「あけおめ!」
投稿日時:2011/01/01(土) 01:40:00
「あけおめ!」
「はい、あけましておめでとうございますー」
「はい、あけましておめでとうございますー」
とある安アパートの一室。
DYNAMITEで渡辺超すげーし所やっぱりおもしれー、石井やっぱりダメだわと
騒いだ後、行く年くる年を見ながら迎えた、2011年。
二人の姉妹は年始の挨拶を交わしていた。
DYNAMITEで渡辺超すげーし所やっぱりおもしれー、石井やっぱりダメだわと
騒いだ後、行く年くる年を見ながら迎えた、2011年。
二人の姉妹は年始の挨拶を交わしていた。
「しかし、今年はほんといい年にしたいわよねぇ……」
「あら、姉さん、まるで去年は何もいい事がなかったみたいじゃないですかー」
「……ネタキャラ化が極まったのが、いい事と言える?」
「気の持ちようですよー」
「あんたは気楽でいいわよね……」
「出番自体少ないので気楽な物ですー」
「それってどうなの?」
「気の持ちようですー」
「あら、姉さん、まるで去年は何もいい事がなかったみたいじゃないですかー」
「……ネタキャラ化が極まったのが、いい事と言える?」
「気の持ちようですよー」
「あんたは気楽でいいわよね……」
「出番自体少ないので気楽な物ですー」
「それってどうなの?」
「気の持ちようですー」
新年早々ため息を付きそうになった、青い髪の少女、姉であるクリーシェは、
慌ててその吐息を飲み込んだ。それを見てどこか影の薄い印象を与える少女、
妹であるひなのは、クスリと笑みをこぼした。
慌ててその吐息を飲み込んだ。それを見てどこか影の薄い印象を与える少女、
妹であるひなのは、クスリと笑みをこぼした。
「それより姉さん、いい年にするのはいいんですがー、具体的に何か抱負などはー?」
「うーん、そうねぇ……清純派、とか?」
「無理ですねー」
「うーん、そうねぇ……清純派、とか?」
「無理ですねー」
ばっさりである。
「なんでよっ!?」
「こんなのがいる時点で無理かとー」
「こんなのがいる時点で無理かとー」
ひなのが指さした先には、どこかクリーシェと似ているように見える謎の生物がいた。
発子う類と呼ばれる、謎の生物である。その生態、出自なども含めて謎が謎を呼ぶ
謎の生き物であり、まったくもって謎である。
発子う類と呼ばれる、謎の生物である。その生態、出自なども含めて謎が謎を呼ぶ
謎の生き物であり、まったくもって謎である。
「ムカツク(呼んだか?)」
「えー!? 可愛いじゃない! 可愛いペットを飼ってる清純派とか、よくいるわよね?」
「……微妙に自画自賛入ってませんかー?」
「ムカツクムカツクムカツク(……いや、そもそもが清純派って柄じゃねえだろ)」
「ほら、この子もそうだそうだと言ってるじゃない!」
「ぶぅ(……いや、吾輩にはむしろ否定してるように聞こえるのだが)」
「あ、謎太郎。あけおめ!」
「あけましておめでとうございますー」
「えー!? 可愛いじゃない! 可愛いペットを飼ってる清純派とか、よくいるわよね?」
「……微妙に自画自賛入ってませんかー?」
「ムカツクムカツクムカツク(……いや、そもそもが清純派って柄じゃねえだろ)」
「ほら、この子もそうだそうだと言ってるじゃない!」
「ぶぅ(……いや、吾輩にはむしろ否定してるように聞こえるのだが)」
「あ、謎太郎。あけおめ!」
「あけましておめでとうございますー」
騒ぐ声が聞こえたか、部屋の奥からのっそりと一体の生物が現れた。
彼の名は謎太郎。場合によっては違う名で呼ばれたりもする、これまた謎の以下略。
彼の名は謎太郎。場合によっては違う名で呼ばれたりもする、これまた謎の以下略。
「ムカツクムカツク、ムカツクムカツク(お前、よくこんな面倒な奴らと一緒に暮らしてきたなー。
尊敬するぜ)」
「ぶぶぶぅー(まあ、普通に生きていく分には、彼女らもさして面倒な人間……いや、女神という
わけではないのでな)」
「ムカツク(……そうかい。俺も慣れるかね?)」
「ぶぅー(まあ、そのうちに、な)」
「ムカツク、ムカツク(時に、なんでお前さんはあけおめ言ってもらってんのに、俺には無しなんだ?)」
「ぶぅぅー(……さあ?)」
尊敬するぜ)」
「ぶぶぶぅー(まあ、普通に生きていく分には、彼女らもさして面倒な人間……いや、女神という
わけではないのでな)」
「ムカツク(……そうかい。俺も慣れるかね?)」
「ぶぅー(まあ、そのうちに、な)」
「ムカツク、ムカツク(時に、なんでお前さんはあけおめ言ってもらってんのに、俺には無しなんだ?)」
「ぶぅぅー(……さあ?)」
そんな会話を二匹が交わしているとは(クリーシェは)いざ知らず、なにやら寄り添って
いるように見えなくも無い二人を、微笑ましく見つめている。
いるように見えなくも無い二人を、微笑ましく見つめている。
「ほらほら、可愛いじゃない。謎太郎も可愛い~」
「……うーん、確かに、可愛くないとは言い切れないかもですねー」
「でしょ!? ほら、こうやって抱きしめたりしたら、まさに清純派アイドル!」
「ムカツク!?(ちょ、おま、やめろよ!?)」
「……えいー」
「ぶぅ!?(なにゆえ吾輩まで!?)」
「ほーら、ぎゅってしてあげる♪」
「……ムカツク(……お前、無いんだな)」
「あー、もう、なんでかしら! こうやって抱き殺してしまいたくなるくらい可愛いわ!
何故か殺意が沸いてしまうの! どうして!?」
「ムカツクー!?(く、くるしぃー!?)」
「姉さん、その子苦しがってますよー?」
「ぶぶぅぶぅー!?(こ、こちらも苦しいのだがー!?)」
「謎太郎も苦しがってるみたいだけど?」
「……」
「……」
「気の持ちようですー」
「気の持ちようよねー」
「ムカツクー!?(意味がわからんー!?)」「ぶぅー!?(意味がわからぬー!?)」
「……うーん、確かに、可愛くないとは言い切れないかもですねー」
「でしょ!? ほら、こうやって抱きしめたりしたら、まさに清純派アイドル!」
「ムカツク!?(ちょ、おま、やめろよ!?)」
「……えいー」
「ぶぅ!?(なにゆえ吾輩まで!?)」
「ほーら、ぎゅってしてあげる♪」
「……ムカツク(……お前、無いんだな)」
「あー、もう、なんでかしら! こうやって抱き殺してしまいたくなるくらい可愛いわ!
何故か殺意が沸いてしまうの! どうして!?」
「ムカツクー!?(く、くるしぃー!?)」
「姉さん、その子苦しがってますよー?」
「ぶぶぅぶぅー!?(こ、こちらも苦しいのだがー!?)」
「謎太郎も苦しがってるみたいだけど?」
「……」
「……」
「気の持ちようですー」
「気の持ちようよねー」
「ムカツクー!?(意味がわからんー!?)」「ぶぅー!?(意味がわからぬー!?)」
こうして、謎生物の鳴き声が、新年の安アパートに響き渡ったとか渡らないとか。
「あ、そうだ、鍋しよう、鍋!」
「新年会ですかー?」
「桃花ちゃん達呼んで、ね?」
「呼んじゃいましょうそうしましょー」
『ぶぅ!?&ムカツク!?(その前に吾輩&俺を離せー!?)』
「新年会ですかー?」
「桃花ちゃん達呼んで、ね?」
「呼んじゃいましょうそうしましょー」
『ぶぅ!?&ムカツク!?(その前に吾輩&俺を離せー!?)』
何にせよ、今年も女神達は緩く生きていくようだった。
一方その頃。
「……何をしておるのだ、あの姉妹は」
「あ、お師様、何されてるんですか?」
「……女神の様子を伺っておった」
「なるほど、新年の祝いでも贈ろうかと、頃合いを見計る為に様子を伺ってたんですね。
贈るのはまたメカトですか。今度は何号です?」
「うむ、今回は十三号だ」
「なになに……おせち料理調理機能がついてますね」
「正月にうってつけの品だろう」
「それ、お正月になってから贈られても困ると思うんですけど……しかも、これ材料は
自分で入れなきゃいけないじゃないですか」
「無論、材料費は自腹に決まっておる」
「やっぱり嫌がらせですよね、これ……で、何かあったんですか?」
「これだ」
「おお、千里眼の水晶ですね……これ、例の?」
「うむ。あの姉妹の家なのだが……何をやっているのだ、コヤツらは」
「本気で気に入りまくってますねー、発子う類」
「……解せぬ」
「二人して、謎の生物抱っこして……なんだか微笑ましいですね」
「まったくもって計り知れぬ……故にこそ、あの女神を我は捨ておけぬのだが」
「……まあ、そういう事にしておきましょうか」
「何が言いたい、倉刀よ」
「いえ、特に何も……あ、忘れてましたね。あけましておめでとうございます、お師様」
「あ、お師様、何されてるんですか?」
「……女神の様子を伺っておった」
「なるほど、新年の祝いでも贈ろうかと、頃合いを見計る為に様子を伺ってたんですね。
贈るのはまたメカトですか。今度は何号です?」
「うむ、今回は十三号だ」
「なになに……おせち料理調理機能がついてますね」
「正月にうってつけの品だろう」
「それ、お正月になってから贈られても困ると思うんですけど……しかも、これ材料は
自分で入れなきゃいけないじゃないですか」
「無論、材料費は自腹に決まっておる」
「やっぱり嫌がらせですよね、これ……で、何かあったんですか?」
「これだ」
「おお、千里眼の水晶ですね……これ、例の?」
「うむ。あの姉妹の家なのだが……何をやっているのだ、コヤツらは」
「本気で気に入りまくってますねー、発子う類」
「……解せぬ」
「二人して、謎の生物抱っこして……なんだか微笑ましいですね」
「まったくもって計り知れぬ……故にこそ、あの女神を我は捨ておけぬのだが」
「……まあ、そういう事にしておきましょうか」
「何が言いたい、倉刀よ」
「いえ、特に何も……あ、忘れてましたね。あけましておめでとうございます、お師様」
弟子の笑顔に、師は苦虫を噛み潰したような顔をしながらも――
「……ああ、おめでとう」
――そう答えるのだった。