「発子クリーシェ 新しい住人」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

発子クリーシェ 新しい住人 - (2010/11/08 (月) 21:43:56) のソース

&sizex(3){[[Top>トップページ]] > [[創発発のキャラクター総合]]}

*発子クリーシェ 新しい住人

作者:◆91wbDksrrE
投稿日時:2010/11/07(日) 10:42:32
----

※発子う類ネタです。ちょっと設定違ったりするので、パラレルって事で。



「ムカツクムカツクムカツク」
「ああ、もう、そんな風に鳴かないの。ほら、蜜柑あげるから」

 とある安アパートの一室で、最近やたらと弄られまくって疲れがちという
噂の発子・クリーシェは、近年稀に見る極上の笑顔を浮かべながら、その
"生物"を愛でていた。
 蒼い髪を持った生首。それを一言で言ってしまうと、そう表現せざるをえない。
だがしかし、それが生首などではない事は、一目見ればわかった。その蒼い
髪の毛でもって、その"生物"は歩行していたのだから。
 髪行類と呼ばれるその"生物"――ここはあえて「なまもの」とルビを振るのが
正しい気がしてしまうのだが、どうか――は、発子・クリーシェから与えられた蜜柑
にかぶりつき、美味しそうに――かどうかはその無表情からは察せられないが、
少なくとも発子・クリーシェには美味しそうに食べているように見えているようだ――
皮ごと咀嚼している。
 発子・クリーシェは、自分とそっくりなその生物の挙動に、幸せそうに笑みをこぼす。
 まるで姉妹のようだ……と思ったら終いだと、そんな風にダジャレてしまいそうな
光景であった。

「うふふ、可愛いわねえ、あんた」
「ムカツクムカツク」
「蜜柑美味しい? そう、良かったわ」
「ただいまですー」

 そんな二人の背後に、いつの間にか存在感の薄い少女が立っていた。発子・クリーシェ
の妹である、ひなのだ。

「あれ? 姉さん、どうしたんです、そのなま……生き物? 髪行類ですよね?」
「うん、なんかね、アパートの前で寂しそうに鳴いてたから、拾ってきちゃった」
「……アパートの前ー?」
「何か他人だとは思えなくてね」
「それは……そうでしょうけどー」

 髪行類という生物についての知識は、ひなのも有していた。特定の神、特に女性の
神格が眷属として生みだす生物で、その姿は元となった神のそれに似る。
 つまり、この髪行類は、発子・クリーシェが眷属として生み出した物、いわば髪行類
ならぬ発子う類とでも言うべき存在である、と、そう考える事が出来るのだが――。

「これ、姉さんが創ったんですかー?」
「ううん。言ったでしょ、拾ったって」
「うんー?」

 どうやら、当人の言を信じる限りでは、発子・クリーシェによって創られたというわけ
ではないらしい。しかし、髪行類の出自を考えるに、それ以外に可能性は――と。

「ぶぅ」(ふむ。なにやら新しい住人のようだが)
「あ、猫とも狸ともつかない謎の生物、略してなっちゃんさんー」
「ぶぅ……」(その軽い愛称はどうにかならぬのか……)

 そこに、猫とも狸ともつかぬ謎の生物がやってきた。
 ひなのと並んで、発子う類の髪――足?――を突付く発子・クリーシェを眺める。

「ぶぅ」(先日のロボットといい、女神の強敵(とも)たる魔王は、何を考えておるかわからぬな)
「え? それってどういう事ですかー?」
「ぶぶぅ」(先日のロボットと同じ波長を、あの発子う類からは感じる)
「……ハルトさんからの贈り物って事なんですかー?」
「ぶぅ」(であろう、な)

 一方その頃――

 どことも知れぬ、時すらも定かではない場所にて、二つの影が言葉を交わしていた。

「お師匠様、どうしてあんな物創ったんですか?」
「見ればわかるであろう。我は創作のみにて語る」
「自分そっくりなメカトを発子さんとこ送りつけたら、容赦なく廃棄処分にされたので
 それを根にもって、ちょいキモな発子う類を創って送りつけて、それも廃棄処分に
 させたら少しは気が晴れるだろうと思ってたのに、いざ送ってみたら、思いのほか
 気に入られてしまって複雑な気分――って感じでしょうか?」
「……お前がそう考えるのであれば、お前にとってはそうなのだろう」

 そう言いながらも、魔王の顔に浮かぶのは苦虫を噛み潰したような表情だった。

「……あのようなデザインを、可愛いと評するとは……あやつのセンスは図りしれぬな。
 間違いなく激怒するだろうと思ったのだが……」
「まあ、世の中いろんな人がいますからねえ。いろんな女神がいてもおかしくないでしょう」

 肩をすくめる弟子の姿に、魔王はますます苦虫を噛み潰したような表情を深めたのだった。

 そして場所は戻って安アパートの一室。

「んふふふふ~♪ ちょこちょこしてるの可愛い~」
「ムカツクムカツクムカツク」
「……姉さん、気づいてないみたいですしー」
「……ぶぅ」(黙っておいた方が、良いであろうな)
「………………」
「………………」
「……可愛いと、思います、あれ?」
「ぶ、ぶぅ……」(あ、あまり……)
「よーしよしよし、よーしよしよし♪」

 こうして、安アパートの一室に、一人? 一匹? 一体? ……とにかく、新しい住人が
増えたのであった。

----
[[発子・クリーシェ単発作品まとめに戻る>発子・クリーシェ単発作品群]]
----
&link_up(ページ最上部へ)
----
目安箱バナー