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投下作品まとめ 避難所1-1〔1-005~ 〕
5 : ◆PDh25fV0cw:2010/08/03(火) 22:42:08 ID:AJtQ3YtQ0
スレ立て乙です
いきなり落ちててビックリしたよ。発見ついでに一つ
『責任の種』
「ひどくお悩みのようですね」
ある地方の病院。白を基調とした清潔な室内。適度にある花や小物が心を和ませている。
そこに、医者と少しやつれた患者らしい中年の男性が座っている。
「はい、そうなんです。今度会社の重要なプロジェクトの責任者になってしまって」
力ない声で、自分の置かれた状況を説明する男。重責に押しつぶされ食事も碌にとっていないのだろう、男の様子は医者でなくても不健康がわかるほどだった。
「ここにくる人は皆さんそうおっしゃっています。あなただけが特別ではないですよ」
医者の励ましにも、小さな頷きを返すのみだ。
「しかし、悩みの種とは聞いたことがありますが、責任の種とはどんなものなんですか?」
男が聞いた。
「まあ、論より証拠。早速やってしまいましょう」
医者は不安そうにしている男をベットに横たわらせた。そして、目をつむらせゴニョゴニョと呪文らしきものを唱えながら男の頭をさする。
すると、ゴロンと小さな梅の実ほどの黒い塊が手の中から滑り落ちる。
「終りましたよ。気分はどうですか?」
ベットから起きた男は、目覚めのいい朝のように清々しい顔をしていた。
「いやいや、これはなんとも。実にいい気分ですよ」
先程とは違う、張りのある声。
「それはよかった。これがあなたの責任の種ですよ。ご覧になりますか?」
男はしげしげと黒い塊をみつめる。
「宜しければ、もって帰っても構いませんが」
しかし、気味が悪いのか持って帰る事はせずに男は帰ってしまった。
医者は、それを小さな瓶に入れラベルをすると隣の部屋に持っていく。
「しかし、貯まったものだな」
ずらりと並べられた瓶をみて独りつぶやく。
責任感とは困ったもので無くては困るが、ありすぎても問題が起きる。
この奇妙な治療は、強すぎる責任感を少しだけ取って、心のバランスを取るというものだ。
こんな不可思議な治療は世界広しといえども、ここぐらいしかしてはいない。その為か今のところ、患者が絶えたことはない。
ピロロロ、と電話の呼出音がする。
電話に出ると、甲高い女性の声がした。
「あなたが、有名なお医者さんね。お願いがあるのよ」
女性によると、息子があまりに責任感が無いもので少し移植して欲しいというのだ。
医者は苦い顔をした。
責任感とは、教育で育てるものだ。それを無視して移植するのは洗脳とかわりない
しかし、女性は夫は議員だの、家が有名な財閥だの、検察に知り合いがいるだのほとんど恐喝のようなことを言ってくる。
気乗りはしないが、断ると何をされるか分からない。仕方なく、医者はそれを引き受けることにした。
数日後、ヘラヘラと軽薄そうな青年がやってくる。
何か色々言っているが、かかわり合いになりたくない医師は、さっさと移植をして追い返した。
スレ立て乙です
いきなり落ちててビックリしたよ。発見ついでに一つ
『責任の種』
「ひどくお悩みのようですね」
ある地方の病院。白を基調とした清潔な室内。適度にある花や小物が心を和ませている。
そこに、医者と少しやつれた患者らしい中年の男性が座っている。
「はい、そうなんです。今度会社の重要なプロジェクトの責任者になってしまって」
力ない声で、自分の置かれた状況を説明する男。重責に押しつぶされ食事も碌にとっていないのだろう、男の様子は医者でなくても不健康がわかるほどだった。
「ここにくる人は皆さんそうおっしゃっています。あなただけが特別ではないですよ」
医者の励ましにも、小さな頷きを返すのみだ。
「しかし、悩みの種とは聞いたことがありますが、責任の種とはどんなものなんですか?」
男が聞いた。
「まあ、論より証拠。早速やってしまいましょう」
医者は不安そうにしている男をベットに横たわらせた。そして、目をつむらせゴニョゴニョと呪文らしきものを唱えながら男の頭をさする。
すると、ゴロンと小さな梅の実ほどの黒い塊が手の中から滑り落ちる。
「終りましたよ。気分はどうですか?」
ベットから起きた男は、目覚めのいい朝のように清々しい顔をしていた。
「いやいや、これはなんとも。実にいい気分ですよ」
先程とは違う、張りのある声。
「それはよかった。これがあなたの責任の種ですよ。ご覧になりますか?」
男はしげしげと黒い塊をみつめる。
「宜しければ、もって帰っても構いませんが」
しかし、気味が悪いのか持って帰る事はせずに男は帰ってしまった。
医者は、それを小さな瓶に入れラベルをすると隣の部屋に持っていく。
「しかし、貯まったものだな」
ずらりと並べられた瓶をみて独りつぶやく。
責任感とは困ったもので無くては困るが、ありすぎても問題が起きる。
この奇妙な治療は、強すぎる責任感を少しだけ取って、心のバランスを取るというものだ。
こんな不可思議な治療は世界広しといえども、ここぐらいしかしてはいない。その為か今のところ、患者が絶えたことはない。
ピロロロ、と電話の呼出音がする。
電話に出ると、甲高い女性の声がした。
「あなたが、有名なお医者さんね。お願いがあるのよ」
女性によると、息子があまりに責任感が無いもので少し移植して欲しいというのだ。
医者は苦い顔をした。
責任感とは、教育で育てるものだ。それを無視して移植するのは洗脳とかわりない
しかし、女性は夫は議員だの、家が有名な財閥だの、検察に知り合いがいるだのほとんど恐喝のようなことを言ってくる。
気乗りはしないが、断ると何をされるか分からない。仕方なく、医者はそれを引き受けることにした。
数日後、ヘラヘラと軽薄そうな青年がやってくる。
何か色々言っているが、かかわり合いになりたくない医師は、さっさと移植をして追い返した。
1ヶ月後。
ピロロロと電話が鳴る。
出るとまたあの甲高い声だ。
「最初は良かったのに、すぐにもとに戻ってしまったじゃない。どうしてくれるの」
頭がいたくなる。移植などしたことが無い、何が起きるかわからなかったのだ。元に戻るだけですんだならそれはその男の責任だ。
まあ、責任感が無いのだから責任と問うても仕方がないが。
医師は同じような事にならないように、責任感の特に強い知り合いの医師の種を植えることにした。
どうにも、種にも濃薄があるようで、責任感の強いひとの種は色が濃い。
はたして医師の予想道理、効き目に違いがあったようで今度の電話は半年後にきた。
しかし、半年おきに施術するのはめんどうだ。どうにかならないものか。
ふと、医師はあることに気がついた。
その施術から1週間後。
「ちょっと、すぐに息子が無責任になったじゃない。ちゃんとやったんでしょうね」
予想道理すぐに電話がかかってくる。
「ええ、しましたよ。しかし、おかしいですね?」
「何がおかしいのよ!」
女性はヒステリックに叫んでいる。どうにも女性のヒステリーは扱いにくい。
「息子さんには、あなたのご主人の種を移植したんですよ。議員という立場の人間なら、責任感も強いと思ったんですがね。
そうだ、今度はあなたの種を移植しましょうか。息子さんのことにこれだけ責任を感じているあなたの種ならきっと……」
ガチャン、と乱暴に電話が切れる。
これでもう金切り声が電話からすることも無いだろう。
息子のことを他人に任せきりにするのはやめて欲しいものだ。責任を”とる”のは大変なのだから。ご報告まで
ピロロロと電話が鳴る。
出るとまたあの甲高い声だ。
「最初は良かったのに、すぐにもとに戻ってしまったじゃない。どうしてくれるの」
頭がいたくなる。移植などしたことが無い、何が起きるかわからなかったのだ。元に戻るだけですんだならそれはその男の責任だ。
まあ、責任感が無いのだから責任と問うても仕方がないが。
医師は同じような事にならないように、責任感の特に強い知り合いの医師の種を植えることにした。
どうにも、種にも濃薄があるようで、責任感の強いひとの種は色が濃い。
はたして医師の予想道理、効き目に違いがあったようで今度の電話は半年後にきた。
しかし、半年おきに施術するのはめんどうだ。どうにかならないものか。
ふと、医師はあることに気がついた。
その施術から1週間後。
「ちょっと、すぐに息子が無責任になったじゃない。ちゃんとやったんでしょうね」
予想道理すぐに電話がかかってくる。
「ええ、しましたよ。しかし、おかしいですね?」
「何がおかしいのよ!」
女性はヒステリックに叫んでいる。どうにも女性のヒステリーは扱いにくい。
「息子さんには、あなたのご主人の種を移植したんですよ。議員という立場の人間なら、責任感も強いと思ったんですがね。
そうだ、今度はあなたの種を移植しましょうか。息子さんのことにこれだけ責任を感じているあなたの種ならきっと……」
ガチャン、と乱暴に電話が切れる。
これでもう金切り声が電話からすることも無いだろう。
息子のことを他人に任せきりにするのはやめて欲しいものだ。責任を”とる”のは大変なのだから。ご報告まで
13 : ◆Qb0Tozsreo:2010/08/07(土) 00:59:08 ID:F0wysJ3AO
乙です!
記念(?)に投下させていただきます。
乙です!
記念(?)に投下させていただきます。
『不老不死の薬』
「うむ。次はこの薬を試してみるか」
博士は、赤茶けた液体の入った試験管を助手に差し出した。
「これは?」
「不老不死の薬だよ。これを飲めば、年を取ることもなく何十年、何百年と生きることができる。まさに夢のような薬だ」
しかし、薬を見つめる助手は怪訝そうな表情を浮かべていた。
これまでも博士は様々な薬を開発し、その度に助手が実験体となってきたのだけれども、どれもこれといった効果は得られていなかったからだ。
これまでも博士は様々な薬を開発し、その度に助手が実験体となってきたのだけれども、どれもこれといった効果は得られていなかったからだ。
「不老不死といいますけれど、本当に死なないかどうかはどうやって証明するのですか? 僕が飲んだとしても、博士が先に死んでしまえば効果はわかりませんよね?」
だが、博士は何も問題などないと言わんばかりに軽く咳払いをしたあと、小さく微笑んだ。
「心配するな。飲めばすぐに分かる。さぁ! 臨床実験開始だ」
いつものことだ。どうせ何か起こるわけでもないだろう――。そんな軽い気持ちで助手は試験管を口元に運び、一気に流し込んだ。
ボンッ!
ほんの一瞬だけ小さな爆発音が響くと、辺りには白い煙が立ち込めた。しばらくすると煙は空調に流されて消えていったのだけれど、そこに助手の姿はなく試験管が転がっているだけだった。
「成功したようだな。これで年は取らないし、死ぬこともない。そう。彼はこの世界にはいないのだから」