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無限彼方~Old soldier~

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eroticman

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無限彼方~Old soldier~


「ホラホラぁ~? ここか? ここが効くのか? ん~?」
「そういう言い方は危険だからご自重願おうか」


 場所は関東。とある寂れた廃病院。
 彼方と婆盆はその中で敵に囲まれてる。絶滅したはずの、人ならざる存在「寄生」に。
 現れるのは人の形を成した小物ばかりではあったが、寄生の大元であった彼方ですら、その寄生の正体を掴みきれずに居た。

「ふむ……。彼方よ。やはり我等が知る物とは違う。寄生の力こそ感じるが……。
 形骸も持たず、寄生のみが動くなど四天王でようやく成せる業であったというのに……って、聞いておらぬな」

 婆盆の意見などハナから聞く耳を持たず、彼方は村正を振り回し寄生の群れへと突撃していく。
 強さこそケタ違いだが、婆盆にとっては見ていて安心出来る物ではなかった。

「オーホホホ! ほらほらお次はどちら様ぁ? 来ないならこっちから攻めて攻めて攻めまくるけどぉ~?」

 すっかりドSに成長した彼方に手加減など微塵も無い。
 稲妻を発する剣は一振りで敵を薙ぎ払い、寄生は粉々に砕けて行く。
 唯一の違和感は、影となり消えていく「彼方の寄生」と異なり、砕けた肉体がその場へ残る事。すなわちそれは、彼方とは別に寄生を生み出す何者かが存在する証明でもある。


 今回の調査は簡単なはずだった。黒丸の依頼では、監視システムに映った小さな集団の調査。場合によっては廃除というありきたりな物。
 実弾で対処可能な寄生の出現は黒丸達の戦闘に置ける優位性を飛躍的に高め、同時に彼方の出番は無くなってゆく。
 簡単な依頼だからこそ、あまり危険な戦闘に巻き込まずに置きたいと考える黒丸の依頼だったが、戦闘狂の彼方は不満だった。
 それゆえに今は最高のテンションだった。

「うっひょ~! あのオッサン、簡単だ言う割には敵さんテンコ盛りじゃん!? 解ってるねぇ~」
「違うと思うぞ彼方よ」
「どーでもいいよッ! おらぁ!!」

 稲妻が走る。
 廊下を埋め尽くす寄生の群れは為す術なく焼き払われ、ぶすぶすと焦げた臭いとともに煙を吐く。

「……全滅かな?」
「ん~ん? 甘いわね。まだまだいるわ。例えばこの地下」
「地下?」

 彼方は村正を床に突き立てる。そしてまたあの呪文を唱える。

「来たれ龍!」

 黒い稲妻が地面をえぐり出す。暴れ回る龍はそこかしこを破壊し、ボロボロの廃病院は天井が崩れ、地下と空が一直線に繋がった。

「婆盆飛んで!」

 彼方は婆盆にしがみつき言う。開いた天井から空へ飛び出し、病院を眼下に収めた時、彼方が叩き起こした怪物が地下から顔をのぞかせた。

「これはこれは……。なんと巨大な」
「すごく……大きいです……」
「ご自重願おうか彼方」
「何の事?」
「解って言っておられるだろう」
「言わせたいんだぁ~。変態めぇ~」
「……。(育て方間違えた。絶対間違えた!)」

 余裕のやり取りの内に、怪物はずるずると巨大を引きずり出す。
 十数メートルはあろうかという、人の上半身を蛇にくっつけたような、真っ黒な怪物。目も鼻も口も無いが、確かに視線は彼方へと向かっていた。

「……。あら? 私誘われてる?」
「そのようですな」
「誘われたら断らない主義よ。事に及ぶかは相手の顔によるけど……」
「何の話かな?」

 二人は地面に降り、彼方だけ怪物に詰め寄る。
 怪物は間髪入れずに真っ黒な腕を振り落とすが、村正の一降りで難無く吹き飛ばされてしまう。
 いまだ天神の力は健在だった。

「ぬー? これなら練刀でも余裕じゃん。てか普通にでかいだけじゃん」

 怪物にその言葉は伝わらないだろう。その巨大をフルに使い、今度は押し潰そうと倒れこんでくる。しかし――

「爆ぜよ天――」






「つまり、少数と思われていたグループは実際は大所帯だったと?」
「はい。一カ所に密集し過ぎてわからなかっただけだと思うんですけど」

 防衛庁、ヤタガラス本隊指令室。
 報告の為に訪れたが、彼方は妙に落ち着かない。黒丸達の顔を見ると、どこか懐かしいような、そんな気分にさせられるから。

「婆盆はどちらに?」
「さぁ? 売店でお菓子でも買ってるんじゃないですか?」
「ははは。まぁいいでしょう。では今回は彼方さんの手柄です。ありがとうございます」
「またよろしくお願いします。黒丸さん」

 簡単な報告を済ませ、彼方は売店へ向かう。
 その向かい側のサロンではお菓子を貪る老人が座っている。

「……うん。ブラックサンダーうめぇ」
「ほう?」
「ブッッ!! 彼方!? 居るなら居ると言って下さいよ。ちゃんと報告してきましたか?」
「バッチリ猫被ってきたよ」
「そこじゃ無くてですね……」
「解ってるって。やる事はちゃんとやるよ」
「ならいいですが……」
「さて、帰りましょう。お腹減った」
「はいはい。また吉牛ですか?」
「いーや、今日は久々に婆盆のカレー食べたい」
「そういえばしばらく作ってませんねぇ」
「じゃ、それで決定」
「はいはい」

 若い女性と老人は歩きだす。
 命懸けで育んだ絆と一緒に。


「……ウホッ。いい男……」
「女の子なんだからウホはやめなさいウホは……」
「むしろ女だから問題ないんじゃない?」
「……。(桃花助けて)」



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