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hope

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
切な、人がいます。
生まれてからずっと一緒だった人。
私にとって半身といってもいい存在で、大好きで大好きで堪らない人。

それが私――平沢憂にとっての姉――平沢唯なんです。

お姉ちゃんは、私が見てないと本当ぬけていて、いつもドジしちゃうんですよ。
でもそれが可愛くて、護ってあげたいと思うんです。なんでかといわれると……なんででしょうね。
姉妹だから?………………ううん、お姉ちゃんだから。
平沢唯だから。

憧れだった。
あんな風になりたかった。
完璧とかそつがないとか、何でも出来るとかじゃなくて。
お姉ちゃんのように、ピカピカに輝きたかった。


そう、お姉ちゃんは私の『希望』でした。


そして、大切な友達も居ます。
その子はいつも一生懸命で真面目で。
けど、なんか良く流されちゃったりする子で。
面白いなーと思う子です。

だから、一緒に居るとなんだか楽しくて。
彼女のお陰で、高校生活がとても充実している……って思ったんですよ。
どきどきして、ぽかぽかして。
そんな気持ちにさせてくれて。
一緒に居る事は幸せ、でした。
そう、彼女――中野梓ちゃんは、希望の友達、でした。




出来るなら……最初、あの二人を見つけなければ良かったのに。
そしたら、こんなに苦しむ事……無かったのかな?
解かりません。

でも、私が出来る事が、解かったんです。


私は、あの二人の為に――――



死ねる……って事が。



だから――殺して……くれませんか?





     ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「……それは」

とうとうと語るの独白を、一人の男が聞いていた。
イタリアの暗部組織、社会福祉公社の義体担当官、ヴィクトル・ヒルシャーである。
別に聞きたくて、聞いてる訳ではなかった。
たまたま、ヒルシャーのスタート地点のビルに、同じく彼女がスタート地点として居た。
それだけの事で、そのまま成り行きのように彼女の言葉を聞いている。

ヒルシャーとしては、スタート前にちらっと姿を見えた義体の事が気になって仕方が無い。
彼とコンビを組んでいる義体の少女、トリエラの事だ。
義体――平たく言うなら身体を改造し、洗脳した上で常人以上の力を出せるようにした少女。
そんな少女の一人であるトリエラの担当官がヒルシャーだった。

トリエラの事だ、恐らく無理をしている。
もし彼女がヒルシャーが此処に居ると思っているのなら尚更だろう。
となると、早く彼女と合流しなければ、ならない。
彼女が傷ついてしまう前に。
超人的な身体とはいえ、この島では義体を調整する事は出来ない。
下手に致命傷を負ったらすなわち死だろう。
だからこそ、ヒルシャーはトリエラと合流を急ぎたい。


「……それは、それはいけない」


――――でも、だからといって、今死のうとしている少女を見過ごす訳にも、いかなかった。

何故か、何故か知らないが、どうしても。

トリエラは絶対、護る。護らなければ、ならない。
けれど、今素直に殺し合いに乗るのかと言われると、ヒルシャーは頷けない。
あのモンスターなような人間が素直に信じられるかと言うのも一つ。
そして、今トリエラと同じような年齢の少女を、ヒルシャーには殺す事が出来なかった。

「……どうして、ですか?」

少女は縋るように、ヒルシャーを見ていた。
性格にはヒルシャーが握る銃にだが。
彼女の瞳は濁って、前を見ていない。

「もう、キラキラ宝石のように輝く明日なんて、見えない、存在しない。あの輝いた思い出も色褪せちゃう」

生き残れるのは一人だけ。
どんなに頑張っても一人だけ。
だから、あの楽しい日常は、戻れない。
誰か一人が欠けてしまったら、きっと駄目だ。

「じゃあ、私はお姉ちゃんの為に、人を殺せるの? 梓ちゃんの為に、人を殺せるの?」

護りたい姉、護りたい親友。
その二人を護る為に、手を汚せるのか。

「出来ない。そんなの、辛い事……全部、全部、大切な人に押し付けるだけ。そんなの駄目」

出来る訳が、無い。
そんなの出来る訳が無い。
妹が親友が、自分の為に人を殺した。
そんな辛く苦しい思い出を大切な人に与えたくない。
余計な思い出なんて、背負わせたくない。


「――――だから、私にとって希望の存在である、お姉ちゃん、梓ちゃんが生き続ける為に」


二人に生き続けて欲しい。
希望の存在である二人の為に。


「だから、二人が生き残る可能性が高くなる為に、早く死にたい……んです。殺してくれないなら、自分で……」

彼女が選ぶのは、自己犠牲。
例え自分が死んで二人が哀しんでも。
綺麗な思い出なままで。
せめて、生き残る可能性を高く。
とても、短慮な考えで。


「だって、だって……そうじゃないと……………………二人が死んじゃう……そんなの嫌」


でも、それは自分を護る楯で。
護りたくて護りたくて、堪らなくて。
けれど、殺せるわけなくて。
二人が死ぬのを聞きたくて。


早く、早く、終わりたかった。




――――そんな彼女の懇願に、ヒルシャーは。


「やはり、それはいけない」

頑なに、少女を否定する。
そんな哀しい考えは駄目だと
思い浮かんだのは、一人の女性。


「……なんで」
「それでも、君は生きているだろう?」

それでも、憂は生きている。
どんなに絶望しても、彼女は五体満足で、此処に居る。
生きるための力を、持っている。

「ならば、その命を大切にするんだ」

生きて、生きることで。
出来る事がある。

「きみの『希望』をきみ自身が生きて護る事……それを捨てるのか?」
「……殺す事は、したくないです」
「別に殺す事だけじゃないだろう。護る事は」
「護る事……」

命を懸けて護る事。
誰かを護ろうとする事。
それはきっと殺す事だけではないはず。

「僕も……護らなければならない人が居る」
「……そうなんですか」
「彼女を護る為に手を汚すかもしれない」
「……ほら、やっぱ――」
「だけど、君のような少女を殺してまではしたくない。だから、僕が信じるやり方で、彼女を、トリエラを護る」
「……信じるやり方」

ヒルシャーはそう、決めた。
今まで生きていたように、自分ができる護り方で、彼女を護る。
そういう生き方しか、できないから。


「君も……ゆっくりと自分が信じる護り方を見つけるんだ。命を捨てるとか言わないで、生きて」
「……出来るかな」
「やってみなきゃ、解からないさ」
「そうですね……」


そうして、少女は、憂はやっと微笑んだ。
瞳に光が戻ってきて、優しい本来の彼女に戻ったようで。
ヒルシャーはその憂の笑みに釣られて笑う。
彼はそのまま、手をさし伸ばして

「ついてくるかい?」
「……いいんですか?」
「君を一人にはできないしね」
「ふふっ……ありがとうございます」


そうして、二人で、歩む事を決めた。
自分達の『希望』を護る為に。
自分達が信じるやり方で。

「……どうして、私を助けようとしてくれたんですか?」
「……無視することも出来ないだろう」
「損な生き方ですね」
「そういう生き方しかできないからさ」


二人はゆっくりと歩き出した。




【H-3/一日目-朝】

【平沢憂@けいおん!】
[参戦時期]:不明、
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品x1、不明支給品(1~3)
[スタンス]:保留
[思考]
 基本:唯と梓を護りたい
 1:ヒルシャーについていく。


【ヴィクトル・ヒルシャー@GUNSLINGER GIRL】
[参戦時期]:不明
[状態]:健康
[装備]:ベレッタM92(16/16)
[道具]:基本支給品x1、予備マガジン×5、不明支給品(0~2)
[スタンス]:保留
[思考]
 基本:トリエラを護る
 1:憂を連れて、トリエラをさがす



……だるい 投下順 Girls Walk
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GAME START ヴィクトル・ヒルシャー

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