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創作発表板 ロボット物SS総合スレ まとめ@wiki

capter3 「刹那を超えて」 起 

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匿名ユーザー

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 彼女と初めて出会ったのは戦場だった…。
 第七機関統括地域内起こった鋼機武装集団の蜂起事件。
 用意周到に計画されたその蜂起は南にある孤島のリゾートホテルを中心に起こり。
 ありとあらゆる連絡路を断ち、その孤島全ての人間を人質にとった。
 後に言う史竹事件である。
 武装集団は人質をホテルのホールに集め、銃火器をもった銃数名を監視につけていた。 
 その人質の中に私はいた。
 両親は見せしめに殺された私はただ恐怖でそこにうずくまるように座っていた。
 私も両親のようにいずれ殺されてしまうんだ。
 そう思い絶望する私の目の前に一人の老婆が現れた。
 老婆は交渉人として武装集団の要求するものを私に政府からここに送られてきたのだという。
 周りの人はその老婆の姿を見て、失意にくれた。
 枯れ枝のような体躯の老婆。
 それは、機関の武装集団への無抵抗の意思表示にも見えたからだ。
 テロリストたちも同じように思ったのか、弱腰の第七機関を嘲笑していた。
 けれど、それはほんの数秒後に大きな思い違いであった事をこの場にいる誰もが知る事になる。
 ふと外部から鳴る破裂音。
 その大きな音に気を取られた瞬間に老婆は動き出した。
 老婆はその体躯からは想像できないような早さで駆け、数秒でそのホール内にいた武力集団全ての意識を徒手空拳で奪ったのだ。
 最初、私を含む人質たちは何が起こったのかわからずあっけらかんと口を開けていた。
 老婆は「怪我人はいないかい?」と言った後、あたりを見渡す。
 その姿を見て私は、初めて両親が死んだのだという事、自分が助かったのだという事を実感して叫ぶように泣いた。
 老婆は幼い私に近寄りあやすように抱きしめて、 

「怖かったね。大丈夫かい?お嬢ちゃん。お父さんかお母さんはいるかい?」

 そう聞いた。
 私は首を振って、殺されてしまった事を老婆に告げた。
 老婆はそれを聞いて強く抱きしめて

「ごめんね、お嬢ちゃん。お婆ちゃん遅くてさ…。」

 そう自分を責めるように言う。
 確かにそうなのかもしれない。もっと早くこの老婆が来てくれていれば…。
 けれど、そもそも老婆が来てくれなければ私達はこうやって助かったのかすらもわからない。
 だから私に老婆を責める事は出来ない。それは道理ではあったが幼い私はそんなもので割り切れる訳もなく謝る老婆を責めた。
 なんで、なんでもっと早く来てくれなかったの…と弱い力で老婆の胸を叩いた。
 今にして思えば、なんて理不尽な事を言ったのだろうと思う。当時知り得る限りのもっとも早い手段で老婆はこの現場に駆けつけてくれたのだという。
 機関の反対を押し切って彼女は単身この場所に来てくれたのだ。
 けれどそんな事情を知る由もなく私はその時、その感情の洪水をとめる事はできなかった。
 だって、お父さんもお母さんももう戻ってこないのだ。
 ひとしきり老婆はそんな私を抱きしめた後、私の頭をなでて立ち上がった。

「本当はもう少し責められてあげたいけど、時間だ…。」

 武装集団はホールの異常に気づいたのか外で待機していた鋼機でホテルに近づいてきていたのだ。
 そしてそれで私を含む人質達は時点が何も好転してない事を知った。
 機関が手を出せなかったのは鋼機が存在していたからだ。
 つまり、ホールの内部の異常が知れたら鋼機がこちらに来るだけ…。
 おそらくは約束を違えた事により報復行為に出ることは想像に固くなかった。
 人質たちは先ほどと打って代わり老婆をなじった。
 余計な事をしたのだと…テロリストを怒らせただけなのだと…。
 そう糾弾する声を背に老婆は外に歩いて向かう。
 それを見た人々は逃げるのか?と叫んだ。

「あほか、お前らは…あたしゃ戦うって言ってるんだよ。」

 さも、当然のように老婆は言う。
 特別な武装もない老婆。
 確かにテロリスト達を圧倒した武術は圧倒的で彼女が逸脱した実力の持ち主だという事は誰も疑いはしなかった。
 だが、相手は鋼機である。
 全身を鋼で構成された無機物の巨人。
 その甲鉄の前には人間の力で叶うはずもない。
 けれどその老婆は、当たり前のように立ち向い、機銃の掃射を軽やかに回避してコックピットブロックまで駆け上がりハッチを強制解放、その後無力化した。
 私からしてみればそれは信じられない光景だった。
 どうしてそんな事が出来るのだろう…。
 どうやったらあんな風に立ち向かう事が出来るのだろう…。
 そう、私の元に帰ってきた老婆に尋ねた。
 老婆は笑って答える。

「それはね―――」


 その言葉は今でも私の心に深く刻まれている。
 いうなればそれは…呪い――なのかもしれない。




CR ―Code Revegeon― capter3 刹那を超えて―― 起



 シャーリー時峰という人間は、得てして不器用な人間だ。
 裁縫を趣味といいながら、縫ったぬいぐるみは穴だらけだし、たまに料理をして目玉焼きを作ろうとすれば黒焦げにしてしまう。
 一度、部下達をねぎらう為に自宅に招いて炭になった料理を提供した所、「あ、うん。隊長の料理はちょっともうご勘弁願いたいですね…。」と言われてしまったのは苦い思い出だ。
 そんな事いう部下には勿論チョークスリーパーをかけてやったが、その後、一人で残った料理を食べた時の切なさは今も忘れない。
 自分は不器用なのだと自覚がある。
 だからこそ、シャーリーはそこから脱する為の努力を惜しまなかった。
 不器用だからといってずっと不器用であっていい…そんな道理はないと考える。
 だからこそ例え白い目で見られようと毎日努力を惜しまず器用になろうと努力してきた。
 そして、その成果が今目の前にある。 

「あ、あのな・・・。」

 引きつった顔をするのはイーグル総司令官である秋常貞夫だ。
 目の前には盆が置かれており、その上にある何かをみて貞夫は冷や汗を流しているようだ。
 あるのは異形。
 生きた魚の口の中に酢飯を詰め込んだ料理。
 魚がパクパクと口の中にぎゅうぎゅうに詰められた酢飯をこぼしながら尾を上下して皿を叩いている料理。
 ―――――――料理。
 たぶん料理。

「どうした、司令。常日頃からの感謝と思って作ったんだが、気に召さないか?第七機関に伝わる寿司という料理を本を読んでみて再現してみたんだが…。」

 不思議そうにシャーリーは言う。

「司令、少なくともシャーリーは本気で言っていると思います。」

 そう傍らで言ったのは貞夫の副官である琴峰雫だった。

「シャーリー、寿司というのはな酢飯の上に切り身を乗っける料理を言うんだ。」
「それは知っているがな、この魚の目玉にはなんとDHAが豊富に含まれているそうだ。このDHAという成分はな!記憶力判断力を向上し、視力回復、認知症などの対策にもなる非常に体にいい栄養素だ。司令は最近ここのところ休む事なく疲れ気味だろう?だからせめて健康に良い寿司を作れないかと創意工夫してみた。」

 しなくていい!と内心で叫ぶ貞夫。

「なるほど、流石シャーリーさんですね。司令に気遣った心遣い痛み入ります。」
「し、雫くん!!」
「司令、これは食べるべきです。確かに司令は最近非常にお疲れのご様子、こういった差し入れは非常に嬉しい事ではありませんか…。」

 そう笑いを堪えるように体をぷるぷると震わせながら顔を背けて雫は言う。
 その言葉に恨めしそうに雫を見る貞夫。
 それに気づかずシャーリーは褒められた事に笑顔で

「そうだろう?このために鮮魚を仕入れてきたんだ。食べ物は見た目も大事だというからな、結構拘ってみたんだよ!」

 口の中に無造作に酢飯を突っ込まれた魚が口をパクパクしながら貞夫を見つめている。
 この見た目、もはや地獄絵図を彷彿とさせるものではないだろうか?

「さあ、司令食べてくれ。きっとおいしいから!」
「司令、シャリが乾く前に食べないとダメですよ。」

 真剣に美味しいと言われるのを楽しみにしているシャーリー。
 真剣に貞夫が苦しむの見て楽しんでいる雫。
 既に貞夫に逃げ場はない。
 周りでそれを眺めている野次馬たちは笑いをこらえて貞夫を見て反応を楽しんでいる始末だ。
 まずそうだから、食えたものではなさそうだからといった言葉を正直に言うべきなのだろうか?
 違う。
 それではただの凡人だ。仮にもイーグルを預かる司令の身、
 少なくともそこでほくそ笑んでいる副官は置いておいて、シャーリーは自分の事を思ってこの奇形料理を作ってきている。
 彼女のその善意を傷つけずに、これを口に入れない理由を考えなければ…。
 ならば、どうする?
 考えろ。
 人が持つ最大の武器は考える事だ。
 人類の叡智こそが今必要とされる。さあ、吐きだせ己の知識と経験の全てをもって状況を打破する解を導け!
 イーグル総司令秋常貞夫、お前ならば導ける筈だ。その答えを!


「無駄な抵抗してないで、さっさと食えボケ司令。」


 雫は考える貞夫の頬を掴んで強引に口を開けさせて、目玉の部分からツッコミ、その後強引に顎を持ち上げた。

「○※△×○○※※※」

 貞夫は言葉にならない声をあげる。
 口の中に広がるのは魚の骨の感触と目玉のグロテスクな舌触りが奏でるハーモニ。
 何故か感じる唐辛子の風味に、明らかに酢をかけすぎた酢飯のコンチェルト。
 そしてそれを強引に顎を動かさせ咀嚼させる琴峰雫という悪魔。
 味の感想を楽しみそうに待つシャーリー・時峰とその光景に笑いを堪える部下達。

 ―――――地獄だった。
 ―――――ここには人はいない、いるのは畜生だけだ。

 そうして視界から色が褪せていき、貞夫は意識を失った。

「し、司令どうしたのだ?」

 心配そうにかけよるシャーリー。

「なにあまりの美味さに気を失ったのですよ…。」
「そこまでだったのか…色々実験的なことをしてみたので受け入れてもらえるか心配だったのだがな。満足してもらえたようで何よりだ!」

 雫の背で泡を吹いている貞夫を見て満足そうに笑顔を返すシャーリー。
 雫は本気で言っているのだろうか…と疑いながらもその無垢に喜ぶ顔を見て、思い出したように言う。

「そういえばシャーリーあなたに昼ごろに尋ね人がくるそうです。」
「私に?なんで今更私なんだ?」

 そう少し引っかかりのあるようにいうシャーリー。

「14時頃に来るそうで、世界政府からの来客のようであなたに私的に用事があるのだとか…。」
「私に?養母ならともかく私になんの用があるというんだ?先の戦いでの責任を取らされるのかな?」

 シャーリーはそう自嘲気味に言った。
 先の戦いというのはおおよそ1月前に行われたブラックファントム捕獲作戦の事だ。
 ありとあらゆる攻撃を無効化する鋼獣をたった一機で破壊する鋼機『ブラックファントム』。
 それが鋼機の過去のモデルをベースであるという一点を突破口にイーグルが総力かけて行われたブラックファントム捕獲作戦は、
 シャーリー率いるイーグル特殊鋼機部隊αチームによって実行されブラックファントムの無力化にまで成功した。
 しかし、ブラックファントムを無力化したタイミングで鋼獣が強襲。
 結果、シャーリー時峰とあと一人は生き残ったものの、残りの2人は戦死が確認され、もう一人は行方不明となった。
 行方不明になった一名も機体が無残に破壊された後があり、死んでいるという見方が強い。
 結果的には再起動したブラックファントムによって鋼獣は撃破され、シャーリー達は九死に一生を得、その後また機能停止したブラックファントムを捕獲し作戦は成功した。
 しかし、多大な犠牲を払った勝利であり、シャーリー本人はそれを功績とは思わず、その責は自分にあるとシャーリーは考えている。

「それに対しての責は君にはないですよ。シャーリー。あれは仕方がなかった、もし責任を問われるのならば、我々イーグル全体での責だ。君だけが抱え込む必要はないと思います。」

 雫はそう言う。

「そう言ってくれるのは嬉しいがな、こんな使い物にならない私に責を押し付けた方がまだ組織の為だろう。」

 そう自嘲気味に言うシャーリーを見て雫は少し目を細める。

「シャーリー、駄目なんですか?」

 何が駄目なのか?と聞かれているのか、シャーリーはすぐに察し苦笑いする。

「期待している回答は出来ないな。どうしようもない。『雪華』の登録解除申請の認証早くに頼む。」


―2―


「なんだ、君だったのか…政府からの来訪者と言われていたから少々身構えていたんだがね。」
「はい、お久しぶりです。シャーリー隊長。」


 午後2時過ぎ、窓から日差しが注ぎ込まれるイーグル本部待合室にて、シャーリーを迎えたのは一人の青年だった。
 青年の背は180cmほどの大柄で、スーツの上からもわかる筋肉質な肉体をしている。
 シャーリーは青年のあいさつに少し呆れ気味に

「もう君は私の部下ではないだろう?世界政府直属機関『CMBU』S-22テストパイロット秋常譲二殿。」
「やめてください名前だけの肩書きですよ。僕が入った段階でほとんどプランは固まっていましたし、もう完成といっていい形でした。」

 秋常譲二、元鋼機特務部隊α所属の鋼機操縦者、つまりはシャーリーの部下だった男だ。
 イーグル総司令『秋常貞夫』の実の息子でもある。スーツ姿で胸には円の中に十字が入ったバッジが付けられている。これ即ち世界政府直属の組織に従属している者を意味するものだ。
 譲二は今、第六機関の統括者セレーネ・リア・ファルシルに鋼獣と単騎で戦ったという戦歴を元に推薦され政府直属組織である『鋼獣対策ユニット(Counter Metal Beast Unit)』略称CMBUに所属になっている。

「体は大丈夫か?」
「はい、中々に堪える訓練ですがやっていけてます。」
「そうか…譲二、君のいる組織はある意味人類の未来を担う場所だ。プランS-22その是非が我々があのアンノウン、いや今は鋼獣だったな、その戦いにおいて人類の存亡がかかっていると言っても過言じゃない。」

 事実として、現状世界各地で行われる鋼獣と呼称される獣型の機械兵器には現行の最新鋭の鋼機S-21アインツヴァインではまるで歯が立たない。
 破壊された鋼獣の解析が進み、対策が講じられているがそのスペック差は未だに圧倒的で戦況は大きく不利な状況にあった。
 現状まともに対抗できているのはブラックファントムと呼ばれる正体不明の鋼機のみである。
 世界政府は事態の解決の為、CMBUを設立。そこで対鋼機ではなく、対鋼獣を想定した兵装、機体の開発、対鋼獣を想定した部隊を作った。
 秋常譲二は今、そのCMBUに転属となっている。

「正直、荷が重いです。自分なんて大した事がない人間ですし…。」
「謙遜するな、君は能力だけならゲンジや蓮も認めていた。あとはそのちょっと短慮な所とネガティブな所をだな――」
「自分の事はいいんです。それよりも隊長、自分がここに来たのはAMB兵装の受け渡しともう1つ隊長に聞きたい事があったからです!」
「だからもう、隊長ではないのだがな…。」

 そう言ってシャーリーは苦笑して、

「それで譲二、なんだ?」

 譲二は少し迷った後、意を決して

「隊長はイーグルを辞任するというのは本当の事なんですか?」

 シャーリーは少し困ったような顔でまっすぐに見つめる譲二から目を背けるようにして

「本当だ…。」

 そう静かに答えた。

「なんでですか!今のあなたはイーグルにそして何よりも人類にも必要な筈です!人の守護の為、戦ってきたあなたがなんでこの窮地に!」

 譲二は興奮して問い詰める。譲二からすればそれは信じられないし納得のいかない話だった。
 その様にシャーリーは少し呆れたようにして…

「まったくお前はそんな事を聞きにはるばる海をこえてきたのか…。」
「そんなって、そんなで済まされるような話じゃ!これじゃ何のために雪華が…。」
「まあ、落ち着け。まあ、そんなに私の事を高く評価してもらえてるのはありがたいがな、私の変わりなんてそこらにいるだろう。」
「そんな…あなた程の人なんて…。」
「大体な、私は非常時に仲間を見捨てられない欠陥品だぞ?」
「だからこそです。だからこそあなたに皆ついていったんです。あなたを尊敬し、あなたとともに戦う事を誉れと思って戦ったんです!こんな窮地だからこそあなたのような人が必要なんですよ。」
「高く買ってくれるのは嬉しいがな、私はそんな大した人間じゃないよ。だって、この組織にだっているじゃないか…私より凄い奴が…」
「それは…副司令の事を言っているんですか?」

 シャーリーは少し困ったように笑った後、

「それだけじゃないさ、例えば久良真由里殿とかな。」
「あのドSですか。あれは技量は確かにありますが性格に問題が…。」
「口が過ぎるぞ…と言いたいがもう君はもう外部の人間か…。」
「大体彼女率いるγ部隊は死人の排出率が一番高いじゃないですか…。作戦行動に移す内に死者が出る確率が6割を超えているなんて―――」
「そうでもないさ、彼女は最小限の犠牲で必ず最大限の成果を残す。そういう意味では割り切りが私より上手いだけだよ。だから結果が求められる仕事は私より彼女の方に任せられる事もあった。」
「ですがあの人のやり方は!」
「私の後任、鋼機部隊の総括隊長は彼女が担当する事を検討されているそうだ。」
「そんな――――」

 言葉を失う譲二。

「まあ、それはもう関係ない事だ。『雪華』もせっかくで悪いけれど登録認証の解除を申請した。登録認証の解除は機密が絡んでいるせいで少々複雑らしくてな1周間ぐらいかかるらしい。まあ、それが終わったら本格的にお役御免という所だよ。」

 そう淡々と言うシャーリー。
 その姿に譲二は納得がいかなかった。
 それは自分が知るシャーリー・時峰という人間と似て非なるものいいをする人間だった。
 だからこの人を誰もが尊敬し、敬愛していた…。
 譲二の口からその思いが自然と漏れる。

「なんで…なんで戦う事をやめるんですか…。あなたは、そんな諦めがいい人じゃない筈だ。確かにあの戦いで蓮さんもゲンジさんも死にました。それにあなたが責任を感じてショックを受けているのもわかります。けれど!あなたはそれで責任を取るなどという逃げ道を取る人じゃなかった筈だ。ならばこそ、その人達の死を無駄にしない為に戦う。そういう人だった筈だ!」

 少なくとも秋常譲二の知るシャーリー・時峰は誰よりもその死を重く受け止める人間だった。
 彼女は病的に仲間を助けようとする。けれど、それでも守りきれなかった事があった。
 特にアンノウン出現、現在でいうところの鋼機が出現してからというもののブラックファントム捕獲作戦前の作戦にて既に3名の死者がα部隊がから出ている。
 彼女はその死を重く受け止めた上で墓前で言い誓った、彼らの死が無駄ではなかったと、そう示すために戦うと…。
 その言葉にα部隊に所属する人間はどれほど力を与えられたか…どれだけ命をかける覚悟を決めることが出来たかと…。
 彼女の為に戦えばそれは必ず人類の為になるのだと、そう信じて戦ってきた。
 その彼女が戦う事をやめる。そんなものを譲二は容認する事ができなかった。
 それでは彼らが命を賭けた意味がなくなってしまう。

「言いたいことはわかるがな…もう無理なんだ。」
「なんでですか…あなたは諦めてはいけないんだ。あれぐらいの事で…無念じゃないんですか!」

 そう呻くようにいう譲二を背にシャーリーは少し天井を見つめた。
 そして静かに…。

「無念だよ。」

 それはシャーリーの心の底からの吐露だった。

「じゃあ、なんで―――」
「前回の戦いの後、雪華がイーグルに届けられてな。私はその機体を任される事になった。1週間前だ。機体の微調整も含めて私は療養後初めて『雪華』に乗ったよ。そうしたらな、倒れた。」
「え、それは機体に不全とかそういう?」
「いや、違う。私の問題だ。私はあの日、鋼機の操縦席に座ると同時に酷い動悸に襲われてな、視界は明滅した後、真っ白に染まった。そのまま意識を失って気づいたらベットの上だ。はは、鋼機に乗っただけで気絶したんだぞ…この私が…。鋼機の操縦席には私の吐瀉物があたりに撒き散らされていたらしいよ。まったく、我ながら情けない。」
「それって…。」

 譲二は理解する。
 何故シャーリーがこんならしくない行動を取ろうとしているのか…その真実を――

「私はもう鋼機に乗ることすら出来ないんだよ、譲二。もう心と体がついてきてくれないんだ。」

 天井を見上げながら悔しげにシャーリーは告げた。




 to be continued 『承』

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