い回しばかりの男は何を考えているのやら。
…思考を打ち切った上で、私はひとまず残りの支給品を確認することとした。
【桐藤ナギサ@ブルーアーカイブ】
[状態]:肉体ダメージ(中)、精神的ダメージ(極大・回復しつつあり)、疑心から抜け出そうという決意
[装備]:ピースメーカー@セブンスドラゴン2020-Ⅱ
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2
[思考]:殺し合いには乗らず、カズマさんと共に抗いましょう。戦えない人達を守りたいという彼の想いに添いたい。
0:こんな馬鹿げた威力の銃、迂闊には使えないですね…他のまともな銃器が欲しい所ではありますか…。
1:カズマさん……何処か危うい気がして…烏滸がましいのは承知の上ですが、せめて共に歩み繋ぎ止めれれば…。
2:せめてミカさん達に恥じぬ私でいたい所です。
3:…ヒフミさん達にもし会ったら、その時私は……。
4:まさか別の世界等という話になるとは…。
[備考]
※参戦時期はエデン条約編第2章にてハナコにヒフミが「それなりに楽しかったですよナギサ様とのお友達ごっこ」と言ったと嘘を吹き込まれた直後からです。その為ヒフミ自身がそう思っていると認識している他ミカが真の裏切り者なこともセイアが生存していることも知りません。
※自分達と剣崎、主催者達がそれぞれ別の世界の存在だと推察しています。またその過程で「仮面ライダー剣」についての用語などを知りました。
【剣崎一真@仮面ライダー剣】
[状態]:肉体ダメージ(小)
[装備]:ブレイバックル&♤1~6までのラウズカード@仮面ライダー剣、♤7~10までのラウズカード@仮面ライダー剣
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1
[思考]:殺し合いなんかには乗らず主催者を倒して戦えない人達の為に戦う
0:ナギサちゃんと共に今は戦えない人達を守る為に行く。立ち直ったみたいだけど少し心配だな…。
1:橘さん達知り合いが巻き込まれていたら…その時は合流したい。
2:あの橘さんそっくりな声のアンデッドみたいな敵は…?
3:ラウズアブゾーバーやJ以降の3枚のカードも何処かにあるんだろうか?
4:…すごい世界なんだな、ナギサちゃん達がいるキヴォトスって学園都市がある所は。
[備考]
※参戦時期は第35話「危険な変身!?」にて変身解除後気絶した所からです。
※自分とナギサ、主催者達がそれぞれ別の世界の存在だと推察しています。またその過程で「ブルーアーカイブ」についての用語などを知りました。
【支給品説明】
桐藤ナギサに支給。トリックスターの職業が使う銃器。平和をもたらす力となる銃らしい。ゲーム内だと銃の装備では2番目に威力が高い。
エデン条約を締結しゲヘナ・トリニティ間の和平を結ぼうと試みたナギサにはある種ぴったりな銃だろう。
- ブレイバックル&♤1~6までのラウズカード@仮面ライダー剣
剣崎一真に当人支給。仮面ライダーブレイドに変身可能なツールとセットとして支給されたラウズカード達。
1はチェンジにより変身に行使し、2はスラッシ;ュで切れ味強化、3はビートでパンチ力増強で4はタックルで突進、5はキックでキック力増強で6はサンダーで電気付与の効果がある
剣崎一真に当人支給。7はメタルによる硬化、8はマグネによる磁力操作、9はマッハによる高速化、10はタイムによる時間停止が可能。
時間停止についての制限などは当選した場合後続にお任せします。
「目的は果たせず、か……」
怪物は支給されていた腕輪の効力が偶発的に発動したことで転移し難を逃れる形となっていた。
(…発動しなければ危うかった、が……収穫が無かったわけでもない)
思考しながら怪物は己の能力により……姿と声を標的たる剣崎一真へと変える。
その手には複製したブレイバックルとラウズカード群もあった。
「…この姿で動くもよし、或いは名前はわからず銃こそコピーはできなかったが……」
ブレイバックルを保持したまま……姿と声を光輪と翼を持つ先の少女へと変える。
「こちらで動くのも悪くはないか。
……どう動くにせよ、剣崎一真の確保、首輪の入手は必要となる……これを使い駒として誘導するのも一つの手、だろうな」
バッグの中に入っていた、紫色の石を横目で見ながら……陰鬱で暗い表情を浮かべた少女は宛もなく歩き出した。
怪物の名はトライアル。模倣能力を付与されたトライアルEの同型の改造実験体である。
【トライアル@仮面ライダー剣 超バトルビデオ 仮面ライダー剣VSブレイド】
[状態]:肉体ダメージ(小)、桐藤ナギサの姿の模倣
[装備]:模倣したブレイバックル&♤1~6までのラウズカード@仮面ライダー剣、模倣した♤7~10までのラウズカード@仮面ライダー剣、高飛びの腕輪@風来のシレン5 ~フォーチュンタワーと運命のダイス~
[道具]:基本支給品一式、エイリア石@イナズマイレブンシリーズ、不明支給品×1
[思考]:製造者(広瀬義人)の命に従い剣崎一真を確保し首輪の解除から脱出。その為なら手段は問わない。
0:……さて、この少女の名がわからない以上、どう名乗る?
1:解除の為にも首輪の確保を試みる。役に立たない参加者を間引けば丁度いいだろう。
2:この姿(ナギサ)や剣崎一真の姿、真の姿を状況に応じて使い分ける必要もあるか。
3:製造者が居た場合は合流し逐次命令に従う。
4:場合によってはエイリア石を他参加者に渡す。
5:腕輪はどうする?一旦外すのも手ではあるが…。
[備考]
※参戦時期は本編登場前です。トライアルEに出来ることはこのトライアルにも可能という解釈を採用しています。
※模倣については姿をしっかり視認した上で戦闘しないと出来ないようになっています。また姿やアイテムを模倣出来る数等の制限は当選した場合後続にお任せします。
※名簿にどう載るかは当選した場合後続にお任せします。
※原作では赤いマフラーが付いてましたが作中にて誰も触れていない為視聴者に対する識別用とします。
【支給品説明】
- 高飛びの腕輪@風来のシレン5 ~フォーチュンタワーと運命のダイス~
トライアルに支給。装備した次のターンからターン毎に15%の可能性でランダムにエリア内の何処かへ強制的にワープする効果がある。
装備したターンには発動しない。このロワでは1ターン=10分という処理が為されている。
トライアルに支給。初出はイナズマイレブン2 驚異の侵略者ファイヤ/ブリザード。5年前に宇宙から落ちてきたらしい隕石であり、人間が持つ潜在的な力を引き出せるドーピングアイテム。
ただし副作用として得た力に陶酔して悪に走ったりする洗脳めいた効果もある。
トライアルに支給されたのはダークエンペラーズに使われた強化型。
このロワでは所有者が対象に渡した後対象が力を望んだ場合効果が発揮される仕様となっている。
最終更新:2026年03月22日 11:09