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「私と妹の日常」
16 :14:2010/05/03(月) 10:43:41 ID:yzeWX8yH
じゃ、まあ僭越ながら投下します
17 :14:2010/05/03(月) 10:44:22 ID:yzeWX8yH
私と妹の日常
「ん……」
カーテンの隙間から差し込む強い日差しに、私は眠りから現実に引き戻される。
――今……何時だろ……
時間を見て、もう一度寝直そうかと思った私だが、時計の針を見て、考えを修正せざる
を得なくなった。
「もう十時……休みだからって……さすがに寝過ぎたわ……」
睡眠の欲求ではなく、寝過ぎによって硬直した体を無理矢理引き摺り起こすと、長い髪
をバサッと後ろに流す。
「そろそろ美容院……行かなきゃなー……」
ズボラな私は、どうも行こうと考えてから実行に移すまでに時間が掛かる。予約の電話
を入れる事からのプロセスをボーッと考えて何となくめんどくさいなー、などと思いなが
らしばらくベッドに座り込んでいたが、やがてそれ自体無駄な事に気付く。
――ま、どうしても行きたくなったら自然に体動くでしょ。
頭をボリボリと掻いてベッドから降りると、そのまま部屋を出てキッチンに向かう。ま
ずは喉を潤さねば。まだちょっとボーッとした顔で冷蔵庫を開けようとすると、妹の敬花
が、顔を上げた。
『おはようございます、姉さん。随分とごゆっくりですね』
その言葉に微妙ではない量の棘が含まれているのを感じたが、私はそれは無視して小さく頷いた。
「うん。だって休みだしー」
『休みだからといって、ぐうたらし過ぎです。姉さんは。いっつもそうですけど。せめて
八時には起きて貰わないと。朝ごはんだって片付かないし、それに母さんの手伝いとかや
る事あるじゃないですか。姉さんがだらしないせいで、全部私がやる羽目になるんですからねっ!!』
またお説教モードか。内心でため息を吐きつつ、私はオレンジジュースをドパーッとグ
ラスに注ぐと、そのままゴクゴクと飲み干す。
『ちょっと。姉さん。聞いてますか?』
「うん。聞いてる」
そのまま流しにグラスを置くと、敬花は立ち上がって私をキッと睨み付ける。
『ちょっと姉さん。飲み終わったグラスはそのままにしないで下さいっていつも言ってる
じゃないですか。どうしてそのままにしちゃうんですか』
カーテンの隙間から差し込む強い日差しに、私は眠りから現実に引き戻される。
――今……何時だろ……
時間を見て、もう一度寝直そうかと思った私だが、時計の針を見て、考えを修正せざる
を得なくなった。
「もう十時……休みだからって……さすがに寝過ぎたわ……」
睡眠の欲求ではなく、寝過ぎによって硬直した体を無理矢理引き摺り起こすと、長い髪
をバサッと後ろに流す。
「そろそろ美容院……行かなきゃなー……」
ズボラな私は、どうも行こうと考えてから実行に移すまでに時間が掛かる。予約の電話
を入れる事からのプロセスをボーッと考えて何となくめんどくさいなー、などと思いなが
らしばらくベッドに座り込んでいたが、やがてそれ自体無駄な事に気付く。
――ま、どうしても行きたくなったら自然に体動くでしょ。
頭をボリボリと掻いてベッドから降りると、そのまま部屋を出てキッチンに向かう。ま
ずは喉を潤さねば。まだちょっとボーッとした顔で冷蔵庫を開けようとすると、妹の敬花
が、顔を上げた。
『おはようございます、姉さん。随分とごゆっくりですね』
その言葉に微妙ではない量の棘が含まれているのを感じたが、私はそれは無視して小さく頷いた。
「うん。だって休みだしー」
『休みだからといって、ぐうたらし過ぎです。姉さんは。いっつもそうですけど。せめて
八時には起きて貰わないと。朝ごはんだって片付かないし、それに母さんの手伝いとかや
る事あるじゃないですか。姉さんがだらしないせいで、全部私がやる羽目になるんですからねっ!!』
またお説教モードか。内心でため息を吐きつつ、私はオレンジジュースをドパーッとグ
ラスに注ぐと、そのままゴクゴクと飲み干す。
『ちょっと。姉さん。聞いてますか?』
「うん。聞いてる」
そのまま流しにグラスを置くと、敬花は立ち上がって私をキッと睨み付ける。
『ちょっと姉さん。飲み終わったグラスはそのままにしないで下さいっていつも言ってる
じゃないですか。どうしてそのままにしちゃうんですか』
「んー…… 大丈夫。後でちゃんと自分で洗うから」
『後でじゃダメです。今すぐに洗ってください』
何で我が妹はこうも潔癖なんだろう。いつもの事ながら同じ姉妹でこうも違うものかと
首を捻りつつ、仕方無しに妹に背を向けて流しでグラスを洗うと、敬花が驚いた声を上げた。
『ねっ……ねねね……姉さんっ!!』
「どーしたの? 変な声出して」
『どーしたのじゃありませんっ!! その……パジャマのズボン……ずり下がってるじゃ
ないですかっ!!』
「あん?」
確認すると、妹のご指摘どおり、パジャマのズボンが少し下がっていて、パンツのゴム
が見えていた。
「あー……そういえばこのズボン、ゴムが緩んでたっけ」
ボリボリと頭を掻くと、妹の怒声が返ってきた。
『緩んでたっけじゃありません!! さっさと直して下さいみっともない』
「どーでもいいけど、何でアンタの顔、そんな赤いの? 見せてるの私なのに」
何故か敬花の顔の方が真っ赤に染まっていた。さすがに毎日一緒に過ごす妹なので、そ
れが怒りだけでない事はよく分かっている。
『どうでもいいなら指摘しないで下さいっ!! 姉さんのバカッ!! 大体、姉さんこそ
平然としてる場合じゃないじゃないですか。そもそも、部屋から出る前に着替えてくるの
が常識じゃないんですかっ!!』
常識と言うのは、大勢の人が共有して抱く考えだから常識なんであって、これは人それ
ぞれだと思うけどなーとは口が裂けても言わないでおく。そんな事を言えば、敬花が暴走
して大激論を一方的にぶちまけられるので、また朝ごはんを食べ損ねる。
「いいじゃん。家の中なんだし。誰に見られるって訳でもないんだから」
『父さんがいるじゃないですか!! 身内だからって一応男性なんですよ』
それを聞いた私は、ひょいとリビングを覗く。すると、父がソファに浅く腰掛け、テレ
ビとにらめっこしつつ、テーブルに置いた碁盤に碁石を置いていた。
「あ、お父さん。おはよー」
「ああ。おはよう清実。昨日は遅かったのか?」
『後でじゃダメです。今すぐに洗ってください』
何で我が妹はこうも潔癖なんだろう。いつもの事ながら同じ姉妹でこうも違うものかと
首を捻りつつ、仕方無しに妹に背を向けて流しでグラスを洗うと、敬花が驚いた声を上げた。
『ねっ……ねねね……姉さんっ!!』
「どーしたの? 変な声出して」
『どーしたのじゃありませんっ!! その……パジャマのズボン……ずり下がってるじゃ
ないですかっ!!』
「あん?」
確認すると、妹のご指摘どおり、パジャマのズボンが少し下がっていて、パンツのゴム
が見えていた。
「あー……そういえばこのズボン、ゴムが緩んでたっけ」
ボリボリと頭を掻くと、妹の怒声が返ってきた。
『緩んでたっけじゃありません!! さっさと直して下さいみっともない』
「どーでもいいけど、何でアンタの顔、そんな赤いの? 見せてるの私なのに」
何故か敬花の顔の方が真っ赤に染まっていた。さすがに毎日一緒に過ごす妹なので、そ
れが怒りだけでない事はよく分かっている。
『どうでもいいなら指摘しないで下さいっ!! 姉さんのバカッ!! 大体、姉さんこそ
平然としてる場合じゃないじゃないですか。そもそも、部屋から出る前に着替えてくるの
が常識じゃないんですかっ!!』
常識と言うのは、大勢の人が共有して抱く考えだから常識なんであって、これは人それ
ぞれだと思うけどなーとは口が裂けても言わないでおく。そんな事を言えば、敬花が暴走
して大激論を一方的にぶちまけられるので、また朝ごはんを食べ損ねる。
「いいじゃん。家の中なんだし。誰に見られるって訳でもないんだから」
『父さんがいるじゃないですか!! 身内だからって一応男性なんですよ』
それを聞いた私は、ひょいとリビングを覗く。すると、父がソファに浅く腰掛け、テレ
ビとにらめっこしつつ、テーブルに置いた碁盤に碁石を置いていた。
「あ、お父さん。おはよー」
「ああ。おはよう清実。昨日は遅かったのか?」
「うん。連休前で仕事が詰まっちゃってさー。まあ、それでも終電には余裕の時間だった
から前よりマシだけど」
「そうか。まあ、忙しいのは今の時代、いい事かも知れないけど無理はするなよ」
「うん。ありがと」
穏やかに父と会話してると、敬花が怒鳴り込んできた。
『普通にその格好で呑気に挨拶しないでください!! みっともない!!』
「ズボンは直したよ?」
『そういう事じゃなくて!!』
憤慨する敬花をとりあえず無視し、父の方を向いて言った。
「ごめんねお父さん。喧しくして。碁の邪魔じゃなかった?」
『何で私が悪いみたいな言い方になってるんですかっ!!』
背後からまた突っ込まれるけど、気にしない。
「いや。俺は大丈夫だけどな。あんまり敬花を怒らすなよ。頭に血を上らせ過ぎたら大変だからな」
「はーい」
可愛らしく笑って返事をしてから妹の方に振り返ると、そこに鬼がいた。
『信じられません姉さんはっ!! 恥じらいも何もあったものじゃないんですから』
このまま放っておくと、延々とお説教が続きそうだなと思った私は、敬花の最大の弱点
を突付く事にした。
「私は別に恥ずかしくもないし、お父さんも見慣れたもんだと思うから、別に恥らう必要
なんてないと思うんだけどなぁ?」
敬花の隣に腰掛けて、真っ直ぐに顔を見ながら言うと、敬花はちょっと顔を赤らめて背けた。
『相手がどうとか、そういう問題じゃありませんっ!! 姉さんも年頃の女の子なんです
から、少しは気を遣うべきです』
私はそういうのはめんどくさいと思ってしまうのだが。
「そっか。むしろ、敬花が私のこういう格好を見るのが恥ずかしいんだ。そういう事か」
『なななっ……何で私が姉さんのパジャマ姿に興奮しなくちゃいけないんですかっ!!
馬鹿げてますそんなの有り得ませんっ!!』
敬花はこっちに顔を向けようともせず、背筋をビクッと伸ばすと、どもりながら慌てて
答える。その仕草でバレバレなのになあ、と私は苦笑する。
から前よりマシだけど」
「そうか。まあ、忙しいのは今の時代、いい事かも知れないけど無理はするなよ」
「うん。ありがと」
穏やかに父と会話してると、敬花が怒鳴り込んできた。
『普通にその格好で呑気に挨拶しないでください!! みっともない!!』
「ズボンは直したよ?」
『そういう事じゃなくて!!』
憤慨する敬花をとりあえず無視し、父の方を向いて言った。
「ごめんねお父さん。喧しくして。碁の邪魔じゃなかった?」
『何で私が悪いみたいな言い方になってるんですかっ!!』
背後からまた突っ込まれるけど、気にしない。
「いや。俺は大丈夫だけどな。あんまり敬花を怒らすなよ。頭に血を上らせ過ぎたら大変だからな」
「はーい」
可愛らしく笑って返事をしてから妹の方に振り返ると、そこに鬼がいた。
『信じられません姉さんはっ!! 恥じらいも何もあったものじゃないんですから』
このまま放っておくと、延々とお説教が続きそうだなと思った私は、敬花の最大の弱点
を突付く事にした。
「私は別に恥ずかしくもないし、お父さんも見慣れたもんだと思うから、別に恥らう必要
なんてないと思うんだけどなぁ?」
敬花の隣に腰掛けて、真っ直ぐに顔を見ながら言うと、敬花はちょっと顔を赤らめて背けた。
『相手がどうとか、そういう問題じゃありませんっ!! 姉さんも年頃の女の子なんです
から、少しは気を遣うべきです』
私はそういうのはめんどくさいと思ってしまうのだが。
「そっか。むしろ、敬花が私のこういう格好を見るのが恥ずかしいんだ。そういう事か」
『なななっ……何で私が姉さんのパジャマ姿に興奮しなくちゃいけないんですかっ!!
馬鹿げてますそんなの有り得ませんっ!!』
敬花はこっちに顔を向けようともせず、背筋をビクッと伸ばすと、どもりながら慌てて
答える。その仕草でバレバレなのになあ、と私は苦笑する。
「じゃあさ。こんなのはどう?」
わざと私は胸をはだけさせた。咄嗟にこっちを向いた敬花の視界に、ノーブラの私の胸
元が飛び込む。
『キャアッ!! ななな……何わざわざ見せてんですかっ!! ねねね、姉さんの変態、
露出狂っ!!』
顔を背けても耳まで真っ赤なので、敬花が沸騰して湯気が噴出しそうなほど興奮して熱
くなっているのが分かる。
「露出狂って失礼な。女の子同士なのに。ねえ」
パジャマの胸元を直すと、私は立ち上がった。
『おおお……女の子同士だからって……しし……姉妹だからって……限度って物があるじゃ
ないですかっ!!』
うん。だから、世の中の姉妹でも、姉の胸元に興奮する妹はそう多くはないと思うぞと
思いつつ、そんな敬花だからこそ可愛がりたくなるんだよなあと思ってしまう。
「可愛いなあ、敬花は。照れちゃって」
『てて……照れてなんていません!! バカッ!!』
可愛いと言ってバカと返されるなんて理不尽もいい所ではあるが、とにかくこれでパジャ
マについては終わったと安心すると、次に来るのは朝ごはんの問題だった。
「そーいえば敬花。お母さんは?」
返事が無いのでもう一回聞く。
「敬花?」
『ふぁ、ふぁいっ!?』
慌ててこっちを向く敬花。一体何を妄想していたのか、ちくちく苛めながら問い質してやりたい。
「お母さんはどうしたのって聞いたんだけど。いないの?」
すると敬花は、二、三秒呆然とした後で、我に返って言った。
『母さんはいません。お友達と演劇に行って、その後お食事だそうです』
それを聞いた瞬間、腹がクウ、と小さい音を立てて鳴った。裾をはだけ、お腹をポリポ
リと掻きながら、私は自分の朝ごはんをどうしようか考える。
わざと私は胸をはだけさせた。咄嗟にこっちを向いた敬花の視界に、ノーブラの私の胸
元が飛び込む。
『キャアッ!! ななな……何わざわざ見せてんですかっ!! ねねね、姉さんの変態、
露出狂っ!!』
顔を背けても耳まで真っ赤なので、敬花が沸騰して湯気が噴出しそうなほど興奮して熱
くなっているのが分かる。
「露出狂って失礼な。女の子同士なのに。ねえ」
パジャマの胸元を直すと、私は立ち上がった。
『おおお……女の子同士だからって……しし……姉妹だからって……限度って物があるじゃ
ないですかっ!!』
うん。だから、世の中の姉妹でも、姉の胸元に興奮する妹はそう多くはないと思うぞと
思いつつ、そんな敬花だからこそ可愛がりたくなるんだよなあと思ってしまう。
「可愛いなあ、敬花は。照れちゃって」
『てて……照れてなんていません!! バカッ!!』
可愛いと言ってバカと返されるなんて理不尽もいい所ではあるが、とにかくこれでパジャ
マについては終わったと安心すると、次に来るのは朝ごはんの問題だった。
「そーいえば敬花。お母さんは?」
返事が無いのでもう一回聞く。
「敬花?」
『ふぁ、ふぁいっ!?』
慌ててこっちを向く敬花。一体何を妄想していたのか、ちくちく苛めながら問い質してやりたい。
「お母さんはどうしたのって聞いたんだけど。いないの?」
すると敬花は、二、三秒呆然とした後で、我に返って言った。
『母さんはいません。お友達と演劇に行って、その後お食事だそうです』
それを聞いた瞬間、腹がクウ、と小さい音を立てて鳴った。裾をはだけ、お腹をポリポ
リと掻きながら、私は自分の朝ごはんをどうしようか考える。
「てことは、朝ごはんは……敬花。何か作って?」
『お断りです!! あと、お腹を出して掻くのは止めて下さい!! ホントのホントにみっ
ともないですっ!!』
これ以上怒らせるのもなんだし、それに出し続けると冷えるので、大人しくお腹をしま
うと、私は哀願するように敬花を見つめた。
「お腹を空かせた私を飢え死にさせようって言うの? 敬花がそんな冷たい妹だなんて知
らなかった」
『朝食抜いたくらいで飢え死になんてしません。大体、だらしなく寝坊して朝ごはんに間
に合わなかったぐうたらな姉に、何でわざわざ私が朝ごはんの用意なんてしなくちゃいけ
ないんですか。バカバカしい』
バッサリと断ち切るようなにべもない返事だった。
「うーん……やはり胸元くらいで完全篭絡は無理か。かといって、朝からエッチなことも
あれだしな」
『不埒な事を口に出して言わないで下さいっ!!』
「あれ? 聞こえてた?」
『聞こえてた? じゃありませんっ!! わざとのクセに……』
ぶつくさ言いながら、敬花は視線を本に戻す。でもあれは絶対内容は頭に入ってないな
と、私は確信に近い思いを持った。
「仕方が無い。自分で何か作るかぁ。ハムくらいあるかなぁ……」
トーストにチーズとハムでも乗せるかと思って冷蔵庫を開けると、ど真ん中にででん、
とラップに包まれたサンドイッチがあるではないですか。
「ねー? 敬花。このサンドイッチ、何?」
一旦冷蔵庫を閉じて振り向いて妹に聞く。すると敬花はツンと澄ました口調で言い返した。
『私は知りません。そんなの。母さんが作り置きでもしたんじゃないんですか?』
「ああ。そのサンドイッチな。今朝、敬花が――」
『父さんっ!!』
父が何か言おうとするのを遮って叫ぶと、敬花は慌ててリビングに飛び込んだ。
『お断りです!! あと、お腹を出して掻くのは止めて下さい!! ホントのホントにみっ
ともないですっ!!』
これ以上怒らせるのもなんだし、それに出し続けると冷えるので、大人しくお腹をしま
うと、私は哀願するように敬花を見つめた。
「お腹を空かせた私を飢え死にさせようって言うの? 敬花がそんな冷たい妹だなんて知
らなかった」
『朝食抜いたくらいで飢え死になんてしません。大体、だらしなく寝坊して朝ごはんに間
に合わなかったぐうたらな姉に、何でわざわざ私が朝ごはんの用意なんてしなくちゃいけ
ないんですか。バカバカしい』
バッサリと断ち切るようなにべもない返事だった。
「うーん……やはり胸元くらいで完全篭絡は無理か。かといって、朝からエッチなことも
あれだしな」
『不埒な事を口に出して言わないで下さいっ!!』
「あれ? 聞こえてた?」
『聞こえてた? じゃありませんっ!! わざとのクセに……』
ぶつくさ言いながら、敬花は視線を本に戻す。でもあれは絶対内容は頭に入ってないな
と、私は確信に近い思いを持った。
「仕方が無い。自分で何か作るかぁ。ハムくらいあるかなぁ……」
トーストにチーズとハムでも乗せるかと思って冷蔵庫を開けると、ど真ん中にででん、
とラップに包まれたサンドイッチがあるではないですか。
「ねー? 敬花。このサンドイッチ、何?」
一旦冷蔵庫を閉じて振り向いて妹に聞く。すると敬花はツンと澄ました口調で言い返した。
『私は知りません。そんなの。母さんが作り置きでもしたんじゃないんですか?』
「ああ。そのサンドイッチな。今朝、敬花が――」
『父さんっ!!』
父が何か言おうとするのを遮って叫ぶと、敬花は慌ててリビングに飛び込んだ。
――ダメじゃないですか父さん。姉さんにそういう事言わないで下さい……
――姉さんは甘やかすとますますダメ人間になっちゃうんですから……
何だか聞こえないよう小声で話してるつもりらしいんだけど、興奮してちょっとトーン
が上がってるせいで、全部こっちまで筒抜けなんだけど。我が妹よ。
散々父を説教してから、やっと落ち着いた顔で席に戻る敬花に、私は微笑みかけた。
「ありがと。このサンドイッチ、私のために作ってくれたんだ」
一度椅子に座った敬花が慌てて立ち上がる。すると、ガタンッと激しい音がした。どう
やら立ち上がった時に、太ももをテーブルの縁にぶつけたらしい。
『いたっ!! いったああああああ~~~~~~~……』
「ありゃま。大丈夫敬花?」
まさか肉体的ダメージが行くとまでは予想していなかったので、私は慌てて敬花に駆け
寄ると、太ももを擦ってあげようとした。その手を敬花がペッと払う。
『大丈夫じゃないですっ!! 大体姉さんが悪いんです!! 私が姉さんのために作った
とか、変な事言うからっ!!』
涙目の敬花に、私は真顔で聞き返す。
「そうじゃないの?」
『違いますっ!! あれはその……父さんと私のために作った分が余っただけで……それ
を父さんが勝手に勘違いしてただけですから!! 大体なんで私が姉さんの分まで気を遣
わなくちゃいけないのか訳が分かりません』
この期に及んでまだ嘘を吐く妹を、私は感心する思いで見つめた。まあ、余っただなん
て、照れ隠しの常套手段だけどね。
「そっか。余っただけか。残念」
敢えて、ちょっと気落ちしたように言うと、敬花は顔を背け、ぶつくさと独り言のよう
に呟いた。
『で……でもその……姉さんが食べたいって言うなら、別に食べちゃってもいいですよ。
どうせ、ただの余り物ですから……』
「えへへ。ありがと」
笑顔でお礼を言うと、敬花は恥ずかしそうに真っ赤な顔してそっぽを向く。
『別に礼なんていりません。気持ち悪いです』
「嬉しいくせに」
――姉さんは甘やかすとますますダメ人間になっちゃうんですから……
何だか聞こえないよう小声で話してるつもりらしいんだけど、興奮してちょっとトーン
が上がってるせいで、全部こっちまで筒抜けなんだけど。我が妹よ。
散々父を説教してから、やっと落ち着いた顔で席に戻る敬花に、私は微笑みかけた。
「ありがと。このサンドイッチ、私のために作ってくれたんだ」
一度椅子に座った敬花が慌てて立ち上がる。すると、ガタンッと激しい音がした。どう
やら立ち上がった時に、太ももをテーブルの縁にぶつけたらしい。
『いたっ!! いったああああああ~~~~~~~……』
「ありゃま。大丈夫敬花?」
まさか肉体的ダメージが行くとまでは予想していなかったので、私は慌てて敬花に駆け
寄ると、太ももを擦ってあげようとした。その手を敬花がペッと払う。
『大丈夫じゃないですっ!! 大体姉さんが悪いんです!! 私が姉さんのために作った
とか、変な事言うからっ!!』
涙目の敬花に、私は真顔で聞き返す。
「そうじゃないの?」
『違いますっ!! あれはその……父さんと私のために作った分が余っただけで……それ
を父さんが勝手に勘違いしてただけですから!! 大体なんで私が姉さんの分まで気を遣
わなくちゃいけないのか訳が分かりません』
この期に及んでまだ嘘を吐く妹を、私は感心する思いで見つめた。まあ、余っただなん
て、照れ隠しの常套手段だけどね。
「そっか。余っただけか。残念」
敢えて、ちょっと気落ちしたように言うと、敬花は顔を背け、ぶつくさと独り言のよう
に呟いた。
『で……でもその……姉さんが食べたいって言うなら、別に食べちゃってもいいですよ。
どうせ、ただの余り物ですから……』
「えへへ。ありがと」
笑顔でお礼を言うと、敬花は恥ずかしそうに真っ赤な顔してそっぽを向く。
『別に礼なんていりません。気持ち悪いです』
「嬉しいくせに」
『嬉しくなんてないですっ!! 適当な事言わないで下さい!!』
また怒らせてしまった。でもしょうがないじゃない。だって可愛いんだもん。
「じゃあ、食べ物は確保出来たし。お茶淹れるとしますか。敬花は何飲む? 紅茶? コーヒー?」
『い、要りません。姉さんの淹れるお茶なんて、どうせティーバックかインスタントでし
かないんですから』
敬花はキッパリと拒否した。ここで納得すればそれはそれで面白いが、今はサンドイッ
チのお礼もあるし、苛めるのは止めよう。
「じゃあ、お湯沸かし過ぎたら、もったいないから飲む?」
そう聞くと、敬花は頷いて答える。
『ま、まあ沸かし過ぎたら……って何でそんな事前提なんですかっ!! ガスがもったい
ないんですから、適量で沸かして下さいよ。いいですねっ!!』
「はいはい。分かりました」
そう言いつつ、私はこっそりと二人分のカップとティーバッグを用意するのだった。絶
対敬花は飲んでくれるから。だって、こんなの、いつものやり取りだからね。
また怒らせてしまった。でもしょうがないじゃない。だって可愛いんだもん。
「じゃあ、食べ物は確保出来たし。お茶淹れるとしますか。敬花は何飲む? 紅茶? コーヒー?」
『い、要りません。姉さんの淹れるお茶なんて、どうせティーバックかインスタントでし
かないんですから』
敬花はキッパリと拒否した。ここで納得すればそれはそれで面白いが、今はサンドイッ
チのお礼もあるし、苛めるのは止めよう。
「じゃあ、お湯沸かし過ぎたら、もったいないから飲む?」
そう聞くと、敬花は頷いて答える。
『ま、まあ沸かし過ぎたら……って何でそんな事前提なんですかっ!! ガスがもったい
ないんですから、適量で沸かして下さいよ。いいですねっ!!』
「はいはい。分かりました」
そう言いつつ、私はこっそりと二人分のカップとティーバッグを用意するのだった。絶
対敬花は飲んでくれるから。だって、こんなの、いつものやり取りだからね。
終わり
お目汚ししました。
懲りずに何かネタがありましたら、また投下します。
懲りずに何かネタがありましたら、また投下します。
※続きは、2-043