女神姉妹のバレンタイン
作者:◆91wbDksrrE
投稿日時:2011/02/15(火) 01:26:06
投稿日時:2011/02/15(火) 01:26:06
「あ……あの、これ……本気なの?」
蒼い髪の少女は、自らの手の中にある物を弄びながら、困惑していた。
それはチョコレート。2月14日に限って、その食べ物は特別な意味を持つ。
それはチョコレート。2月14日に限って、その食べ物は特別な意味を持つ。
「……はい。えっと、本とか買って、手作り……って言っても、まあ、その……
溶かして固めただけですけど……でも本命の逆チョコのつもりで……そこに
書いてある通り……なんで」
溶かして固めただけですけど……でも本命の逆チョコのつもりで……そこに
書いてある通り……なんで」
少し口ごもりながら、彼女の前に立つ青年は、それでもしっかりと彼女を
見つめながら、そんな言葉を口にした。
見つめながら、そんな言葉を口にした。
「……あい、らびゅー……か」
そのチョコレートには、そう書いてあった。
I LOVE YOU。私は、貴方を、愛しています。
I LOVE YOU。私は、貴方を、愛しています。
「……本気、なの?」
再度繰り返したその問いは、確認ではなかった。
これから彼がしようとして、自分が受け入れようとしている事に対する、
覚悟を決める為の言葉。
これから彼がしようとして、自分が受け入れようとしている事に対する、
覚悟を決める為の言葉。
「はい……だから……イヤじゃ、なければ……」
イヤじゃなければ……受け入れて欲しい。そう、彼は態度で語っていた。
青年が、彼女の側へと歩み寄る。本気である事を示す、その証を立てようと。
肩に手がかけられた瞬間、一瞬彼女は肩を強ばらせた。
だが、それも一瞬の事。
覚悟はしたのだ。身体を強ばらせ、拒否の姿勢とも受けとられるような態度を
示す必要はどこにも無い。
……いや……元より覚悟など要らなかったのかもしれない。
嬉しいのだから。彼女は、自らにまっすぐに好意を向けてくれる彼の気持ちが、
純粋に嬉しかったのだから。
青年が、彼女の側へと歩み寄る。本気である事を示す、その証を立てようと。
肩に手がかけられた瞬間、一瞬彼女は肩を強ばらせた。
だが、それも一瞬の事。
覚悟はしたのだ。身体を強ばらせ、拒否の姿勢とも受けとられるような態度を
示す必要はどこにも無い。
……いや……元より覚悟など要らなかったのかもしれない。
嬉しいのだから。彼女は、自らにまっすぐに好意を向けてくれる彼の気持ちが、
純粋に嬉しかったのだから。
「……ん」
頬を朱に染め、わずかにおとがいをあげ、瞳を閉じる。
瞳を閉じた分だけ敏感になった他の感覚が、彼の顔が自らのそれに近づいて
来ている事を知らせ、彼女の頬の赤みは増していく。
そして、その時は来た。
柔らかい、感触。
ちゅっ、という音が、触覚以外、唯一それが行われた事を彼女に知らせる。
柔らかく、温かく、愛おしい。
ただ合わせるだけの、大人のそれとは言い難い物だったけれど、彼女は
いつまでもそれを、その感触を味わっていたいと考え、その考えに沿うように、
自然と身体は動き、彼の首に手を回し、ずいぶんと背の高い彼に、ぶら下がる
ようにして抱き着いた。
彼もまた、その思いは同じだったようだ。青年の腕もまた、彼女の背中へと
回され、強く、でも優しく抱きしめていた。
長い、長い口づけ。
長い、長い抱擁。
そんな二人の始まりを祝福するかのように、空からは真っ白な雪が舞い降り始めた――
瞳を閉じた分だけ敏感になった他の感覚が、彼の顔が自らのそれに近づいて
来ている事を知らせ、彼女の頬の赤みは増していく。
そして、その時は来た。
柔らかい、感触。
ちゅっ、という音が、触覚以外、唯一それが行われた事を彼女に知らせる。
柔らかく、温かく、愛おしい。
ただ合わせるだけの、大人のそれとは言い難い物だったけれど、彼女は
いつまでもそれを、その感触を味わっていたいと考え、その考えに沿うように、
自然と身体は動き、彼の首に手を回し、ずいぶんと背の高い彼に、ぶら下がる
ようにして抱き着いた。
彼もまた、その思いは同じだったようだ。青年の腕もまた、彼女の背中へと
回され、強く、でも優しく抱きしめていた。
長い、長い口づけ。
長い、長い抱擁。
そんな二人の始まりを祝福するかのように、空からは真っ白な雪が舞い降り始めた――
「……うにゃ~。そ、そんなはげしぃ……ら、らめぇ~……ZZZzzz……」
「姉さん、コタツで酔っ払って寝てると風邪ひきますよー」
「……にゃはにゃはにゃはにゃー……」
「……どんな夢見てるんでしょうかー。凄い幸せそうなんですけどー。……ぬこぽー」
「にゃっ……Zzzzz……」
「……ホントに寝てるんですかねー?」
「姉さん、コタツで酔っ払って寝てると風邪ひきますよー」
「……にゃはにゃはにゃはにゃー……」
「……どんな夢見てるんでしょうかー。凄い幸せそうなんですけどー。……ぬこぽー」
「にゃっ……Zzzzz……」
「……ホントに寝てるんですかねー?」
まあ、当然の如く、蒼い髪の少女……発子・クリーシェに、そんな出逢いなど
あるわけもなく。いわゆる一つの夢オチという奴であったとさ。
あるわけもなく。いわゆる一つの夢オチという奴であったとさ。
「安易ですねー」
言わないでください……バレンタインネタ忘れてて、急造するには安易な手段に
頼らざるをえなかったんです……。
頼らざるをえなかったんです……。
「まあ、それでも間に合わなかったわけですけどー」
……時々、本気で毒舌ですよね、雛乃さん。
「ツッコミ役のサガといいますかー」
さいですか……。
しかし、幸せそうな寝顔ですよね、発子さ
しかし、幸せそうな寝顔ですよね、発子さ
「発子って言うにゃ~……Zzzzz……」
……クリーシェさん。
「いつか、自分で買ってきたバッカスやらラミーやらで酔っ払うんじゃなくて、誰かを
手作りチョコに込めた愛で酔っ払わせられるようになってもらいたいですねー」
手作りチョコに込めた愛で酔っ払わせられるようになってもらいたいですねー」
……やっぱり毒舌ですよね、雛乃さん?
「サガですからー。絶対に素とか地とかじゃありませんよー?」
……そういう事にしておきましょうか。
「しておいてくださいー。さて、姉さん布団まで引っ張っていかないとー」
こうして、女神姉妹のバレンタインは、特に何事もなく終わったのだったとさ。
「ちゃんちゃんー」