俺、井之頭五郎は雀荘を出ると、山頂にある定食屋を目指して歩いていた。
地図によると、この今歩いている道をまっすぐ歩いて行けば山頂の定食屋につくようだ。
分かれ道らしい分かれ道も、傾斜に入るか入らないかとの所に十字路が一つあるだけだし、その十字路も左右どちらかに曲がる必要があるというわけでもなさそうだ。
山道というからどれほど険しい道かと思ったが、見た限りではなかなかしっかり舗装されている良い道路だ。
このペースで歩いて行けば、上手くいけば12時前ぐらいには定食屋につくことも夢じゃないだろう。
だが、俺には一つ問題が起きていた。
地図によると、この今歩いている道をまっすぐ歩いて行けば山頂の定食屋につくようだ。
分かれ道らしい分かれ道も、傾斜に入るか入らないかとの所に十字路が一つあるだけだし、その十字路も左右どちらかに曲がる必要があるというわけでもなさそうだ。
山道というからどれほど険しい道かと思ったが、見た限りではなかなかしっかり舗装されている良い道路だ。
このペースで歩いて行けば、上手くいけば12時前ぐらいには定食屋につくことも夢じゃないだろう。
だが、俺には一つ問題が起きていた。
「……喉、乾いたなあ。」
我慢できない、というほどでもないが、つい口からその想いが洩れてしまうぐらいに喉が渇いてきたのだ。
思えば俺は、朝食に煮卵、チャーシュー、メンマ入りのカレーを食べたがトッピングに使った食材はどれも結構味付けが濃い目のものばかりだった。
おまけに煮卵の味を気に入って、持って行って歩きながら何個かつまみ食いしたから喉が渇いても当然だ。
カレーを食べながらサイダーこそ呑んだものの、あの程度でしばらく持つわけもなかった。
何か飲みたい。
それも、何かとびっきり甘いものを飲みたい。
しかしながら、今まで歩いてきた道に自動販売機はなかったし、わざわざ煙草を買った自販機の所に戻るのも何だかシャクだ。
それに自動販売機で買えるようなものでは何となく物足りない気もする。
思えば俺は、朝食に煮卵、チャーシュー、メンマ入りのカレーを食べたがトッピングに使った食材はどれも結構味付けが濃い目のものばかりだった。
おまけに煮卵の味を気に入って、持って行って歩きながら何個かつまみ食いしたから喉が渇いても当然だ。
カレーを食べながらサイダーこそ呑んだものの、あの程度でしばらく持つわけもなかった。
何か飲みたい。
それも、何かとびっきり甘いものを飲みたい。
しかしながら、今まで歩いてきた道に自動販売機はなかったし、わざわざ煙草を買った自販機の所に戻るのも何だかシャクだ。
それに自動販売機で買えるようなものでは何となく物足りない気もする。
と、その時俺は大きな建物を視界にとらえた。
どうやらそれはデパートのようだった。
なるほど、地図には確かに道中にデパートがある事が描かれている。
そうだ、ここに行ってみよう。
デパートなら地下なり屋上なり、何かしら店は入っているだろう。
そう決めると俺は吸い込まれるようにデパートの中に入っていった。
どうやらそれはデパートのようだった。
なるほど、地図には確かに道中にデパートがある事が描かれている。
そうだ、ここに行ってみよう。
デパートなら地下なり屋上なり、何かしら店は入っているだろう。
そう決めると俺は吸い込まれるようにデパートの中に入っていった。
◆◆◆
「……うわあ、なんだかとんでもないところだなあ。」
思わず口から洩れたその言葉は、まぎれもない俺の素直な感情だった。
デパートという所は、たとえどんなに不景気であろうとも人が入っていてしかるべき場所だ。
しかしながら、このデパートにはその『人』が全くいない。
目的もなくただぶらりと入ったような老人も、暇そうにしている宝石店の店員も、うるさく騒ぎながら走り回る子供も、誰もいない。
一瞬、まだ開店前か或いはそもそも営業していない店舗だったかと思ってしまったが、それにしては電気が煌々とついていておかしい。
しかしそんな事はどうでもいい。
俺は喉が渇いているんだ。
思わず口から洩れたその言葉は、まぎれもない俺の素直な感情だった。
デパートという所は、たとえどんなに不景気であろうとも人が入っていてしかるべき場所だ。
しかしながら、このデパートにはその『人』が全くいない。
目的もなくただぶらりと入ったような老人も、暇そうにしている宝石店の店員も、うるさく騒ぎながら走り回る子供も、誰もいない。
一瞬、まだ開店前か或いはそもそも営業していない店舗だったかと思ってしまったが、それにしては電気が煌々とついていておかしい。
しかしそんな事はどうでもいい。
俺は喉が渇いているんだ。
「えーっと、何か店は……おっ、地下にパーラーがあるのか。」
入口付近に張ってあった地図で店の位置を確認すると、俺はエスカレーターに乗って地下にあると言うパーラー『桜が丘』へと向かうことにした。
◆◆◆
桜が丘とか言うパーラーの入り口には、デパートの中にある店によくあるショーウィンドウが備え付けられていた。
その中には所狭しと甘味やジュースのグラスといった食品サンプルがこれでもかと並べられている。
各種フルーツジュースに始まり、クリームソーダ、コーヒーゼリーといった洋風のものから白玉ぜんざいや小倉あんみつといった和風の物まで各種取り揃えている。
これは期待できそうな、なかなかの店のようだ。
はやる気持ちを抑えつつ、店の中を覗き込んだが中に人がいない。
客がいないなら分からなくもないんだが、店員の姿すら見えない。
これは一体どういう事なのだろう?
その中には所狭しと甘味やジュースのグラスといった食品サンプルがこれでもかと並べられている。
各種フルーツジュースに始まり、クリームソーダ、コーヒーゼリーといった洋風のものから白玉ぜんざいや小倉あんみつといった和風の物まで各種取り揃えている。
これは期待できそうな、なかなかの店のようだ。
はやる気持ちを抑えつつ、店の中を覗き込んだが中に人がいない。
客がいないなら分からなくもないんだが、店員の姿すら見えない。
これは一体どういう事なのだろう?
『食券をお求めください。』
突如響く、人工的な無機質な声に驚いてその方を見ると、食券の券売機がデン、と鎮座していた。
どうやらこの店は食券制の店のようだ。
うむ、デパートの中の店とは食券の方が好ましい。
特に理由はないが。
どうやらこの店は食券制の店のようだ。
うむ、デパートの中の店とは食券の方が好ましい。
特に理由はないが。
さて、何を頼もうか。
喉が乾いていて、それでいて甘いものが欲しいが、あの食品サンプルにあったフルーツパフェはなかなかに美味そうだった。
イチゴやバナナ、キウイと言ったオーソドックスなフルーツに加えて皮つきのパイナップルやグレープフルーツと言った大きなフルーツをも惜しげもなく乗せているあのパフェは、まさにパーフェクトと呼ぶにふさわしい貫禄すら漂わせていた。
しかし、パフェで喉の渇きを潤すと言うのも何だかおかしな感じがする。
喉の渇きを潤すのならジュースとかの方が良いのかもしれないが、あれほど豪華なパフェを見てしまっては心も動くってもんだ。
だが俺は本来このパーラーに喉の渇きを潤しにやってきたんだ。
パフェの上の段にあったクリームソーダを頼むべきなのではないのか?
さて、どうしようか。
1分ぐらい逡巡したのち、俺が選んだ選択肢は『両方頼む』という単純なものだった。
というのも、俺はこれから山頂の定食屋に行かなくてはいけない。
しかしいざ定食屋についた時ここで食べなかった方の甘味が気になってしまうという状況に陥ったら、折角の定食が味気ないものになってしまうかもしれない。
ちょっと金はかかるが、これは必要経費と考えよう。
それにいざとなったら、こんな悪趣味な興行に勝手に人をつき合わせたプロレス団体の主催者に請求すれば何ら問題はないな。
そう思うと俺は、クリームソーダとフルーツパフェの食券を、それぞれ1枚ずつ買った。
喉が乾いていて、それでいて甘いものが欲しいが、あの食品サンプルにあったフルーツパフェはなかなかに美味そうだった。
イチゴやバナナ、キウイと言ったオーソドックスなフルーツに加えて皮つきのパイナップルやグレープフルーツと言った大きなフルーツをも惜しげもなく乗せているあのパフェは、まさにパーフェクトと呼ぶにふさわしい貫禄すら漂わせていた。
しかし、パフェで喉の渇きを潤すと言うのも何だかおかしな感じがする。
喉の渇きを潤すのならジュースとかの方が良いのかもしれないが、あれほど豪華なパフェを見てしまっては心も動くってもんだ。
だが俺は本来このパーラーに喉の渇きを潤しにやってきたんだ。
パフェの上の段にあったクリームソーダを頼むべきなのではないのか?
さて、どうしようか。
1分ぐらい逡巡したのち、俺が選んだ選択肢は『両方頼む』という単純なものだった。
というのも、俺はこれから山頂の定食屋に行かなくてはいけない。
しかしいざ定食屋についた時ここで食べなかった方の甘味が気になってしまうという状況に陥ったら、折角の定食が味気ないものになってしまうかもしれない。
ちょっと金はかかるが、これは必要経費と考えよう。
それにいざとなったら、こんな悪趣味な興行に勝手に人をつき合わせたプロレス団体の主催者に請求すれば何ら問題はないな。
そう思うと俺は、クリームソーダとフルーツパフェの食券を、それぞれ1枚ずつ買った。
『3番テーブルでお待ち下さい。』
無機質な機械音声に導かれるまま、3という札が貼りつけてある席に座る。
店員もいないのにどうやって運ぶんだろう?と思いもしたが、今は素直に待つことにした。
と、すると目の前の机がゴトゴトと小さく震えだした。
なんだなんだとおもったが、次の瞬間中央がパカッと開いて、そこからまるで歌番組のアイドル歌手のようにクリームソーダとフルーツパフェがせり上がってきた。
「ほう……」
なるほど、店員もいなかったのはこういうわけだったのか。
食事は静かに自分一人の世界で行いたい俺にとって、まさに理想の店と言っても過言ではないかもしれない。
しかし、せり上がってきたクリームソーダとフルーツパフェを見て俺はある事に気付いてしまった。
店員もいないのにどうやって運ぶんだろう?と思いもしたが、今は素直に待つことにした。
と、すると目の前の机がゴトゴトと小さく震えだした。
なんだなんだとおもったが、次の瞬間中央がパカッと開いて、そこからまるで歌番組のアイドル歌手のようにクリームソーダとフルーツパフェがせり上がってきた。
「ほう……」
なるほど、店員もいなかったのはこういうわけだったのか。
食事は静かに自分一人の世界で行いたい俺にとって、まさに理想の店と言っても過言ではないかもしれない。
しかし、せり上がってきたクリームソーダとフルーツパフェを見て俺はある事に気付いてしまった。
「参ったなあ……アイスクリームとアイスクリームがかぶっちゃったぞ……」
クリームソーダはその名前の通り、ソーダ水の上にアイスクリームを浮かべた飲み物だ。
そしてフルーツパフェは、フルーツが大量に乗っているものの、その内容で最も多いのはグラスの中に入れられたアイスクリームだ。
少々迂闊だったが頼んで、出て来ちゃったものはもうしょうがない。
どちらから頂こうか、ちょっとだけ迷ったが元々俺は喉が渇いていたからここに入ってきたわけだし、クリームソーダから頂くとしよう。
そしてフルーツパフェは、フルーツが大量に乗っているものの、その内容で最も多いのはグラスの中に入れられたアイスクリームだ。
少々迂闊だったが頼んで、出て来ちゃったものはもうしょうがない。
どちらから頂こうか、ちょっとだけ迷ったが元々俺は喉が渇いていたからここに入ってきたわけだし、クリームソーダから頂くとしよう。
まるで宝石のようにきらきらと輝くエメラルドグリーンのメロンソーダを口に含むと、まず感じたのは弾けるような強い炭酸の刺激と、それに負けないくらいの甘味だった。
メロンソーダとは言っているが、メロンの味と言うよりもかき氷のメロンシロップの味、と言うのだろうか。それぐらい強烈な甘味だ。
人工甘味料や食品添加物が身体によくない、と騒がれている昨今ではここまでドシンと来る人工的な甘みと言うものは珍しい。
恐らくそう言うものが大量に使われているのだろう。
だがそれが何ともいえず美味い。
まるで子供の頃に戻ったかのような錯覚さえ覚える、ノスタルジックな甘味と言うのだろうか。
甘味と同時に舌だけではなく口中をバチバチと刺激する炭酸も心地いい刺激だ。
微炭酸とかそういうのを吹き飛ばすような、弩炭酸とでも言うのだろうか。
その刺激さえもどこかノスタルジックだ。
メロンソーダとは言っているが、メロンの味と言うよりもかき氷のメロンシロップの味、と言うのだろうか。それぐらい強烈な甘味だ。
人工甘味料や食品添加物が身体によくない、と騒がれている昨今ではここまでドシンと来る人工的な甘みと言うものは珍しい。
恐らくそう言うものが大量に使われているのだろう。
だがそれが何ともいえず美味い。
まるで子供の頃に戻ったかのような錯覚さえ覚える、ノスタルジックな甘味と言うのだろうか。
甘味と同時に舌だけではなく口中をバチバチと刺激する炭酸も心地いい刺激だ。
微炭酸とかそういうのを吹き飛ばすような、弩炭酸とでも言うのだろうか。
その刺激さえもどこかノスタルジックだ。
気がつくとグラスの中の4割ぐらいを一気に飲んでしまっていた。
いけないいけない。
これではただのメロンソーダを飲んでいるだけだ。
慌ててストローを口から離すと、今度はソーダ水の上にぷかぷか浮かんでいるアイスクリームに備え付けのスプーンをつきたてようとした。
「おや。」
しかしながら、スプーンを突き立てられたアイスクリームは頼りなくフナフナとソーダ水の中に沈んで行ってしまった。
そうなのだ。
これこそがクリームソーダと言うものだった。
ソーダ水に沈んでしまったアイスクリームを削りながら、ソーダの味が良く染みた外殻とまだ味を染みつかせていない内殻の味のコントラストも楽しめる、それと同時にソーダ水の味も楽しめる、そんな夢の飲み物がクリームソーダだったじゃないか。
ソーダ水をしみこませてゆるくなった外殻を口に含むと、メロンソーダの濃密な味とそれを受け止めるバニラアイスのシンプルな味とが口の中で混然となり、恍惚となる。
味を染みつかせていない内殻を口に含みながらソーダ水をストローで吸い上げ、口の中で混ぜていく食べ方もまた、さっきの食べ方とは違ってまた恍惚となる。
ソーダの甘味とバニラアイスの甘味がかけ合わさり、凄い甘味になっているが、これこそが俺の求めていた甘味なのだ。
久しぶりに再会した、クリームソーダと言う竹馬の友は今なお変わらない姿でいてくれたのか。
それが何だか嬉しかった。
いけないいけない。
これではただのメロンソーダを飲んでいるだけだ。
慌ててストローを口から離すと、今度はソーダ水の上にぷかぷか浮かんでいるアイスクリームに備え付けのスプーンをつきたてようとした。
「おや。」
しかしながら、スプーンを突き立てられたアイスクリームは頼りなくフナフナとソーダ水の中に沈んで行ってしまった。
そうなのだ。
これこそがクリームソーダと言うものだった。
ソーダ水に沈んでしまったアイスクリームを削りながら、ソーダの味が良く染みた外殻とまだ味を染みつかせていない内殻の味のコントラストも楽しめる、それと同時にソーダ水の味も楽しめる、そんな夢の飲み物がクリームソーダだったじゃないか。
ソーダ水をしみこませてゆるくなった外殻を口に含むと、メロンソーダの濃密な味とそれを受け止めるバニラアイスのシンプルな味とが口の中で混然となり、恍惚となる。
味を染みつかせていない内殻を口に含みながらソーダ水をストローで吸い上げ、口の中で混ぜていく食べ方もまた、さっきの食べ方とは違ってまた恍惚となる。
ソーダの甘味とバニラアイスの甘味がかけ合わさり、凄い甘味になっているが、これこそが俺の求めていた甘味なのだ。
久しぶりに再会した、クリームソーダと言う竹馬の友は今なお変わらない姿でいてくれたのか。
それが何だか嬉しかった。
◆◆◆
クリームソーダを飲み終えた後、俺はしげしげとフルーツパフェを眺めていた。
食べ物でありながら、芸術品のような風格すら感じさせるその佇まいは、上に乗っているフルーツ各種盛り合わせによるものが大きいだろう。
イチゴ、バナナ、キウイ、オレンジ、パイナップル、ブルーベリー、グレープフルーツとここまでは店頭にあった食品サンプルにあったサンプルのそれと同じだ。
しかし、ここにサンプルには乗っていなかった、綺麗に飾り切りされたリンゴまで乗っているとは少々予想外だった。
フルーツ一座の総決算会のような、フルーツ一門の討ち入りのような何だかよく分からないがそういう仰々しささえも感じられる、かなり豪勢なフルーツパフェだ。
食べ物でありながら、芸術品のような風格すら感じさせるその佇まいは、上に乗っているフルーツ各種盛り合わせによるものが大きいだろう。
イチゴ、バナナ、キウイ、オレンジ、パイナップル、ブルーベリー、グレープフルーツとここまでは店頭にあった食品サンプルにあったサンプルのそれと同じだ。
しかし、ここにサンプルには乗っていなかった、綺麗に飾り切りされたリンゴまで乗っているとは少々予想外だった。
フルーツ一座の総決算会のような、フルーツ一門の討ち入りのような何だかよく分からないがそういう仰々しささえも感じられる、かなり豪勢なフルーツパフェだ。
「うーむ……」
問題は、どこから手をつけたら良いものかというところだ。
これだけ豪勢なパフェだが、下手な所を引っこ抜いて崩落なんか起こした日には目も当てられない。
右に一回、左に一回それぞれ一回ずつぐるりと回してみて、どこから手をつけたらいいかじっくり考えた。
「よし、まずはこのバナナから行ってみようかな。」
そう思い、バナナにフォークを突き刺そうとしたのだが、思った以上にバナナが抵抗を見せる。
なにしろ、後ろで支えになるはずの存在は生クリームで、全く支えの役目を果たしていない。
ふにゅ、とバナナにかけられた力がそのまま生クリームに伝わり変な方へ生クリームが飛び出す。
「参ったなあ……」
俺はバナナ攻略を中断し、はみ出そうになっている生クリームとそれにつられてバランスを崩しているリンゴの救出作業へと向かった。
これじゃまるで土砂災害から被害者を助ける救助隊だな。
と言っても、救助した相手をそのまま食べてしまうわけだから救助隊なのかなんなのか分からないが。
これだけ豪勢なパフェだが、下手な所を引っこ抜いて崩落なんか起こした日には目も当てられない。
右に一回、左に一回それぞれ一回ずつぐるりと回してみて、どこから手をつけたらいいかじっくり考えた。
「よし、まずはこのバナナから行ってみようかな。」
そう思い、バナナにフォークを突き刺そうとしたのだが、思った以上にバナナが抵抗を見せる。
なにしろ、後ろで支えになるはずの存在は生クリームで、全く支えの役目を果たしていない。
ふにゅ、とバナナにかけられた力がそのまま生クリームに伝わり変な方へ生クリームが飛び出す。
「参ったなあ……」
俺はバナナ攻略を中断し、はみ出そうになっている生クリームとそれにつられてバランスを崩しているリンゴの救出作業へと向かった。
これじゃまるで土砂災害から被害者を助ける救助隊だな。
と言っても、救助した相手をそのまま食べてしまうわけだから救助隊なのかなんなのか分からないが。
しゃり、しゃりという爽やかな咀嚼音ともに、瑞々しい香りが口いっぱいに広がる。
大自然が育んだフルーツのもつ天然の甘味に加え、リンゴにへばりついていた生クリームの人工的な甘味が口の中で混ざっていく。
今まさに、俺の口の中で天然の甘味と人口の甘味が手を取り合っているのだ。
たまらない。
更に見てみれば、天然の甘味はリンゴだけではない。
目の前にはイチゴにキウイ、オレンジやパイナップルと言ったそれこそフルーツ一門が勢揃いしているのだ。
それにまだ生クリームやアイスクリームはたっぷりある。
グラスの中を掘り進めながら、時々フルーツをかじり、クリームを舐める。
包み込むような母性のような甘味と、激しく求めてくるような恋人のような甘味とが混然一体となって文字通りの甘い世界が口中に広がっていく。
グラスの中のアイスは掘れども掘れども、尽きる気配を見せない。
ああ、なんという幸福だろう。
この喜びを幸福と言わずしてなんだと言うのだ。
もう俺は幸福ドリラーだ。
大自然が育んだフルーツのもつ天然の甘味に加え、リンゴにへばりついていた生クリームの人工的な甘味が口の中で混ざっていく。
今まさに、俺の口の中で天然の甘味と人口の甘味が手を取り合っているのだ。
たまらない。
更に見てみれば、天然の甘味はリンゴだけではない。
目の前にはイチゴにキウイ、オレンジやパイナップルと言ったそれこそフルーツ一門が勢揃いしているのだ。
それにまだ生クリームやアイスクリームはたっぷりある。
グラスの中を掘り進めながら、時々フルーツをかじり、クリームを舐める。
包み込むような母性のような甘味と、激しく求めてくるような恋人のような甘味とが混然一体となって文字通りの甘い世界が口中に広がっていく。
グラスの中のアイスは掘れども掘れども、尽きる気配を見せない。
ああ、なんという幸福だろう。
この喜びを幸福と言わずしてなんだと言うのだ。
もう俺は幸福ドリラーだ。
◆◆◆
「はー……美味かった……」
甘味という幸福を目一杯堪能してからデパートを出ると、もう太陽もやや高い位置に上がっていた。
甘いものもたっぷりと補給したし、喉もしっかり潤した。
こんなに清々しい気分で山を登るのなんていつ以来だろう。
めざすは山頂の定食屋だ。
何やら山頂の方から煙が見えるが、もしかしたら定食屋が窯に火を入れたのかもしれないな。
早く向かわなくては。
甘いものもたっぷりと補給したし、喉もしっかり潤した。
こんなに清々しい気分で山を登るのなんていつ以来だろう。
めざすは山頂の定食屋だ。
何やら山頂の方から煙が見えるが、もしかしたら定食屋が窯に火を入れたのかもしれないな。
早く向かわなくては。
【D-6/デパート前/一日目-午前】
【井之頭五郎@孤独のグルメ】
[参戦時期]:不明
[状態]:健康、腹八分ぐらい、良い気分
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、トカレフ(8/8)@現実、トカレフ弾×40発、不明支給品(0~2)、煙草(自販機で買った)@現地調達、煮卵(結構あるよ、何個かつまみ食いした)@現地調達
[スタンス]:あんなプロレスの興行に対してスタンスなんかあるか。
[思考]
基本:帰りたい。
1:昼ごはんはエリア真ん中の定食屋にしよう。
[参戦時期]:不明
[状態]:健康、腹八分ぐらい、良い気分
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、トカレフ(8/8)@現実、トカレフ弾×40発、不明支給品(0~2)、煙草(自販機で買った)@現地調達、煮卵(結構あるよ、何個かつまみ食いした)@現地調達
[スタンス]:あんなプロレスの興行に対してスタンスなんかあるか。
[思考]
基本:帰りたい。
1:昼ごはんはエリア真ん中の定食屋にしよう。
3匹の子豚 | 投下順 | 保護者ディオ |
牌コミュニケーション | 井之頭五郎 |