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不完全燃焼、恋愛模様.11

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streetpoint

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不完全燃焼、恋愛模様











「なんや千歳、お前随分暗い顔しとるなあ」


部室のドアを開けた瞬間、千歳はチームメートに突っ込まれた。


「そうかね?」


力なく返事をして荷物をロッカーに詰め込む。

制服を脱いで着替えていると、白石がやって来た。


「お疲れさん。あ、千歳、お前今日部活終わったら一緒に帰ろうや」

「あ、すまん。今日はちょっと用があるけん帰れんばい」

「用って何の用や?」

「話しがあるけん待っとってくれち言われとる」

「誰に?」

「1組の女子」

「タオルの子か?」

「ああ」

「ふうん……なら別にええわ」

「すまんな」


ドサリと置いた白石のバッグから、何かがこぼれた。


「ん、白石何か落ちたばい……」


それに気付いた千歳が落ちた物を拾う。


「ああ、すまん」

「これ……」


千歳が拾ったのは、今日の昼に汐屋が木の枝に引っ掛けていたあの手紙だった。

驚いて動きが止まった千歳から手紙を受け取ると、白石は笑った。


「やっぱりラブレターっちゅーもんは、なんやしらんけどもらうと嬉しいもんやなあ」

「部長、またラブレターもろたんですか?」

「ほんま、モテすぎるっちゅーのんも困りもんやで」

「うわー、普通のヤツが言うたらムカついてしばきたなるけど、部長が言うたら素直に納得ですわ」

「白石・千歳はうちの学校の二枚看板やしなあ。中学ん時も二人がおった四天宝寺中はイケメンばっかりやったし、ファンもぎょうさんおったからな」


部室で談笑する仲間の声を他所に、千歳は上の空のまま着替えてラケットを握りしめた。


「俺、先に行っとるけん」


部室を出てラケットをフェンスに立てると、ストレッチを始めた。

頭の中は真っ暗だ。

普通真っ白と表現するのかもしれないが、今の千歳の頭の中は黒いのだから、やはり真っ暗だ。

汐屋が渡した、白石へのラブレター。

一体どんな事が書いてあるのだろう。


って、ラブレターなんやけん、好きですって書いてあるに決まっとるたい。


心の中で自分に突っ込む。

情けないどころか、これはまさに惨めだ。


いっそのこと白石に尋ねてみようかと考える。

しかし何と尋ねていいのか分からない。


「千歳」

「……白石」


後ろからやって来た白石に、複雑な表情を寄越す。

白石は爽やかに微笑む。


「……何かお前、えらい機嫌良さそうばってん」

「そらあ、女の子からラブレターもらって嬉しくない男はおらんで」

「さっきのか?」

「そうや。しっかしラブレターなんて久しぶりで、なんや新鮮味があってドキドキしたわ」

「ーーー誰からもらったとや?」


分かっているが、せっかく白石自ら話しを振ってくれたのだから聞いてみる。


「そらあ内緒や」

「俺の知っとる人ね?」

「何でそんなこと聞くんや?」


話しを濁す白石に、はたと気付く。

白石は千歳の好きな人を知っている。それならもし汐屋からラブレターを貰ったのなら教えてくれるはずだ。


ーーーいや、ばってんもし白石も汐屋の事ば好いとったら、汐屋からラブレター貰ったって教えるやろか?


確かに、もし白石も汐屋の事を気に入っているとしたら、誤摩化しても可笑しくない。

千歳は初めて白石に対して腹立たしさを感じた。

それだけ汐屋の事が気になるのだ。


「なんね、俺には教えられんってこつね?」

「そういうんやない。くれた女の子の事考えたら、ペラペラとしゃべることやないやろ?」

「まあ、そうたいね」

「そういう訳で、内緒やーーーおい、お前ら、さっさとストレッチして走るで!」


部室から次々出て来る部員にはっぱを掛けると、白石は千歳の前屈を助けながらボソリと小声で言った。


「なあ千歳。惚れたら負けやなんて、嘘やで?」

「え?」

「おいコラ! 真面目にせえ! 怪我したらかなんで、もうすぐ試合やねんからな!」


白石の言った言葉の意味を尋ねようとしたが、千歳はタイミングを逃してしまった。








                             続く…








お読みくださり、ありがとうございます。
恋する男は複雑なのでございます(笑)



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