チェンジ・ザ・ワールド☆
HERO.3
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お、重いーーー
私は体育の授業で使ったハードルを持ち上げ、心の中でその重量にぼやいた。
何で私一人で片付けなきゃいけないのよ! 体育委員はどこに行ったのよ!?
だけど周りを見てる余裕なんてなくて、仕方なく引きずるように歩き出した。と、その途端、
「おいっ?!」
「うわあっ!?」
ガシーーャン!!
「きゃっ!」
ドスン!!
前を向いていなかった私は、何かに足を取られてハードルごと倒れてしまった。
だけどすごい大きな音がした割りに痛くない。ゆっくりと目を開けると、男の子が私とハードルの下敷きになっていた。
「わあっ!? だ、大丈夫!?」
慌てて起き上がる。
「ごめんね、私、ちゃんと前見てなくて……って、志波君っ?!」
驚いたことに、私の下敷きになっていたのは志波君だったのだ。
「ーーはあ。お前、まだ捻挫治ってないのに、どうしてこんな仕事引き受けるんだ?」
呆れたように体を起こしながらそう言うと、志波君は次に笑った。
「怪我はないか? 足は?」
「あっ、うん! 大丈夫! 志波君こそ大丈夫? 本当にごめんね、私全然前見てなくて」
そこで気付いたのだけど、志波君は私がハードルに挟まれないように腕を出して私を庇ってくれていた。
「手っ! 大丈夫っ?!」
慌ててハードルを志波君の腕の上から突き落とす。
「これくらい、大したことない。後は俺がやっておくから、お前は戻れ」
「え、でも……」
「いいから。またこけられても次は助けられるか分からないからな」
あれ? もしかして今私がこけて志波君が下敷きになったのって、志波君が助けてくれたからなの?
そう考えた瞬間ドキリとした。
だってこの間偶然助けてもらって、また今日もだなんてーー信じられないけど、なんだろう……すごく嬉しい。
私はドキドキとする胸にまたもや不思議を感じながら、軽々とハードルを持ち上げる志波君を見上げた。
「どうした?」
私の視線に気付いた志波君が首を傾げる。
「ううん、あの、本当にありがとう。この間から志波君に迷惑かけっぱなしだね、私ーー」
「別に、迷惑じゃない。ほら、早く戻れ」
「うん。ありがとう!」
何度も頭を下げてその場を離れた私は、途中立ち止まって志波君を振り返った。
その大きな後ろ姿をしっかりと脳裏に焼き付け、確信する。
志波君はやっぱり私のヒーローだ!
「どうしたの? 何だかご機嫌ね」
帰り道、お友達の密さんと並んで歩いていると突然そう指摘された。
「えっ? そう?」
なんて言いながらも、ご機嫌に決まってる。だって今日志波君に二度目に助けられて、その後廊下で偶然会った時、ちゃっかりこの間のお礼をするための約束を取り付けたから。
最初すごく驚いてたみたいだったけど、私が必死なもんだから苦笑いでOKしてくれた。
私の捻挫ももう少しで完治するから、遊びに行くのは来週という事になる。志波君がどんなところが好きかなんて分からなかったけど、体を動かすのが好きみたいだからボーリングを奢ると言って誘った。まあ、かく言う私も体を動かすのが好きだから、ボーリング行きたかったんだけどね。
「ふふっ」
思い出して笑う私に、密さんも吊られて笑う。
「もう、比奈さんったら幸せそうに笑っちゃって。何があったの? 教えなさいよ~」
「幸せっていうか、あのね……」
密さんに捻挫の時の事は話していたから、今日の志波君の事を説明するのは簡単だった。だけど話しながら私のテンションはどんどんと上がっちゃって、最後の方はもう顔を紅潮させて志波君ヒーロー説を力説していた。
それでも密さんは優しく微笑みながら、
「よかったわね、比奈さん。志波君とのボーリング、楽しみね」
と言ってくれた。本当に密さんお姉さんみたい。
そんな素敵なお友達がいて、更にはヒーローまでいるんだもん。私って恵まれてるなあ。
幸せを噛みしめつつ、私は来週に思いを馳せた。
続く…
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