プロローグ
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strawberryrowa
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プロローグ
高級ホテル――”ヴァンクール (vainqueur)”
東京都港区台場。
人の手により海を四角に切り取りとられ、埋め立てることで作り出された自然の中では有り得ない礎。
その端。人と自然の領域を別つ海岸線の間際に、その黒い一本の剣の様な威容を持ったホテルは存在する。
人の手により海を四角に切り取りとられ、埋め立てることで作り出された自然の中では有り得ない礎。
その端。人と自然の領域を別つ海岸線の間際に、その黒い一本の剣の様な威容を持ったホテルは存在する。
フランス語で”勝利者”を意味するそのホテルの最上階に近い位置。
全ての外壁を窓として展望フロアも兼ねるレストランの一角。窓際のテーブルに一人の男が座っていた。
ランチの時間をとうに過ぎているからか、それとも常にそうなのか客は男の他には存在しない。
全ての外壁を窓として展望フロアも兼ねるレストランの一角。窓際のテーブルに一人の男が座っていた。
ランチの時間をとうに過ぎているからか、それとも常にそうなのか客は男の他には存在しない。
男は手にしていたコーヒーカップを皿の上に戻すと、懐から煙草を取り出しそれを口に咥えようとする。
だが、レストラン内が禁煙だったことを思い出し……しかし自分一人だとは思ったが……逡巡の後、それを懐に戻した。
そして紫煙の代わりにひとつ小さな溜息をつくと、視線を窓の外へと移しその先にある一つのビルを見る。
だが、レストラン内が禁煙だったことを思い出し……しかし自分一人だとは思ったが……逡巡の後、それを懐に戻した。
そして紫煙の代わりにひとつ小さな溜息をつくと、視線を窓の外へと移しその先にある一つのビルを見る。
男の目に映るのはこのホテルとは対照的な白いビルで、そしてそれを見る男の顔にはどこか苦いものが混ざっていた。
視線を下ろしてゆけばそのビルの足元に群がる人々の姿が見える。
そのビルはホテルとシネマコンプレックスを併設したショッピングビルで、今日は改装を終えての初の営業日であった。
無尽蔵かとも思える程の人の群れを飲み込んでいく様を見るに、今回の改装は効を奏したのだろう。
そのビルはホテルとシネマコンプレックスを併設したショッピングビルで、今日は改装を終えての初の営業日であった。
無尽蔵かとも思える程の人の群れを飲み込んでいく様を見るに、今回の改装は効を奏したのだろう。
およそ一ヶ月ほど前。改装の為に営業を停止したその翌日。そこで”何があったか”をこの男は知っている。
今現在それを知る者はそんなに多くはない。何故なら、それに関わった人間のほとんどがすでに死んでしまったからだ。
まだ生きている者と言えば、あの企画を主催した側の人間か、その企画を楽しむ側にいた人間か――……
今現在それを知る者はそんなに多くはない。何故なら、それに関わった人間のほとんどがすでに死んでしまったからだ。
まだ生きている者と言えば、あの企画を主催した側の人間か、その企画を楽しむ側にいた人間か――……
……――あの殺し合いから生き残った人間しか存在しない。
バトル・ロワイアルと銘打たれた30名の人間を駒にした殺し合いゲーム。
それを思い返し、男の拳に力が篭る。
男は心の中で誰とも知らない買い物客たちに叫びかける――そこで人が死んだのだぞ、と。
それを思い返し、男の拳に力が篭る。
男は心の中で誰とも知らない買い物客たちに叫びかける――そこで人が死んだのだぞ、と。
客を向かいいれる大きなエントランス――その入り口で果てている者がいた。
視線を少しずらせば、今は真黒なアスファルトの上――墜落し、そこで息絶えている者がいた。
中に入ればそこかしこで人が死んでいた。店先で、通路で、客室で、映画館で、どこででも――……。
視線を少しずらせば、今は真黒なアスファルトの上――墜落し、そこで息絶えている者がいた。
中に入ればそこかしこで人が死んでいた。店先で、通路で、客室で、映画館で、どこででも――……。
忘れたくても忘れられない光景。それを首を振って払うと、男は汗ばんだ掌をタオルで拭い再び懐へと手を伸ばした。
全席禁煙であることを忘れ煙草を口に咥え、そして火を点けようとしたところで、
全席禁煙であることを忘れ煙草を口に咥え、そして火を点けようとしたところで、
「――ここは全席禁煙やで」
声をかけられた。
「えらい怖い顔しとったなぁ……、また思い出しとったんか。あの、……殺し合い」
新しく現れた関西弁を喋る中年の男――彼は手の平の仕草だけで挨拶を済まし男の向かいへと腰を下ろす。
予感があったのか、それとも約束していたのか、元からいた方の男に驚いた様子はない。
注文を取りにきたウェイターにコーヒーを一杯だけ注文すると関西弁の男は懐へと手を伸ばし――
予感があったのか、それとも約束していたのか、元からいた方の男に驚いた様子はない。
注文を取りにきたウェイターにコーヒーを一杯だけ注文すると関西弁の男は懐へと手を伸ばし――
「ほな、ビジネスの話をしましょか」
――取り出した煙草に火を点けた。
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