創作発表板 ロボット物SS総合スレ まとめ@wiki内検索 / 「馬鹿がサンタでやってきた」で検索した結果

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  • 馬鹿がサンタでやってきた
     ――12月24日、幽霊屋敷、個室内にて。  シンヤ・クロミネは寝間着に着替え、既にベッドに潜り込んでいた。  今日も1日、何事もなく過ごすことができた。  日々の暮らしに終われていた彼には、既に日付の感覚は無くなっていた。  だから彼は気づかずに眠りに落ちてしまった。今日はクリスマスイヴだということを……  シンヤは目を覚ました。  枕元の時計を見ると、午前0時。真夜中だ。  どうしてこんな時間に目が覚めてしまったのだろうか。眠りが浅かったのだろうか。  シンヤは考えるのを早々に止め、大きなあくびをして、再び眠ろうと寝返りをうつ。  視界の端に何かが映った。  それは赤い大きなものだった。  あんなもの、部屋にあっただろうか。疑問に思って体を起こす。  リモコンで部屋の電気を点けてその正体を確認して、シンヤはあきれてため息をついた。 「……なにやってんで...
  • グラウンド・ゼロ
    ...クリスマス一発ネタ「馬鹿がサンタでやってきた」 グラゼロ資料庫 1年後の世界へ
  • 第二話「やってきた悪魔」
    機動修羅:バイラム    第二話「やってきた悪魔」  パンツァーモービル、別名、統合戦闘機動兵器。  初めて開発に着手されたのはおおよそ三十年ほど前、コンセプトは『どんな場所でも戦闘を続行できる機動 戦闘兵器』であった。  そのため様々な形のパンツァーモービルが開発された。虫型、動物型、車型など。しかしどの形も構造上に 欠点を抱えていた為、出来ては消え、作られては廃棄されるという末路を迎えるのだった。  そして様々な過程を得てパンツァーモービルは人型、という形で決着が付いた。  『なぜ人型か』という疑問をあげるものも多いがパンツァーモービルの優位点である『器用さ』を確立した のは他ならぬ人の手足なのだ。  だがパンツァーモービルには弱点があった。それは"器用貧乏"であったことだったのだ。  空は航空機に劣り、陸では戦車に劣る、さらに海では潜水艦や巡...
  • 八百万(やおよろず)のクリスマス
     ――――12月24日、クリスマスイヴ。  パーティーに、プレゼントに、デートに……大多数の人にとって、ある意味クリスマスよりも大事な日だ。  そして、ここ“やおよろず荘”にも、大多数に含まれる人々がいた―――― ロボスレ学園 八百万のクリスマス。  冷たい風の侵入を許さないアーケードの商店街、ごった返す人の群れの中、並んで歩く影二つ。 「今日はクリスマスイヴだね、リヒター」  中性的な顔とすらりとした長い手足に黒スーツのリヒター・ペネトレイターに、セーラー服姿の三つ編みの少女、一条 遥が話し掛けた。 「クリスマス・イヴ、ですか?」  きょとんとした顔で首を傾げるリヒター。どうでもいいが、リヒターは本来男性のはず……なのだが、人間の姿になると何故かこうなってしまうのだ。ついてるかついてないかは確かめていない。だってついてたらリヒターを見る目が...
  • 「ヒューマン・バトロイド」クリスマス
    「で、アンタは何者だ?こんな所まで潜入してきて、何が目的だ?」 南太平洋中立国家群防衛隊詰所にて、リクは裏口から侵入しようとしていた不審者を拘束していた。 「それにしても……派手だな。そんなどぎつい赤い服で侵入とは……」 侵入者は赤い服を着た老人だった。 「いや……ワシはプレゼントを届けに来ただけ――」 「配達員がわざわざバレないようにこっそりと裏口から来る訳あるか」 老人はリクの前で正座させられて項垂れている。 「本当にプレゼントを届けに来ただけじゃ!ワシはサンタクロースなんじゃ!」 「サンタクロース?何だそれ?」 リクは首をかしげる。 今まで生きてきた中でサンタクロースという単語をリクは聞いた事が無かったからだ。 それはリクが戦場か研究所という閉鎖された環境でしか生活した事がないせいだった。 「サンタクロースを、知らんのか?」 「とりあえず、真夏の熱帯夜に現れ...
  • 地球防衛戦線ダイガスト クリスマス小ネタ
    クリスマス一発ネタ 鷹介「サンタでもサタンでもいい、俺にカブトムシに勝る知名度をーーーーーー!!」  透 「うるさいよ鷹くん、レポートの邪魔。調べ物の内容を口に出して読み上げちゃうよ?」 鷹介「おいばかやめろ、お前のレポートって (口に出すのも汚らわしい宇宙的な何か) だろうが!」  透 「サタンじゃないけど魔王みたいなもんだよ~。     それに、こうやって話に関係の無いところで自己主張しておく事が知名度につながるんだよ。     というわけで、れっつ、     いあ いあ はすたぁ はすたぁ くふあやく ぶるぐとむ ぶるぐとらぐるん ぶるぐとむ あい あい はすたぁ」 鷹介「なんか正気度が削られてゆく気配がぁーーーーーーー」 モンタルチーノ    「さぁて、地域活性化のためにクリスマスプレゼントで商品券をばら撒くかい。     真っ赤なお鼻の宇宙トナ...
  • とあるツッコミ体質の男の受難
     文学だの芸術だの音楽だの……とにかく、そういった「作品」と呼ばれるものには、テーマというものがある。 ま、つまり、「それを通じて一番伝えたいこと」のことだ。 で、SSにおいてもそれは同じだと思う。 それでこのSSはどうなんだ、このSSのテーマ、つまり「一番伝えたいこと」はなんなんだと言われると…… 「道を歩いていたら、向こうから走ってきた車に乗っていた男に  『すみません、実はこの近くにあるっていう病院に友人が運ばれたって聞いたんですが、   この辺りは初めてなんで、道がわからないんです!   申し訳ないんですが、一緒に乗って案内してくれませんか!?』  と言われたからってつい同情して車に乗っちゃいけません」 ということだと思う。  少なくとも俺はそう断言する。  で、ここはなんかウスラデカい「研究所だか工場だかっぽ...
  • Holy ghost ?
    今日は聖夜、もとい性夜だ。しねリア充共。まぁ良い。俺は腹に溜まっている今日へのルサンチマンを紛らわす為、ここ、学生食堂にやって来たのだ。 早速お気に入りの月見うどんを啜っていると、クマさんと呼ばれる程の大きな腹とオタ必須アイテムな黒ブチ眼鏡が特徴の森田が話しかけてきた。 「よぉたけちゃん。最近どう?」 「元気だ。駅前のリア充をツリーに吊るしてやりたい」 「相変わらず元気だね。そうそう、知ってる? 最近聞いた噂なんだけどさ」 「フェリットフェアリーがさ、人がいない方向を指さしたりするんだって。まるでそこに人がいるみたいに」 俺は森田のその言葉を一笑した。つまりそれは幽霊を見たって事だよな。ははっ!(某ネズミーランドの黒ネズミ的な声で ありえない。そんな現象は絶対にあり得ない。モニターの中の嫁が朝起きると現実で朝食を作っているくらいあり得ない どちらかというと、俺は...
  • 血のバレンタイン
    ――――2月14日、バレンタインデー。  これもまたクリスマスと同様、大多数の人にとって……何より恋する乙女にとって、とても大事な日だ。  そして、ここ“ロボスレ学園”にも――――  ロボスレ学園 血のバレンタイン  2月13日(土)、バレンタイン前日、3年B組、帰りのホームルームにて。  授業という戦いに耐えた学生という名の戦士達が、戦いの終わりを謳歌し、明日のバレンタインへ向けて戦力を整えようと闘志を燃やしている、その時だった。 「おいおまえら、席につけ」  金髪ポニテの、ジャージ姿の女性教諭が教室に入ってきた。担任の玉藻・ヴァルパインだ。  何人かは注意に従ってちゃんと着席したのだが、一部のやんちゃな生徒達は未だ騒がしいままだ。 「Shut Up!! 口でクソ垂れてないで着席しろ糞餓鬼共! おまえら一応受験生だろうが! 態度不可にさ...
  • CR断章 藍ちゃん頑張る!! バレンタイン編
    CR断章 藍ちゃん頑張る!! バレンタイン編 ―注意書き?―  時系列的にはCR2章終了後辺りのお話です  というわけで未来のお話です、軽く先の展開のネタバレ含んでますのでそんなもん嫌だって人は読まないようにしてください。  でも、これを踏まえて2章読んでもらえると面白いかもしれません。  とある日の正午。  寒空を見上げて、琴峰藍は憂鬱になっていた。  最近、いつにも増して、自分の主である黒峰潤也が自分に対して厳しいのだ。  あること無いこと難癖付けて、お前は駄目だのなんだのと藍の失敗を咎めてくるようになった。  なんで、こんな事になったのか…藍には原因はわかっていた。  おそらくはイーグル本部でやったアレが問題なのだ。  でもなぁ…と藍は思う。  あの急場であれ以外の方法は思いつかなかったし、実際はアレをやったから迅速に...
  • 第一話「男の名はビル・カー」
    第一話「男の名はビル・カー」 ――ロボット。 この言葉は手元の辞書によると「人造人間」が主たる意味らしい。 どこぞのお偉いさんの劇で出てきた労働機械が元なんだとかなんとか。 「白々しい」 神様が自分に似せて人間を作り、人間が自分に似せて機械を造った。ロボットはつまり神の劣化コピーってことだ。人間と大差ない。 寧ろ、浪漫だとか愛だとか、理解不能で暑苦しいだけのシロモノに頼らない俺の方が、よっぽどロボットらしい。 だから、思いきって人形を創った。動力はテキトーにそこら辺で手に入る、「他人の感情」だ。 知る限りのありったけを施して、感情を燃料にしてやった。 そしてコイツは「他人に見られる限り」活動できる人形になった。 神は人から崇められることに生命がある。 コイツは人から見られることに生命がある。 ほら、大差ない。 ロボットもどきが人間のフリをして、神もどきの人形を創...
  • ロボスレエルドラン・第一話A
     流星が流れた次の日、日本にある草咲市。  路地裏で低学年の少年が高学年と思われる少年たち三人に囲まれていた。  三人の少年達の特徴を一言で表すなら、デッパ、ハナデカ、そしてゴリラである。 「よう、良いカード持ってるじゃねぇか」 「ギルドライバーA6なんて滅多にでないでヤンス!」 「ぐふふふふ、なんだな!」  お決まりの言葉を言いながら少年達は顔を近づける。 「見せてくれよ、レアカードなんて珍しいからなぁ」 「あっ」  ゴリラがひったくるように男の子のカードを取る。 「なかなか良いカードじゃねぇか」 「か、返して!」 「やーだよ!」  少年は手を伸ばす。しかし、体格差と多勢なせいか完全に翻弄されてしまっていた。 「待ちなさい!」 「うん?」  三人が振り向くとそこには一人の少女が居た。  少女の髪を三つ編みにしており、緑のトレーナーと赤いスカートを穿いてい...
  • おまけ 「起きたらとんでもない事になってた」
     『Diver s shell』  おまけ 「起きたらとんでもない事になってた」  朝起きたら。  とんでもないことになってた。  「…………………バカな」  ユトはそう呟くと、洗面所の鏡の前で戦慄して滝のように汗を流し始めた。  朝起きた時に感じた違和感を詮索することなくとりあえず洗面所で顔を洗ったのだ。そこで、とんでもない現象というか、物体というか、マテリアというか、肉体ィというか、兎に角目撃してしまった。みちゃった。  まず、顔だ。  ユトの記憶の中の顔は余り男っぽくない。自覚している。だが今鏡に映っているのは、女性なのだ。童顔に、眠そうながら優しげな目つき。唇は血色がよくふにふにとしていそうで形がいい。  髪も違う。  金髪を適当な長さに切っていたはずが、いつの間にか肩まで伸びて優雅な光を放っている。猫のように細く柔らかい。  体も違った。...
  • 「Seirenes」 エピローグ
    エピローグ 強い日差しが照りつけ、静かな波の音が耳を心地よくうつ。 もう数週間は経過したというのに、屋上や外壁に残る戦いの傷跡がサルベージされ蘇生されてわずか数日の間に起こった 様々なことを今も強く思い出させてくれる。 相棒、お前はどんな気持ちで、俺の居ないその後の人生を送っていたんだ? 何もかもが海の底に沈み、生き延びた人々が作った新生日本やその中核となった海上自衛隊、我が古巣も消え去った時代に 浦島太郎状態で放り出されて、残ったのは相棒の生きていた残滓と、かつての愛機だけ。 いや、この海上油田基地も、相棒の遺したものなんだろうな。 この基地を最初に作った人間たちの中に相棒はいた。 そして彼らの孫や娘である、少女たち。 その中の一人に、俺は相棒の面影を見つけ出していた。 本人は自分の髪の色にまつわる来歴の不明さに、気にしてないといいつつもどこかコンプレックスの...
  • 「robotBusters!」前編
                               ロボスレ学園 PRESENTS                         ※パラレルです      ……眩しい。窓から入り込む無遠慮な太陽の光が、静かに忍び寄ってきては、まだ眠っていたい俺を起こそうとする。 だけど俺はそう易々と、太陽には屈しない。さっきよりも目を強く閉じて、光が忍びこんでくるのを防ぎながら心地の良い闇の中に身を委ねる。 と、ギラついていく太陽と同時にドカドカと元気良く、階段を昇って来る音が遠く聞こえてくる。奴だ……。俺が起きないから起こしに来たな……。 俺は更に耳を塞いで辛い現実を遮断する様に心地の良い闇――――その名もベッドに丸まって、なるたけ無心になって眠り続ける。 階段を昇ってきた奴はノックもせず豪快に、俺の部屋のドアをばぁ―ん! と口で効果音を言いながら開...
  • 機甲聖騎士ザイフリード:リファイン 第一話
    【ブルクィネス王国/エウリューデ領】  草木の枯れた、枯渇した大地が広がるブルクィネス王国西部。  砂と岩石に塗れたそこには、大きく突き立つ岩山が並んでいる。  その一つ。中が巨大な洞窟となっている場所にて。 「これは、世紀の大発見ってことかしらね……?」  表情を変えず、しかし嬉しさをその声に滲ませながら、紅のローブを身に纏った少女が言葉を漏らした。  少女の歳はさほど高くなく、18から19といったところであろうか。  身体の発育も歳相応の良さを見せ、ローブの下からその双丘が存在感を露にしていた。  出るところは出ているといった理想的な体形であったが、惜しむらくはその飾り気のなさだろう。  その齢ほどの女子と比べ、彼女は明らかに他人の目を気にしてはいない風体であった。  本来手入れを怠らなければ美しいはずの赤みがかった金髪も土と埃に塗れてくす...
  • 3-舞台設定
    シャドウミラージュ第三話 舞台裏設定集  ここでは第三話に出てきた用語や設定、三話のみに登場するものとかを説明していきます。  バレが入ってるので3話読了後に読むのがオススメです。  あとどう見てもネタなのは鵜呑みしないように、嘘はついてないけれど…。 【イアナーラ】  イングラ王国領土の南部に存在していた貿易都市のひとつ。  現在は閉鎖されているが、かつては地下列車を使い、イングラ各地に資源や商品を送っていた。  その為、商人達が集まり、ひときわ裕福な街だったが、クロロスペッツゥナに妖魔が救い始めた為、対抗する術もなく滅んだ(当時は第一次型の鋼機が主流) 【クロロスペッツゥナ】  山脈の名称である。  山頂まで森林がおいしげっているため、別名『妖魔の森』『深淵の森』とされる。  イングラで数少ないディールダインが採掘される場所。  その深部に...
  • Episode 8.5-A:まずはお互いを理解するところから始めましょう 前篇
     ――――入社試験から数時間。ハプニングに巻き込まれまくった遥は、案内された部屋で、 「くかー」  爆睡、していた―――― パラベラム! Episode 8.5 まずはお互いを理解するところから始めましょう □Chapter 01 一条 遥~人は私を「リスト・ロックの伝道士」と呼ぶ~  そんな遥の部屋の前を一人の男が通り掛かった。リヒト・エンフィールドだ。 「お嬢さーん、そろそろ歓迎パーチーが……って、扉開いとるがな」  部屋の中をチラリと覗く。どうやら噂の遥お嬢様は睡眠中のようだ。  これはチャンスだとばかりにリヒト、部屋の中へ潜入。  どうやら相当疲れていたらしく、着替えもせずに寝入ってしまったようだ。一向に起きる気配はない。 「……んー」  ベッドの上でごろりごろりと寝返りをうつ遥。服がはだけてアレやコレやが見えそうだが、もちろん寝て...
  • Episode 08:『なんでも屋“やおよろず”へようこそ!』(発動篇)
    <やれやれ……おい、これは一体どういう事だ、貴様>  元々冷めているせいか、液体窒素をぶちまけられたみたいに冷凍された場の空気に影響される事の無いたまが苛立ちを通り越して呆れた声で問うた。バンカーバスターよろしく鋭く重い言葉がリヒトめがけて―――― 「ヘーシェンのボディは大破、連絡は無し、その上見知らぬ女の子とオートマタを連れて帰還、か……。何があったんだい? 事と次第によっては流石の僕も容赦はできないよ」 「連れて来たのが小さい女の子……さすがリヒト、ロリコンなだけはあるね」 「私達の知らないところでどんなラッヴロマンスがあったんですか!」 「らっぶろまんすがあったんですか!?」  ――――殺到する。まさに一斉射撃だ。  突然姦しくなった“やおよろず”の面々に、遥とリヒターは顔を見合わせた。 「……ひょっとして私達、歓迎されてない?」 <……そのようです>  まあ、さ...
  • <the Pinocchio Girl> 後
    ……ちょっと待って。何でダルマなの? というかクリスタルなのは謝罪のつもり? もう一回言うけど、何でダルマなの? そういう疑問がふつふつと沸いてきて口に出そうになるけど、マキがクリスタルのだるまってのも面白いだろ? と私に言ってきた。 しかもあの、ユキハラさんと話している時の嬉しそうな笑顔で。私が仏頂面のままポカンとしていると、ユキハラさんは言った。 「その……マキさんから聞いたんですけど、ティマさん、日本の物とかに興味があるんですよね?  それで工芸品でも面白い物、インパクトが強い物が良いんじゃないかなって話になって。で、お店でクリスタルのが……」 ユキハラさんの説明を聞いている時の、私の顔は、とっても、冷たいと思う。 というかマキ、あの彫像って私達の大切な思い出だよね。それがダルマになってても、何とも思わないんだ。ふーん。 「あの……ティマさん……」 ...
  • ~第一話~
    かつて『世界』は、金属でできた丸い卵であったと伝え聞く。 卵から孵化して飛び立った『世界』は、何よりも眩く輝く炎を心臓に、中に浮かぶ岩を喰らいながら 成長を続け、果てなき旅を続けているのだそうだ。  我が故郷に伝わる御伽話の類だが、学者である私からすれば何とも荒唐無稽で馬鹿馬鹿しい。 「孵化して飛び立つ」というのは鳥や虫に多くみられる生態であるが……虫は全ての種類が大きく ても1ゼクマ以上にはならず、鳥であっても最大級のもので4ゼクマを越すものはない。  その程度のサイズに、私が今歩いている8ゼクマ四方の幅と少なく見積もっても50000ゼクマは あろう通路が収まる訳が無い。こんな与太を真面目に信じるのは、無知な輩か頭の固い神官ども だけだろう。  とはいえ、『世界』が成長を続けているという話は嘘ではないようだ。故郷を一人で旅立ち広域 調査を初めて約1000周期、その間に私は、大規模変動の...
  • ザ・シスターズ 第二話
    母さん、お久しぶりです。俺の事を覚えていますか? 長期旅行満喫中で俺の事なんて頭の片隅にもいないだろうけれど、俺です、大野啓介です。 あなたのお腹の中から生まれた子供です。こうやって言うとオレオレ詐欺みたいですね。 ここ最近、嫌な夢ばかりを見ます。 昔よく話したあの夢の話ではありません。 テスト前日の一夜漬けをしていたら、いきなり、妹を名乗るミナという女性アンドロイドがテスト前にダンボール箱に入ってやってきて、涙目になって俺の脳天にベアナックルかましていったのです。 おかげで俺はテストでまったくいい点を取れずに単位を落としてしまう羽目になってしまいました。 酷い悪夢です。 しかもその後、勝手に居座ると言い張って、この家から出て行こうとしません。 親父公認らしいので、法的にも追い出すのは無理みたいです。 本当に酷い悪夢です。 まったくもって、本当に… 「お兄ちゃん、何...
  • スーパーロボスレ大戦SS 第15話~開始時インターミッション~
     スーパーロボスレ大戦SS  第15話~開始時インターミッション~  場面  ・敵性異界存在(The hostile another being)対策機関『イージス』を構成する組織の一つ、日本国守護機関『御劔』関東支部・横須賀基地。  つるぎ級航空戦闘母艦参番艦『とつか』が納められたドックに隣接する巨大格納庫。  その中には、小は人間サイズから大は50メートル級まで、様々な形式のロボットが格納され、作業服や白衣、あるいは黒ローブや狩衣姿の作業員達がメンテナンスやオーバーホールを行っている。  そんな光景の中、二本の角を持つ白い機体を整備する、作業服姿の女性が二人。  波打つ青黒い長髪をアップに纏めた女性が、肩部分の解放された装甲板の隙間に突っ込んでいた顔を上げ、分解され、台座に固定された機体の前腕部を弄っている女性に声をかける。  「肩の方はこれで終わり~。...
  • 「ヒューマン・バトロイド」 第3話
    [―――というわけだ。君には准尉待遇で軍に協力してもらう] 「ちょっと待って下さい!それはさすがに――」 「・・・わかりました」 通信でそう言い放った中将にハーミストが抗議するがその抗議を遮ってリクは軍に入隊する事を受け入れた。 リクが自分の目的――復讐の為に軍を利用する為だった。 [リク・ゼノラス准尉、リキ・ガンツ軍曹、今日付けで多目的艦スタークのパイロットとしてハ―ミスト・レイン准将の指揮下に入ってもらう。 君たち以外の志願兵は一等兵待遇だ。期待している] カラフト基地の開放、それも黒揚羽から。それはすぐに軍上層部に伝わってしまった。 それだけ衝撃的かつ重要な情報だった。 その戦闘でかなりの活躍を見せたリクとリキはすぐに中将に通信で軍入隊を強制された。 「それにしても、いきなり准尉とはね、ゼノラス准尉どの」 「茶化さないでよ。お前もすごいじゃないか軍曹だろ?」 ...
  • <蒼色花火>
    彼女には悪い事をしていると思いながら、私は彼女が間違った知識を披露する事を楽しんでいる。後でミスだと分かった時の彼女のリアクションが可愛くて仕方がない。 とはいえ、別に彼女を馬鹿にしている訳ではもちろん無い。ちゃんとその後、何が間違っているのか教える事で、彼女が同じミスを二度としない様と記憶させる為だ。 彼女の成長には成功と失敗、その二つが必要不可欠だ。彼女は失敗を知り、その失敗を乗り越える事で人間に近づく。失敗しない人間など、この世にいないのだから。 と、しょうもない自己擁護をしながら自宅に到着する。行く時と同じ様にエスコート的な感じでドアを開け、彼女を家に通す。 彼女が浴衣が映える様に、髪の毛を少し整えてくると洗面台に向かう。次は着付けを間違えちゃ駄目だよと言うと、彼女が大きなお世話だという感じで大きく舌を出した。 やはり弧島に旅行に行ってから彼女の成長スピードが...
  • そんな夜 前編
     初冬とは言うもののそれも終わる頃、寒い毎日が続いている。  夏は相当な暑さであったが、それに続くラニーニャ現象なるものの仕業によってそのまま暖冬とはいかないようである。 「おほっあたたかひ」  そんな時節の折、かかせないのが暖房器具。  夏の件に加えて補助金うんぬん、世間ではエアコンが馬鹿売れらしいが、こちらも捨てがたい。  こたつ。  熱を、ひいては人をも捕らえて逃さない魔性のアイテムである。  ここに居る男も然り。猫背がカーペットの上を滑り、みるみるうちに身体の7割が飲み込まれていった。 「ドクター、その姿勢絶対寝ますよ」  ずびずびと音を立て茶をすするのはもう一人の捕縛者。  とはいえその佇まい見るに、男と違い心まで囚われてはいないようである。 「望む所だグッナイベイベー!」 「まだ仕事残してるでしょ、年内に終わりませんよ……あ痛!」 「ヴィー...
  • 第五話
    火星に到着したシャウル=アイスマン率いる月駐留艦隊は、何とか生き残っていると思われる火星表面の基地と連絡を取ろうとしていた。  しかし、それに応えるものはほんの僅かで、ほとんどがすでにディオニュソスによって破壊、殲滅されているものと推測できた。 「……一体何が起こっているのだ……」  シャウルはひとりごちる。無理もない。まったく状況が掴めずに、ただ部隊が全滅したと聞かされれば、だ。  現地の部隊でも、情報が錯綜していてまったく現状が分からないという有様なのだ。  とりあえずは生き残りの部隊を集結させる事にする。その後で、反撃なり何なりを検討する必要があるだろう。  戦力に不安はない。どんな相手だろうと、この艦隊ならば叩き潰せるはずだと。 「提督、右側面より接近するものあり! 機数十。戦艦クラスです!」 「総員迎撃準備。我が艦隊の力を思い知らせてやれ」  旗艦プロメテウスを含む、二十五隻の艦...
  • 超機動ギルライバーA6
     う~遅刻遅刻~! 今学校に向かい韋駄天で駆け抜ける俺は、不動幸久16歳。 朝食のフランスパンを貪りながらショートカットの路地裏を華麗に行くぞ! 「あ、危ない!」 曲がり角に差し掛かる直前、その声に気付いたときにはもう手遅れだった。 全力で突っ走っていたため、角から現れた"何か"に激しくぶつかり尻餅をついてしまう。 ……っ痛ぇー。その程度の感覚で済まされたということは、大事に至らなかったということだが、それにしても派手な当たりだった。 パンを食い終えるのが後数秒遅れていたら、喉を貫かれていたかもしれない。洒落にならん。 自分の事を棚に上げ、こんな見渡しの悪い道で勢いよく突っ込んできたのはどこのどいつだと、ガン飛ばすべく目を見開くが、そこにいた相手は―― 自分だった。 いやいや、それはおかしいだろ、"自分に似てる人&q...
  • <adult.therefore>
    ティマと、喧嘩した。 喧嘩と言うと語弊があるが、初めて私は、ティマとの関係が険悪になった。原因? 無論、私だ。 外は小雨。初めて彼女と出会い、人生が変わった、あの日と同じ様な日。私は傘を差し、大通りを水溜りをちゃぷちゃぷと踏みながら歩いている。 本来は記念日というか、ティマが喜ばせる日だった筈なのだが……。ホント、自分自身の無神経さ、馬鹿さにほとほと呆れかえる。 点滅する横断歩道に、様々な色と形状の鮮やかな自動車。鼻をくすぐる、雨の匂い。その全てが今の私には感傷的に映る。 歩く人達の会話が、嫌でも耳に入る。何となく、ティマを失い孤独の中に合った、どうしようもない頃の自分を思い出す。 何故……私は心から愛する彼女を、自分の手で傷つけてしまったのだろうか。響く雨音が、まるで私に反省しろと叱っている様で困る。 晴れる兆しの無い灰色の空を眺めな...
  • part1
     その時からずっと俺は考えていた  死とはなんなのだろうかと  生物ならば必ず死ぬそれは誰もが逃れられぬ宿命だ  それは人にとっては最大の恐怖であり  誰もがこれから逃げようとする  だが人とは不思議なもので自己犠牲ということをすることがある  自分がなによりも大切にしていた命をとあるきっかけを元に簡単に投げ出してしまうのだ  人間とはなんて馬鹿な生き物なのだろうか…  でもそれをしたものは後悔をせずに逝ったのかもしれない  シャドウミラージュ 第一話 「贄」  「み…ず…。」  その時、俺は死にそうなぐらい喉が渇いていた。  なにせもう5日も食べ物どころか水すら飲んでいない。  いくら体を鍛えてあろうがこればかりはもうどうしようもない。  ここ数日間はありえないことばかり起こる。  「あつ…い…死ぬ。」  なんとして...
  • ザ・シスターズ 第一話
    俺は大野啓介という。 大野家の長男であり、一人息子だ。 普通の高校を卒業し、普通の大学にいる、自分でも言うのもなんだが、平凡な学生だ。 成績も可もなく不可もなくといった低空飛行でなんとか危ない橋を何度か渡りながらものらりくらりなんとかやってきた。 そんな俺なわけだが、昨日ついに20回目の誕生日を迎えて20歳、つまりは大人の仲間入りをした。 祖父母からはお祝いの言葉が送られ、母はついにこの息子がと感涙して高級レストランに連れて行ってくれた。 上手かったかどうかって?そんなの聞くまでも無い話だ。 そんなある日、海外赴任していた父から手紙が送られてきた。 啓介、成人おめでとう。 ついに一緒に酒が飲める年になってお父さんも嬉しいぞ。 成人祝いに啓介がずっと前に欲しがってたものを送っておいた。 きっと気に入ってもらえると思うよ。 少し時間がかかるかもしれないが楽しみにし...
  • 黄金のシルバーグレー
     敬老の日――――それは読んで字の如く“老人を敬愛し、長寿を祝う”日である。  若者達はプレゼントを渡したり、孝行をしたり、様々な形で老人へ感謝を示す。  そしてここ、やおよろず荘にも、見目麗しい老人がひとり――――  ロボスレ学園 黄金のシルバーグレー  玉藻・ヴァルパインは老人である。  外見は冷たい雰囲気を纏った金髪の美女(狐耳と尻尾付き)であるが、年齢は優に1000歳を越えている。  繰り返そう。玉藻・ヴァルパインは老人である。  タンクトップにボクサーパンツという出で立ちで、机の前でだらしなくあぐらをかきながら、丁寧な文字で『一条 遥』と書いてあるボトルに入ったキンキンの麦茶をラッパ飲みしつつ、肉付きのいい足を伸ばして机の向こうにある扇風機の首振り機能を止めようとしているこの美女は、(年齢的には一応)老人である。  老人は現在、暇を...
  • 機動修羅バイラム
    機動修羅バイラム 本編 第一話「その名はバイラム」 第二話「やってきた悪魔」 第三話「遥か東の地にて・・・」 第四話「荒鷹」 第五話「強国の驕り」 第六話「世界を回して」 第七話「人が生み出した業」前編・後編(上)/(下) 第八話「希望は月にあり」前編(上)/(下)     ――――――――――――後編(上)/(中)/(下) 第九話「メキド・フレア」前編/中編(上)/中編(下)//後編(上)/後編(下)/ 第一〇話 「ネオ・バイラム」前編・後編 第一一話 「白き羅刹」前編・中編・後編 第十二話 「命というモノ」その1・その2・その3・その4・その5・その6 エピローグ 特別編 バレンタイン編 設定
  • 第五話 「新人研修?(前)」
      『Diver s shell』  第五話 「新人研修?(前)」  「……はぁ? ダイバーになりたいって?」  メリッサは、素っ頓狂な声が出たことに気がつかず、電話越しに言った。  さてここでダイバーという職業が世間ではどんな認識なのかを記しておこう。  ダイバー。潜水機や潜水艇を駆り、主に遺跡に眠る遺産を引き上げて生計を立てる人たちのこと。  トレジャーハンターとも言われる彼らを見る目は主に二種類。  それは憧れと、不審である。唯でさえよく分かっていない上に危険な遺跡に入って超文明の遺産を引き上げてくるため、少年少女に人生に疲れた中年まで高い人気を持っている。  勿論反対の考えを持つ人間も少なくない。政府が干渉しないことは実は新兵器がどうの、とか。墓荒らしと大差ないではないか、とか。  兎にも角にも、生半可な精神力では勤まらないことは確かである...
  • 機甲闘神Gドラスター 第三話(後)
    『システムオールグリーン。ドラストアッシャー半自動操縦(セミオート)確認』  ドラストクラウンコックピット内。パイロットスーツに包んだ身をシートへ預ける壮馬。司令室では、ミツキが状況を読み上げる。  二体のドラストマシンはその場を動くことはなく、内燃機関を駆動させ力を蓄える。座は機械の輿によって運ばれ、所定位置まで移動する。  研究所の外では、地面がせり上がり、地下と外界とを繋ぐ門が開かれた。 『射出口開放完了。タイミングをパイロットに委譲します』 「了解――ドラストクラウン、ドラストアッシャー、発進する!」  地下格納庫直通、超動技研特設カタパルトより、二機の戦闘機が躍り出た。  大空に、彼らは翼をはためかせる。  指定された高層ビルの屋上の外縁に立ちながら、隆斗は研究所の方向を眺めていた。  そして、 「来た来た。来ました――」  視認距離に達すなり、揚々...
  • 第9話
    (5) 今、二つの熾烈な戦いの内の一つに、終止符が打たれようとしている。 ようやく空を濁らせていた暗雲が消え、青い空が覗く。そんな清々しい青空と、燦然と輝く太陽の元で、二人の男が対峙する。 一人は、手元に握っている拳銃の銃身を変形させ、剣の様な形状にすると共に、銃口からビームによって成形された刃を放出させている白いスーツの男、ハクタカ。 そしてもう一人は、鍛え上げられ、完成された筋肉を赤いスーツ越しに誇示する、己の拳のみを武器とする男、シロガネマッスル。 二人の距離は遠からずも近からず。しかし互いに踏み込めば即座に、戦闘状態となる。なのだがどちらも、自ら踏み込んでこようとはしない、 荒野で相手が振り向くのを待っているガンマン同士の如く。鞘から刀を抜き、隙あらば一刀両断せんとする武士の如く。 先に動いた時点で、勝負が決まる。そう考えている為か、ハクタカもマッスルも、自ら動こうとはしない...
  • eXar-Xen――セカイの果てより来るモノ―― Act.2C
     事の発端はこの事件の半時間ほど前に遡る。  リングダム家の母屋2階、ディーの部屋であったそこだが今はワケあって突然現れた謎の少女に貸し出されていた。 「………………」  彼女はもうかれこれ6時間以上、ベッドから半身を起こした体勢でジッと曇天の空を見つめていた。 ……いや、正確にはそれは間違い。正しくはその向こう、分厚い雲の向こうに見える形容し難い形に歪んだ「何か」を監視していたのだった。 (不可抗力とは言えあんなモノを生んだのだ。始末は自分でつけねば、な。)  自然で起こる規模ではない、規格外のセカイの歪みはその向こう側にいる「彼ら」の格好の呼び水となる。 「彼ら」は常に「生」と「セカイ」に飢えている。ならばあのようなこれ以上ないチャンスを逃す筈があるまい。 幸いあの程度の歪みなら十分に力を取り戻したイグザゼンならソートアーマーの形態でも、わざわざ...
  • <~sunny day funny~>
    ROST GORL 番外編 ある意味50スレ記念 朝だ。鶏がけたたましく鳴き、多くの人々が眠りから覚め、各々の生活をスタートさせているその頃。 彼女は深く布団に潜り込み、呑気に眠りこけていた。口元から涎が零れているとも知らず、幸せそうな寝顔を浮かべて。 しかし、朝がやってきた事を知らせる自然の目覚まし時計――――――――というべき朝日が、カーテンから入り込んでくる。 朝日は彼女の布団に容赦無く光のシャワーを浴びせて、彼女を起こそうとする。 彼女はもぞもぞと体を丸めて、その光から逃れようと目をギュッと瞑り、抵抗を試みる。 しかし一度覚醒してしまうと、彼女の意思とは関係無く、体は早く起きようとしてしまう。仕事がある日は常に早起きな為、その習性が休日であろうと働いてしまう。 その時、太陽をサポートするかの様に、傍らに転がっている、投げられたり殴られたりし...
  • Episode 06:なんでも屋“やおよろず”へようこそ! (接触篇)
     東の空が明るくなり始めた頃。神子、まどか・ブラウニングはベッドから緩慢な動作でもぞりと起き上がった。長い黒髪が肩から零れ落ちる。  ――――今日は休日だ、学校は無い。  少女は寝ぼけ眼をさすりながら、危なっかしい足取りで部屋を出た。 パラベラム! Episode 06 なんでも屋“やおよろず”へようこそ! (接触篇)  廊下に出ると、ベーコンの焼ける香ばしい匂いがまどかの鼻腔を刺激した。それに誘われてふらふらと階段を降りる。 「やあ、おはようまどかちゃん」  人の良さそうな微笑みを浮かべるのはルガー・ベルグマン。まどかの所属するなんでも屋“やおよろず”のマネージャーだ。  2メートル近くはあるだろう長身は筋骨隆々、鍛え抜かれた美しい逆三角形。そしてきちんとそろえられた長い金髪と知的な青い目、整った顔立ちはまさにイケてるメンズの体言者。……身につけた猫さんエ...
  • 野良犬のバラッド・第二話
     ユウとオフィーリアの乗ったシュリムは、ホバーで海面を走行していく。あまり高出力とはいえないそれであったが、まずは機関が動いている間は、沈む事はないだろう。  後は手近な政府軍の所へ、この小生意気な少女を送り届けるだけだ。  手錠をかけ、パイロットシートの後ろに座らせている少女。まるで抵抗もしない。自分が連れ去られようとしているのに、この落ち着き様である。 「手前ェ、怖くねェのかよ? 泣き叫んだって、いいんだぜ?」 「……私は、自分の運命に従う。これが私の運命ならば、それも仕方がないだろう。ジタバタはせぬ」 「へっ……」  ユウには、その感情は分からない。運命? そんなもの、糞ッくらえだ。運命なんてものは、自分で切り開くものだ。  無駄だと思っても、足掻き、暴れて、実力で勝ち取るものだ。そんな事も、このお嬢ちゃんは分かっちゃいないらしい。まったく、何処までもおめでたい奴だ。  間もなく、政...
  • ヴィルティック・GEARS
     八月九日。俺の親父、守屋一刀が死んだ。  いや、死んだっていうのは正しくない。正確にはMIA、行方不明って奴だ。  でもあの親父がそう簡単にくたばるはずが無い。  訓練中の事故で無人島に流された時もどこも怪我することなく帰ってきたし。  乗っているアームド・ギアが爆発したって時にも肉離れで済んだんだ。  だから、俺もお袋も何も心配していない。  いや、現実を認めたくないだけなんだろ? と言われるかもしれないが本当に死んだ のなら遺体を持ってきて欲しい。遺体が見つからなかったのなら遺品でも良い。  それくらいしないと親父がひょっこり帰ってきそうだ。しかも親父が好きなすき焼き、 (しかも霜降りの最高級をふんだんに使った)の最中に突然帰って来かねない。そのせ いで前回、俺は肉を食い損ねた。  だから、俺は親父が帰ってくるまでお袋をしっかり支えることにした。  そして、月日は流れた。  俺こと...
  • capter1 MAIN 中編
    ―本当に教えてよかったの?― どこか幼さを残したような声で彼女が告げる 「いいんだ、久しぶりに人と話した気がした。」 密室にある小さな玉座に腰かける青年は少々の喜の感情を帯びさせ答えた。 ―人と?― 彼女は続ける。 「ああ、そうだ、人とだ。人間ってああいうモノも持っているんだという事を忘れていたよ。」 いつもならば、彼女の問いなどには暴言を浴びせ返している青年だったが、今日はそんな気分になれなかった。 ―ありがとうと言われた事?― そうなのかもなと青年は笑う。 「あんな経験はいつ以来だろうな、少なくともこいつに乗り込んだ時からはそんな事言われた事はなかった いつも、いつも、殺したい、壊したい、まだ生きたい、死にたくないそんなものばかり見てきたせいでああいうものがあるというのをすっかり忘れていたよ。」 あの日、あの決意の元にこの機体に乗り...
  • 早すぎるクリスマス超短編 人稲さん奮闘記
     『早すぎるクリスマス超短編 人稲さん奮闘記』  私の名前は人稲。苗字はあるけど名はまだない。  実はお姉さん型とロリ型の二種類いたりして、容姿体系性格のほとんどが決まって無かったりする。なーんか麦わら帽子とかワンピとかバリカンとか基本装備らしいよ。  どっちにしろ毎日寒いのにワンピだけじゃやってられないから、バリカンで刈っ………買ってきた安い毛皮のコートがお気に入り。  つってもしまむらで買ってきた奴だからすっごい安いんだけどね。 いいじゃん。し○むら。安い、それなりのクオリティーでなにより「型にはまった感じがしない」ここ大切。  ユニ○ロなんかのフリースとかぱっと見でユニク○ってわかっちゃうからちょっと嫌なんだよね。その点しま○らは無名のメーカーとかからも仕入れてるみたいだしー。  ………本当にしまむらのダヨ、わたしうそつかない。  言い訳っぽいけど独身女性(...
  • 未来系!魔法少女 ヴィ・ヴィっと!メルちゃん 起
    ――――メルフィー。 ……ん? ――――起きたかい、メルフィー。 ……また、君? ……そろそろ君が誰か教えてくれない……かな? ――――俺は――――。君の騎士になるべく現れた。 私の……騎士? ねぇ……それってどういう意味……。 ――――もし君に危険が迫れば、君の元に白き龍が現われる。そのチャンスを――――逃すなよ。 待……待って! まだ……まだ君の名前を聞いてない! ――――また、会うよ。もうすぐ。 頭に、鈍くジンジンする痛みが走った。目の奥で星が瞬いては消えて行く。 気付けばベットから転げ落ちていたみたいだ……。それもまたあの夢……。顔も名前も分からない、変な男の人が私に話しかけてくる。 これでもう5回くらい、その夢を見ている。けど、私はその男の人の顔も、名前も知らない。分かりそう...
  • グラウンド・ゼロ 第2話
    ゲームセンターを出た頃には、外は暗くなりかけていた。  空の太陽の明るさは絞られ、代わりに地上の街灯がポツポツと点きはじめてい る。  通勤帰りの人々で人通りも昼間に比べて多くなり始めた駅前広場を二人は歩い ていた。 「やーしかしお前ってシューティングも上手いんだなー。」  シンヤが言った。  結局、今日はグラウンド・ゼロは最初のシンヤの一回しかプレイすることが出 来なかった。  別に珍しいことでもない。あのゲームの人気、というか中毒性はかなりのもの で、噂ではグラウンド・ゼロをプレイするためだけにコロニー・ジャパン以外の コロニーからやってくるプレイヤーも居るそうだ。  そんな訳で二人はあの後ずっと、近くに設置されている怪物を銃で撃つタイプ のオーソドックスなガンシューティングゲームに興じていたのだが、そこでもリ ョウゴはゲーマーっ...
  • 第一話「その名はバイラム」
      第一話「その名はバイラム」  西暦2509年  石油資源が完全に枯渇し人類が新しいエネルギー『エリュシニウム』を手に入れて早五十年。  『エリュシニウム』とはオーガニック金属と呼ばれる特殊な金属の中に大量の電力を溜めることが可能であり、そのエネルギーは火力発電に劣るとも勝らない。また、『エリュシニウム』同士を摩擦させることで大量の電気を作り出すことが可能である。まさに夢のエネルギー資源である しかし・・・そんなエネルギーを得ても人類が行ったことと言えば飽くなきゼロサムゲーム、すなわち国家紛争、戦争という行為を辞められずにいた。  人類は未だに一つにまとまるということが出来ずにいるのであった。  ようやく長い冬を完全に脱し、穏やかな風が辺りを吹き付けている。緑も花と共に茂っており、まさに春爛漫と言った所だろうか。  ここは旧フランスの南方にあるラングドック=ルシヨ...
  • グラウンド・ゼロ(仮) 第2話
     ゲームセンターを出た頃には、外は暗くなりかけていた。  空の太陽の明るさは絞られ、代わりに地上の街灯がポツポツと点きはじめてい る。  通勤帰りの人々で人通りも昼間に比べて多くなり始めた駅前広場を二人は歩い ていた。 「やーしかしお前ってシューティングも上手いんだなー。」  シンヤが言った。  結局、今日はグラウンド・ゼロは最初のシンヤの一回しかプレイすることが出 来なかった。  別に珍しいことでもない。あのゲームの人気、というか中毒性はかなりのもの で、噂ではグラウンド・ゼロをプレイするためだけにコロニー・ジャパン以外の コロニーからやってくるプレイヤーも居るそうだ。  そんな訳で二人はあの後ずっと、近くに設置されている怪物を銃で撃つタイプ のオーソドックスなガンシューティングゲームに興じていたのだが、そこでもリ ョウゴはゲーマー...
  • 転移戦線異常有り!? 大海上都市群「兵庫」重歩兵中隊がワームと戦うようです 最終話Bエンド
    [チェストォォォォォーーーーーッ] 平均的な成人男性の百倍以上の力で振り下ろされた3mの巨刀。長く、厚く、重い、震える真紅の刀身に両断されたオルトロスは、煮込み過ぎたスープの具のように泥々と崩れ去ると、地面に広がり少しずつ染み込んでいく。 300cm超振動極熱刀は威力「だけ」なら、最強の陸戦兵器である主力戦車の装甲を、 最も薄い部分ですら、200年ぐらい前の戦車砲弾に使われていたという120mmAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)やHEAT(成形炸薬弾)などの直撃を受けてもかすり傷すら付かない装甲を、斬れる。 刀身を消耗品とする一回限りの全力攻撃。振動熱を極限まで高めた過負荷出力の斬撃(俺はこの技に灰燼滅斬というカッチョイイ厨二ネームを勝手に名付けている)なら最も厚い正面装甲をも斬り裂ける。 オルトロスに効かない道理は無かった。というか、純粋な威力のみなら重歩兵の全兵器の中で究極...
  • part4
     目を覚ます…俺が起きたところには彼女がいて…笑いかけてくる。 「まったくあなたが朝に弱いのはあいかわらずですのね」と呆れた顔で言ってくる。  まったくこの人も相変わらず、自分の立場を理解しているのかわからない人だ。  ―――  目を覚ます…俺が起きたところは鋼機の中で、目の前には鋼機が一体いて襲い掛かってくる。  そしてあの男が下劣な笑い声を上げて言う。 「所詮、貴様はあの男の血を引いている、そんな男に誰かを守ることなどできんよ。」  ―――じゃない  目を覚ます…円盤上、決闘場、あの男との最期の戦いの場所。  己の存在意義を賭けた戦いに負けた男はこう言って奈落の底に落ちていった。 「さよならだ、クーガ…お前は俺にはなるな…決してな…。」  今はこんな夢を見ている場合じゃない!!!!  そうして俺は目を覚ました。  そこは石と...
  • ENGAZE! 第児話 【え、戦闘シーンがないとか舐めてるの?】
    「お茶を入れました」 「お前のお茶を入れるって行動は俺の頭にぶっかける事を言うのか。うおお、あっちいっ」 「ぶっかけだなんて白昼堂々ゲスいですわマスター。それに熱いのは当然」 「お前の思考回路の方がゲスいわ。あ、逆にこの熱さが快感かも」  懐からハンカチを取り出しつつ、九堂は頭上から降ってきた紅茶を髪の毛から滴らせた状態で唸った。  目の前には悪びれる様子のない少女型アンドロイド、イドゥンがいる。例によって生気のない冷めた目でこちらを見ている彼女は、少し考えた後に言葉を発した。 「紅茶も滴るいい男」 「褒めてるのか、それは褒めてるのか?」 「褒めてます」 「なら許す」 「嘘です」 「てめえ」  オートモードのイドゥンは正直ドジッ娘も真っ青レベルのミスをしでかす厄介な相棒である。  こうなることは一応予期出来ることなので、九堂もさほど気にしてはいない。というか毎日零...
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