「どうも、世界地球主義連邦准将のハ―ミスト・レインです」
「はぁ・・」
突然現れた戦艦に収容されて、コクピットから出たとたん偉い人から挨拶された。
リクは正直どう反応していいのか分からず、
「えと・・ど、ども・・・」
どもってしまった。
「とりあえず我々の目的と、君達の処遇について話しますね?」
「貴方は世界地球主義連邦なんですよね?」
いきなりだが確認しておいた。
「そうですけど・・・それがどうかしましたか?」
「いえ・・・何でかな、と思いまして」
そう、世界地球主義連邦が来る訳が分からない。
宇宙開発同盟が後ろ盾していたんじゃないのか?
「まぁとりあえず移動しながら話していきましょう」
ハーミストが先導しながら話を聞く
「まず我々の目的ですが、この辺に研究所を襲っている新興宗教があるとの報告が入りましてね。その調査です」
「しかし既にその宗教は僕たちが潰していた」
「ええ、そうですね。どっちにしろ害があるようなら殲滅しろと言われていたので手間が省けました。ありがとうございます」
「あーいえ・・あの、その報告はどこから入ったんですか?」
「諜報部から入りましたね。研究所の襲撃事件の生き残りの人たちから情報を集めたようです」
恐らくあの機体が連邦の手に入るのは奴の想定外だろう。
なら自分に出来る事は何だろうか・・・
あの機体を使って切れる手札は・・・
「さて、それでは君たちの処遇に関してですが、中に入ってから話しましょう」
「ここは?」
「ブリーフィングルームです」
ドアが開き中に入るとそこには見知った顔がいた
「リキ!どうしてここに?」
「どうしてとは御挨拶だな。俺がこの艦と交渉したんだぞ?」
「君達には代表として行動してもらいます。さて君達の処遇ですが・・・」
覚悟はしなければならないだろう。あの機体が自分しか使えない以上、無理やりにでも戦わせられるのは分かっている。
要はどれだけ戦いの機会を減らすかだ。
「どうしたいですか?」
「「は?」」
リキと声をそろえて驚いた。捕虜かパイロットのどちらかの選択肢が来ると思っていたのに・・・こちらに選ばせる?
「いやー、あまり人に強制するのって苦手でして・・・」
照れたように頭をかくハーミスト、てあんた准将なのに大丈夫か?
「俺らは基本的にパイロットがいいって奴が多いと思うが、詳しくは直接聞いてくれ」
「あなた自身は?」
「俺は戦うさ。それ以外やる事もないし」
「それなりの待遇はするつもりですよ。それで、そちらの君は?」
「僕は・・・」
僕は何がしたい?リクがずっと考えてきた事だった。
研究所は壊滅、残ったのはキセノに対するさらに深まった恨みだけ。
僕に出来る事とは何だろう。
「少し・・・考える時間をください」
「ゆっくり考えてもらって構わないよ。と、そうだ。一応名前と歳、出身国とかのプロフィールぐらいは聞かせてもらえますか?」
「リク・ゼノラスです。歳は・・・十九歳です。国籍はカナダです」
「はぁ・・」
突然現れた戦艦に収容されて、コクピットから出たとたん偉い人から挨拶された。
リクは正直どう反応していいのか分からず、
「えと・・ど、ども・・・」
どもってしまった。
「とりあえず我々の目的と、君達の処遇について話しますね?」
「貴方は世界地球主義連邦なんですよね?」
いきなりだが確認しておいた。
「そうですけど・・・それがどうかしましたか?」
「いえ・・・何でかな、と思いまして」
そう、世界地球主義連邦が来る訳が分からない。
宇宙開発同盟が後ろ盾していたんじゃないのか?
「まぁとりあえず移動しながら話していきましょう」
ハーミストが先導しながら話を聞く
「まず我々の目的ですが、この辺に研究所を襲っている新興宗教があるとの報告が入りましてね。その調査です」
「しかし既にその宗教は僕たちが潰していた」
「ええ、そうですね。どっちにしろ害があるようなら殲滅しろと言われていたので手間が省けました。ありがとうございます」
「あーいえ・・あの、その報告はどこから入ったんですか?」
「諜報部から入りましたね。研究所の襲撃事件の生き残りの人たちから情報を集めたようです」
恐らくあの機体が連邦の手に入るのは奴の想定外だろう。
なら自分に出来る事は何だろうか・・・
あの機体を使って切れる手札は・・・
「さて、それでは君たちの処遇に関してですが、中に入ってから話しましょう」
「ここは?」
「ブリーフィングルームです」
ドアが開き中に入るとそこには見知った顔がいた
「リキ!どうしてここに?」
「どうしてとは御挨拶だな。俺がこの艦と交渉したんだぞ?」
「君達には代表として行動してもらいます。さて君達の処遇ですが・・・」
覚悟はしなければならないだろう。あの機体が自分しか使えない以上、無理やりにでも戦わせられるのは分かっている。
要はどれだけ戦いの機会を減らすかだ。
「どうしたいですか?」
「「は?」」
リキと声をそろえて驚いた。捕虜かパイロットのどちらかの選択肢が来ると思っていたのに・・・こちらに選ばせる?
「いやー、あまり人に強制するのって苦手でして・・・」
照れたように頭をかくハーミスト、てあんた准将なのに大丈夫か?
「俺らは基本的にパイロットがいいって奴が多いと思うが、詳しくは直接聞いてくれ」
「あなた自身は?」
「俺は戦うさ。それ以外やる事もないし」
「それなりの待遇はするつもりですよ。それで、そちらの君は?」
「僕は・・・」
僕は何がしたい?リクがずっと考えてきた事だった。
研究所は壊滅、残ったのはキセノに対するさらに深まった恨みだけ。
僕に出来る事とは何だろう。
「少し・・・考える時間をください」
「ゆっくり考えてもらって構わないよ。と、そうだ。一応名前と歳、出身国とかのプロフィールぐらいは聞かせてもらえますか?」
「リク・ゼノラスです。歳は・・・十九歳です。国籍はカナダです」
「さて、彼からの連絡がないという事はやられてしまったようだね」
ただ、北を目指すシャトルの中でキセノ・アサギは呟いた。
「やはりあの程度の相手じゃリクは殺せないね。全く厄介な男だよ・・・」
キセノはリクの成長に思いをはせていた。
「あのガキがここまで邪魔してくるとは・・・グラビレイトも取られたし」
グラビレイト、あの機体は自分の計画に必要なものだ。正確にはあの機体に積まれている重力場粒子の製造炉が、だが。
「いや、むしろあれを同盟に追わせるのもまた一興かな?まぁ、どちらにしろ」
キセノは言葉を切り、にやりと笑いながら言った。
「あのガキは殺しておかないと。俺の唯一の汚点になるからね」
あくまで楽しげに、キセノは次の一手を考える。
シャトルの行き先は激戦区、北極圏。両軍入り乱れての戦闘が行われているとされているにはにしてはあまりにも静かな、無人の氷原にシャトルは進んでいく。
ただ、北を目指すシャトルの中でキセノ・アサギは呟いた。
「やはりあの程度の相手じゃリクは殺せないね。全く厄介な男だよ・・・」
キセノはリクの成長に思いをはせていた。
「あのガキがここまで邪魔してくるとは・・・グラビレイトも取られたし」
グラビレイト、あの機体は自分の計画に必要なものだ。正確にはあの機体に積まれている重力場粒子の製造炉が、だが。
「いや、むしろあれを同盟に追わせるのもまた一興かな?まぁ、どちらにしろ」
キセノは言葉を切り、にやりと笑いながら言った。
「あのガキは殺しておかないと。俺の唯一の汚点になるからね」
あくまで楽しげに、キセノは次の一手を考える。
シャトルの行き先は激戦区、北極圏。両軍入り乱れての戦闘が行われているとされているにはにしてはあまりにも静かな、無人の氷原にシャトルは進んでいく。
「さて、結論は出ましたか?」
一晩、リクは自分の事について考えて結果を出した。
多目的艦スタークの艦長、ハ―ミストは問いかける。
「・・・やっぱり戦いたくはありません」
リクは俯きながら答える。
場所はブリッジ、出来るだけ負担をかけまいと出向いて答えを言った。
リクがグラビレイトを手に入れて一週間がたっていた。
グラビレイトはリクにしか動かせない。
だからこそリクは戦うことを拒んだ。
あれだけの力を持つことが怖くて仕方なかったのである。
「強化孤児である事も考慮すれば妥当な判断だと思いますよ」
ハーミストは肩をすくめながら言う。
この人は少し変わっている。かなりの地位がある筈なのにかなり謙虚なのだ。
だからこちらの要望は出来るだけ聞いてくれる。
「でも死にたくはありません。この艦に乗っている間はパイロットとして働きますよ」
場合によってはキセノが差し向けた刺客に襲われるかもしれない。
どうせこの艦を降りればキセノに復讐するために動くのだ。それぐらいは働こう。
「無理はしない方がいいですよ?別に無理に戦わなくても」
「だぁーー!イライラする!!」
ブリッジの前の方から少女の声が聞こえてくる。操舵手のリリ・ウィールだ。
「お前!男ならはっきりと答えろ!戦うのか戦わないのか!」
「こらこら、リリちゃん。人には事情というものがあるんですよ?」
「そんなもん知った事か!結果的に人の答えは二択だ!YESorNOだ!」
「無茶苦茶だ・・・」
この空気に慣れない。軍ってもっとキビキビしたものじゃなかったの?
「おい、そこの軟弱男!お前は戦うのが嫌なのか?」
「戦うのは嫌です。戦争なんて嫌いですから」
「それは理解できる、強化孤児だしな。ならどうして戦ってもいいとかいう?それがイライラするんだ!」
「それこそ人の勝手でしょう?わざわざ答える必要がありません」
あくまで強気に、リクにしては珍しくリリをにらみつけながら言う。
「じゃあ答えなくていい!戦うのか戦わないのかどっちだ!」
「だから状況によりけりです」
「がーー!!」
「こら、リリちゃんもリク君も落ち着きなさい」
「あーリクっつったっけ?とりあえず下がっていいぞ」
「分かりました、失礼します」
「あっ、逃げんな!」
「落ち着けって、リリちゃん。ちょ、暴れるな!おま、ぐあ!!」
ゴースの悲鳴が聞こえた気がしたがとりあえずブリッジから出る。一緒にハーミストも出てきた。
「えーっと、戦う可能性があるならハンガーに行って機体の整備を頼んどいて下さい」
「わかりました。すいません僕のわがまま聞いてもらっちゃって」
「気にしない、気にしない。持ちつ持たれつですよ」
という事は持たされる事があるということだろうか?
リクは整備を頼みにハンガーへ行くことにした。
「艦長!あの野郎は!?」
「ん?リク君ならハンガーに行きましたよ?」
「はぁ、あの野郎め・・・」
「リリちゃんは優しいですね。彼の為に覚悟を決めさせようとしたんでしょう?」
「そんなんじゃない。あまり人が死ぬのは嫌だからな」
「もうー、リリちゃんってばツンデレですね」
「だ・れ・が、ツンデレじゃァ!!」
「え、いやtyぐふぉあぁ!!」
一晩、リクは自分の事について考えて結果を出した。
多目的艦スタークの艦長、ハ―ミストは問いかける。
「・・・やっぱり戦いたくはありません」
リクは俯きながら答える。
場所はブリッジ、出来るだけ負担をかけまいと出向いて答えを言った。
リクがグラビレイトを手に入れて一週間がたっていた。
グラビレイトはリクにしか動かせない。
だからこそリクは戦うことを拒んだ。
あれだけの力を持つことが怖くて仕方なかったのである。
「強化孤児である事も考慮すれば妥当な判断だと思いますよ」
ハーミストは肩をすくめながら言う。
この人は少し変わっている。かなりの地位がある筈なのにかなり謙虚なのだ。
だからこちらの要望は出来るだけ聞いてくれる。
「でも死にたくはありません。この艦に乗っている間はパイロットとして働きますよ」
場合によってはキセノが差し向けた刺客に襲われるかもしれない。
どうせこの艦を降りればキセノに復讐するために動くのだ。それぐらいは働こう。
「無理はしない方がいいですよ?別に無理に戦わなくても」
「だぁーー!イライラする!!」
ブリッジの前の方から少女の声が聞こえてくる。操舵手のリリ・ウィールだ。
「お前!男ならはっきりと答えろ!戦うのか戦わないのか!」
「こらこら、リリちゃん。人には事情というものがあるんですよ?」
「そんなもん知った事か!結果的に人の答えは二択だ!YESorNOだ!」
「無茶苦茶だ・・・」
この空気に慣れない。軍ってもっとキビキビしたものじゃなかったの?
「おい、そこの軟弱男!お前は戦うのが嫌なのか?」
「戦うのは嫌です。戦争なんて嫌いですから」
「それは理解できる、強化孤児だしな。ならどうして戦ってもいいとかいう?それがイライラするんだ!」
「それこそ人の勝手でしょう?わざわざ答える必要がありません」
あくまで強気に、リクにしては珍しくリリをにらみつけながら言う。
「じゃあ答えなくていい!戦うのか戦わないのかどっちだ!」
「だから状況によりけりです」
「がーー!!」
「こら、リリちゃんもリク君も落ち着きなさい」
「あーリクっつったっけ?とりあえず下がっていいぞ」
「分かりました、失礼します」
「あっ、逃げんな!」
「落ち着けって、リリちゃん。ちょ、暴れるな!おま、ぐあ!!」
ゴースの悲鳴が聞こえた気がしたがとりあえずブリッジから出る。一緒にハーミストも出てきた。
「えーっと、戦う可能性があるならハンガーに行って機体の整備を頼んどいて下さい」
「わかりました。すいません僕のわがまま聞いてもらっちゃって」
「気にしない、気にしない。持ちつ持たれつですよ」
という事は持たされる事があるということだろうか?
リクは整備を頼みにハンガーへ行くことにした。
「艦長!あの野郎は!?」
「ん?リク君ならハンガーに行きましたよ?」
「はぁ、あの野郎め・・・」
「リリちゃんは優しいですね。彼の為に覚悟を決めさせようとしたんでしょう?」
「そんなんじゃない。あまり人が死ぬのは嫌だからな」
「もうー、リリちゃんってばツンデレですね」
「だ・れ・が、ツンデレじゃァ!!」
「え、いやtyぐふぉあぁ!!」
ハンガーに格納されているグラビレイトの傍には一人の作業着姿の少年が座り込んでいた。
スケッチブック片手にグラビレイトの外観をスケッチしているらしかった。
「何やってるの?」
「ああ、班長に言われてね。この機体設計図ないからスケッチして装甲の形を考えてるんっす」
「設計図ならあると思うよ」
「マジで!?俺の苦労はどうなるんだよ・・・」
少年は頭を抱えながら落ち込んでいる。
コクピットに入ってイザナギに話しかける。
「イザナギ。機体構造の設計図を」
『了解しました。マスター』
ブレインチップ越しのスクリーンに機体構造が現れる。
それを少年の方へ送る。
「あ、ありがとう・・・」
いまだに床に突っ伏している少年をどうしたものかと見ていたら、
「こらぁ!ラウル!何突っ伏してるんだ、働け!」
「班長ー・・・設計図ありました・・・」
「機体のスケッチは無駄にはならんから落ち込むな!練習になりゃそれでいいんだ!」
「えっと、整備班の班長さんですか?」
大柄な男に話しかける。
「おう、悪いな。整備班班長のジョージだ」
「リク・ゼノラスです。で、あの機体の整備についてなんですけど」
「あの機体な、分かってる。ありゃそこのガキにやらせることにしてるから、せいぜいこき使ってやってくれ」
「ちょっと班長!?聞いてないっすよ!?」
「当たり前だ。今決めたからな」
ガハハハ!、と大口開けながら豪快に笑うジョージ班長。
「えっと、彼・・ですか?」
言っては悪いが少年の年齢は十四、五歳。
そんな子供にこの機体の整備が出来るのか?
「あーその点は平気だ。ラウルはそこらのガキとは少しばかり頭の出来が違う。並みの整備士以上の実力はあるさ」
耳打ちをしてくるジョージ。
「何で耳打ちなんですか?」
「あからさまに褒めたらあいつ調子に乗るからな。実力はあっても一人前じゃないんだよ」
「ん?班長、何こそこそやってんっすか?」
「お前が頼りないって話だ」
少し落ち込んでいる少年を置いて、豪快に笑いながらジョージ班長は去って行った。
「あー、ラウル・グリットっす。どうぞよろしく。あんたは?」
「リク・ゼノラス。こちらこそよろしく」
ラウルは俯きながら設計図の確認を開始したらしい。
「はー・・この機体かなり特殊っすね・・・モーターロック式だし・・・機体自体にブースターがついてないとか・・・・・・バッテリーちっさ・・・装甲は・・普通か」
「そんなに特殊なの?この機体」
ラウルの呟きが気になりふと聞いてみた。
「特殊も特殊。まず関節がモーターロック式ってのがありえないな」
「モーターロック式?」
「要するに関節にもろにモーターがあるってこと。普通は少し離した所にあるモーターでワイヤー巻きとるタイプなんだけどね。日本の戦術の為に作られた初期生産型ぐらいにしか搭載されてない筈だよ」
話によると初期生産型はわざとスペックダウンして作られたらしい。
モーターロック式の関節は動きが遅いためまずそれを使って戦った後に、敵が機体の情報を手に入れて生産ラインが整った所で本命のワイヤー巻き取り式を戦場に投入したそうだ。
モーターロック式の遅い動きではワイヤー巻き取り式の柔軟な動きには対応できなかったらしい。
「でも、機体パーツの重量が少なければモーターロック式の方が動きが直接伝わる分パワフルで速いんだ」
「そっか、重力場粒子・・・」
機体重量を軽くする事でモーターロック式の方が使い勝手が良くなったのだろう。
「んで二つ目。ブースターがついてない。機体を飛ばすにはブースター付けとかないといけないのにそれが無い」
しかし、この機体はスラスターのみで十分な飛行を行っていた。
「いや、もっと速くないとすぐに落とされるよ?」
「そうなの?」
「この間の戦闘ってさ、敵が全部陸戦装備なんだよ。空戦装備の敵に囲まれたらアウトだね」
そしてラウルは三本の指を立てる。
「それで三つ目。バッテリーが小さい。これは機体の性能のおかげだね」
粒子製造による継続的な発電。それによりこの機体は半永久的な活動が可能になっている。
「そして、今解決しなきゃいけない問題は二つ」
「武器とブースター?」
「正解。どっちも大変だよ、この機体独自の奴作んなきゃいけないし」
『武器なら設計図がありますが?』
「うあ!?誰?」
イザナギの声にラウルが飛びあがって驚く。
『失礼しました。私はグラビレイトのAI、イザナギとお呼び下さい』
「すげー!意思を持ったAIなんて初めて見た!」
『お褒めにあずかり光栄です。それで武器の設計図はいかがしますか?』
抑揚のない音声でイザナギは問いかける。
「んー・・・とりあえず基本思想ぐらいは知っておきたいからね。基本武装のデータくれる?」
いくつかのデータの譲渡が行われた所で、リクはラウルとイザナギに釘をさしておいた。
「ラウル、イザナギ。君達に言っておきたい事があるんだ」
『何でしょう?』
「何?」
「グラビレイトの事は・・あまり人に晒さないでほしい。最大でも整備班の中だけで留めておいてほしいんだ」
『その理由をお聞かせ下さい』
「理由は簡単だろ?量産されたくないってことだよ」
「そうだよ」
ラウルは分かってくれたがイザナギは納得していないらしい。
「この機体が量産されるってことは、それだけ強力な兵器が多くなるってことなんだ」
戦争の真っただ中にそれだけの兵器が量産される様な事になったら・・・
「一方的な虐殺になる。それだけは駄目だ。片方が完璧に滅んでしまう」
時間をかけた終戦の方が死者は少ない筈だ。だから・・・
「人がたくさん死ぬのは・・・嫌だ。我儘みたいだけど自分の所為で人が死ぬのが嫌なんだ」
『・・・了解しましたマスター。設計データにロックをかけます。ロックを解除できるのはマスターかラウルさんのお二人だけに設定します』
「ありがとう、イザナギ」
ラウルは頭をかきながら、
「俺、結構重い役目かけられてね?」
とつぶやいた。
スケッチブック片手にグラビレイトの外観をスケッチしているらしかった。
「何やってるの?」
「ああ、班長に言われてね。この機体設計図ないからスケッチして装甲の形を考えてるんっす」
「設計図ならあると思うよ」
「マジで!?俺の苦労はどうなるんだよ・・・」
少年は頭を抱えながら落ち込んでいる。
コクピットに入ってイザナギに話しかける。
「イザナギ。機体構造の設計図を」
『了解しました。マスター』
ブレインチップ越しのスクリーンに機体構造が現れる。
それを少年の方へ送る。
「あ、ありがとう・・・」
いまだに床に突っ伏している少年をどうしたものかと見ていたら、
「こらぁ!ラウル!何突っ伏してるんだ、働け!」
「班長ー・・・設計図ありました・・・」
「機体のスケッチは無駄にはならんから落ち込むな!練習になりゃそれでいいんだ!」
「えっと、整備班の班長さんですか?」
大柄な男に話しかける。
「おう、悪いな。整備班班長のジョージだ」
「リク・ゼノラスです。で、あの機体の整備についてなんですけど」
「あの機体な、分かってる。ありゃそこのガキにやらせることにしてるから、せいぜいこき使ってやってくれ」
「ちょっと班長!?聞いてないっすよ!?」
「当たり前だ。今決めたからな」
ガハハハ!、と大口開けながら豪快に笑うジョージ班長。
「えっと、彼・・ですか?」
言っては悪いが少年の年齢は十四、五歳。
そんな子供にこの機体の整備が出来るのか?
「あーその点は平気だ。ラウルはそこらのガキとは少しばかり頭の出来が違う。並みの整備士以上の実力はあるさ」
耳打ちをしてくるジョージ。
「何で耳打ちなんですか?」
「あからさまに褒めたらあいつ調子に乗るからな。実力はあっても一人前じゃないんだよ」
「ん?班長、何こそこそやってんっすか?」
「お前が頼りないって話だ」
少し落ち込んでいる少年を置いて、豪快に笑いながらジョージ班長は去って行った。
「あー、ラウル・グリットっす。どうぞよろしく。あんたは?」
「リク・ゼノラス。こちらこそよろしく」
ラウルは俯きながら設計図の確認を開始したらしい。
「はー・・この機体かなり特殊っすね・・・モーターロック式だし・・・機体自体にブースターがついてないとか・・・・・・バッテリーちっさ・・・装甲は・・普通か」
「そんなに特殊なの?この機体」
ラウルの呟きが気になりふと聞いてみた。
「特殊も特殊。まず関節がモーターロック式ってのがありえないな」
「モーターロック式?」
「要するに関節にもろにモーターがあるってこと。普通は少し離した所にあるモーターでワイヤー巻きとるタイプなんだけどね。日本の戦術の為に作られた初期生産型ぐらいにしか搭載されてない筈だよ」
話によると初期生産型はわざとスペックダウンして作られたらしい。
モーターロック式の関節は動きが遅いためまずそれを使って戦った後に、敵が機体の情報を手に入れて生産ラインが整った所で本命のワイヤー巻き取り式を戦場に投入したそうだ。
モーターロック式の遅い動きではワイヤー巻き取り式の柔軟な動きには対応できなかったらしい。
「でも、機体パーツの重量が少なければモーターロック式の方が動きが直接伝わる分パワフルで速いんだ」
「そっか、重力場粒子・・・」
機体重量を軽くする事でモーターロック式の方が使い勝手が良くなったのだろう。
「んで二つ目。ブースターがついてない。機体を飛ばすにはブースター付けとかないといけないのにそれが無い」
しかし、この機体はスラスターのみで十分な飛行を行っていた。
「いや、もっと速くないとすぐに落とされるよ?」
「そうなの?」
「この間の戦闘ってさ、敵が全部陸戦装備なんだよ。空戦装備の敵に囲まれたらアウトだね」
そしてラウルは三本の指を立てる。
「それで三つ目。バッテリーが小さい。これは機体の性能のおかげだね」
粒子製造による継続的な発電。それによりこの機体は半永久的な活動が可能になっている。
「そして、今解決しなきゃいけない問題は二つ」
「武器とブースター?」
「正解。どっちも大変だよ、この機体独自の奴作んなきゃいけないし」
『武器なら設計図がありますが?』
「うあ!?誰?」
イザナギの声にラウルが飛びあがって驚く。
『失礼しました。私はグラビレイトのAI、イザナギとお呼び下さい』
「すげー!意思を持ったAIなんて初めて見た!」
『お褒めにあずかり光栄です。それで武器の設計図はいかがしますか?』
抑揚のない音声でイザナギは問いかける。
「んー・・・とりあえず基本思想ぐらいは知っておきたいからね。基本武装のデータくれる?」
いくつかのデータの譲渡が行われた所で、リクはラウルとイザナギに釘をさしておいた。
「ラウル、イザナギ。君達に言っておきたい事があるんだ」
『何でしょう?』
「何?」
「グラビレイトの事は・・あまり人に晒さないでほしい。最大でも整備班の中だけで留めておいてほしいんだ」
『その理由をお聞かせ下さい』
「理由は簡単だろ?量産されたくないってことだよ」
「そうだよ」
ラウルは分かってくれたがイザナギは納得していないらしい。
「この機体が量産されるってことは、それだけ強力な兵器が多くなるってことなんだ」
戦争の真っただ中にそれだけの兵器が量産される様な事になったら・・・
「一方的な虐殺になる。それだけは駄目だ。片方が完璧に滅んでしまう」
時間をかけた終戦の方が死者は少ない筈だ。だから・・・
「人がたくさん死ぬのは・・・嫌だ。我儘みたいだけど自分の所為で人が死ぬのが嫌なんだ」
『・・・了解しましたマスター。設計データにロックをかけます。ロックを解除できるのはマスターかラウルさんのお二人だけに設定します』
「ありがとう、イザナギ」
ラウルは頭をかきながら、
「俺、結構重い役目かけられてね?」
とつぶやいた。
多目的艦スタークはそこから更に二週間かけて、一番近くの基地のあるシベリア付近へ向かっていた。
道中敵と遭遇する事もなく、このまま何事も起こらないと思われた時に事件が起きた。
「艦長、おかしいんじゃないですか?これはさすがに」
「そうですね・・・パイロット召集。緊急ミーティングを行います」
ミーティングルームに集まったのは十五人。もとからいたパイロット六人にリク達の中でパイロットを志望した九人だ。
「全員集まった様なのでミーティングを開始します」
副長のカルラが中央で状況の説明をする。
「現在、我々はカラフト基地に補給と艦を降りるのを希望する方を降ろすために向かっています。しかし現在そのシベリア基地からの通信が途切れています」
部屋の中心にはホロスクリーンに基地の周りの地形と防衛兵器の配置が映し出されている。
「現状、我々は最悪の事態、つまり敵に基地が制圧されたと考えての行動を行います。よって艦内にはコードオレンジを発令しました。皆さんにはこの作戦でのフォーメーションを確認していただきたいのですが・・・」
ジョージ班長が通信越しに発言する。
[現状じゃ機体の換装パーツが足りてねぇ。新しく入った九人のうち三人しか空戦装備は積めないぞ]
「なので小隊を二つに分けます。と言っても新しく入った九人の内、六人を砲撃戦用の装備で艦表面に取り付き敵の迎撃、三人を遊撃にまわしたいと思います。その三人を決めてもらいたいんです」
[副長、グラビレイトのは別規格なんで俺が独自に用意したっす]
ラウルが通信で報告した。
「では、三人を遊撃、五人を迎撃、グラビレイトは単独による攻撃をお願いします」
今まで黙っていたハーミストが部隊割を発表する。さらにフォーメーション、指令のコード、撤退などの合図の説明をする。
「皆さんの健闘を祈ります。では、解散」
ぞろぞろと人が去っていく。
リクもその場を離れた。
遂に戦闘になった。恐らくこの艦の偵察は予定外で、さっき言っていた基地を制圧した部隊がグラビレイトを回収する手はずだったのだろう。
キセノの計画にひびをいれられた。だがそこで止まってはいけない。確実に・・・奴の息の根を止める。
道中敵と遭遇する事もなく、このまま何事も起こらないと思われた時に事件が起きた。
「艦長、おかしいんじゃないですか?これはさすがに」
「そうですね・・・パイロット召集。緊急ミーティングを行います」
ミーティングルームに集まったのは十五人。もとからいたパイロット六人にリク達の中でパイロットを志望した九人だ。
「全員集まった様なのでミーティングを開始します」
副長のカルラが中央で状況の説明をする。
「現在、我々はカラフト基地に補給と艦を降りるのを希望する方を降ろすために向かっています。しかし現在そのシベリア基地からの通信が途切れています」
部屋の中心にはホロスクリーンに基地の周りの地形と防衛兵器の配置が映し出されている。
「現状、我々は最悪の事態、つまり敵に基地が制圧されたと考えての行動を行います。よって艦内にはコードオレンジを発令しました。皆さんにはこの作戦でのフォーメーションを確認していただきたいのですが・・・」
ジョージ班長が通信越しに発言する。
[現状じゃ機体の換装パーツが足りてねぇ。新しく入った九人のうち三人しか空戦装備は積めないぞ]
「なので小隊を二つに分けます。と言っても新しく入った九人の内、六人を砲撃戦用の装備で艦表面に取り付き敵の迎撃、三人を遊撃にまわしたいと思います。その三人を決めてもらいたいんです」
[副長、グラビレイトのは別規格なんで俺が独自に用意したっす]
ラウルが通信で報告した。
「では、三人を遊撃、五人を迎撃、グラビレイトは単独による攻撃をお願いします」
今まで黙っていたハーミストが部隊割を発表する。さらにフォーメーション、指令のコード、撤退などの合図の説明をする。
「皆さんの健闘を祈ります。では、解散」
ぞろぞろと人が去っていく。
リクもその場を離れた。
遂に戦闘になった。恐らくこの艦の偵察は予定外で、さっき言っていた基地を制圧した部隊がグラビレイトを回収する手はずだったのだろう。
キセノの計画にひびをいれられた。だがそこで止まってはいけない。確実に・・・奴の息の根を止める。
三時間後、ハンガーでの待機をパイロットは命じられた。
想定通り敵に基地を占拠されていたようだ。それはつまり戦闘を意味している。
リクはコクピットで出撃を待っていた。
ラウルの武器の説明が入る
「こいつは重力場レールガン。銃身のレールにかけた重力による牽引で空気摩擦でプラズマ化した弾丸にさらに重力を乗せて打ち出すものだ。大体の装甲は重量と熱量で破壊できる」
『設計図の物とはだいぶ機構が違うようですが?』
「俺の独自の設計でトリガーと銃口を二つにした。それぞれの銃口に繋がってるから同時に発射して高威力にするもよし、交互に発射して連射するもよしだ」
「ブースターは?」
「高機動型フレキシブルブースターだ。三つのブースターの内、左右の二つは自由に動くから機動性が高い」
「だいぶスペック上がってるな・・・」
「まぁ、使いこなせるように頑張れ」
ラウルが去ると同時にイザナギの声がする。
『マスター、通信が入っています』
[やあ、リク君。気分はどうですか?]
「そんなにいいわけないでしょう、艦長」
[あんまりピリピリしない方がいいですよ?すぐに落とされてしまいますよ]
「分かってます。ちゃんと集中しますよ」
[艦長、やっぱりこいつ止めさせた方がいいんじゃないのか?]
リリの声が聞こえる。
「・・・なぜですか」
[お前の声、微妙に震えてるぞ]
「・・・・」
[そこまでして戦う必要ないんじゃないか?]
「あるからここにいるんですよ」
[ならその理由ってのはなんだよ]
[こらリリちゃん。人の事情にあまり首を突っ込むべきではないですよ]
[艦長は黙ってろ]
[ですが・・・]
「・・・いいですよ。話してあげます」
[無理して話さなくてもいいんですよ?]
「いいえ、無理じゃないですよ。ちゃんと言いたい事があるんです」
[で、なんだよ。お前の戦う理由]
「・・・どうしても」
リクの声質が変わる。
普段の礼儀正しい声色から、ざらざらとした暗い感情を込めた負の声色に。
「どうしても、殺したい奴がいるんですよ。そいつの所為で俺の人生はボロボロになってるんです」
[・・・え]
リリの掠れた様な声に反応もせずリクはさらに言葉を紡ぐ。
「そいつを殺すためならいかれてる戦場に出ることぐらいなんでもありませんよ?むしろ自分からでも戦場を作ってやります。いくらでも殺し
ます。誰にも止めさせやしませんよ。絶対に、絶対に息の根を止めて、死体の判別もつかないくらいぐちゃぐちゃにして、魂を壊してやるんで
す。魂なんて概念が無いのなら無理やりにでも作りだしてでも壊すんです。あいつは絶対に、この手で、壊してやるんです」
リクは目に狂気すら浮かべて淡々と言い切った。無理矢理に押し殺したような声で。
「戦場は怖いです。正直、震えは止まりません。でも、それを越えるほどに殺したい相手がいるんですよ」
[そ、れは・・・]
「すいません。でもこれで納得いただけましたか?」
言いきった直後から、リクの雰囲気は元のそれに戻っていた。
[・・・]
[・・・]
それを聞いていた二人は、一言も発せなかった。
「納得いただけたのなら通信は切りますよ?」
しばらくして通信は途切れた。
想定通り敵に基地を占拠されていたようだ。それはつまり戦闘を意味している。
リクはコクピットで出撃を待っていた。
ラウルの武器の説明が入る
「こいつは重力場レールガン。銃身のレールにかけた重力による牽引で空気摩擦でプラズマ化した弾丸にさらに重力を乗せて打ち出すものだ。大体の装甲は重量と熱量で破壊できる」
『設計図の物とはだいぶ機構が違うようですが?』
「俺の独自の設計でトリガーと銃口を二つにした。それぞれの銃口に繋がってるから同時に発射して高威力にするもよし、交互に発射して連射するもよしだ」
「ブースターは?」
「高機動型フレキシブルブースターだ。三つのブースターの内、左右の二つは自由に動くから機動性が高い」
「だいぶスペック上がってるな・・・」
「まぁ、使いこなせるように頑張れ」
ラウルが去ると同時にイザナギの声がする。
『マスター、通信が入っています』
[やあ、リク君。気分はどうですか?]
「そんなにいいわけないでしょう、艦長」
[あんまりピリピリしない方がいいですよ?すぐに落とされてしまいますよ]
「分かってます。ちゃんと集中しますよ」
[艦長、やっぱりこいつ止めさせた方がいいんじゃないのか?]
リリの声が聞こえる。
「・・・なぜですか」
[お前の声、微妙に震えてるぞ]
「・・・・」
[そこまでして戦う必要ないんじゃないか?]
「あるからここにいるんですよ」
[ならその理由ってのはなんだよ]
[こらリリちゃん。人の事情にあまり首を突っ込むべきではないですよ]
[艦長は黙ってろ]
[ですが・・・]
「・・・いいですよ。話してあげます」
[無理して話さなくてもいいんですよ?]
「いいえ、無理じゃないですよ。ちゃんと言いたい事があるんです」
[で、なんだよ。お前の戦う理由]
「・・・どうしても」
リクの声質が変わる。
普段の礼儀正しい声色から、ざらざらとした暗い感情を込めた負の声色に。
「どうしても、殺したい奴がいるんですよ。そいつの所為で俺の人生はボロボロになってるんです」
[・・・え]
リリの掠れた様な声に反応もせずリクはさらに言葉を紡ぐ。
「そいつを殺すためならいかれてる戦場に出ることぐらいなんでもありませんよ?むしろ自分からでも戦場を作ってやります。いくらでも殺し
ます。誰にも止めさせやしませんよ。絶対に、絶対に息の根を止めて、死体の判別もつかないくらいぐちゃぐちゃにして、魂を壊してやるんで
す。魂なんて概念が無いのなら無理やりにでも作りだしてでも壊すんです。あいつは絶対に、この手で、壊してやるんです」
リクは目に狂気すら浮かべて淡々と言い切った。無理矢理に押し殺したような声で。
「戦場は怖いです。正直、震えは止まりません。でも、それを越えるほどに殺したい相手がいるんですよ」
[そ、れは・・・]
「すいません。でもこれで納得いただけましたか?」
言いきった直後から、リクの雰囲気は元のそれに戻っていた。
[・・・]
[・・・]
それを聞いていた二人は、一言も発せなかった。
「納得いただけたのなら通信は切りますよ?」
しばらくして通信は途切れた。
通信が切れた瞬間、ブリッジの空気が一気に緩んだ。
「艦長、彼はかなりの危険人物では?」
「だー!ビビった!あれなら千超えの敵に囲まれた方がまだましだっつーの!」
カルラとゴースが真っ先に口を開いた。
「確かに危険な雰囲気ではありましたが、でもそれは対象が個人限定のようですね。まだ観察段階と言ったところでしょうか」
ハーミストが珍しく誰に言うわけでもなく呟いた後、リリが肩の力を抜いた。
「あいつ・・・復讐なんてもんから解放してやりてぇな」
いつになくおとなしいリリの様子にゴースが茶化すようにいった。
「解放て・・どうすんだ?リリちゃん。ありゃ、死んでも止まらん口だぜ」
「そんなのは分かってるんだよ。でもさ・・・理屈じゃなくてさ・・・どうにかしてやりたいと思うんだよ。戦いじゃない方法で・・・」
「いつになく真剣ですねリリさん。まさか今ので惚れたりしましたか?」
いつもならそこでリリが暴れだすのだが、今回は・・・
「う・・・・そ、そんなわけねェだろ!!」
顔を赤くしながら言い出しっぺのカルラに迫るリリ。その様子は、まさしく・・・
(*1))
「艦長、彼はかなりの危険人物では?」
「だー!ビビった!あれなら千超えの敵に囲まれた方がまだましだっつーの!」
カルラとゴースが真っ先に口を開いた。
「確かに危険な雰囲気ではありましたが、でもそれは対象が個人限定のようですね。まだ観察段階と言ったところでしょうか」
ハーミストが珍しく誰に言うわけでもなく呟いた後、リリが肩の力を抜いた。
「あいつ・・・復讐なんてもんから解放してやりてぇな」
いつになくおとなしいリリの様子にゴースが茶化すようにいった。
「解放て・・どうすんだ?リリちゃん。ありゃ、死んでも止まらん口だぜ」
「そんなのは分かってるんだよ。でもさ・・・理屈じゃなくてさ・・・どうにかしてやりたいと思うんだよ。戦いじゃない方法で・・・」
「いつになく真剣ですねリリさん。まさか今ので惚れたりしましたか?」
いつもならそこでリリが暴れだすのだが、今回は・・・
「う・・・・そ、そんなわけねェだろ!!」
顔を赤くしながら言い出しっぺのカルラに迫るリリ。その様子は、まさしく・・・
(*1))
二時間後、予定より早く敵との交戦に入る事が告げられた。
[敵艦が既にこちらへ向かっています。全基出撃準備をお願いします]
副長の連絡が入る。
「リクー、機体壊したらたたじゃおかねェからなー」
ラウルの間延びした声が聞こえる。
「わかってるって、僕も死にたくないし」
[リク君、たびたびすみませんね]
「艦長」
[君は出来るだけ出撃しないようにしますから]
艦長の気遣いのようだ。
「具体的には?」
[出撃した機体の総損傷率が一割を越えたら、ですかね]
「・・・結構速いですね」
[あまり部隊を損傷させるのも戦力の低下にしかなりませんしね。大丈夫ですよ、我々のの部隊は簡単には落ちませんし、それにあなたは切り札ですから]
「出来るだけやってみますよ」
敵部隊の構成は輸送艦一機、HB八機の編成。明らかにこちらを舐めてかかっている。
[第一小隊、出撃してください。第三小隊は迎撃用意。第二小隊は敵が近付くまで待機を]
六機が出撃する。八機に対して六機と数の上では負けているがそこまで劣っている訳でもない。
敵の一機が撃墜され、下の海に叩きつけられた。
戦場は海上、近くに島が点々としている。場所は、元日本領。カラフト付近。
防戦の中で敵に反撃を与える戦法で敵の損傷を誘う第一小隊。その防戦は二機目が海に落ちた時に切り替わった。
ミサイルの一斉射で隙を作った後、巧みなフォーメーションでダメ―ジを蓄積させる。
既に敵機の残りの中で五体満足なのは二機だけになっている。
「今回は、出番無しだな。残念、重力場レールガンのテストやりたかったんだけどなー」
ラウルが言葉とは裏腹に気楽そうに言った。
「いや、来るよ」
「え?」
「そろそろ来るって言ってるんだよ」
リクは敵の動きを見ていた。明らかに、こちらの戦力を読み間違えてる。
それにしたって三十機は積める輸送艦にたった八機は読み間違えすぎだ。
それならば・・・
[敵艦が既にこちらへ向かっています。全基出撃準備をお願いします]
副長の連絡が入る。
「リクー、機体壊したらたたじゃおかねェからなー」
ラウルの間延びした声が聞こえる。
「わかってるって、僕も死にたくないし」
[リク君、たびたびすみませんね]
「艦長」
[君は出来るだけ出撃しないようにしますから]
艦長の気遣いのようだ。
「具体的には?」
[出撃した機体の総損傷率が一割を越えたら、ですかね]
「・・・結構速いですね」
[あまり部隊を損傷させるのも戦力の低下にしかなりませんしね。大丈夫ですよ、我々のの部隊は簡単には落ちませんし、それにあなたは切り札ですから]
「出来るだけやってみますよ」
敵部隊の構成は輸送艦一機、HB八機の編成。明らかにこちらを舐めてかかっている。
[第一小隊、出撃してください。第三小隊は迎撃用意。第二小隊は敵が近付くまで待機を]
六機が出撃する。八機に対して六機と数の上では負けているがそこまで劣っている訳でもない。
敵の一機が撃墜され、下の海に叩きつけられた。
戦場は海上、近くに島が点々としている。場所は、元日本領。カラフト付近。
防戦の中で敵に反撃を与える戦法で敵の損傷を誘う第一小隊。その防戦は二機目が海に落ちた時に切り替わった。
ミサイルの一斉射で隙を作った後、巧みなフォーメーションでダメ―ジを蓄積させる。
既に敵機の残りの中で五体満足なのは二機だけになっている。
「今回は、出番無しだな。残念、重力場レールガンのテストやりたかったんだけどなー」
ラウルが言葉とは裏腹に気楽そうに言った。
「いや、来るよ」
「え?」
「そろそろ来るって言ってるんだよ」
リクは敵の動きを見ていた。明らかに、こちらの戦力を読み間違えてる。
それにしたって三十機は積める輸送艦にたった八機は読み間違えすぎだ。
それならば・・・
「艦長!艦後方、六時の方向から熱源接近!!」
「カルラ君!」
「了解」
「チクショウ!間に合え!」
水中から艦載レベルのレールガンが発射された。カルラの電磁フィールド展開とリリの操舵の腕によりダメージは最小限に抑えられたが・・・
「状況は?」
「第三補助ブースター、第四レーザー砲、十七から二十八までの対空迎撃用機関砲、七十から七十三までの通路が損傷!」
「結構やられましたね・・・」
「補助ブースターがやられちゃ次はかわせないぞ!?」
「フィールドのエネルギーはフルで三回まで展開できます」
「問題ありません、あれだけのレールガンを搭載した潜水艦です。そう連射出来る物ではありません。それよりも敵の増援ですよ。第二小隊に
出撃命令、リク君に出撃準備をお願いしてください」
「敵艦浮上した!数・・十二・・この識別コードは・・・」
「ゴース君?どうしたんですか!?」
「・・・黒揚羽(ブラック・バタフライ)・・・」
「カルラ君!」
「了解」
「チクショウ!間に合え!」
水中から艦載レベルのレールガンが発射された。カルラの電磁フィールド展開とリリの操舵の腕によりダメージは最小限に抑えられたが・・・
「状況は?」
「第三補助ブースター、第四レーザー砲、十七から二十八までの対空迎撃用機関砲、七十から七十三までの通路が損傷!」
「結構やられましたね・・・」
「補助ブースターがやられちゃ次はかわせないぞ!?」
「フィールドのエネルギーはフルで三回まで展開できます」
「問題ありません、あれだけのレールガンを搭載した潜水艦です。そう連射出来る物ではありません。それよりも敵の増援ですよ。第二小隊に
出撃命令、リク君に出撃準備をお願いしてください」
「敵艦浮上した!数・・十二・・この識別コードは・・・」
「ゴース君?どうしたんですか!?」
「・・・黒揚羽(ブラック・バタフライ)・・・」
[じゃあ、先行ってるぜ。リク]
「死なないでくれよ。リキ」
第二小隊は出撃した。第三小隊との協力で後方の敵増援を相手するらしい。
[リクさん、出撃の準備を]
「わかりました。カルラさん、敵増援ってどれ位なんですか?」
[十二機なんですが・・・]
「何か不都合でも?」
[エース機がいるんです。それもとびっきりの]
黒揚羽、一年前に戦場に出てきたルーキーで最初の三ヶ月でエースになったという。撃墜数も既に同盟軍トップクラス。たった一機で基地を制
圧した事もあるらしい。名前の由来は、蝶のようにつかめない軌道での戦闘スタイルにある。ふらふらとしている訳ではないが、全く機体が停
止しないらしい。撃墜どころか、攻撃を食らった事すら数えるほどだという。
「そんなの来て大丈夫なんですか?」
[だから準備をお願いしたんです。あなたが切り札ですから]
「・・・了解しました、その黒揚羽が出撃したらすぐに出ます」
「死なないでくれよ。リキ」
第二小隊は出撃した。第三小隊との協力で後方の敵増援を相手するらしい。
[リクさん、出撃の準備を]
「わかりました。カルラさん、敵増援ってどれ位なんですか?」
[十二機なんですが・・・]
「何か不都合でも?」
[エース機がいるんです。それもとびっきりの]
黒揚羽、一年前に戦場に出てきたルーキーで最初の三ヶ月でエースになったという。撃墜数も既に同盟軍トップクラス。たった一機で基地を制
圧した事もあるらしい。名前の由来は、蝶のようにつかめない軌道での戦闘スタイルにある。ふらふらとしている訳ではないが、全く機体が停
止しないらしい。撃墜どころか、攻撃を食らった事すら数えるほどだという。
「そんなの来て大丈夫なんですか?」
[だから準備をお願いしたんです。あなたが切り札ですから]
「・・・了解しました、その黒揚羽が出撃したらすぐに出ます」
艦前方の戦闘は艦への攻撃で動揺したせいで五部五部に持ち直されている。立て直すには後方の敵の五割くらい落とせば何とかなるだろう。
リキは鬼神のような戦いぶりを見せた。
「はっはぁ!!落ちろぉ!!」
既にリキは二機落としており、今の一機で三機落とした事になる。既に三割、すぐに半分に達するだろう。
その時、機体がバランスを崩した。
「何だ!?」
[がぁ!?]
[ぐあぁ!?]
見れば後ろの二機が空戦装備の羽根を撃ち抜かれて飛行が困難になっていた。
「速く艦に戻れ!そのままじゃ的だぞ!」
傷ついた二機をかばいながら攻撃した機体を見ると、そこにはみとれてしまう様な漆黒の美しい機体が舞っていた。
肩に描かれたモチーフは黒い蝶。選別コードは、黒揚羽。
リキは鬼神のような戦いぶりを見せた。
「はっはぁ!!落ちろぉ!!」
既にリキは二機落としており、今の一機で三機落とした事になる。既に三割、すぐに半分に達するだろう。
その時、機体がバランスを崩した。
「何だ!?」
[がぁ!?]
[ぐあぁ!?]
見れば後ろの二機が空戦装備の羽根を撃ち抜かれて飛行が困難になっていた。
「速く艦に戻れ!そのままじゃ的だぞ!」
傷ついた二機をかばいながら攻撃した機体を見ると、そこにはみとれてしまう様な漆黒の美しい機体が舞っていた。
肩に描かれたモチーフは黒い蝶。選別コードは、黒揚羽。
「艦長、グラビレイト出撃しました」
「リク君に頼るしかないですね。無事に基地を取り戻せればいいんですけど」
「第二小隊着艦、戦闘困難。空戦装備がやられただけらしいから換装すればまだいけるらしいけど?」
「狙撃装備に換装後、艦前方の第一小隊の火力支援にあたらせて下さい」
「それと艦長、一般回線で投降勧告が黒揚羽名義で届いてるぞ」
「読み上げてください」
「あいよ、カルラ」
「『連邦軍所属、ハ―ミスト・レイン准将に告ぐ。今すぐ戦闘を中止し、投降せよ。投降すれば諸君の身の安全は私、黒揚羽が保障しよう。我
々はそちらとの交戦が目的ではない。速やかに武装を解除し、投降せよ』だそうです」
「艦長、どうすんだ?」
「ふむ・・・投降するのは少し考えに入れとかないとまずい状況ですからね・・・リク君に繋いでください」
モニターにリクが映される。
[なんですか?艦長]
「黒揚羽との交戦がきついようならすぐに言ってください。投降勧告出されてますから」
[・・・なんて書いてあるんですか?]
「武力解除の後投降しろ、そっちの身の安全は保障するから、だとよ。黒揚羽じきじきの勧告だぞ」
[無理ですね]
「何が?」
[一エース程度が僕らの、いや僕の安全を保証するなんて]
「・・・もしかしてさっきの復讐したい奴が?」
[あの野郎なら上層部から命令まわすくらいできるでしょうね。現にこうしてエースの部隊が出てきている。目的はこの機体と、あわよくば僕の
命でしょうね]
「なら艦長、投降は無しだ!別の手を考えろ!」
「リリちゃん必死だねぇ。これはやっぱりあれkぐほぁ!」
履いていた靴を思いっきりゴースに投げつけるリリ。顔が真っ赤なのにはリクは気付かない。
[艦長、僕に案があります]
「それはこの状況を何とか出来るものですか?」
[恐らくは、敵が条件を呑めば]
「具体的には何をするんですか?」
[俺を囮に使います。餌にするんです]
「ちょっと待て。それお前が危険じゃないか!」
「おやおや、リリちゃんやっぱり必死だnぐほぇ!」
もう一方の靴もゴースの顔にヒットした所でリクは言う。
[大丈夫ですよ。まだ俺は死ぬわけにはいかないですから]
何だかんだ言って心配してくれているリリに微笑みながら言う。
「うっ・・・それなら・・・絶対に無傷で帰ってこいよ?絶対だからな!?」
[わかりましたよ。艦長、いいですか?]
「君に任せますよ。頑張ってくださいね」
通信が切れる。リリはまだ顔を赤くしながら心配そうに戦場を見つめている。
「リク君に頼るしかないですね。無事に基地を取り戻せればいいんですけど」
「第二小隊着艦、戦闘困難。空戦装備がやられただけらしいから換装すればまだいけるらしいけど?」
「狙撃装備に換装後、艦前方の第一小隊の火力支援にあたらせて下さい」
「それと艦長、一般回線で投降勧告が黒揚羽名義で届いてるぞ」
「読み上げてください」
「あいよ、カルラ」
「『連邦軍所属、ハ―ミスト・レイン准将に告ぐ。今すぐ戦闘を中止し、投降せよ。投降すれば諸君の身の安全は私、黒揚羽が保障しよう。我
々はそちらとの交戦が目的ではない。速やかに武装を解除し、投降せよ』だそうです」
「艦長、どうすんだ?」
「ふむ・・・投降するのは少し考えに入れとかないとまずい状況ですからね・・・リク君に繋いでください」
モニターにリクが映される。
[なんですか?艦長]
「黒揚羽との交戦がきついようならすぐに言ってください。投降勧告出されてますから」
[・・・なんて書いてあるんですか?]
「武力解除の後投降しろ、そっちの身の安全は保障するから、だとよ。黒揚羽じきじきの勧告だぞ」
[無理ですね]
「何が?」
[一エース程度が僕らの、いや僕の安全を保証するなんて]
「・・・もしかしてさっきの復讐したい奴が?」
[あの野郎なら上層部から命令まわすくらいできるでしょうね。現にこうしてエースの部隊が出てきている。目的はこの機体と、あわよくば僕の
命でしょうね]
「なら艦長、投降は無しだ!別の手を考えろ!」
「リリちゃん必死だねぇ。これはやっぱりあれkぐほぁ!」
履いていた靴を思いっきりゴースに投げつけるリリ。顔が真っ赤なのにはリクは気付かない。
[艦長、僕に案があります]
「それはこの状況を何とか出来るものですか?」
[恐らくは、敵が条件を呑めば]
「具体的には何をするんですか?」
[俺を囮に使います。餌にするんです]
「ちょっと待て。それお前が危険じゃないか!」
「おやおや、リリちゃんやっぱり必死だnぐほぇ!」
もう一方の靴もゴースの顔にヒットした所でリクは言う。
[大丈夫ですよ。まだ俺は死ぬわけにはいかないですから]
何だかんだ言って心配してくれているリリに微笑みながら言う。
「うっ・・・それなら・・・絶対に無傷で帰ってこいよ?絶対だからな!?」
[わかりましたよ。艦長、いいですか?]
「君に任せますよ。頑張ってくださいね」
通信が切れる。リリはまだ顔を赤くしながら心配そうに戦場を見つめている。
黒揚羽と呼ばれるエースは戦場を縦横無尽に飛び回っていた。
「投降の意思は認められない。死にたいのか?」
攻撃は控えていたが、本格的な反撃に入る。
シールドに一体化している大型レーザーを構えて錐揉み飛行で弾幕をかわしながらブリッジを狙う。一撃で仕留める自信があった。もしブリッ
ジを落とせばさすがに奴らも止まるだろう。今回の任務は戦闘ではなく回収。上層部から回ってきた敵の新型の確保が目的の作戦だった。
戦艦を狙い、落とせば任務の半分を達成した様なものだ。
「つまらない任務」
ぼそりと呟き、トリガーを引く。
「投降の意思は認められない。死にたいのか?」
攻撃は控えていたが、本格的な反撃に入る。
シールドに一体化している大型レーザーを構えて錐揉み飛行で弾幕をかわしながらブリッジを狙う。一撃で仕留める自信があった。もしブリッ
ジを落とせばさすがに奴らも止まるだろう。今回の任務は戦闘ではなく回収。上層部から回ってきた敵の新型の確保が目的の作戦だった。
戦艦を狙い、落とせば任務の半分を達成した様なものだ。
「つまらない任務」
ぼそりと呟き、トリガーを引く。
「レーザーきます!」
「フィールドは!?」
「間に合いません!」
黒揚羽は既にフィールド圏内に入り込んでいる。
カルラの警告に対してレーザーのエネルギーが放出されるのを見ている事しかできない。
レーザーは真っ直ぐブリッジに直撃コースで発射された。
「リク!!」
リリは思わず叫んでいた。
「フィールドは!?」
「間に合いません!」
黒揚羽は既にフィールド圏内に入り込んでいる。
カルラの警告に対してレーザーのエネルギーが放出されるのを見ている事しかできない。
レーザーは真っ直ぐブリッジに直撃コースで発射された。
「リク!!」
リリは思わず叫んでいた。
「なぜ・・・!?」
思わず黒揚羽は呟いていた。
確かにレーザーは発射された。そのレーザーは寸分の狂いなくブリッジに進み、そして曲がった。
[あー、あー、全軍に告ぎます。いったん戦闘を中止してください]
いきなり、スピーカーで特定の期待では無く、戦場のすべての物に話しかけ始めた見慣れぬ機体。
しかしその程度で戦闘が止まる訳が無く、一瞬戦場の注目を集めただった。
[今すぐ戦闘を中止しなさい。でなければ、落とすぞこら]
その機体は右手に構えた銃器を構えて、艦後方の敵部隊に発射した。
黒い光が戦場を貫いた。
一撃で、三機。そのすべてが戦闘不能に陥るも、パイロットは毛の先程の傷も負っていない。
レールガンを機体バックパックにマウントして様子を見ている謎の機体。
黒揚羽は喉が干上がる様な感覚がして、すぐに通信で戦闘中止の指示を送る。
すぐに戦闘が無くなる。
黒揚羽は目の前の機体が例の新型なのを理解した。
そして、それが厄介なパイロットのもとにいってしまったことも。
決して「強そうな」、「手ごわい」と言わないのは勝てる事を確信しているからだ。
[宇宙開発同盟軍エース、黒揚羽。あなたに提案があります]
声は返さない、しかし聞く意思を示すために新型と同じ高さまで降下する。
[ありがとうございます。話が通じそうで良かった]
青年の声が聞こえる。真面目そうな雰囲気が伝わってくる。
さっきの・・・一瞬感じた恐ろしさのかけらも見つからない。
[取引をしたいんです。あなたと]
取引?戦場で何の取引をするのだろう?
常識の範疇から外れた行動に周りが固唾をのむ。
[あなた方はこの機体の回収を命じられてここまで来た、そうですよね?]
見抜かれている。彼はいったい何者なのか。
[しかし我々はあなた達が制圧した基地で補給が欲しい。だから一騎打ちをしましょう]
誰もが唖然とした。今まで無敗のエースと呼ばれた黒揚羽に、一騎打ちを望むとは・・・
[僕が勝てば、あなた達は基地から撤退、この場も引いてもらいます。逆にあなたが勝てば僕はそちらに行きます]
しかも、とんだ策士だ。そう言われればこちらは受けざるを得ない。あの機体は任務として回収する必要があるというだけでなく、あの機体が
向こうに残ってしまった時のリスクは計り知れない。そして何より、この勝負の意図はこちらの本気をそぐ事だ。
機体の回収が任務である以上、一騎打ちでも撃墜が出来ない。それだけでかなり行動が制限される。
[別に一機対一部隊でもかまいませんよ?その方が良いというなら]
一人が激情して新型に突っ込んでいった。しかし新型はその場から一ミリも動かず粒子を散布しただけだった。
発射されたライフルの弾はどこに命中したのかも分からない程きれいに消え去っていた。
次に発射されたミサイルは粒子の膜にふれると爆発どころか残骸も残さず消えていた。
最後に突っ込んだ味方は手の電磁振動ナイフを新型の装甲に突き立てようとしたが、触れる前に味方の機体はべコリと音を立ててひしゃげた。
何があったのかも分からぬまま両手足を潰された味方機はコクピットブロックに損傷もなく海に落ちて行った。パラシュートによる脱出は成功
したらしい。
[どうします?]
黒揚羽は光通信で返答をした。
了承の返答を。
思わず黒揚羽は呟いていた。
確かにレーザーは発射された。そのレーザーは寸分の狂いなくブリッジに進み、そして曲がった。
[あー、あー、全軍に告ぎます。いったん戦闘を中止してください]
いきなり、スピーカーで特定の期待では無く、戦場のすべての物に話しかけ始めた見慣れぬ機体。
しかしその程度で戦闘が止まる訳が無く、一瞬戦場の注目を集めただった。
[今すぐ戦闘を中止しなさい。でなければ、落とすぞこら]
その機体は右手に構えた銃器を構えて、艦後方の敵部隊に発射した。
黒い光が戦場を貫いた。
一撃で、三機。そのすべてが戦闘不能に陥るも、パイロットは毛の先程の傷も負っていない。
レールガンを機体バックパックにマウントして様子を見ている謎の機体。
黒揚羽は喉が干上がる様な感覚がして、すぐに通信で戦闘中止の指示を送る。
すぐに戦闘が無くなる。
黒揚羽は目の前の機体が例の新型なのを理解した。
そして、それが厄介なパイロットのもとにいってしまったことも。
決して「強そうな」、「手ごわい」と言わないのは勝てる事を確信しているからだ。
[宇宙開発同盟軍エース、黒揚羽。あなたに提案があります]
声は返さない、しかし聞く意思を示すために新型と同じ高さまで降下する。
[ありがとうございます。話が通じそうで良かった]
青年の声が聞こえる。真面目そうな雰囲気が伝わってくる。
さっきの・・・一瞬感じた恐ろしさのかけらも見つからない。
[取引をしたいんです。あなたと]
取引?戦場で何の取引をするのだろう?
常識の範疇から外れた行動に周りが固唾をのむ。
[あなた方はこの機体の回収を命じられてここまで来た、そうですよね?]
見抜かれている。彼はいったい何者なのか。
[しかし我々はあなた達が制圧した基地で補給が欲しい。だから一騎打ちをしましょう]
誰もが唖然とした。今まで無敗のエースと呼ばれた黒揚羽に、一騎打ちを望むとは・・・
[僕が勝てば、あなた達は基地から撤退、この場も引いてもらいます。逆にあなたが勝てば僕はそちらに行きます]
しかも、とんだ策士だ。そう言われればこちらは受けざるを得ない。あの機体は任務として回収する必要があるというだけでなく、あの機体が
向こうに残ってしまった時のリスクは計り知れない。そして何より、この勝負の意図はこちらの本気をそぐ事だ。
機体の回収が任務である以上、一騎打ちでも撃墜が出来ない。それだけでかなり行動が制限される。
[別に一機対一部隊でもかまいませんよ?その方が良いというなら]
一人が激情して新型に突っ込んでいった。しかし新型はその場から一ミリも動かず粒子を散布しただけだった。
発射されたライフルの弾はどこに命中したのかも分からない程きれいに消え去っていた。
次に発射されたミサイルは粒子の膜にふれると爆発どころか残骸も残さず消えていた。
最後に突っ込んだ味方は手の電磁振動ナイフを新型の装甲に突き立てようとしたが、触れる前に味方の機体はべコリと音を立ててひしゃげた。
何があったのかも分からぬまま両手足を潰された味方機はコクピットブロックに損傷もなく海に落ちて行った。パラシュートによる脱出は成功
したらしい。
[どうします?]
黒揚羽は光通信で返答をした。
了承の返答を。
「あんな力技の交渉、見たことない・・・」
「どっちかと言うと脅迫ですね、あれ」
「すごい・・・同盟軍トップクラスのエースを手玉に取るとか・・すげぇ」
「あれ?リリちゃん、惚れ直しちゃった口かい?」
「てめぇそろそろ黙りやがれ!!」
「おま、俺先輩だぞ!?やめ、うわ、ギャー!!?」
ギャーギャーとうるさいリリとゴースの喧嘩を止めながらハーミストは言う。
「まだ一騎打ちが認められただけです。勝ったとは決まっていませんよ」
「う、・・・そうだよな・・・死ぬかもしれないんだよな・・・あいつ」
「一喜一憂しても何も変わんねぇっての。そんなに心配なら御祈りでもしたらどうだよ、案外効果あるかもしれないぜ?リリちゃん」
「始まりますよ!」
「どっちかと言うと脅迫ですね、あれ」
「すごい・・・同盟軍トップクラスのエースを手玉に取るとか・・すげぇ」
「あれ?リリちゃん、惚れ直しちゃった口かい?」
「てめぇそろそろ黙りやがれ!!」
「おま、俺先輩だぞ!?やめ、うわ、ギャー!!?」
ギャーギャーとうるさいリリとゴースの喧嘩を止めながらハーミストは言う。
「まだ一騎打ちが認められただけです。勝ったとは決まっていませんよ」
「う、・・・そうだよな・・・死ぬかもしれないんだよな・・・あいつ」
「一喜一憂しても何も変わんねぇっての。そんなに心配なら御祈りでもしたらどうだよ、案外効果あるかもしれないぜ?リリちゃん」
「始まりますよ!」
グラビレイトと黒揚羽は同時に動いた。
グラビレイトは対艦刀を構えての突進で戦闘を開始した。
黒揚羽は真っ直ぐな攻撃に当たる訳もなく、最小限の動きで横にずれる。
突きが終わった所を後ろから撃とうとした黒揚羽だが、スペックを読み間違えていた。
その突進は一瞬でマシンガンの射程外に出るほどの伸びがあった。
レーザーを構えてももう遅い、後ろを取られたことを察知したグラビレイトはさらに前へ進み射程外に逃れる。
レーザーの射程外まで行かれると、今度は黒揚羽が不利になる。
黒揚羽の機体は中~近距離の射撃戦に特化していたからだ。
逆にグラビレイトのレールガンは射程がかなり長い。中距離での撃ちあいにも使えるが、遠距離での射撃にも向いている。
「くっ、速い!?」
黒揚羽は思わず驚いた声を上げた。
異常なほどのスピードで射程外に逃れたグラビレイトの射撃が返ってくる。
レールガンは高威力の武装である反面、連射性に劣っている。
電力を溜めるのに時間がかかる筈なのだ。しかし、そんな常識はすでに崩れている。
レールガンの連射と言う恐ろしい弾幕を黒揚羽はかわしていく。
「当たれ!」
リクの叫びがコクピットを震わせる。
「イザナギ、向こうの暗号回線の解析まだ?」
『進効率七十パーセントです』
「効率が悪い!解析モードを手動に移行、射撃間隔を0.8秒に固定!」
ヘルメット越しに現れるホロキーボードを想像の手で操作する。
実際の手は機体の操作に使われている。
さらに機体の周りの粒子の制御も同時に行う。
まるで阿修羅にでもなったかのごとく空想の手を四本動かし、実際の手二本も動かす。
「よし、解析完了!イザナギ、相手方にばれない様にシステム周りの改ざんお願い!」
十五秒でAIなら一分かかる作業をやってのけたリクは射撃をかわしながらこちらに接近してくる黒揚羽を見る。
『このままの速度で逃げていればすぐに敵の推進剤が切れるかと思われますが?』
「それじゃだめだよ。これはゲームだからね、ちゃんと勝ち負けが決まらないといけない」
『ゲーム、ですか』
「そう、ゲーム。条件合わせて、死人が出ない様にして、そして一騎打ち。これは戦争じゃなくてゲームになったんだよ」
射撃の為に速度を落としているグラビレイトになら、すぐに追いつけるだけのスペックがある黒揚羽は、すぐに距離を詰めてレーザーのエネル
ギーを充填して撃った。
狙いは今度もきっちりと新型の真軸を捉えていた筈。
「なぜ外れる?」
今度も逸らされたレーザーが海に着弾する。
「なら!」
射撃は実弾は効かない、レーザーは逸らされる。
しかし、法則性は見えていた。あの粒子にふれなければ・・・!
レーザーブレードを抜き、出力を上げて敵の粒子に突っ込ませた。
長いリーチと常に供給されるレーザーの高出力に負けるように粒子の層を抜けていくレーザーブレード。
しかし次の瞬間、粒子の層は消え去り新型はブレードを構えていた。
鍔迫り合いが起こる。黒揚羽は機体のスペックを少しずつ把握していた。
(この機体、モーターロック式の関節?でなければこの速い反応は考えられない)
粒子を戦術の要とした機体、既存の粒子ではなく新発見された様なものだろう。
しかし、関節の形式で弱点は見える。
(この機体は、軽い)
機体に蹴りを入れられれば装甲に致命的なダメージを与えられるぐらいに軽く作られていなければ、モーターロック式の関節など使う筈がない。
なのに、ここまで重い剣を持っているという事は、推進力は強いが高速戦闘は苦手なのだろう。
そう見切りをつけた所で黒揚羽は機体の足を半ば無理やり動かし、蹴りを入れた。
機体がよろめく。鍔迫り合いがとかれるも、機体のバランスが崩れて致命傷では無く右足が斬られるに収まった。
「そんな!?」
黒揚羽の足が、切断されて宙を舞う。
グラビレイトに対する蹴りは、確実に入った。しかしその感触は想像もしていなかったものになった。
重い。空に浮いていられるのが不思議なくらい、重い。
結果、十分な力もないままの蹴りの所為でバランスを崩し、片足が切断される事になった。
空戦時には重要なスラスターの大半は脚部に積んである。それが片方無くなっただけでバランスを取りづらくなってしまう。
機体の降下する勢いに身を任せてバランスを取り戻そうとするも、レールガンの攻撃でさらにバランスを崩される。
黒揚羽は落下しながらシールドを構えてレールガンを角度を合わせながら弾いていく。
手加減されたレールガンの出力でも、シールドはすぐにボロボロになり、砕ける。
何とか、ブースターの点火だけでもと黒揚羽がブースターで減速した時、グラビレイトは黒揚羽に突っ込んだ。
「うおおぉぉぉ!」
下は小さな島だった。地面と水平に押し飛ばされ、そして地面に激突した。
[チェックメイト。僕の勝ちですよ、黒揚羽]
黒揚羽の機体に通信が送られた。
グラビレイトは対艦刀を構えての突進で戦闘を開始した。
黒揚羽は真っ直ぐな攻撃に当たる訳もなく、最小限の動きで横にずれる。
突きが終わった所を後ろから撃とうとした黒揚羽だが、スペックを読み間違えていた。
その突進は一瞬でマシンガンの射程外に出るほどの伸びがあった。
レーザーを構えてももう遅い、後ろを取られたことを察知したグラビレイトはさらに前へ進み射程外に逃れる。
レーザーの射程外まで行かれると、今度は黒揚羽が不利になる。
黒揚羽の機体は中~近距離の射撃戦に特化していたからだ。
逆にグラビレイトのレールガンは射程がかなり長い。中距離での撃ちあいにも使えるが、遠距離での射撃にも向いている。
「くっ、速い!?」
黒揚羽は思わず驚いた声を上げた。
異常なほどのスピードで射程外に逃れたグラビレイトの射撃が返ってくる。
レールガンは高威力の武装である反面、連射性に劣っている。
電力を溜めるのに時間がかかる筈なのだ。しかし、そんな常識はすでに崩れている。
レールガンの連射と言う恐ろしい弾幕を黒揚羽はかわしていく。
「当たれ!」
リクの叫びがコクピットを震わせる。
「イザナギ、向こうの暗号回線の解析まだ?」
『進効率七十パーセントです』
「効率が悪い!解析モードを手動に移行、射撃間隔を0.8秒に固定!」
ヘルメット越しに現れるホロキーボードを想像の手で操作する。
実際の手は機体の操作に使われている。
さらに機体の周りの粒子の制御も同時に行う。
まるで阿修羅にでもなったかのごとく空想の手を四本動かし、実際の手二本も動かす。
「よし、解析完了!イザナギ、相手方にばれない様にシステム周りの改ざんお願い!」
十五秒でAIなら一分かかる作業をやってのけたリクは射撃をかわしながらこちらに接近してくる黒揚羽を見る。
『このままの速度で逃げていればすぐに敵の推進剤が切れるかと思われますが?』
「それじゃだめだよ。これはゲームだからね、ちゃんと勝ち負けが決まらないといけない」
『ゲーム、ですか』
「そう、ゲーム。条件合わせて、死人が出ない様にして、そして一騎打ち。これは戦争じゃなくてゲームになったんだよ」
射撃の為に速度を落としているグラビレイトになら、すぐに追いつけるだけのスペックがある黒揚羽は、すぐに距離を詰めてレーザーのエネル
ギーを充填して撃った。
狙いは今度もきっちりと新型の真軸を捉えていた筈。
「なぜ外れる?」
今度も逸らされたレーザーが海に着弾する。
「なら!」
射撃は実弾は効かない、レーザーは逸らされる。
しかし、法則性は見えていた。あの粒子にふれなければ・・・!
レーザーブレードを抜き、出力を上げて敵の粒子に突っ込ませた。
長いリーチと常に供給されるレーザーの高出力に負けるように粒子の層を抜けていくレーザーブレード。
しかし次の瞬間、粒子の層は消え去り新型はブレードを構えていた。
鍔迫り合いが起こる。黒揚羽は機体のスペックを少しずつ把握していた。
(この機体、モーターロック式の関節?でなければこの速い反応は考えられない)
粒子を戦術の要とした機体、既存の粒子ではなく新発見された様なものだろう。
しかし、関節の形式で弱点は見える。
(この機体は、軽い)
機体に蹴りを入れられれば装甲に致命的なダメージを与えられるぐらいに軽く作られていなければ、モーターロック式の関節など使う筈がない。
なのに、ここまで重い剣を持っているという事は、推進力は強いが高速戦闘は苦手なのだろう。
そう見切りをつけた所で黒揚羽は機体の足を半ば無理やり動かし、蹴りを入れた。
機体がよろめく。鍔迫り合いがとかれるも、機体のバランスが崩れて致命傷では無く右足が斬られるに収まった。
「そんな!?」
黒揚羽の足が、切断されて宙を舞う。
グラビレイトに対する蹴りは、確実に入った。しかしその感触は想像もしていなかったものになった。
重い。空に浮いていられるのが不思議なくらい、重い。
結果、十分な力もないままの蹴りの所為でバランスを崩し、片足が切断される事になった。
空戦時には重要なスラスターの大半は脚部に積んである。それが片方無くなっただけでバランスを取りづらくなってしまう。
機体の降下する勢いに身を任せてバランスを取り戻そうとするも、レールガンの攻撃でさらにバランスを崩される。
黒揚羽は落下しながらシールドを構えてレールガンを角度を合わせながら弾いていく。
手加減されたレールガンの出力でも、シールドはすぐにボロボロになり、砕ける。
何とか、ブースターの点火だけでもと黒揚羽がブースターで減速した時、グラビレイトは黒揚羽に突っ込んだ。
「うおおぉぉぉ!」
下は小さな島だった。地面と水平に押し飛ばされ、そして地面に激突した。
[チェックメイト。僕の勝ちですよ、黒揚羽]
黒揚羽の機体に通信が送られた。
完璧に負けた。
今、機体はブレードをコクピットハッチに突き立てられている。
脚部は右足が失われ、左足も蹴りの衝撃で中のワイヤーが切れている。
左手に持っていたシールドは砕かれ、左手自体も指先が無くなっている
右手は地面にぶつかり引きずられた時に付け根からもぎ取られていた。
頭部は関節部分が外れてコード類でかろうじて繋がっている。
そんな状況下で胴体へのダメージは背中のブースターユニットだけ。さらに、暗号回線への割り込みまでされている。
圧倒的ともいえる性能差に必死で食らいついていた時に、目の前の敵は片手間のように暗号回線の解析までして、そして余裕たっぷりの勝利宣
言までしてきた。
完璧な敗北。初めての負けが、ここまで完膚なきまでに叩きのめされるものだと思わなかった。
これだけの実力があった筈なのに、さらに上を行くものに負けた。
[部隊の撤退、してもらえますか?]
「くそっ!撤退させればいいんでしょう!?」
[えっ・・・]
リクは驚いていた。
撤退がスムーズにいく事では無くて、黒揚羽が、女性だった事に。
「あなた、女性だったんですか!?」
[女がパイロットやってちゃ悪い?どうでもいいでしょう!]
「いや、そのー、・・・すみません」
なんとなく謝ってしまった。黒揚羽は女性だった、しかも自分と同じくらいの年齢の。
[何で謝られなきゃいけないの]
「・・・女性相手に少し手荒な決着にしちゃって」
[・・・貴様、殺す・・・]
「へ?」
全てを呪い殺しそうな声が聞こえる。
[だまれ・・・私は正直本気で掛かっていたのに貴様は決着のつけ方に気を配れるほどの余裕があったと言いたいんでしょう!そうなんでしょう
!!]
「いや、あのそういうつもりじゃぁ・・・」
[うるさい!私の不敗伝説に傷つけて!なおかつここまでの手加減されて!・・・私は貴様を許さない・・・絶対に!私の手で!!殺してやる!
!!]
敵の回収部隊が黒揚羽の機体を回収して艦へと戻って行った。
「まさか切れられるとは・・・」
『確かにマスターにはデリカシーがありませんでしたね』
「ひどっ!?」
リク・ゼノラスの同盟軍との初陣の結果は女性エース、黒揚羽を撃墜。
両軍を揺るがすほどの結果だという事にいまだ本人は気付いていない。
今、機体はブレードをコクピットハッチに突き立てられている。
脚部は右足が失われ、左足も蹴りの衝撃で中のワイヤーが切れている。
左手に持っていたシールドは砕かれ、左手自体も指先が無くなっている
右手は地面にぶつかり引きずられた時に付け根からもぎ取られていた。
頭部は関節部分が外れてコード類でかろうじて繋がっている。
そんな状況下で胴体へのダメージは背中のブースターユニットだけ。さらに、暗号回線への割り込みまでされている。
圧倒的ともいえる性能差に必死で食らいついていた時に、目の前の敵は片手間のように暗号回線の解析までして、そして余裕たっぷりの勝利宣
言までしてきた。
完璧な敗北。初めての負けが、ここまで完膚なきまでに叩きのめされるものだと思わなかった。
これだけの実力があった筈なのに、さらに上を行くものに負けた。
[部隊の撤退、してもらえますか?]
「くそっ!撤退させればいいんでしょう!?」
[えっ・・・]
リクは驚いていた。
撤退がスムーズにいく事では無くて、黒揚羽が、女性だった事に。
「あなた、女性だったんですか!?」
[女がパイロットやってちゃ悪い?どうでもいいでしょう!]
「いや、そのー、・・・すみません」
なんとなく謝ってしまった。黒揚羽は女性だった、しかも自分と同じくらいの年齢の。
[何で謝られなきゃいけないの]
「・・・女性相手に少し手荒な決着にしちゃって」
[・・・貴様、殺す・・・]
「へ?」
全てを呪い殺しそうな声が聞こえる。
[だまれ・・・私は正直本気で掛かっていたのに貴様は決着のつけ方に気を配れるほどの余裕があったと言いたいんでしょう!そうなんでしょう
!!]
「いや、あのそういうつもりじゃぁ・・・」
[うるさい!私の不敗伝説に傷つけて!なおかつここまでの手加減されて!・・・私は貴様を許さない・・・絶対に!私の手で!!殺してやる!
!!]
敵の回収部隊が黒揚羽の機体を回収して艦へと戻って行った。
「まさか切れられるとは・・・」
『確かにマスターにはデリカシーがありませんでしたね』
「ひどっ!?」
リク・ゼノラスの同盟軍との初陣の結果は女性エース、黒揚羽を撃墜。
両軍を揺るがすほどの結果だという事にいまだ本人は気付いていない。
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